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大瀬崎ダイビングで水中撮影編
デジカメダイバー★リアルレポート 大瀬崎ダイビングで水中撮影編
第三回 マクロな海のドラマ & 水中カメラ器材 2010/08/25
 
大瀬崎ダイビング 水中デジカメ撮影リアルレポート(3) マクロな海のドラマ & 水中カメラ器材

短期連載「デジカメダイバー★リアルレポート」は、大瀬崎でガイドをしている写真家の中野誠志さんと編集部によるダイビング&撮影体験レポートです。EOS 5D Mark IIを使った水中撮影の様子を見せてもらい、撮影のポイントを聞いたり、編集部の素人スタッフが撮ったコンデジ写真を紹介するコーナーです。

  マクロだから見える海のドラマ このページのトップへ  

第一回目は大瀬崎ダイビングの体感レポートとEOS 5D Mark IIで中野さんが撮った写真を紹介しました。第二回目は撮った写真の解説と撮影のポイントを聞き、一般のデジカメダイバーに撮影のアドバイスなどももらいました。

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写真A 中性浮力で浮いて、サカナを撮影
岸に近いところでは透明度が落ちましたが中野さんは何かをパチリ。
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写真B イトヒキベラ
液晶画面にはギラギラとディスプレイしたイトヒキベラが。

今回の第三回目は、大瀬崎ダイビングの様子を更に紹介するとともにマクロの世界にも展開する海のドラマも紹介します。

青く澄んだ栄養豊富な潮を運んでくる黒潮が伊豆半島に急接近していたこともあって、この日の大瀬崎の外海ポイントは透明度がよかったのですが、岸に近い浅瀬の水中はニゴリが強くなりました。そんな中、中野さんが中性浮力を維持しながら、何かを撮り始めました。

相変わらず編集部の目がショボイためか、特段、被写体になりそうなサカナや生物は見あたりません。まぁ、ベラみたいなサカナがヒラヒラ泳いでいるようですが…

「何を撮っているんですか?」

と編集部が首をかしげていると

「ほら」

と中野さんがいま撮った写真を水中で、デジタルカメラの液晶画面に映して見せてくれました(右写真)。

「え、ええ〜っ!?
 こんなきれいなサカナがいま?
 この濁った水の中のどこに?」

このサカナの名前はイトヒキベラ。
実際に中野さんが撮ったイトヒキベラの写真はこれです。
まるでキラキラと輝いているよう…。

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  【中野さん撮影06 : EOS 5D Mark II】  ディスプレイするイトヒキベラ
[撮影データ]
シャッタースピード : 1/200秒、レンズ絞り値 : F9.0、ISO感度 : 200、レンズの焦点距離 : 90.00(mm)
トリミング



中野 このイトヒキベラはきれいでしたね。
メスの目を引こうとディスプレイして、キレイで目立っていたので撮りました。
編集部 め、目立ってましたか…(汗;)。
ベラっぽいサカナがいる程度は解りましたが、ディスプレイしていたのにはまったく気が付きませんでした(大汗;)。
この写真はまるでキラキラ光っているようですね。絞って故意に背景の明るさを暗くしたんですか?
中野 はい、そうです。撮り慣れてくると、絞りはこのくらいだとこういう写真になるっていうイメージができますから、あまり迷うことはありません。
編集部 前回のウチウラタコアシサンゴとウミウチワの写真のように、写真全体を明るく、バックを鮮やかな青く写す、という選択肢もあったのでしょうか?
中野 前回の写真と違って、この場合は被写体が泳いでいるサカナなので、写真がブレやすいことに注意が必要です。
背景を鮮やかな青い写真にするにはスローシャッターに設定する必要があり、ブレる可能性が高くなります。
また、絞りを開放にすると被写界深度が浅くなって、この写真のように頭から尾まで、全身にピントを合わせる、ということも困難になります。
編集部 なるほど、前回の2パターンの撮影方法はいつでも使えると言うわけではなく、状況に合わせて使いわけを判断するんですね。
中野 そうですね。
ただ、この写真の場合は、それよりなによりも背景が明るい青だとディスプレイしているサカナの美しさが埋もれてしまうので、背景を落とし、被写体を引き立たせ、全身にピントを合わせた方が印象的になると考えました。
大瀬崎に詳しい中野誠志氏

