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  ■ [ 乗算 ] とは
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● [ 乗算 ] は色を掛け合わせる [ 描画モード ]

 [ 描画モード ] の [ 乗算 ] は、その名の通り、「基本色」に対して「合成色」の色を掛け合わせるモードです。「結果色」は、「基本色」の色が濃くなります。

 右のレタッチ例では「人物」の [ レイヤー ] の上に「蝶々」のイラスト [ レイヤー ] を重ねて、 [ 乗算 ] にしたものです。このように、「基本色」と「合成色」がまったく別の画像を [ 乗算 ] で重ねた場合、「合成色」レイヤーが透けて見え、「基本色」レイヤーの色に「合成色」レイヤーの色が重なったように見えます。

 「基本色」レイヤーと「合成色」レイヤーの画像がまったく同じ場合は、解説1のように、はっきりとその効果がわかります。こうした性格を利用すると、明るすぎる写真を補正するといった応用テクニックが使えます。

  (参照: [ 描画モード ] とは

● [ 乗算 ] はどの程度変化する?

[ 乗算 ] の計算式は、

 
結果色 =  基本色 × 合成色

255
  各色は 0 〜 255 の数字で表します

となります。

 解説1は、「 R:128 G:0 B:0 」(カラーパレットを RGB にしたときの数字)という暗い赤で塗りつぶされた円を「基本色」レイヤーに描き、別の [ レイヤー ] である「合成色」レイヤーに同じ円をコピーして、ふたつの円の一部が重なるようにずらして配置したものを、 [ 乗算 ] で合成してみたものです。

 このふたつの円を [ 乗算 ] で合成した「結果色」を [ スポイトツール ] でクリックしてみると、「 R:64 G:0 B:0 」であることがわかります。上の計算式に当てはめてみると…

 
128 × 128

255
= 64.250...

と、小数点以下の桁が多い「64」となりますが、「結果色」としては、端数が四捨五入されてしまい「64」となります。

●「合成色」をコピーしてさらに[ 乗算 ] すると…

 解説1画面3の [ 乗算 ] した「合成色」レイヤーを別の [ レイヤー ] コピーすると、 [ 乗算 ] のままコピーされますが、そのときの「結果色」はさらに暗い赤になります。この色を調べてみると、「 R:32 G:0 B:0 」であることがわかります。これは、画面3の「結果色」である「 R:64 」に、「合成色」の「 R:128 」を [ 乗算 ] しているからです。つまり…

 
64 × 128

255
= 32.125...

ということです。

● R:255 の赤は変化しない

 [ 乗算 ] を使っても何も変化しない色があります。それは RGB 各色が最大値の「 255 」の場合です。つまり、「 R:255 」の赤色は、 [ 乗算 ] しても「 R:255 」のままということです。その理由は計算してみると明らかです。

 
255 × 255

255
= 255

 もうひとつ、「 R:0 G:0 B:0 」のような RGB 各色がすべて「 0 」の場合、つまり「黒」も変化しません。

  レタッチ例 ★クリックで拡大  
▼例 上に重ねた [ レイヤー ] の [ 描画モード ] を [ 乗算 ] にすると
Clickで拡大
[ 通常 ] [ 乗算 ]
モデル:渋谷真理子
  解説1 ★クリックで拡大  
▼画面1 [ 乗算 ] とは
Clickで拡大
▼画面2 [ レイヤー ] パレットの [ 描画モード ] を [ 乗算 ] に変更する
Clickで拡大
▼画面3 「結果色」を [ スポイトツール ] で調べてみる
Clickで拡大

● [ 乗算 ] は RGB の各色個別に適用される

 ここでは「 R:128 G:0 B:0 」のように、 RGB のいずれかひとつに色がついている場合で解説しましたが、「 R:30 G:60 B:90 」のように、RGB すべてに色がある場合も基本は同じです。RGB 各色の数値を個別に計算してその演算結果が「結果色」になります。

●関連解説

初出:2005/05/11
文: 薮田織也
 
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