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萩原和幸のレンズレビュー 広角ズームレンズ
 Tokina AT-X 12-28 PRO DX レビュー 第2回
2013/09/26
 
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 本サイトでお馴染みの写真家、萩原和幸のレンズレビュー、広角ズームレンズ Tokina AT-X 12-28 PRO DX レビュー第2回目は、Tokina AT-X 12-28 PRO DX をニコン純正の AF-S DX NIKKOR 10-24mm f/3.5-4.5G ED と AF-S DX Zoom-Nikkor 12-24mm f/4G IF-ED の2本のズームレンズと比較したレポートをお届けする。
▼写真00  
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■ AT-X 12-28 PRO DX と2本のニッコールレンズとの外観比較
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▼写真01 Nikon D7100 に装着した状態
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 AT-X 12-28 PRO DX( 写真01 右 )は鏡筒周りが太めになっているため、純正の2本( 写真01 左と中央 )がスリムに見える。ズーミングは AT-X 12-28 PRO DX がしっかりした手応えがあり、D7100 に装着したときのバランスも AT-X 12-28 PRO DX が一番良かった。AF スピードは、ニコン AF-S DX Zoom-Nikkor 12-24mm f/4G IF-ED がもっとも速かった。

 

■ 画角の違い( 風景 )
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 さっそく各レンズの画角の違いを見てみよう。まずはワイド端の描写から。

 
※ 注意
以降の写真をクリックすると、すべて実画像で表示されます。
10MB を越える画像があるので、表示に時間がかかる場合や、携帯端末などでは正しく表示されないことがあります。

▼写真02 AF-S DX NIKKOR 10-24mm f/3.5-4.5G ED ワイド端
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▼写真03 AF-S DX Zoom-Nikkor 12-
24mm f/4G IF-ED ワイド端
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▼写真04 Tokina AT-X 12-28 PRO DX ワイド端
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 AF-S DX NIKKOR 10-24mm f3.5-4.5G のワイド端は 10mm と、かなりの超広角となる。そのワイド感は圧倒的だ。ただし、ポートレート撮影でこの画角が必要となる場面はそれほど多くはない。かなり特別なときと言えるだろう。

 続いてテレ端を比較する。

▼写真05 AF-S DX NIKKOR 10-24mm f/3.5-4.5G ED テレ端
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▼写真06 AF-S DX Zoom-Nikkor 12-
24mm f/4G IF-ED テレ端
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▼写真07 Tokina AT-X 12-28 PRO DX テレ端
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 純正の2本のレンズ( 写真05 写真06 )は、テレ端が 24mm。Tokina AT-X 12-28 PRO DX だけが 28mm とテレ側に広く、被写体を大きく撮影するのに有利だ。

 

■ 画角の違い( 建造物 )
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 同様に建物を撮影した、画角の違いを見てみよう。

▼写真08 AF-S DX NIKKOR 10-24mm f/3.5-4.5G ED ワイド端
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▼写真09 AF-S DX Zoom-Nikkor 12-
24mm f/4G IF-ED ワイド端
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▼写真10 Tokina AT-X 12-28 PRO DX ワイド端
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 続いてテレ端

▼写真11 AF-S DX NIKKOR 10-24mm f/3.5-4.5G ED テレ端
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▼写真12 AF-S DX Zoom-Nikkor 12-
24mm f/4G IF-ED テレ端
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▼写真13 Tokina AT-X 12-28 PRO DX テレ端
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 ワイド端に関しては、AF-S DX NIKKOR 10-24mm f/3.5-4.5G ED の 10mm はさすがに広く捉えることができる。ただし、ほかの2本のレンズ( 写真12 写真13 )の 12mm( 35mm 判換算で約 18mm )は、超広角の画角として、充分にこの建物を構図に収めている。先述の通り、10mm はやはり特別なシーンでの使用に限られるだろう。

 

■ 撮影最短距離による描写の違い
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 続いて最短撮影距離の比較。ワイドレンズでググッと被写体に寄る撮影は、遠近感を誇張して迫力を作るのと同時に、広く捉えながらも背景がボケる、独特の表現ができる。そこで絞りは開放、最短撮影距離で撮影し、どこまで被写体に寄れるのかと背景のボケ味をチェックしてみることにした。※ D7100 でAFによる撮影

▼写真14 AF-S DX NIKKOR 10-24mm f/3.5-4.5G ED ワイド端
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▼写真15 AF-S DX NIKKOR 10-24mm f/3.5-4.5G ED テレ端
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 このレンズ( AF-S DX NIKKOR 10-24mm f/3.5-4.5G ED )の最短撮影距離は 0.24m( AF 時 )。かなり近接撮影に強い印象だ。絞り開放で撮影すると、特にワイド側 10mm での最短撮影距離時の画は、強烈なワイド感と同時に背景のボケによる被写体の浮かび上がり感を同時に表現できる面白みがある。

