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ストロボ達人への道!
第3回 光沢のある物撮り ( 時計を撮る ) 2 2012/01/11
 
▼目次  
今回使うレンズ
ストロボとライトボックス
被写体とストロボのセッティング
ストロボはマニュアル設定
銀レフとストロボの角度を変えて撮る
次回予告
アンケートにお答えください
▼写真0 時計の質感を出す
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今回は、ソリッド感のある腕時計、シチズン 「 アテッサ 」 を撮ります。この腕時計の質感を表現するために、背景は黒くし、コントラストを強くしてボディの光沢感をより強調しています。また、文字盤の質感を強調するために、ストロボ光を銀レフにバウンスさせて撮影しています。
撮影データ ( 写真を Click で拡大 )
撮影協力:シチズン時計
本文中に書き忘れてしまいましたが、部屋は暗くして、ストロボの明かりだけで撮影しましょう!
 
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■ 今回使うレンズ
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● マクロレンズで撮ってみる

 

 今回は前回に引き続き、光沢のある物撮りテクニックを紹介します。物撮りの被写体は今回も腕時計。ただ、前回の腕時計と少し違う、文字盤がブラックのシチズン 「 アテッサ 」 を撮影します。基本的なテクニックは前回とほぼ同じですが、今回は腕時計が持つ質感をより強調する撮影テクニックに迫ります。強調するポイントは、ソリッド感の強調とブラックなイメージ。また、文字盤の微細なメカニカル感を強調するために、より接近して撮影します。そのために今回は、1:1 の等倍撮影ができる Kenko-Tokina AT-X M100 PRO D というマクロレンズ ( ※01 ) ( 写真1 ) を使います。このレンズを使えば、最短焦点距離 30cm まで接近して撮影できます。

▼写真1 カメラとレンズ
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カメラは Nikon D7000、レンズは Kenko-Tokina AT-X M100 PRO D。このレンズは、1:1 の等倍撮影ができる 150mm ( 35mm 換算 ) 単焦点のマクロレンズ。物撮りには揃えておきたいひとつ。( 写真を Click で拡大 )
撮影協力:ニコンイメージング
ケンコー・トキナー
 

 

※01 マクロレンズ
一般的なレンズよりも撮影倍率が高いレンズのことで、等倍、もしくは 0.5 倍で撮影できるレンズを指す。撮影倍率とは、被写体の大きさと受光素子に写った像の大きさの比率で、等倍のレンズは、直径 1cm の被写体が、受光素子上に実寸の 1cm で像を結ぶ。等倍は 1:1 というように表記する。実寸の 1/2 で写った場合は 1/2 倍、または 0.5 倍と呼び、1:2 や 0.5 X などと表記する。   戻る
 

 

■ ストロボとライトボックス
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● 今回もストロボ一灯撮り

 

 前回と同様に、今回もクリップオンストロボ一灯で撮影しますが、被写体への光の当て方を少し変えてみましょう。前回はストロボをカメラから離して設置し、ディフューザーを通して光を当てましたが、今回は銀レフにバウンスさせます。ストロボもカメラのホットシューに装着したままで撮影します。

もちろん今回も前回同様にライトボックスを用意します。写真3のように右サイドに黒レフを使い、腕時計の右サイドに陰を作ります。ライトボックスの残りのサイドは白レフで囲みます。また、黒いつや消しの紙を下に敷き、バック紙とします。そして今回もっとも重要な 「 銀レフ 」 ( 写真4 ) を用意しておきましょう。

▼写真2 外付けストロボ
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今回の腕時計の撮影でも使うクリップオンストロボは、ガイドナンバー 60 の ニッシンデジタル Di866 MARK II。 ( 続きは写真をClick )
 

 

▼写真3 ライトボックスの設置
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白レフと黒レフを使って、写真のように四方を囲む。バック紙は黒いつや消しの紙を下に敷く。今回は接近してい撮影するので、アールを作る必要は無い。 ( 写真を Click で拡大 )
▼写真4 銀レフ
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ストロボの光を反射させるための銀レフ。台所で使うアルミホイルで代用している。
( 写真を Click で拡大 )
   
■ 被写体とストロボのセッティング
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● 被写体はバック紙から離す

 

 被写体である腕時計は、写真5のように、文字盤を上に向けて設置します。また、被写体に下駄を履かせてバック紙から離し、少し高い位置にしましょう。こうして設置するのは次のような理由からです。

 ・ 銀レフからの光は文字盤に当てる
 ・ 他の部分には白レフの反射光を当てる
 ・ 腕時計の背景はなるべく黒くする


 今回の撮影では、ストロボの光を銀レフに反射させますが、銀レフはライトボックスの上部に設定したいため、銀レフからの反射光は上から当たることになります。よって、腕時計の文字盤は、上を向いている必要があるわけです。こうした設置での撮影では、カメラのアングルは俯瞰になるので、腕時計を黒いバック紙の上にそのまま置くと、腕時計と背景との距離が近くなり、バック紙に当たる銀レフからの反射光が強くなって、背景が明るくなってしまいます。これを解消するために、腕時計に下駄を履かせているわけです。

▼写真5 被写体を高い位置に設置
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俯瞰のアングルで撮影するため、被写体をなるべくバック紙から離して設置するとよい。ここでは腕時計の展示に使うシーリングと台座を使っている。 ( 写真を Click で拡大 )

● 銀レフをライトボックス上部に設置

 

 カメラを三脚に装着し、ホットシューにストロボを装着したら、ストロボの発光部を上方向に回転させておきます。続いて用意した銀レフを写真6のように、設置しましょう。設置するときの高さや角度などは、後で調整します。なお、レフ板を固定するには、写真7のようなクリップがあると便利です。


