コンテンツのトップページへ 超初心者に贈る
薮田織也のデジカメ 1・2・3
第1回 ピンぼけ写真から卒業しよう! < 前編 > 2013/10/24
 
Clickで拡大
▼TOPIX
デジタルカメラの高画素化が進んで、初心者はもちろん、カメラ中級者でもピンぼけやブレが気になるようになってきました。そこで、ピンぼけ・手ブレ写真から卒業するために、カメラの構えかたの基本を勉強してみましょう。
はじめにを読む
ピンぼけ写真から卒業しよう! < 中編 >
ピンぼけ写真から卒業しよう! < 後編 >
ピンぼけ写真から卒業しよう! < 番外編 >
 
Share (facebook)    
 
■ ピンぼけ・手ブレ対策のテクニックとは
ひとつ前のページに戻るこのページのトップへ

● 実は中級者でもピンぼけしてる?

 
▼写真01 ピントが合っているようにみえても……
Clickで拡大
3630 万画素の受光センサーを持つ D800 で撮影した画像。縮小画面で観るとピントが合っているようにみえるが、原画の倍率で確認すると、ピントが外れている。絞りを f11 まで絞り込んでも、ちょっと油断するとピントがずれてしまうことがある。

▼写真02 手ブレや被写体ブレ
Clickで拡大
ピントを厳密に合せても、解像度が高いために、わずかな手ブレや被写体ブレが起こることもある。

 デジタル一眼レフを始めてみたけれど、どうにもピントが合わないとお嘆きの紳士淑女の皆様、薮田織也のデジカメ1・2・3へようこそ。新連載の本講座、第1回目は「 ピンぼけ写真からの卒業 」。テーマとしては超〜初心者向けと思われるかもしれませんが、実はカメラの扱いに慣れている中級者の間でも、「 最近ピントの外れた写真が増えた 」との声も囁かれています。最新のデジタルカメラには高性能な「 オートフォーカス機能(※1) 」が搭載されているはずなのに……。

 確かに、オートフォーカスの性能は年々向上してきていますが、同時に向上しているのが「 画素数(※2) 」で、実はこの高画素化によるデメリットのひとつに、「 ピントがシビアになる 」問題があるのです。3000 万画素以上の性能を持つカメラともなると、画素数の低い従来のカメラと同じようにピントを合わせたつもりでも、コンピュータのディスプレイで観てみるとピントが甘かったり、手ブレや被写体ブレ(※3)を起こしていたりするものです。原因は単純です。高画素化により、従来のカメラでは肉眼で無視できていたものが顕在化しただけのことなのです。つまり、従来のカメラでもときどきピントは外れていた? ということです。


※01

戻る

オートフォーカス機能
カメラのフォーカス( ピント )を自動で合せる機能で、現在ではほとんどのカメラに搭載されている。英語の Autofocus の略で、AF と表記される。

※02

戻る

画素数
カメラ内部にある撮像センサー( フィルムに相当 )が持つ、受光素子の数。デジタル画像は小さな点の集まりで表現されているが、ひとつの受光素子がひとつの点を表現する。

※03

戻る

手ブレ・被写体ブレ
写真の「 ブレ 」には「 手ブレ 」と「 被写体ブレ 」の2種類があり、「 手ブレ 」は、カメラを持つ手が動くことで画像がブレることを指し、「 被写体ブレ 」は、撮る対象自体が動いてブレてしまうことを指す。

● ピンぼけ・手ブレ対策

 

 こうしたピンぼけやブレの問題を解決するためには、特別に高度なテクニックではなく、基本中の基本である以下の2つを実践することです。

 

  1. カメラを正しく構える
  2. オートフォーカスを正しく使う

 

 「 なんだ当たり前じゃないか 」と思う方もいるでしょうが、ここ1年ほど、一般の方を対象としたセミナーでの受講生の撮影姿勢を拝見している限りでは、多くの方がカメラを正しく構えていませんし、また、オートフォーカスに対する知識も十分とは言えませんでした。そこで、次のセクションで実践的な「 ピンぼけ・手ブレ対策のためのカメラの構えかた 」について紹介しているので、ぜひ熟読してください。

