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女性の撮りかた講座
第3回 曇天下と室内での撮影
〜 弱い光の使い方 〜 2003/6/18
 
曇りの日は女性をキレイに撮るチャンス?
窓から入る光を上手く使おう
プロのカメラマンにインタビュー
■カメラマンはポジティブであれ 野内幸雄
 
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  ■曇りの日は女性をキレイに撮るチャンス? このページのトップへ  

 一週間ぶりのご無沙汰です。みなさん写真撮ってますか?私は仕事に追われすぎて、テンテコ舞を踊ってます。(どんな踊りなんだろう……) さて、今週は光の話をもう少し進めてみたいと思います。写真にとって光はなによりも大切なもの。光なくして写真は撮れませんからね。だからこそ光をうまく使わないと魅力的な写真は撮れません。でも光は常に一定ではありませんよね。季節によって違いますし、時刻によっても変わります。もちろん屋内屋外でもまったく表情を変えてしまいます。そんなコロコロと変わる光とどう付き合っていけばいいのか。かなり難しい課題です。

●梅雨の時期の撮影

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写真1 写真をClickで拡大
  モデル : 寺崎佑紀

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写真2 写真をClickで拡大

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写真3 写真をClickで拡大

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写真4 写真をClickで拡大

  この時期、6月はご存知のとおり梅雨の季節です。なのに商業写真の業界では本格的な夏に向けて、ピーカンの空の下での撮影が必要になることが多々あります。まぁ国内ではまず無理なので、お金をかけて海外ロケをすることになるわけですが、今のご時世そんな仕事はまずありませんね。(昔はよかった……) 閑話休題。そんなわけで青空が望めないのなら、曇天でも魅力的な写真を撮る方法をご紹介しましょう。  写真1は曇天というか雨天の日、ベランダに出て撮影したものです。夕方に近かったため、極めて弱〜い日差しが真横から入ってきていました。 曇天の光は拡散されてベランダの中全体を弱くしかし優しく照らしてくれます。 なので、モデルにレフを当てることもなく、写真1のような写真が撮れるわけです。

●天然のデュフューザー

 実は、曇りの日は絶好の女性撮影日和なんですね。なぜなら曇天の陽射しは天然のデュフューザーだからです。デュフューザーとは写真2のようにストロボに取り付ける白い幕のことで、光を拡散させて弱める効果があります。
 写真を始めたばかりのころ、曇りの日はよい写真が撮れないゾ、なんて言われたことありませんか?太陽の真下で撮れとか、逆光は駄目だなんて教わったことがあると思います。それがまったく嘘だというわけじゃないんですが、「魅力的」という形容詞を使うなら、まったく逆です。太陽の真下なんて、額や顔に影ができてしまいます。女性を撮影するのに逆光は重要な光だということは前回説明しまたね。逆光は強い光で女性の輪郭を強調してくれるのですが、曇天の陽射しは優しい光で女性全体を照らしてくれます。

●レフ板で顔を明るく

 曇天の光が優しいのはいいんですが、それでもコントラストがもう少し欲しいときは、前回紹介したレフ板を使うのがいいでしょう。レフ板の使い方は簡単です。写真3のように光を反射させてモデルの顔に光を当ててやればいいだけです。ただそのとき、より自然な光になるようにこころがけます。ポイントは光を当てたことによってできる影です。写真3は銀レフを使っていますが、白い方を使うと光が優しくなり、顔にできる影がより自然になります。レフ板は自分で持って、モデルに当たる光を調整するのが基本ですが、写真3の上の写真のようにカメラを片手で持たなければならず、シャッタースピードが遅い場合に手ブレを起こしてしまう確立が高くなります。顔のアップを撮るのなら写真3の下の写真のように、モデルにレフ板を持ってもらうのもよいでしょう。
写真4写真3と同じロケーションで私がレフを持って撮影したものです。ちなみにこれは白レフ。一見するとレフを使ったように感じないはずです。銀レフだとこういう光にはなりません。

●ベランダ写真の例

 それでは、天然のデュフューザーだけを使ったベランダ写真の例(写真5〜8)を掲載しておきます。光量不足は否めませんが、大目にみてやってくださいな。本当は、この撮影日は晴れるはずだったんですよ。晴天の陽射しを使って、さらにマクロ(後述しますね)でモデルの産毛が撮りたかったんですね。だから今回のタイトルは本来「産毛を撮ろう!」(ほんとか?)になるはずだったんです。残念です。産毛ってキレイですよ。ほんと。
 いずれ晴れた日に撮影したサンプルでやろうと思います。楽しみにしていてください。

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写真5 写真をClickで拡大
  モデル : 寺崎佑紀
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写真6 写真をClickで拡大
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写真7 写真をClickで拡大
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写真8 写真をClickで拡大

 

  ■窓から入る光を上手く使おう このページのトップへ  

 室内での撮影のコツは、限られた光をどう使うかにあります。まず日中であれば窓から入ってくる光を使わない手はありません。この窓からの陽射しってのは女性を撮るうえでかなり使える光なんですね。本当はピーカンに晴れた日にサンプルの撮影をしたかったんですが、撮影に予定した日だけなぜか雨。天気予報じゃまったく逆で、前日までこの日だけ晴れるって言ってたのに……。私は基本的に晴れ男なんですけど……。デジカメ基礎知識の担当が雨男なんだな。きっと…。まぁそんなことはどうでもいいので、本題にいきますか。

●スローシャッターでのぞめ!

