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第35回 Photoshop Elements 8 レビュー (2)
空をもっと青くする 青空カラー補正術 2009/11/04
 
1.青空を撮るのって難しい?
2.「色相・彩度」でカラー補正

前回はPhotoshop Elements 8とPicasa3の画像整理機能を比較しながら、それぞれのソフトウェアの特長に触れました。
これからも両ソフトウェアを対比しながら特長については解説していきますが、今回は最もニーズの高いカラー補正のひとつ「空を青くする補正方法」について、詳しく解説しておきたいと思います。

Photoshop Elements 8 の「色相・彩度」で空を青くする方法を詳しく研究してみましょう。

 
1.青い空を撮るのって難しい?
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いつか見た青い空…

旅先で見た澄みきった青い空、子供の頃に見上げていたふるさとの空…記憶にある青い空はいつも鮮明に残っているものです。写真家の間ではこれを「記憶色」と呼んでいます。

画像A クリックで拡大

画像A 一眼レフカメラで撮った青空と富士山。ただシャッターを押しただけでは青空はシロっぽくくすんで写ってしまいました。EOS Kiss Digital、F5.6、オート

画像B クリックで拡大
画像B コンパクトデジカメ『DSC-W300』で撮った写真。コンデジだって工夫すれば、きれいな青空のシャープな写真が撮れるんです…が。ソニーDSC-W300 F5.6 ワイコン装着 オート

ところが、記憶に残っている空の青さと比べると、デジタルカメラで撮った空はいつもずいぶんとくすんでいませんか。

空は光の加減で青く見えますが、空気中の水蒸気やホコリによって起こる乱反射などの影響を受けて、写真の空は記憶した青よりずっと薄く、白く写ってしまうことがあります。これでは実際のところガッカリですよね。

レンズの性能や撮り方、露出の設定、モードによっても写真に写る空の色は変わってきます。
「一眼レフだからいつもキレイに撮れる」「コンパクトデジカメだからダメだ」というわけでもありません。

撮影技法について詳しく解説を始めると「撮り方講座」になってしまいますので、ここでは避けますが、例えば画像Bの写真は、私が愛用しているソニーのコンパクトデジカメ『DSC-W300』で広角で撮影した写真です。

空の青さがよく出ていますね。これくらい青く出ると、空を大胆に入れた景色を撮るだけで楽しくなります。もちろんカラー補正はしていません。

一眼レフカメラの場合、レンズの前面にレンズフィルター(PL)を装着することで、空がくすむのを防ぎ、記憶に近い青空を表現することができます。カメラマンやハイアマチュアの場合はいろいろなレンズフィルターを常時携帯していて、状況に応じて付け替えては作品作りを行っています。また、露出計を使って計測したり、露出を変えながら何枚か撮ることできれいな空の色を出すテクニックを使っています。光が差す向き、順光と逆光にも気を配ります。ただ、シャッターを押しているわけではないことは皆さんも周知のことですよね。

しかし、一般ユーザの場合は、露出についての知識十分ではありませんし、レンズフィルターを使っている方ばかりではありません。しかも、コンパクトデジカメの場合は、フィルターが発売されていなかったりで、折角撮った青空がこうしたガッカリ現象に繋がってしまうわけです。もちろん、被写体が富士山では、光のさす位置にあわせて動いてもらうこともできませんし(汗;)。

そこでカラー補正などの画像レタッチ・テクニックの出番です。空を青くするカラー補正の機能は、Picasa3でもPhotoshop Elements 8でも用意されています。(Picasa3では「第3回 逆光の失敗写真を明るく、青空をもっと青く補正するレタッチ術」を参照してください)

Elements 8では、空を青くカラー補正する操作方法が、いくつか用意されています。そのひとつは前回に紹介した「色相・彩度」ダイアログで調整する方法です。

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 第4回 クイック補正とスタンダード編集
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この方法は、指定したカラーに対して補正を行うテクニックです。
画像C(下)のように、「ブルー系」を指定し(A)、明度を落としながら、彩度を上げて(B)、空の青さ(C)を記憶色に近づけていきます。しかし、実際は写真全体のブルー系の色合いが補正されていますので、少女の帽子(D)やシャツのカラーである青にも影響を及ぼしてしまいます。

