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77. 深大寺の時そばでごちそうさまですの 2009/03/04
 

■ 深大寺そばが無性に食べたくなったゆきぴゅーが
  見つけたお店とは???

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東京都調布市の深大寺といえばお隣の神代植物公園が言わずと知れた花の名所。
カメラマンさん達に人気の撮影スポットですわね。

たしか去年の今頃、梅園に行って梅の撮影をしましたわ、、、と一年前を思い出していた先週末。
ふと“深大寺といえば深大寺そばですわ〜”と、無性にお蕎麦が食べたくなり、そのうちいてもたってもいられなくなってしまったゆきぴゅーは、肌寒い日にもかかわらずお出かけすることにしたんですの。

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道を歩く人の視線が集まりますの。
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江戸時代のおそばはどこも16文で
食べられたそうです。
ニ×八=十六というわけ。

バスを降りてどのお店に入ろうかなぁ〜とキョロキョロしながら歩いていると、どこからともなくいいおダシの匂いが漂ってきます。

ぐううぅぅ、、、と、ゆきぴゅーのお腹空き度がMAXに達した時ですの、前方になにやら面白いお蕎麦屋さんが見えてきました。

その店構え、良く言えばオープンテラス、悪く言えばほったて小屋といった雰囲気なんですの。

(アレはなんですの〜!?)

お店の前に立った時、これはまるで落語の世界ですわ!と咄嗟に思ってしまったゆきぴゅー。

ノボリに書いてある名前は“大當りや”と書いて“あたりや”。

よくよく説明書きを見るとそのお店、噺家の柳家喬太郎さんが古典落語『時そば』にちなんでプロデュースしたお店だというではありませんか!

そういえば『時そば』のそば屋の屋号も的に矢が描いてある“あたりや”でしたわ。

それにしても江戸東京博物館にありそうなこの屋台、なかなかいい味だしてますわ〜。

・・・とここで、有名な演目なのでご存じの方は多いかと思いますが、簡単に『時そば』のご説明を。

“一人の男がある夜、屋台のそば屋を呼び止めて一杯のそばを注文する。この男、屋号がいいとか器がいいとか箸がいいとかダシがいいとか、なにかにつけてそのそば屋を褒め散らかし、お勘定の時に小銭だから手ェ出してくれと言って1、2、3、と数え始め途中で唐突に時刻を聞くことでまんまと代金を一文ちょろまかして帰って行く。それをはたで見て感心していた別の男が翌日、小銭を握り締めて同じことをやってみたところ、ことごとく裏目に出て、さらに時刻が違っていたために余計に支払わなくてはならなかったというオチで終わるというお話”

さて、入りたくても外を歩く人から丸見えのオープンエアー。

どうしようかな、でもちょっと恥ずかしいですわと思いながらじぃぃと見ていると、そんなゆきぴゅーを中で食べていた一人のおっちゃんが気づいたらしく

「おねーちゃん、ココ、おいしいよ!オレが言うんだから間違いねぇ。入っておいで」

と手招きするんですの。

そ、そう言われてもこちらは一応、乙女ひとり、、、少しばかり尻込みしていたゆきぴゅーに、お店のおじさんも追い打ちをかけるように出てきて「さささっ、どうぞどうぞ」と呼び込みしてくれちゃう有様。

ええぃ、こうなったら入っちゃえ!
というわけで、そのお店で食べることにしたんですの。

客席はテーブルが2つだけ。おっちゃんの隣に腰を下ろしました。厨房こそ小さな建物の中とはいえ、お客さん側はかろうじて簾で覆って雨風をしのいでいるといった、かなりのアウトドア趣向ですの。深大寺の蕎麦屋は数多くあれどこんなお店は初めてですわ。お品書きを見ると、かけそば(600円)、花巻そば(700円)、しっぽく蕎麦(800円)の3種類のみ。なんだか師匠のこだわりがわかる気がしましたの。

「そういえば『時そば』に出てくるのはしっぽくでしたわよね?」

お店のおじさんに言うと、

「そうなんですよ。なるべく『時そば』に忠実にと考えたメニューなんです」

とのこと。
もちろんゆきぴゅー、しっぽく蕎麦を注文ですの。

なんでも店主さんは昔、学生だった喬太郎さんがバイトしていた銀座のお店で一緒に働いたことがあるんだとか。そのお店というのはすぐお隣の割烹料理屋水神苑が当時出していたそうで、2年ほど前に水神苑の社長さんが「江戸時代のそば屋台を再現したい」と喬太郎師匠に頼みプロデュースしてもらったということなんだそうです。