   
■ カメラストラップでカメラを守る
ひとつ前のページに戻るこのページのトップへ

● カメラストラップを有効に使う

 
▼写真03 カメラストラップを有効に使う
Clickで拡大
カメラに付属しているストラップは必ずカメラに装着しておこう。ストラップは首にかけるよりも、右手首に2回巻いて使う方が、不用意にカメラをぶつけたりせずにすむし、カメラのホールド感が増す。

▼写真04 カメラのホールド
Clickで拡大
親指と人差し指の間にストラップを挟む様にしてカメラのグリップを掴むと、万が一カメラから手が離れても、最小限の落下で防ぐことができる。

 カメラには、必ずといっていいほどストラップが付属していますが、邪魔になるので使わないという方もいるようです。確かに、ストラップは何かにひっかけてカメラを落下させる原因を作ることもあるので、筆者も別売のハンドストラップ( 右手だけで持てるようにしたストラップ )に換えてストラップを敬遠していたこともあります。

 ただ、ハンドストラップは右手の動きに制限ができてしまい、カメラの右側に集中している操作がしにくくなるので、最終的には通常のストラップに戻しました。それでもカメラを2台以上同時に持つとき以外は、首や肩から提げたりせずに、写真03写真04のように右手首に2回ほどまき付けて使っています。

 写真03写真04のようにしてストラップを使うメリットには、長いストラップを短くすることで邪魔にならないようにでき、万が一カメラから手を離しても落下を最小限に抑えられることがあります。また、個人的にはハンドストラップのような安心感が得られます。

 こうしたストラップの使いかたが、ピンぼけやブレを無くすことに直接つながるわけではありませんが、これから紹介する「 カメラの構えかた 」に影響してくるので、覚えておいてください。

   
■ ピンぼけ・手ブレ対策のためのカメラの構えかた
ひとつ前のページに戻るこのページのトップへ

● 教科書レベルと笑わずに……

 
▼写真05 脇を締めてしっかりホールド
Clickで拡大
@右手でカメラを軽く持ち、A両脇を締めて、B左手にレンズ鏡筒を載せるようにホールド。

▼写真06 縦位置での構えかた
Clickで拡大
縦位置の基本はレリーズボタンを上にして構え、@左脇をしっかりと締める。A左手にレンズ鏡筒を載せるようにホールドする。

 車の運転でも、教習所で教わった通りにしていると「 初心者のようで格好が悪い 」という方がいますが、プロのレーシングドライバーのシートポジションやハンドルの持ちかたは、教習所で教わるそれと同じです。カメラの構えかたも、付属のマニュアルに必ず書いてあるものをもう一度見直してみましょう。

 カメラの構えかたの基本は、「 脇を締める 」です。写真05を見てください。これはヨコイチ( カメラを横にして構えること )でのカメラの構えかたです。最近のデジタル一眼レフカメラには、右手用にグリップが用意されていますが、右側にはレリーズボタン( シャッターボタン )などの各種ボタンやダイヤルが集まっているために、右手に力を入れて握ると、操作がしにくくなります。よって、カメラの重心を受け止めるのは左手の役割になります。カメラの重さをほぼ左手だけで受け止めるのですから、脇は、特に左の脇はしっかりと締めましょう。左肘が、レンズの真下にくるような感じで構えるとベストです。

 カメラをタテイチ( カメラを縦にして構えること )に構えたときも、左脇を締めるのは同じです。写真06のように、タテイチの場合は原則的にレリーズボタンを上にして構えましょう。逆にすると、左手の腹にカメラの重心が置けず、また、ボタンやダイヤル類の右手での操作がしにくくなります。もちろん、カメラのトップにクリップオンストロボを付け、右方向から光を当てたいときなどは例外です。

 

● ピントが外れる原因は上半身にあり

 
▼写真07 身体が揺れない構えかた
Clickで拡大
直立不動型は上半身がわずかに前後に揺れ、ピントが外れる原因になる。両の脚を肩幅ほど広げ、腰から上を真横にひねって構えると、身体の揺れを抑えられる。

▼写真08 低い位置での構えかた
Clickで拡大
ローレベル( 低い位置でカメラを構えること )で撮影するときは、必ず片膝で座り、立てた膝の上に左肘を置くようにして構える。身体の軸が常に地面に対して垂直であることを心がける。