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写真9 写真をClickで拡大

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写真10 写真をClickで拡大

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写真11 写真をClickで拡大

 写真9写真10写真11は窓から差し込む陽射しだけで撮影したものです。室内の明かりは全て消しています。この写真を見ると陽射しが結構強く見えるかもしれませんが、雨天の15時という時間だったので、はっきり言って暗いのです。それでも明るい陽射しの中で撮った写真風にしたかったので、極めて遅いシャッタースピードで撮影しました。写真9写真10は1/8秒です。写真9はモデルと一緒に床に寝転び、床にカメラを固定する感じで撮影しました。写真10は手持ちです。普通こんなスローシャッターでは手ブレします。私は普段何気ないときに手がプルプルすることがよくあるんですけど、カメラ持つと止まるんです。なぜかは知りません。なんだか「あぶさん」みたいな話です。まぁそんなことはどうでもよくて、普通は三脚を使いましょう。でも人物撮影するときは三脚って結構不便なので、少しだけ出費を我慢して、カメラと三脚のジョイント部分が三脚から簡単に取り外せるものを購入しましょう。こうした三脚の場合、ジョイント部分をカメラに付けっぱなしにしておけるので、再度三脚に装着するのが簡単なのです。

●窓の陽射しを逆光で使う

 今度は廊下での撮影です。この廊下にある窓は玄関横の明かり窓だけ。その他には一切明かりはありません。写真12写真13はこの明かり窓の光を逆光に、モデルのシルエットを撮影してみました。写真14写真15は明かり窓に寄ってもらっての撮影です。いまさらどーのこーのと講釈は付けません。雰囲気を感じてください。 あっ、別に文章書くのが辛くなったとか、めんどうになったとか、どうせ読んでないだろとか、写真がいっぱいあるからいいじゃんとか、ネタが尽きたとかってわけじゃないです。決して。念のため……。

 さて、今週はここでおしまい。今回、文中に出てきたホワイトバランスについては次回詳細に紹介します。それではまた来週!

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写真12 写真をClickで拡大
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写真13 写真をClickで拡大
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写真14 写真をClickで拡大
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写真15 写真をClickで拡大
  ■カメラマンはポジティブであれ このページのトップへ  

Q.野内さんは普段はどんな撮影を?

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  写真家:野内幸雄

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野内 「ミュージシャンの撮影が多いね。CDジャケットの撮影とか、取材の際の撮影とかね」

Q.ミュージシャンの撮影で難しいことは?

野内 「彼らは音楽のプロではあるけれど、モデルではないからね。音楽の仕事とは違うから撮影は緊張しちゃうみたいだね」

Q.そんなときどうしてます?

野内 「うーん、そうだなぁ。物を持たすかな。緊張してるときって、それが手にも出るのね。物を持たせると割と簡単に緊張がとけるんだ。動きがギクシャクしてるときなんか、ボール持たせて一緒にキャッチボールしたりするよ」

Q.物を持つだけで緊張ってとけるものですか?

野内 「理屈なんてわかんないけど、経験で話をすればそうなんだね。物を持つことでまず手の緊張がとけて、すると目と口の表情が変わるんだ。僕は体で重要なのって手だと思ってるのね。だからとにかく手を動かさせるんだ。ミュージシャンだったら楽器を持たすのもいいよね」

Q.撮影現場での思わぬトラブルとかありますか?

野内 「そういえばこういうこともあったな。日本人のある女性アーティストを撮影するときなんだけど、現場に行ったらバック紙にかなりシワが入ってたのね。これじゃ撮れない、でも替えのバック紙もない。それじゃあもっとシワシワにしちゃえってことで、その女性アーティストと一緒にバック紙をグシャグシャにしちゃったんだ。彼女も楽しんでそれをやってたよ。そのグシャグシャのバック紙で撮影したんだ。破けたバック紙の隙間から彼女に目だけ覗かせた写真も撮れたね」

Q.トラブルをポジティブに捉えるってことですね

野内 「カメラをやっていく上でそういう考え方って大切なんだ。現場の環境によってイメージした通りに撮れないことってかなりあるよ。そういうときはスパッと諦めちゃうんだ。でも不可能っていうのも嫌いだから、別のアプローチは必ず考えるよ」

 
初出:2003/6/18 このページのトップへ
 

     
 
 

     
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