鉄道ファン=鉄(テツ)には、撮り鉄、乗り鉄、録り鉄、駅鉄、降り鉄などいろんな鉄がいらっしゃって、世の中にはそんな鉄の皆さまのために鉄道居酒屋や鉄道カフェ、鉄道模型バーなんてのがあるそうですの。
そんな中、“鉄道床屋”なるものの存在を知ったゆきぴゅー。
居酒屋やカフェは女子でも行けるけれど、床屋となればお客さんは男性のみのハズ!
そこをあえて取材する事こそ、わたくしの使命ではないですのー?!とさっそく取材交渉。
「・・・というわけで、散髪はしないんですが遊びに行ってもいいでしょうか?」
するとあっさり、
「車内見学ですね。いいですよ。では日曜日の始発8時にお待ちしています」
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東京都清瀬市にある鉄道ムードの床屋『つばめ』。オープンしてこの秋で6年目 |
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BBつばめ駅長・渡辺和博さん |
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車内入り口 |
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ガタンゴトンと動き出しそう |
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店名になっている「つばめ」のプレート。これは国鉄バスで使われていたものだとか |
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フツーにつり革がぶら下がっていたり・・・ |
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商品棚はKIOSKになってたり・・・ |
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商売道具は車内販売車に入っていたり・・・ |
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転テツ標識灯というらしい |
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マルスM型端末。なんだかすごい装置 |
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長野、篠ノ井、屋代とふるさとの駅名を発見して喜ぶ |
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ゆきぴゅーレディースシェービング体験中 |
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小4の時に買ったという電圧計。これが渡辺さんのテツ人生のはじまりだとか |
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帰りに入場記念としてつばめの硬券入場券をもらいました(日付入り)。手動の切符切りでカチン!を体験できるんですの(初回限定) |
向かった先は東京都清瀬市にある鉄道ムードの床屋『つばめ』。出迎えてくださった店主の渡辺和博さんは、国鉄?JR?の制帽&制服という出で立ちで、どこから見ても理容師さん、ではなく鉄道員さん。ちなみに鉄歴30年。
店内は想像していた通りどこもかしこも鉄道関係のモノだらけで、待ち合いの椅子からして本物の電車の椅子なんですの。
壁に飾られている“指定席”とか“館山・木更津方面”とか“門司港行き”とか“指さし称呼”とかいうプレートは序の口で、吊り棚&つり革、天井の照明から時計まで、どれもこれも渡辺さんが長年買い集めてきた鉄道グッズばかり。
一番びっくりしたのは、奥にある休憩室のドアのガラス部分が本物で、“乗務員室用ドア”と書いてあったこと。
「かえって鉄道に関係ないものを
探すほうが難しいですね」
と渡辺さん。きっと“ここは列車の中なんだ”くらいに思わなくてはいけないんですわ。
「もしかしてここではカットを始める時は、
出発進行!ならぬ、、、、」
「散髪進行です」
「テツじゃない人は乗車しますの?」
「しませんね(←きっぱり)」
「わたくしみたいに
日曜日の始発に乗る人は、、、?」
「それはいますよ。
この間は臨時が出ましたね。
終電まで埋まっちゃってるので
始発前に臨時を一本出しましょう
ってことで」
こんな感じでひょうひょうと受け答えてる渡辺さん、念のため言いますが正真正銘の理容師さんですからそこんところお忘れなくですの。
「ここにあるモノで、一番貴重なもの
ってどれですか?」
「これですかねぇ」
それは駅名が書かれたボタンがたくさん配された古ぼけた机で、右横には小さくてこれまた古いモニターがついていますの。
「これはマルスM型端末といって
国鉄時代の指定券を発券する機械です」
「へぇ〜!
じゃ、みどりの窓口に
あるものですわね」
と言ってから気づいたのですが、ちゃんと正面には“みどりの窓口”の看板。失礼しました。
「昔は日本全国のみどりの窓口に
これと同じようなものがあったんです。
今はパソコン画面のタッチ式に
なってますけどね」
椅子が置いてあったのでしばらく座ってあちこちボタンを押したりしながら遊んでいると、
「無造作にそうやってパタパタしてます
けど、これがどういうものか
わかってる人は、
“さっ、触れるんです かっ?!”
みたいな反応なんですよ」
「も、もしかしてさわっちゃ
いけなかったんですの?!」
「いえ、いいんですよ」
「(ホッ)鉄の方々にとっては
ものすごいものなんですのね、、、」
「自分で確認している限り
ココと博物館にしかありません」
ヒャー!!!
ってかそんなものを何で持ってるですのー???
「と、ところで渡辺さんは大宮の
鉄道博物館は何回も行かれてるん
じゃないですの?」
「あんまり行かないですね。
動かないのは面白くないです。
列車は走ってなんぼですから」
「じゃ“乗りテツ”ですのね!」
「そうです。動き出した瞬間が
たまらないです。
これから始まる、始まった!っていう
ワクワク感、この線路をたどっていけば
北海道に行くんだーみたいな
感覚が好きですね」
それまであまり表情を変えなかった渡辺さん、この時顔つきが変わったのを見逃しませんでしたわ。
「写真は撮らないんですの?」
「撮りますよ。
駅のちょっとしたシーンだったりです
けど。でも乗ってると撮らないですね。
撮ることに集中しちゃうと
乗っていて感じられるものが
感じられなくなっちゃう」
なんと奥深い鉄の心!
何でもかんでも“撮っておこう”とシャッターを切る自分に言い聞かせたい言葉ですわ〜。
その後もグッズ紹介は続きます。
「一番最初に買ったのは小学校4年の
時に田端機関区で買ったコレです。
月500円のお小遣いを3ヶ月貯めて
買いました」
「はぁ、、、。てかコレ、何ですの?」
「電圧計です」
・・・とまぁこんな感じで、鉄分が入っていないとさっぱり価値がわからないモノだらけの鉄道床屋つばめですが、なんだか不思議と居心地が良くて、落ち着く空間だったんですの。
そうそう、渡辺さんは鉄道好きしか来ないとおっしゃっていましたが、たぶんフツーの人でも大丈夫。お得な切符の買い方や、鉄ならではの撮影スポットを教えてもらえると思いますので、思い切って乗車してみてくださいませね。
その際は予約をお忘れなく! |