 今回のテーマのハイライトは、「 上半身を固定 」して、ピントのズレを無くすことです。実は、ピンぼけや手ブレの原因で、一番気づきにくいのが「 上半身のブレ 」なのです。当たり前ですが、人間の身体は( 静止しているつもりでも )どこかが常に動いています。カメラを構えたときの上半身は、左右よりも前後にわずかに動きます。よって、上半身を固定することが大変重要になるわけです。

 そこで実践していただきたいのが、写真07のような構えかたです。まず脚を肩幅ほどに広げて立ち、腰から上だけを左に 90 度ひねってから前述したようにカメラを構えます。こうすることで、上半身が前後に揺れることを極力抑えられるというわけです。

 次に、低い位置で撮影するときの構えかたです。初心者の撮影を眺めていてよく見かけるのが、写真08の右のような構えかたです。これは、カメラの上下の位置を調整するために、上半身を左右のどちらかに傾けて、カメラの位置を調整する撮りかたです。この構えかたは決してやってはいけません。カメラの位置を下げるときは、まずは腰を下げましょう。カメラを持つ人の腰が安定していないと、カメラも安定されません。常にカメラと腰は、縦一直線の位置関係をとるように心がけましょう。

 

   
■ コラム:あなたは片目を瞑りますか?
ひとつ前のページに戻るこのページのトップへ

● なぜ両目を開けるのか

 
▼写真09  
Clickで拡大

 プロカメラマンの撮影を眺める機会があったら、ちょっと気にしてもらいたいのが、ファインダーを覗いていない方の目が閉じているかどうかです。これは人によって違いがありますが、スポーツカメラマンや野鳥カメラマンの多くが両目を開いて撮っているでしょうし、物撮りカメラマンは片目だけで撮るときが多いでしょう。

 プロカメラマンが両目を開けて撮る理由は、ファインダーに映っていないシーンをいつも確認していたいからなのです。特に動きのある被写体を撮影する場合や、カメラマン自身が動き回る必要があるときなど、両目を開けて撮影をします。ポートレート( 人物写真 )でも、被写体である人物の動きを撮りたいときには両目を開けます。また、常に構図を確認しながら撮影していくので、今現在フレームアウト( ファインダーに映っていない部分 )しているところに何があり、それをフレームイン( ファインダーに映し込むこと )させると構図がどう変わるのかを把握しておきたいために、両目を開けることが多くなります。もちろん、片目だけの方がファインダーの中に集中しやすくなるので、構図の確認が終わったら片目を瞑るなど、臨機応変に使い分けています。

ピンぼけ写真から卒業しよう! <中編>

   
■ 新企画・あなたの質問が本 Web 講座を作る!
ひとつ前のページに戻るこのページのトップへ

● 質問待ってます!

 

 超初心者向けに始まった長期連載「 薮田織也のデジカメ1・2・3 」はいかがでしたか? 本 Web 講座では、今後の新しい試みとして、読者の皆様から撮影やカメラについてのご質問をいただき、それを Web 講座に反映させていこうと考えています。同時にメールマガジンにも掲載する予定です。

 「 撮影での悩み 」、「 カメラのココがわからない 」など、質問したいことがあれば以下のリンクからドシドシお寄せください。質問は無料です。リンク先の注意事項をお読みいただき、ご了承の上で質問をお送りください。

質問受付
   
■ 次回予告
ひとつ前のページに戻るこのページのトップへ

● 次回は……ピンぼけ写真から卒業しよう! < 後編 >

 

 カメラの構えかたの基本を習得したら、次回の「 ピンぼけ写真から卒業しよう! < 後編 > 」では、実際にピントを合わせるための機能、「 フォーカス 」について解説します。カメラが全てを自動でフォーカスしてくれると思ったら大間違いですよ。フォーカス機能について詳しくなって、ピンぼけ写真から卒業しましょう! それでは次回をお楽しみに。

■ 制作・著作 ■
スタジオグラフィックス
薮田織也事務所
   
 
Share (facebook)    
 
初出:2013/10/24 このページのトップへ
 
space space space
space
space
space space space

     
 
 

     
リンクについて
著作権について
プライバシーポリシー