▼写真7 あると便利な撮影用クリップ
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三脚に取り付けられる 1/4 インチネジ穴が付いているクリップ。レフ板などを挟める。
( 写真を Click で拡大 )
▼写真6 ストロボと銀レフの設置
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カメラのホットシューに装着したクリップオンストロボのヘッドを回転させて、被写体の上部に設置した銀レフに向かってバウンス発光させられるようにする。 ( 写真を Click で拡大 )

   
■ ストロボはマニュアル設定
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● Di866 MARK II でのマニュアル設定

 

 前回でも紹介しましたが、ストロボの設定は重要なので、敢えて重複で紹介します。

------------ 前回から引用 ------------

  一般的なクリップオンストロボの設定は、ほとんどが似たり寄ったりの操作性で、固定の液晶パネルとハードウェアボタンによるものですが、ニッシンデジタルの Di866 MARK II は、カラー液晶パネルに表示される階層メニューを2つのボタンで操作するという、わかりやすくて簡単なものです。初めて Di866 MARK II を触ったときでも、マニュアル無しでほとんどのことができました。

 では、写真8を参考にして、まずはストロボをマニュアルモードに変更してみましょう。Di866 MARK II 以外のストロボは、ストロボのマニュアルを参照してください。

 写真9は、マニュアルモードでの設定方法です。マニュアル設定画面では、1/128 〜 1/1 までの範囲で、1/3 EV ステップで発光量を調節できます。どの発光量が適切かは、実際の撮影環境でまちまちですので、初めて設定するときは、一番発光量の弱い 1/128 を選んでおきましょう。そうして、カメラで撮影しながら適切な発光量に調節していきます。

 Di866 MARK II の液晶画面は、しばらく放置すると消費電力を抑えるために画面が消えますが、 ボタンを一回押すと、直前の画面に戻ります。

▼写真8 ストロボの設定
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Di866 MARK II の操作パネルで、ストロボの設定をマニュアルにする。1 ボタンを押すとトップメニューが表示されるので、2 ボタンを押して を選択し、 1 ボタンを押す。 ( 写真を Click で拡大 )
▼写真9 マニュアルモードでの設定
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操作パネルに の画面が表示されるので、 ボタンで選び、 ボタンを押すと、マニュアルの設定ができる画面が表示される。発光量を調節するには、 ボタンを使って、1/128 〜 1/1 までの範囲で 1/3EV ステップで調節できる。( 写真を Click で拡大 )
   
■ 銀レフとストロボの角度を変えて撮る
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● まずはストロボの角度を固定して

 

 それでは、実際の撮影に入ります。今回の撮影で重要なのは、銀レフからの反射光をどのようにして腕時計に照射するかということです。銀レフを使っていることで、被写体の光沢がある部分にはシャープで強いハイライトが入りやすくなります。ただ、この腕時計のように微細なパーツが盛り込まれた被写体では、どの位置にハイライトが入るのかを明確に予測できません。なので、銀レフとストロボの角度をいろいろ変えたり、ストロボの光量を調節しながら、腕時計の文字盤の表情がもっとも魅力的に見える位置を探りましょう。

 効率よく作業をすすめるには、まずはストロボの照射角度をいったん固定して、銀レフだけを調整してみます。ある程度これはと思える位置と角度が見つかったら、今度はストロボの光量と照射角度を変えて、より魅力的な設定を探してみましょう。

 こうして撮影した例が写真10です。これらはすべて、カメラの設定はそのままで、ストロボと銀レフの位置、角度を変えて撮影したものです。



● 銀レフに黒マットを貼る

 

 いろいろ試して、まだ何か足りないと感じたときは、次のような方法も試してみましょう。

 ・ 銀レフの中央に黒マット紙を貼る
 ・ 銀レフを皺くちゃにしてみる
 ・ 黒レフを右から左に替えてみる


 今回は、黒マット紙を銀レフに貼り付けて撮影してみました。こうしてできたのが写真12です。ベストな設定が見つかったら、記録しておくことが次の物撮りに繋がります。しかし、その設定がそのまま使えるとは限らないのが物撮りの難しいところです。それでも、何度も繰り返し練習することで、必ずテクニックは上達していきます。大切なのは、どんな絵を描き出すかを常に頭でイメージすることと、そのイメージに近づけるように光をコントロールする工夫をすることです。

▼写真10 角度によって変わる表情
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カメラの設定はすべて同じ、ストロボと銀レフの角度を変えながら撮影した例。
撮影データ ( 写真を Click で拡大 )

▼写真11 銀レフの中央に黒マット
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銀レフの中央に黒いマット紙を貼り付けてみた。これによって、銀レフから反射する光の中央が暗くなり、さらに被写体に陰が映り込む。
( 写真を Click で拡大 )

▼写真12 完成写真
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ストロボと銀レフの様々な角度を試して、一番質感が出ていると思われる写真をピックアップ。この写真の撮影では、銀レフの中央に丸く切り取った黒いマット紙を貼り付けている。
撮影データ ( 写真を Click で拡大 )
   
 

 

■ 次回予告
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● 透明なボトルの撮影

 

 次回は、いったん光沢のある被写体から離れて、瓶、ボトルの撮りかたを紹介する予定です。透明な被写体に、どのように光を当てると透明感を際立てることができるのかを探ります。その後、また光沢のある被写体を撮るテクニックを紹介する予定です。お楽しみに。




■ 協力企業 ■
ニッシンデジタル
ニコンイメージング
シチズン時計
ケンコー・トキナー


■ 制作・著作 ■
スタジオグラフィックス
薮田織也事務所
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初出:2012/01/11 このページのトップへ
 
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