長野で隠居生活を送っているパパンの趣味は『坂東三十三箇所札所巡り』。
東京、千葉、神奈川、茨城、栃木など関東一円に点在する33ヶ所の観音様をお参りし、参拝の証として納経帳に“ご朱印”を頂くというもので、しいて言えばイマドキのスタンプラリーみたいなものでしょうか。
この札所巡り、33ヶ所をどの順番で回ろうが、そして何年かかろうがその人の自由なので、ゆきぴゅーのパパンは2006年頃から半年に一回くらいのペースで上京しては、
「今回は千葉のお寺4ヶ所を巡ろう」
という感じで、時には日帰り、時には1泊2日といったように気長に続けておりました。
その巡礼の旅が残すところ群馬県にある2寺のみとなっていたんですの。なんだかんだと今までずっと付き合ってきたゆきぴゅーとしては、どうせなら残り2寺も同行したいと思っていた矢先、その機会がGW直前の週末にやってきたのでした。
その日の待ち合わせはJR高崎駅。
「じぃちゃんと新幹線に乗るか?」と誘って急きょ参加が決まった甥っ子のカンタ(7歳・テツ)の手を引きながら高崎に降り立ったパパン。
駅でもっと電車を見ていたいよ〜!と騒ぐテツを車に乗せて、坂東三十三観音最後の巡礼の旅がスタート!
お天気も良く絶好の寺めぐり日和ですの。
ひとつ目のお寺は、高崎駅から3、40分くらいのところにある第15番・白岩山長谷寺(ちょうこくじ)。ここのご本尊は木造十一面観音立像だそうですが、秘仏のため一般には公開していなくて、その代わりに同型の前立像をお金を払えば見せてくださるということで見たのですが、暗くてよくわからず感想は特にありません。
この日ふたつ目のお寺は、第16番・五徳山水澤寺。一大観光地・伊香保温泉の近くにあるということもあって、参拝客の絶えない人気のお寺なんですの。
ちょうど桜の見頃と重なったので境内は大賑わいでした。ここが33ヶ所目、最後のお寺だと思うと感慨ひとしお。いつもは5円玉しか投げ入れないお賽銭も心なしかはずんで15円いれてしまったほどです。
こうしてパパンの足かけ5年に渡る坂東三十三観音巡礼の旅はめでたく結願したんですの。
参拝の後、名物の水沢うどんを食べながら思い出話に花が咲きました。
「茨城の雨引観音で見た桜は
綺麗でしたわね〜」
「あそこは境内に孔雀が放し飼いに
なっていたなぁ」
「坂東一番の難所っていう
茨城県の日輪寺に行った時は、
4月の終わりだっていうのに
雪が降ってきちゃって大変でしたわよね」
「そうそう、他の車とすれ違わないから
心細くなったよなぁ」
ちなみにゆきぴゅーが一番印象に残っているお寺は、千葉県の笠森寺(かさもりじ)。大岩の上に建てられた観音堂は四方懸造と呼ばれる珍しい構造で、国の重要文化財にもなっているんですの。
結果、地上15、6メートルの高台に位置する空中寺院みたいなお堂からの眺望は抜群!急な階段を上るのは大変でしたが「こんなお寺が房総の山の中にあるんだ〜!」と感動したことを覚えています。
そういえば笠森寺には当時3歳だったカンタも一緒に行きましたわね〜。
あの頃からお寺の梵鐘を撞くのが好きでしたわね〜。それが今や小学2年生になりました。
あらためて考えてみるとこの寺めぐりのおかげで、周辺観光も楽しめたし、その土地の美味しいものも食べられたし、第一こんなことでもないとパパンと旅行なんてしないから、お互いとても有意義な時間だったのかもしれません。
パパンが納経帳をめくりながらしんみりと、
「一緒に行ってくれたおかげで
効率よく巡ることができたよ、
ありがとう」
と言うので、こんなことでもちょっぴり親孝行ができたのかなとうれしくなってしまいましたの。
するとカンタが
「次はどこのお寺行くの〜?
ボクも行く〜!」
「寺めぐりは今日で終わったんですのよ」
と教えてあげようとした時、パパンが言いました。
「次は西国三十三箇所だな(※)、、、」
まだまだ親子巡礼の旅は続きそうですの。
※西国三十三ヶ所
大阪、京都、奈良など近畿2府4県と岐阜県に点在する33か所の観音霊場の総称。
秩父34箇所、坂東33箇所と合わせて日本百観音となる。 |