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萩原和幸のレンズレビュー 広角ズームレンズ
 Tokina AT-X 12-28 PRO DX レビュー 第1回
2013/09/20
 
▼TOPIX
 ケンコートキナーから、APS-C センサーサイズ機用の広角ズームレンズ Tokina AT-X 12-28 PRO DX が発売された。そこで、現在 APS-C センサー機用の広角レンズの購入をご検討の方はもちろん、Tokina AT-X124 PRO DX II を所有するユーザーの方々も移行を検討したくなるような、AT-X 12-28 PRO DX の魅力を全4回で紹介していこう。
▼写真00  
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■ AT-X 12-28 PRO DX と
  前モデル AT-X124 PRO DX II との外観比較
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▼写真01  
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 第1回目の今回は、前モデルである AT-X124 PRO DX II と画質や操作性を比較し、変更点や使い勝手等をレポートする。同社が以前から発売している AT-X124 PRO DX II。このレンズは、ケンコートキナーの代表とも言える人気レンズのひとつ。AT-X 12-28 PRO DX は、その後継レンズとして登場したのだから、かなりの自信作であるのは間違いない。

 AT-X 12-28 PRO DX は、35mm 判換算で約 16〜42mm の焦点域をカバーするズームレンズ。広角側が広い、汎用性の高い画角をカバーするズームレンズだ。風景からスナップ、ポートレートまで、幅広い撮影シーンで活躍が期待できるレンズとなっている。

 まずは外観の比較から。写真01の右が前モデルの AT-X 124 PRO DX II、左が新モデルの AT-X 12-28 PRO DX。大きさはほとんど変わらない。鏡筒の形状も大きな変更はないが、モデル名のラインが、赤から金に変更になり、統一感が出た。個人的には赤のポイントがある前モデルよりも高級感があって好みだ。


 レンズの焦点域が、12〜24mm から 12〜28mm とテレ側に広がったことに伴い、ズームリングの焦点表示も変更されている。AT-X 12-28 PRO DX では、12・16・20・24・28 という単焦点レンズで見慣れた焦点距離の表示だ( AT-X124 PRO DX II は 12・15・18・20・24 )。このほうが馴染みのある数字なので、ベテランユーザーにとっては、嬉しい変更だろう。ちなみに、操作性の違いは全くなく、大きさもほとんど変わらない。

 

■ 撮影して分かる、テレ端の4mm の大きさの違い
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   では実際に撮影して、画角について比較をしてみよう。ワイド端はどちらも 12mm で同じ。

 
※ 注意
以降の写真をクリックすると、すべて実画像で表示されます。( 写真14 を除く )
10MB を越える画像があるので、表示に時間がかかる場合や、携帯端末などでは正しく表示されないことがあります。

▼写真02 AT-X 12-28 PRO DX ワイド端
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▼写真03 AT-X 124 PRO DX II ワイド端
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▼写真04 AT-X 12-28 PRO DX テレ端
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▼写真05 AT-X 124 PRO DX II テレ端
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 一方、テレ端は 24mm から 28mm と、AT-X 12-28 PRO DX が4mm 長くなった。つまり焦点距離4mm 分、大きく( 狭く )写すことができる。

 こうして同一条件で撮影して比較すると、24mm と 28mm の差はかなり大きなものだと実感できる。屋内撮影でもワイド端とテレ端の違いを比較してみよう。

▼写真06 AT-X 12-28 PRO DX ワイド端
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▼写真07 AT-X 124 PRO DX II ワイド端
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▼写真08 AT-X 12-28 PRO DX テレ端
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▼写真09 AT-X 124 PRO DX II テレ端
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 撮りたいと思う部分を撮影位置を変えずに、より大きく捉えたいというとき、テレ端が4mm 広がったことに嬉しさを感じる場面は多いはずだ。特にそれを実感したのはポートレート撮影をする時だろう。

 両レンズのテレ端( 24mm、28mm )でポートレート撮影したのが以下のカットだ。

▼写真10 AT-X 124 PRO DX II テレ端
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▼写真11 AT-X 12-28 PRO DX テレ端
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 24mm は、ポートレート撮影では準広角域として使いやすい画角。私も 24mm の画角は好きだし、使う場面も多い。しかし、撮影していてもうちょっと大きく撮りたいと思う場面も少なくない。テレ端が 28mm になったことで、AT-X 12-28 PRO DX ならレンズ交換をすることなく、さらに一歩踏み込んだ画角の撮影を楽しめるようになった。