 

  水中撮影のアドバイス このページのトップへ  


前回のイソギンチャクやエビ、小さな小さなセロガタケボリ貝、ディスプレイしたイトヒキベラなど、編集部では存在さえも気付かなかった生物に、中野さんは気づき、目を向け、シャッターを切りました。中野さん自身の目がまさに高感度マクロの目に鍛え上げられていることに感心します。
編集部もボーっと潜っているだけではダメだなぁ、と反省…とはいってもマクロの目は急にはできません。

続く写真でも中野さんのマクロの目が冴えるのですが、それは小さなマクロの世界に生きるドラマを映した写真でした。

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  【中野さん撮影06 : EOS 5D Mark II】  カニに挟まれたベラ
[撮影データ]
シャッタースピード : 1/200秒、レンズ絞り値 : F9.0、ISO感度 : 200、レンズの焦点距離 : 90.00(mm)
トリミング


中野 これはサカナがカニに挟まれている写真です。
編集部 あ、本当だ!!
よ〜く見ると、ベラの口元にカニがくっついていますね!!
中野 これは食べられそうになったカニが、サカナの口元をハサミではさんで最後の抵抗を必死に試みている様子です。面白い瞬間だったので撮りましたが、残念ながらうまく撮れませんでした。
編集部 我々はサカナのクチにカニがくっついているのさえ気付かなかったのに、そんな瞬間を撮ったこの写真が失敗写真なんですか?
中野 失敗というわけではありませんが、サカナが逆を向いている方向から撮りたかったですね。その構図の方が解りやすかったと思いますから。
編集部 なるほど。打ち合わせどおりにサカナは泳いでくれませんから難しいですね…
中野 そうですよね。でも、何気ない風景や生物の様子にも、よく見るとドラマがたくさんあります。この写真のように命にかかわるドラマもありますので、それを見逃さないように海の中を見るのは楽しいですね。
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写真C 生物たちの生きるドラマ
石のあいだにも海の世界の生物たちの営みが…。
 


  一眼とコンデジの水中器材のちがい このページのトップへ  


スタジオグラフィックスの読者は陸フォトの方が多いので、水中ハウジングについて少し解説します。

水中ハウジングはカメラの防水ケースのことで、スクーバダイビング用としては水深40〜60m前後まで耐えられるものが必要となります。コンパクトデジタルカメラ用の水中ハウジングはメーカー純正のオプション製品も多く売られるようになっていて、2〜3万円から購入できます。しかし、一眼カメラ用(※)のものはメーカー純正で発売されてる例はまだまれで、生産台数も少ないため高価で、サードパーティ製のもので約15〜30万円程度の価格帯です。

一眼カメラ用 器材の例

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写真D EOS 5D Mark II の器材の例
当日、中野さんがマクロ撮影に使用したカメラ器材。
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写真E レンズとポートの交換手順(1)
マクロ用レンズからワイド用レンズに交換します。ハウジングのポートはレンズに合わせたものが必要です。まずはポートをはずします。

一眼カメラは本体のレンズ交換ができるのがメリットのひとつです。ただし、水中写真の場合は装着したレンズの長さによっては水中ハウジングのレンズケース部分が当たってしまい正常に装着できないこともあります。そこで、一眼の場合は、レンズの長さに合わせて水中ハウジング用のレンズ部分のカバーである「ポート」を交換することで対応します。実際には長さだけでなく、ポートによって集光のしくみや光量が変わってきますのでレンズに合ったポートを装着してセットする必要があります。

すなわち一眼の場合は、海に潜る前にマクロかワイドか標準か、単焦点かズームか、などを予め決めて、本体用のレンズをセットし、それにあったポートをセッティングする必要があります。もちろん、水中ではレンズの変更はできません。