画像C クリックで拡大
画像C 前回解説した「色相・彩度」でカラー補正するテクニック。「ブルー系」を指定し(A)、明度を落としながら、彩度を上げて(B)、空の青さ(C)を記憶色に近づけていきます。しかし、実際は写真全体のブルー系の色合いが補正されていますので、少女の帽子(D)やシャツのカラーの青にも影響を及ぼしてしまいます。

選択範囲を指定することで、変更したくない部分(D)をカラー補正の範囲から除外することができます。
ツールパレットから「クイック選択ツール」を選択し、カラー補正を行いたい空の部分だけをなぞって範囲指定します。点線で空が指定された状態で、「色相・彩度」ダイアログで図と同様に補正すると、空の部分だけを青くすることができます。

画像D クリックで拡大
画像D クイック選択ツールを選び、補正したい空の部分をなぞって範囲を指定したところ。この後「色相・彩度」でカラー補正すると、点線で囲まれている空の部分だけが補正され、帽子やシャツには影響を与えません。

 


2.「色相・彩度」でカラー補正
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プロの仕事のレタッチ現場では範囲指定ツールの操作がとても重要であり、キーポイントです。Photoshop CSシリーズなどを使って、補正する部分を正確に指定することが作品のデキに関わってきます。ときには非常に精密で細かい作業の指定を行い、範囲を指定するだけでひと晩を費やすこともあります。しかし、一般のユーザでそれほどの精度を求める人は少ないでしょう。いかに手間を掛けずに効率的で簡単な操作で自分の思った作品に近づけられるか、が優先されます。

補正したい写真の状況によって、写真全体に効果をかけたり、範囲指定ツールを使うと良いでしょう。

例えば、画像E(下)の場合は、空だけを範囲指定するには、枝や花などを避けて細かな範囲指定が必要になります。一方、幸いにも花や枝には青い部分が少ないため、写真全体に対して「色相・彩度」でカラー補正を行っても不自然にはなりません。

画像E クリックで拡大
画像E 空だけを範囲指定するにはとても難しい写真。しかし、被写体にブルー系が少なければ、写真全体に「色相・彩度」でカラー補正をかけても影響はありません。

 

画像F (下) の場合は、枝花がまとまっているので、範囲指定するのはさほど大変な作業ではありませんが、画像Eと同じ被写体(色合)なので、同様に写真全体に対してカラー補正を行った例です。
ブルーの彩度を上げることで全体が明るく調整される傾向にあります。背景の青が鮮やかになるとともに、ピンクの花も明るく淡く補正されます。カラーは相対的に影響します。

画像F クリックで拡大
画像F あえて空だけを範囲指定せず、写真全体に対してブルー系を鮮やかに補正した例です。

なお、カラー補正は強く行うほど、グラデーションが粗くなります。
今回の例はいずれも、補正の変化が読者の皆さんに解りやすいように、少し強めにカラー補正をかけています。そのため、よく見ると色の濃淡に破綻が見られる箇所があります。実際のカラー補正作業の場合は、破綻が起きないように慎重に調整します。

そして、Photoshop Elements では、バージョン7から、カラー補正をドラスティックに行うことができる「スマートブラシツール」という機能が搭載されています。カラー補正というより色を乗せるといった方がいいかもしれません。

空を青くする、白い曇り空の濃淡を強くする、夕焼け空にする、はたまた野原を緑に、笑顔の歯を白くする、など、いろいろな補正の設定が予め用意されています。
次回はこの機能を紹介したいと思います。

お楽しみに。

※本文内のAdobe Photoshop Elements 8 は、報道関係者向けに提供されたベータ版を使用しています。
  画面デザインや機能など、製品版とは一部、異なる場合があります。


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初出:2009/11/04
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