 私が2本のレンズの4mm の画角の違いを大きく感じたのは、ニコン D7100 に搭載されている対 DX1.3 ×クロップ機能を使った時だ。対 DX1.3 ×クロップ機能とは、焦点距離が装着レンズの約2倍相当の画角になるというもの。AT-X 12-28 PRO DX のテレ側なら、約 56mm( AT-X124 PRO DX II では約 48mm 相当 )となるので、標準の焦点域にまで達することになる。そのため、レンズ交換をすることなく、広角のシーンも標準のシーンも撮影することができるのだ。ポートレート撮影では、レンズ交換をする間も惜しいと思うことも多いから、広角の遠近感を誇張した表現から、標準域の自然な距離感までが1本のレンズで得られるメリットは、大きいと言えるだろう。

▼写真12 AT-X 124 PRO DX II テレ端
D7100対DX1.3×クロップ機能
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▼写真13 AT-X 12-28 PRO DX テレ端
D7100対DX1.3×クロップ機能
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 AT-X 124 PRO DX II( 写真12 )では、D7100の対DX1.3×クロップ機能を使ってもここまで。大きさだけでなく、広角レンズの特性である背景の歪みも見られる。

 これに対して、AT-X 12-28 PRO DX のテレ側で、対 DX1.3 ×クロップ機能を使って撮影( 写真13 )すると、標準レンズを使ったかのような、ナチュラルな距離感が得られるポートレート撮影ができた。

 

■ 最短撮影距離 0.05mm の違いも大きな描写の違いになる
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   もうひとつ4mm の差が大きく感じられた場面は、最短撮影距離で撮影したときだ。今回の AT-X 12-28 PRO DX の最短撮影距離は 0.25m。AT-X 124 PRO DX II の最短撮影距離 0.3m から0.05m短くなっている。

▼写真14  
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 たった5cmと思われるかもしれない差だが、実際に撮影してみると焦点距離の4mm の差と相まって、大きな差となっているのが分かる。

▼写真15 AT-X 124 PRO DX II テレ端
最短撮影距離( 0.3m )で撮影
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▼写真16 AT-X 12-28 PRO DX テレ端
最短撮影距離( 0.25m )で撮影
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 AT-X 12-28 PRO DX のテレ端 28mm の最短撮影距離で撮影したものがこのカット。画角4mm と距離 0.05m で、描写にこれだけの違いが出る。また、被写体に寄れる距離の違いだけではない。ボケの大きさも変わってくる。点光源の丸ボケもきれいな円となっており、被写体がグッと浮かび上がるような描写になった。

 このように、焦点距離と最短撮影距離の差が、ポートレートでも近接撮影でも表現に大きな差となって表れるのだ。

 近接撮影の比較の別カットを載せておく。

▼写真17 AT-X 124 PRO DX II ワイド端
最短撮影距離( 0.3m )で撮影
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▼写真18 AT-X 12-28 PRO DX ワイド端
最短撮影距離( 0.25m )で撮影
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 同じ 12mm のワイド側でも最短撮影距離が違う。また、ボケ味にも違いが出ているのが分かるだろう。

▼写真19 AT-X 124 PRO DX II テレ端
最短撮影距離( 0.3m )で撮影
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▼写真20 AT-X 12-28 PRO DX テレ端
最短撮影距離( 0.25m )で撮影
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 ここでも画角4mm の差に加え、最短撮影距離 0.05m の違いが、被写体を構図内に収めるにあたり、大きな違いとなっていることがお分かりいただけるだろう。

 

■ 総評
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 ズームレンズのいいところは、1本のレンズで複数の焦点距離を自由に楽しめるところだ。今回は、同じトキナーの AT-X 124 PRO DX II と AT-X 12-28 PRO DX の比較を試みが、焦点距離がテレ側に4mm 伸びたことで、表現の幅がうんと広がっている。こうした結果を見ると、より表現の幅が広がる AT-X 12-28 PRO DX を選ぶのが必然と思えるのだ。

 以降、作例をごらんいただきたい。

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● 次回は……


 

 次回は、AT-X 12-28 PRO DX とほぼ同じ焦点距離をカバーするニコンの AF-S DX NIKKOR 10-24mm f/3.5-4.5G ED と AF-S DX Zoom-Nikkor 12-24mm f/4G IF-ED の2本のズームレンズとの比較レポートをお届けしよう。お楽しみに!


■ 協力企業 ■
ケンコー・トキナー


■ 制作・著作 ■
スタジオグラフィックス
萩原 和幸
 
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