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第40回 魔法のような機能「コンテンツに応じた塗り」を使いこなす
衝撃のツールの操作方法と実用性を徹底検証 2010/10/28
 
1.Photoshop CS5で絶賛された機能
2.スポット修復ブラシツールの操作手順
3.コンテンツに応じるは実用的か? サンプルで確認
アドビシステムズ「Adobe Photoshop Elements 9」の新機能のうち、CS5より反映された注目のツールが「コンテンツに応じた塗り」です。
CS5では驚きを持って「魔法のツール」とうたわれたこの機能、Photoshop Elementsでの操作方法と、本当に実用的なのかを一緒に検証してみましょう。  
Photoshop Elements9 コンテンツに応じた塗り

Photoshop Elements 9 の「コンテンツに応じた塗り」。少年が忍者のように消える?

 
1.Photoshop CS5で絶賛された機能
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Photoshop ElementsとPhotoshop CSシリーズは兄弟分のソフトウェアです。

実際、このところPhotoshop CSシリーズで機能強化が行われた新バージョンをリリースした後、少ししてからその機能が(多少、初級向けにアレンジがされたりして)搭載されたPhotoshop Elementsの新バージョンが登場するという流れになっています。

また、アドビのコミュニティヘルプ内にも「Adobe Photoshop と Adobe Photoshop Elements はいずれも画像編集のソフトウェアで、いくつか同様の機能があります。」という表記があります。

ハイエンドの高機能の一部を初級向けソフトウェアでも利用できるところが Photoshop シリーズの良いところでしょう。

さて、それはさておき、Photoshop Elements 9には、Photoshop CS5で話題となった「コンテンツに応じた塗り」という機能が反映されています。

この機能をひと言でいうと、「写真に写っているモノを違和感なく魔法のように消してしまう機能」です。

サンプル01 「スポット修復ブラシツール」の「コンテンツに応じた塗り」
少年を忍者のように消してしまう「コンテンツに応じた塗り」。これは魔法か呪いか、それともPhotoshop か? あ、Photoshopです。

ま、ちょっと誇張して表現しましたが(笑)。

実際、CS5のデモムービーでこの機能が紹介されたときは、世界中の多くのフォト関係者やデザイナーから驚きの声が上がりました。

「本当にマジックだ」「あり得ない」「プロのレタッチの仕事がなくなる、どうしてくれるんだ」「これ以上、写真を偽造できるツールは不要」等々、賛否こそ両論でしたが、機能自体は人々にショックを与えるものだったのです。

とはいえ、コンピュータが演算で行う自動補整機能のひとつですから、必ずしもデモムービーのように美しく消える、というわけでもありません。

今回はPhotoshop Elements 9でその機能を使う方法と、上手に使っていく活用法などに触れていきたいと思います。

2.スポット修復ブラシツールの操作手順
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Photoshop Elements 9の新機能は「第39回 Adobe Photoshop Elements 9 レビュー / 新機能と特長」を参照して頂きたいと思いますが、今回紹介する魔法の削除機能は「スポット修復ブラシツール」の「コンテンツに応じた塗り」で操作します。

手順は簡単です。

修復したい画像をPhotoshop Elements 9で開いて、画面左のツールボックスから「スポット修復ブラシツール」を選択します。少年は忍者のようにドロンと消えるでしょうか。

Photoshop Elements 9 の Elements Organizer画面

画面左のツールボックスから「スポット修復ブラシツール」を選択する

画面上の方のオプションバーが「スポット修復ブラシツール」用の選択に変わりますので、「ブラシのサイズ」を選択し、「コンテンツに応じる」をクリックしてチェックボックスに印を付けます。
最初は、ブラシのサイズにどれくらいを選択すべきか解らないかもしれませんが、この例で言えば手足がちょうど収まるくらいのサイズを私は選んでいます。ぼかしブラシでなくても構いません。

Photoshop Elements 9 の Elements Organizer画面

ブラシのサイズを選択し、「コンテンツに応じる」をチェックする

消したい部分をブラシでなぞります。
「なぞる」というのはマウスでポインタをドラッグ(マウスボタンを押しっぱなしに)することです。
試しに男の子の下半身だけをなぞってみましょう。

Photoshop Elements 9 の Elements Organizer画面

消したい部分をブラシでなぞる

なぞった部分だけが消えました。
消したい部分を一気になぞらなければならない、というわけではありません。

Photoshop Elements 9 の Elements Organizer画面

なぞった部分が、コンテンツに応じて周囲の絵柄で塗りつぶされた。

こちらは男の子の身体全体を一気になぞって消した例です。
男の子の忍術は成功したようです(笑)。

Photoshop Elements 9 の Elements Organizer画面

少年全体を一気になぞって消した例。

 

Photoshop CS5のコンテンツに応じる

ところで、Photoshop CS5では、「スポット修復ブラシツール」のほかに「削除」(DELETE)機能にも「コンテンツに応じる」が装備されています。いわゆる削除とは「塗りつぶし」なのですが、CS5では塗りつぶすカラーを描画色、背景色、コンテンツに応じる、指定したカラー、指定したパターン等で塗りつぶす指定ができます。

Photoshop Elements 9 の Elements Organizer画面

Photoshop CS5の操作画面
「なげなわツール」で消したい部分を囲み、キーボードの「DELETE」(削除)キーを押したところ。表示されるダイアログの「コンテンツに応じる」を選択すると周囲に違和感なく選択範囲が削除される。

