コンテンツのトップページへ 髭達磨・薮田織也のプチ日記
 2004年 11月 17日 水曜日 群青の下の十字架
 
年の初夏に引っ越した新しい事務所の裏手に教会が建っている。プロバンス風とでも言えばいいのだろうか、質素でいながら上品な感じのする瀟洒な煉瓦壁の教会だ。その教会の屋根に敷き詰められているのは、南欧でよく観るテラコッタ瓦だろうか。テラコッタ瓦とは、いわゆる素焼きの瓦。焼き釜の土と炎の気まぐれによって一枚も同じ色のものはできないと言われるその瓦と、壁の、これもおそらく同様の素焼きと思われる煉瓦が醸し出す色彩の調和がいい。自分の事務所があるのは横浜の北部なのだが、この教会が建っているあたりだけは、地中海の風が吹いている、そんな感じにさせる教会なのだ。 引っ越した当初から、写真の被写体としてひとかどならない興味をそそられていた教会である。

造物の魅力は立地や季節によって大きく左右される。この教会を稀有の被写体たらしめるものは、なにものにも遮られるこ となく教会に降り注ぐ日差しが、その瓦や煉瓦に織り成す陰影ではないだろうか。眺める季節や時刻が変わるたびに、建造物は千変万化の表情をめぐらすのだ。  そして、い つかこの教会を撮影しようと考えていた。しかし、なぜか心に期すものがあったのだ。被写体としてのこの教会に最も似合う光があるとすれば、それは晩秋のやや傾いた日差しと、文字通りの抜けるような群青の空ではないかと。

 
▼写真1 教会
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OLYMPUS E-1
54mm 1/250秒 F3.5
ISO100 -2EV

-1を購入してから数日が経ったある日、早めに仕事を切り上げて事務所に帰ってくると、待ち望んでいた日差しと青空がそこにあった。事務所にしているマンションの前にある小さな公園で、高台の教会を見上げる位置に立ち、偏光フィルタを被せた14-54mm(35mm換算で28mm-108mm)の標準ズームレンズを思い切りテレ側に寄せ、瓦や壁の陰影を強調するために、ややもするとハイキーになりがちなプログラムモードで2EV落としてレリーズボタンを押し込む。フォーカスが視認しやすいファインダーなのだから、AFは使わない方がいいだろう。いい被写体であればあるほど、自分の目で確かめてから撮りたいものだ。 かくして、初夏の頃より念願だった、自分としては珍しい人物以外の被写体を撮影できた。たまには建造物を撮るのもいいものである。

の教会へ、−撮影後になってしまったが− スタグラへの掲載許可をもらうために訪問した。ありがたいことに快諾をもらって今回のプチ日記となったわけだが、訪問時には残念ながらお会いできなかった教会の牧師先生も大の写真好きとのこと。日を改めて再度訪問させていただき、写真談義に花を咲かせてこようと思う。そして、今後予定している教会内で撮影した写真もまた、ここに掲載させていただこうと思っている。おっと、教会の名称についてはまた後日。
 
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