一眼の場合、水中ハウジングの装着によって本体内蔵のストロボが使用できない場合がほとんどです。そのため、外付けのストロボも揃える必要が多くなります。ハウジングだけでなく、ポートや外部ストロボの購入費用も予算に入れておくことをお勧めします。

中野さんが今回使用した器材は、カメラ本体はキヤノンの「EOS 5D Mark II」です。水中ハウジングはアンティス製「Nexus 5DMkll」、ファインダーをのぞくために「Nexusストレートファインダー」を装着しています。ストロボは2灯でイノン製。レンズはズームではなく単焦点を使用しています。中野さんによると「5D Mark II の画質がとても気に入っていて、ワイドでは特にこの機種を使うと他の一眼レフは考えられません」とのこと、大変気に入っている様子です。また、「マクロではEOS 7Dなど、撮像素子がAPS-Cサイズのモデルも使用してみたいです。キヤノンの場合、フルサイズ用の60ミリがなく、100ミリ相当のレンズとなってしまい、シャープな写真を撮る上ではAPS-CのEOS 7Dにも興味を持っています」と、今後の展開にも期待のコメントを頂きました。

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写真F レンズとポートの交換手順(2)
ポートを外すとレンズが見えます。
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写真G レンズとポートの交換手順(3)
本体のレンズを短いレンズに交換。
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写真H レンズとポートの交換手順(4)
短いレンズを装着。それに合わせてポートを装着します。
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写真I レンズとポートの交換手順(5)
ドーム型のポートを装着してレンズ交換作業が完了。


コンパクトデジタルカメラ用 器材の例

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写真J コンデジ本体と水中ハウジング
ソニーのコンパクトデジタルカメラ「Cyber-Shot DSC-W300」と純正(シーアンドシー・サンパックとのコラボ)のマリンパック。

一方、コンパクトデジカメはどうでしょうか。コンパクトデジタルカメラは元々レンズの交換ができないので、水中ハウジングにスッポリ装着させればそれだけで基本の準備は完了です。しかし、マクロ撮影をしたいときにはマクロレンズが、サカナの群れや大物を接近して撮りたいとき等はワイドレンズが必要になります。その場合はマクロやワイドのコンバージョンレンズを追加し、水中ハウジングの上からセットします。

ハウジングの外側で脱着しますので、製品によっては水中でコンバージョンレンズ部を交換することもできます。

なお、ワイドコンバージョンレンズ(ワイコン)を装着すると、レンズ自体が内蔵ストロボにかぶってしまい、カメラ本体のストロボが使用できなくなる場合が多くなります(使用してもケラレ等が発生する)。そのため光量が必要な場合は外部ストロボも購入する必要があります。

オヤジの夏休みシリーズの2010「〜神子元島ダイビング〜 ハンマーヘッドシャーク 奇跡の大行進」では、スタジオグラフィックスの神崎がハンマーヘッドシャークの撮影をコンパクトデジタルカメラで行っていますが、その際にはワイドコンバージョンレンズを装着して撮影しました。そのときの器材一式は、デジタルカメラ本体、ソニー純正の水中ハウジング、INON製のワイドレンズ(UWL-100)と装着アダプタ(M67-MB)となります。ワイドレンズを装着した場合、内蔵ストロボは使用できなくなりますので、光量不足の場合は外部ストロボも購入して装着することになります。

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写真K

ワイドコンバージョンレンズ(1)
コンバージョンレンズと取り付けユニット(イノン製「UWL-100」と「M67-MB」
)。

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写真L

ワイドコンバージョンレンズ(2)
水中ハウジングのレンズ部分にコンバージョンレンズとユニット
を装着。

次回はワイド撮影について解説します。またスタッフがコンデジで撮った大瀬崎の写真も恥ずかしながら紹介していきたいと思います。お楽しみに。

※最近はミラーレスの機種も多いので、本文ではあえて一眼"レフ"ではなく一眼と表現しました。

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初出:2010/08/25
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