「そう。おとなりのりっぱな料亭が出している蕎麦屋だから味はお墨付きなんだよ」
とお隣のおっちゃんもなぜか得意気。

「ところで、おねーちゃん落語好きなんかい」
「ええ、そうなんですの。毎月買っている落語のDVDで柳家喬太郎さんの『時そば』も
 聴きましたのよ。偶然、師匠を電車の中で見かけたこともありますの」
「ほぉ〜、女の子でめずらしいね。でもって今日は深大寺を散歩かい?いいねぇ」
「おじさんはココの常連さんなんですの?」
「そうだよ。今日はこいつとね」
「???」

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しっぽく蕎麦(800円)。
『時そば』では竹輪の厚さを褒める場面がありますが、こちらの竹輪は文句なしに分厚くて満足満足。
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話好きのおやじさんが切り盛りしてますの。

それまで気づかなかったのですがよく見るとおっちゃんの脇にはかわいいトイプードルがちょこんと座っていますの。お聞きすると近所にお住まいの“家庭犬しつけ訓練士”さんなんだとか。

「このあたりには20数軒の蕎麦屋が
 あるけどここは一番気軽に入れる
 からいいね。
 他はどこに行ったって同じような味さ。
 あ、それからね、大盛りが食べた
 けりゃこの道ずっと行った『多聞』って
 お店だね。あそこの大盛りはどうやった
 って食べきれないよ。
 ま、味はたいしたことないけどね」

等々、おじさんの蕎麦講釈を聞きながら待つこと5分。
出てきたしっぽく蕎麦は、細めの麺にしっかりダシの味のきいたちょっとからめの熱々のお汁、太切りの竹輪の他にも車麩やシイタケ、ほうれん草が乗った豪華版。

さっそくフーフーしながらズズズズーーーとすすると、

「あぁ美味しいですわ〜」
「だろう?おっちゃんの言った通りだろう?
 まぁ、ゆっくりしていきな」

そう言って満足そうにお勘定をしてお店を出て行ったプードルのおっちゃん。それにしても寒空の下で食べる温かいしっぽく蕎麦、本当に美味しくて体の芯からポカポカしてきましたわ。

「どうですか、お味は?」
「(ハフハフ)お、おいひぃですわ〜(ズズズズ、ズズズズ)なんか江戸時代に
 タイムスリップして時そばを食べているような気分ですわ。
 そういえばご主人、ここは冷たいお蕎麦はやらないんですの?」
「ええ、ご存じの通り『時そば』は温かい蕎麦の話でしょ。だからうちは基本的に
 メニューはこの3つ。さすがに7月と8月だけはざる蕎麦をやるんですけどね」
「なるほど〜、でも暑い時に汗をかきながらしっぽくもいいかもしれませんわね」
「そうですね。また来て下さいよ」

贔屓のお蕎麦屋さんが出来たみたいでうれしくなってしまったゆきぴゅー、お汁まできれいに飲み干してしまいました。とその時、おもしろいことを思いついたんですの。

(フフフ!『時そば』のお勘定、アレをやってみるですわ!)

そうですの。アレというのは小銭をたくさん用意して
「ひい、ふう、みぃ……なな、や、今、なんどきだい?」
「へい、ここのつです」
「とお、十一……」

とお勘定を一文ごまかす、アレですの。お財布の中を見ると運良く100円玉がじゃらじゃら。

これは願ってもないチャンスですわ〜!

果たしてお店のおじさんはちゃんとノってくれるでしょうか。

「ごちそうさまでした。お勘定お願いします」

とドキドキしながら言いました。するとお店のおじさん、

「お勘定はさっきのお客さんが済ませてますから結構ですよ」

と言うではありませんかっ!!!

「えーっ?!」

そうなんですの。ゆきぴゅー、見ず知らずのおっちゃんにお蕎麦をごちそうになってしまったのでした。家庭犬しつけ訓練士のおっちゃん、この場を借りてお礼を言わせていただきます。

ごちそうさまでした〜!

あったかいしっぽく蕎麦とおじさんの人情が身にしみた時そば体験だったのでした。

■ 大當りや(あたりや)の情報 ■

営業は土日祝のみで時間は午前11時30分〜午後9時まで。
調布駅北口よりバスで約10分。深大寺行きに乗車し、深大寺下車。

〒182-0017
東京都調布市深大寺元町5-10-3
※お隣の日本料理水神苑の駐車場を利用可。

江戸時代の屋台そば屋さんの雰囲気をぜひ味わって下さいませね。ただしゆきぴゅーみたいにお勘定の時に小銭を出してちょろまかそうと思ってもダメですの。

 

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初出:2009/03/04

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