範囲指定は「なげなわツール」でなくても矩形ツール(四角形で囲む)や楕円ツールで指定することもできますが、消したい被写体の外郭を余裕もって選択する方が違和感なく消える傾向にあります。


3.コンテンツに応じるは実用的か? サンプルで確認
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なんとなく予想していた読者もいると思いますが、いま取り上げた少年の写真のサンプルはいかにも「コンテンツに応じた塗り」できれいに消すことができそうな写真を例にしました。

少年の背景は山肌で暗く、幾何学的なパターンが存在しないので、塗りつぶしで人間の目を誤魔化しやすいからです。

実際のレタッチではこのように都合の良い写真ばかりではありません。
この機能に興味があって、Photoshop Elements 9 を購入しようかどうしようか迷っている読者は、どれほどこの機能が有効か知りたいところでしょう。

本当のところをいくつかやってみます。
ユーザーの実際に近いよう、家族が撮ったスナップ写真も例にしてテストしてみましょう。

まずはこの写真。
さきほどの少年のように、ダチョウの向こうにいる人をドロンと消せるでしょうか。

サンプル02 「スポット修復ブラシツール」の「コンテンツに応じた塗り」

「スポット修復ブラシツール」の「コンテンツに応じた塗り」を選択して、男性を囲みます。

サンプル02 「スポット修復ブラシツール」の「コンテンツに応じた塗り」

ドロン!!

サンプル02 「スポット修復ブラシツール」の「コンテンツに応じた塗り」

えっ!?

えっ、え〜っ?
男性がダチョウに!?

別の意味で魔法です。白土三平先生でいうところの変わり身の術というか…
いや、これは残念ながらコンテンツに応じませんでした。

むしろ、大きな被写体を消す方が有効なのでしょうか?
この右の馬を消してみましょう。

サンプル03 「スポット修復ブラシツール」の「コンテンツに応じた塗り」

やはり無理がありました。
「スポット修復ブラシツール」なのに、こんなでかい馬はちっともスポットじゃないじゃないか、とツッコミが入りそうです。

少し反省して、次は消す被写体を小さくしましょう。スポットでネ。
空港の写真ですが、4人の人影(赤印)を消して、無人の空港にできるでしょうか。

サンプル04 「スポット修復ブラシツール」の「コンテンツに応じた塗り」

よぉく見ると違和感はありますが、さすが「スポット修復ブラシツール」…スポットには効果覿面のようです。無人の空港になりました。

実際、ヒトは背景に関しては概ねで把握します。
次のような例が解りやすいのではないでしょうか。下の写真の場合、メタボなおっさんのバディはどうも気になって(不快感?)、写真のイメージを低下させていますが、おっさんが消えてしまうとスッキリします。

サンプル05 「スポット修復ブラシツール」の「コンテンツに応じた塗り」

ヒトは気になる(特に不快な)モノが写っていると背景であっても注目してしまうものですが、そうでなければそれほど細かい点は注視しないものです。だから削除した後は多少の不自然さがあっても気がつきません。

ましてや、岩肌や海、砂、森、空のように幾何学的ではない自然の模様には違和感を感じにくいので、「スポット修復ブラシツール」の「コンテンツに応じた塗り」によるスポット削除はとても手軽で有効です。

サンプル06 「スポット修復ブラシツール」の「コンテンツに応じた塗り」

背景が岩肌のようなものだと、このくらい大きな対象(女性)でも消すことができます。

サンプル07 「スポット修復ブラシツール」の「コンテンツに応じた塗り」

また、一度できれいに消えなかったときは(この場合、少年の腕がコピーされた)、何回かブラシでなぞることで、違和感なく消える場合もあります。

サンプル07 「スポット修復ブラシツール」の「コンテンツに応じた塗り」

人工物の上でも少年の忍法は成功するでしょうか?

サンプル08 「スポット修復ブラシツール」の「コンテンツに応じた塗り」

ドロン!!

ちょっと意地悪ですが、金網の向こうのオウムは消えるでしょうか?

サンプル09 「スポット修復ブラシツール」の「コンテンツに応じた塗り」

意外とがんばりました。

Photoshop Elements 9 のパッケージ

2010年10月に発売された「Photoshop Elements 9」のパッケージ。 >> アマゾンで「Adobe Photoshop Elements 9」の価格をみる。

このように、ユーザの意図どおりとはいきませんが、「スポット修復ブラシツール」の「コンテンツに応じた塗り」をうまく使えば、役立つツールであることが解ります。

また、今回紹介した一連のサンプルを見て頂ければ、だいたいどのような理屈で背景を補間し修復しているのか、どのような場合に有効に利用できるのかが、なんとなく解ってきたのではないでしょうか。

また、ブラシのサイズやブラシの動かし方によっても違いが出るようですので、既にPhotoshop Elements 9 を持っている方は、ご自身でいろいろやってみるとコツが解るかもしれません。

 

 

 

>> 「フォトショップエレメンツ de ゴーゴー!」 目次へ

※今回のレポートはPhotoshop Elements 9 のベータ版を使用しています。
  製品版の画面や性能、仕様は変更になる場合があります。


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※Photoshop等はアドビシステムズ社の商標です。
 
初出:2010/10/27
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