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99.たい焼きの魚拓展でごちそうさまですの 2010/02/03
 

■ 東京のたい焼き御三家を一日で制覇ですの〜

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東京のたい焼き屋さん御三家をご存じでしょうか。

四ツ谷の「わかば」、人形町の「柳家」、麻布十番の「浪花屋」だそうですが、実はその御三家には共通することがあるんですの。それは、一度に何匹も焼ける型で焼き上げるのではなく、一匹ずつを鋳型で焼く方法だということ。

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御三家の一軒、四ツ谷にある「わかば」
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「わかば」のたい焼き。皮がとても薄くてパリっと香ばしい(140円)
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わかばでは店内で食べるとこんなお皿に盛られます
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お次は人形町に移動して「柳家」へ。餡子が甘すぎず高級感のあるたい焼きという印象でした(ちなみに35分待ち)
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これがトークショーで用意されていた「浪花屋」のたい焼き。他の2軒に比べて小ぶりでしたが餡子が一番おいしいと思ったのはコレ(150円)
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魚拓の実演をする写真家の宮嶋康彦さん
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和紙の上から墨をポンポンポンと置いていきます
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あっという間に出来上がり〜
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実はこのたい焼き、ゆきぴゅーが差し入れに持っていった柳家のたい焼きでした

その一匹焼き、今ではとてもめずらしく、いわば絶滅危惧種であることから、それらを“天然物”と呼んで、なんとその魚拓をとっている方がいらっしゃるんですの。
写真家の宮嶋康彦さんです。

その宮嶋さんの『たい焼きの魚拓展』が現在東京で開催されていて、先週の土曜日にトークイベントがあったんですの。

で、その日は御三家のひとつである浪花屋のたい焼き一つとドリンクがつくと知って、

“だったら他のふたつも食べて御三家を制覇するですわ〜!”

と、甘いものに目がないゆきぴゅーは展覧会の前に「わかば」と「柳家」に行ってそれぞれのたい焼きを食べてから臨んだのでした。

会場となっている麻布十番の『レーベルカフェ・ショップ・ギャラリー』に着くと、かなりのたい焼き好き?が集まっていて大盛況。

壁に貼られた30点余の魚拓は、大きさや形はもちろん、尻尾の形や目の位置、うろこの模様なんかもそれぞれ違うので、たい焼きと言われなければたぶん普通の魚拓だと信じるんじゃないかと思いましたわ。

魚拓の横には流麗に墨で書かれている添え書きがあって、例えばそのたい焼きを焼いているおばちゃんの人柄やその時のエピソードなどが宮嶋さん独自の目線で表現されていてより楽しめます。

お待ちかねのトークショーは、東大の大学院教授の木下直之さんと宮嶋さんとのおしゃべりでした。木下さんは宮嶋さんが8年前に出された本『たい焼きの魚拓』の書評を当時書かれたそうで、

「最初この本を手にした時、
 なんて面白い発想をする人なんだ
 とびっくりしました。
 喜んで書評を書いたのを
 覚えています」

とおっしゃっていました。

話題は“そもそもなぜたい焼きの魚拓をとるなんてヘンテコなことを考えついたのか?”ということから。

「最初にとったのは1984年。その頃ぼくは釣りが趣味で、釣った魚を魚拓にしていたんです。ある日、食べようと思って買っておいたたい焼きが机の上にあるのを見てふとコイツの魚拓もとってみようかといたずら心に思いついたのがきっかけです。で、その魚拓を額に入れて飾っておいたら、訪ねてきた友達が「これは何の魚か?」と聞くんですよ。そこで「たい焼きだ」と言うとみんな大笑いするんですね。それだけウケるのならばと、たい焼き屋を見つけるたびにとりはじめたんです」

当時、雑誌サライの連載を月2本抱えて日本全国を飛び回り写真を撮っていらっしゃった宮嶋さんは、地方に行くたびに地元の人しか知らないような小さなたい焼き屋さんにも足を運んだんだとか。

「釣り師の立場からすると、養殖物よりは天然物を釣りたいと思うわけです。そこでたい焼きも手間をかけながら一匹ずつ焼いている天然物だけを魚拓にするようになっていきました」

“ほんの冗談から始めた”というたい焼きの魚拓採取は、その後宮嶋さんのライフワークとなり20数年が経ち現在に至るんだそうです。

実はこの魚拓展、去年4月の山口を皮切りに、鳥取、高知と回って今回ついに東京にやってきたんですの。というのも、2009年はたい焼きが日本で売られてちょうど100年目にあたる年だったんだとか!たい焼きが明治時代にあったなんてびっくりですわね。ちなみに最初に売ったお店が、御三家のひとつ麻布十番の「浪花屋」なんだそうです。

「天然物のたい焼きを見つけたら僕はいつも3つ買うんです。で、ひとつをまず食べる。そして2つ目を魚拓にします。なるべく熱いうちにね」

トークショーではその魚拓のとり方の実演があったんですの。

「まず墨をすります。こうやって店先でいきなり墨をすり始めると一体何がはじまるのかと見物客が寄ってきますね(笑)次に、こうしてたい焼きの上に和紙を乗せて手で軽く押しつけながら型をとります。熱いうちだと蒸気で和紙が湿ってとりやすくなるんです」

それから綿を布で巻いた“タンポ”という道具を使って上から墨をポンポンと押しつけていきます。

「これは拓本のとり方と同じなんですよ」と宮嶋さん。“魚拓”と聞けば、たい焼きそのものに墨を塗ってしまうのかと思いきや違うんですのね〜!と感心しているうちに、「これで完成です」と宮嶋さんがとったばかりの魚拓を高々と揚げて披露すると、会場からは「おおお〜!」という歓声があがったのでした。

「たい焼きはどうやっても駄菓子。和菓子のくくりには入れてもらえないんです。中でも天然物は地方に行けば行くほど絶滅危惧率が高いし、そして焼いている人も高齢者で後継者がいないというのが現実。シャッター通りの商店街でひっそりと焼かれているんです。」

宮嶋さんは単にたい焼きの魚拓をとるだけではなくお店の人とのコミュニケーションもとります。“いつからこの仕事を始めたのか”とか“どんな苦労があったのか”とか“一番稼げた時はどんなだったか”とか、、、。

取材を通してそのたい焼き屋さんの歴史や人生までもを写しとっていらっしゃるところが素晴らしいなぁと思いました。

「たい焼き屋の店先で墨をすって魚拓をとる行為はたしかに奇人変人に見えるかもしれませんが、“真を写す”という意味では、本業の写真家としてやっていることと違わないんじゃないかと思うんですよ」

現在、日本全国で天然物を売るたい焼き屋さんは50軒に満たないそうです。昔ながらの重い型を何度も何度もひっくり返しながら焼く職人さん達の姿が思い浮かぶようなそんな展覧会でした。

あ、そうそう。3つ買ったたい焼きの最後のひとつ、それをどうするかというと、、、

なんと!防腐剤を入れて標本にするんだそうです。

あっぱれですわ〜!!!

 

 

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宮嶋康彦展覧会 たい焼き誕生100年祭

■宮嶋康彦展覧会 たい焼き誕生100年祭
  『たい焼きの魚拓展・東京』

 2010年1月20日(水)〜2月15(月)
 東京都港区三田1-11-49
 レーベルカフェ・ショップ・ギャラリー
 都営大江戸線/南北線の麻布十番駅
 2番出口より徒歩1分

この展覧会、2月は名古屋でも開催されるそうです。お近くの方はぜひ足を運んでみて下さいませね。
★宮嶋康彦さんのホームページはこちら

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初出:2010/02/03

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