 次に、AF-S DX Zoom-Nikkor 12-24mm f/4G IF-ED のワイド端とテレ端。

▼写真16 AF-S DX Zoom-Nikkor 12-
24mm f/4G IF-ED ワイド端
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▼写真17 AF-S DX Zoom-Nikkor 12-
24mm f/4G IF-ED テレ端
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 このレンズ( AF-S DX Zoom-Nikkor 12-24mm f/4G IF-ED )の最短撮影距離は 0.3m。前回 AT-X 124 PRO DX II との比較の中でも最短撮影距離と同じだ。もちろん 0.3m でも必要十分なのだろうが、ここではやや物足りなさを感じてしまった。ファインダーをのぞきながら、もう一歩寄りたいというジレンマを抱かずにはいられなかった。

 そして Tokina AT-X 12-28 PRO DX のワイド端とテレ端。

▼写真18 Tokina AT-X 12-28 PRO DX ワイド端
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▼写真19 Tokina AT-X 12-28 PRO DX テレ端
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 Tokina AT-X 12-28 PRO DX の最短撮影距離は 0.25m。先の AF-S DX Zoom-Nikkor 12-24mm f/4G IF-ED と同様、ワイド端の焦点距離は 12mm ながら、やはり最短撮影距離が 0.05m 短い分の差は大きく、撮っていてもかなり寄れるなあという印象だ。またボケ味もその分大きくなり、被写体が背景から浮かび上がった描写になる。ボケ味も自然だ。またテレ側が 28mm なので、こちらでも被写体を大きく捉えることができる。接近戦が好みのユーザーにはありがたいスペックだ。

 

■ 総評&Tokina AT-X 12-28 PRO DX の作例
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 今回は Tokina AT-X 12-28 PRO DX をニコン純正のズームレンズ2本と比較をした。画角に関しては、特にワイド端はジャンルや追いかける被写体によって 12mm でいいのか、10mm まで必要なのかが分かれ目になるが、テレ端については 28mm まであるか、24mm 止まりかは、大きな選択の分岐点になると感じた。

 今回取り上げた3本のレンズは、いずれも APS-C サイズセンサー専用レンズ。被写体を大きく捉えることができるという APS-C サイズセンサー機の利点を考えると、焦点距離がテレ側に広い方が、より APS-C センサーの利点を活かせることになる。その点では、Tokina AT-X 12-28 PRO DX は一番使い勝手がいいレンズと言えるだろう。

 ニコンのレンズは、いずれも若干青みが先行するような寒色系の発色傾向なのに対し、Tokina AT-X 12-28 PRO DX は黄色味がかった暖色系の発色となっている。解像感は AF-S DX Zoom-Nikkor 12-24mm f/4G IF-ED が一番良く、D7100 の 2,400 万画素でローパスレスのセンサーに見合っている。発色のヌケもよく、切れ味すっきりの、優秀な描写だ。

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 描写については、AF-S DX Zoom-Nikkor 12-24mm f/4G IF-ED がもっとも安定感がある。感心するほどの解像感で、細かいところまでキチンと像を結んでいる。発色は寒色系ではあるが、色に深みがある。ズーム域のどこの焦点距離でも素晴らしい描写で、値段を裏切らないレンズと言えるだろう。ただし、このレンズは価格も一番高い( 実勢価格で 140,000 円前後とかなり高価 )。一方、Tokina AT-X 12-28 PRO DX は、実勢価格で 60,000 円前後と AF-S DX Zoom-Nikkor 12-24mm f/4G IF-ED の半額以下だ。コストパフォーマンスでは Tokina AT-X 12-28 PRO DX が圧倒的に勝っていると言っていい。また、テレ側の広さ、最短撮影距離などを総合的に判断したら、撮影そのものの楽しさを味わうには Tokina AT-X 12-28 PRO DX という選択に、間違いはないだろう。


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 もう一本の AF-S DX NIKKOR 10-24mm f/3.5-4.5G ED とは、ワイド端 10mm と 12mm の違いをどう捉えるかという、価値観の違いになる。極端な広角( 10mm )を必要としないスナップや風景での使用がメインなら、Tokina AT-X 12-28 PRO DX の方がオールラウンドに活躍するレンズと言えるだろう。それだけ 10mm の画角は特殊で、めったに使うことがない( あっても困ることはないが )。AF-S DX NIKKOR 10-24mm f/3.5-4.5G ED は全体的に浅めの発色でアッサリした印象。色の厚みという点では、1位 AF-S DXZoom-Nikkor 12-24mm f/4G IF-ED で、AF-S DX NIKKOR 10-24mm f/3.5-4.5G ED が3位という順。歪みも AF-S DX NIKKOR 10-24mm f/3.5-4.5G ED が一番強く出ている印象だった。ちなみに、AF-S DX NIKKOR 10-24mm f/3.5-4.5G ED の実勢価格は 90,000 円前後。お買い得感ということで言えば Tokina AT-X 12-28 PRO DX ということになる。純正レンズ絶対主義というユーザーでなければ、Tokina AT-X 12-28 PRO DX は選択肢の筆頭に挙げていいレンズだろう。

 
 

● 次回は……


 

 次回は、Tokina AT-X 12-28 PRO DX を SIGMA10-20mm F3.5 EX DC HSM とタムロン SP AF10-24mm F/3.5-4.5 Di II LD Aspherical [IF] の2本のズームレンズと比較する。お楽しみに!

モデル:林恵理
( シェリーズ・エンタテインメント )


■ 協力企業 ■
ケンコー・トキナー


■ 制作・著作 ■
スタジオグラフィックス
萩原 和幸
 
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