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第30回 ピンボケの失敗写真を救う
選択ツールと「アンシャープマスク」の実践活用例 2008/05/28
 
1.量産されるピンボケ写真(汗;)
2.ピンボケの被写体を範囲選択する
3.アンシャープマスクでピンボケ画像を引き締める
4.被写体以外をボカす

動いている被写体にフォーカスを合わせるのは簡単なことではありません。ピンボケや手ぶれでせっかくの写真が台無しに…。
今回は、『Photoshop Elements 6』の範囲選択ツールと「アンシャープマスク」フィルタの使い方を解説しますから、こんなピンボケ写真を救ってみましょう。

>> 中上級者向け用テクニック
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「ピンボケ写真だ、ガックリ!!」(上)。 おっとあきらめないで…一緒に修整しましょうよ!!

 
1.量産されるピンボケ写真(汗;)
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画像A ピントは後ろや周りのサクラに合ってしまい、人物はあえなくピンボケ。失敗写真の典型です。

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画像B 上画像は元の写真、下画像は人物を範囲選択ツールで選択し、アンシャープマスクで引き締めてピントを回復、仕上げに背景をすこしぽかした写真です。
 
失敗写真の多くはピンボケや手ぶれによるものです。スポーツやペット、鉄道やカーレースなどのように、素早く動く被写体を撮影したり、展示会場や体育館など暗い室内で撮影した写真はピンボケや手ぶれが起こりやすいですよね。

例えば、右の画像Aのように「スライダーをすべり降りてくる子供の笑顔をバッチリ撮りたい!!」と待ちかまえていると、すべり降りてくる子供のスピードにカメラのフォーカスは追いつかず、あわれピンボケ写真のできあがり。

撮った本人は「バッチリだぞ」とニンマリ顔で帰宅して、早速プリントしようとパソコンで画像を開いて唖然、愕然…

「どひゃあっ、ピンボケだぁ!! せっかくの写真がぁ…、せっかくの笑顔がぁ…」

後の祭り…
いえいえ、あきらめないで。
私たちは既にデジタル世界の住人なんですから。

実際のところ、どんなピンボケ写真でも修整できるというわけではありませんし、最終的にその写真をどのように(どのようなサイズや解像度で)活用するかによっても救済できる範囲は異なってきますが、おそらく想像以上に救済できる範囲は幅広いのではないかなぁ、と思っています。

例えば、この写真の場合も、救済前(元画像)はピンボケが顕著で、豊かな表情を表現するには情報が欠損しすぎている気もしますが、輪郭を浮き出させて、かつ肌のなめらかさを維持するように設定すれば、意外といい写真に修整できるものです(画像)。使う機能は、輪郭を強調する「アンシャープマスク」です。

また、ピンボケは相対的な影響を受けるのです。すなわち、背景にピントが合っていたりすると被写体のボケが目立ちます。その場合は、ピントが合っている部分を逆にボカす、"背景を大きくボカす"ことにより、ピントが合っているように見せかける効果が期待できるというわけです。この2つのテクニックを利用してピンボケ写真をよみがえらせてみましょう。

この写真で行った操作の手順は

  1. ピンボケの被写体を範囲選択する
  2. 選択した被写体をアンシャープマスクで引き詰める
  3. 背景(ピントが合っている部分)をボカす

です。


2.ピンボケの被写体を範囲選択する
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画像C Photoshop Elements6.0のスタンダード編集モードで、レタッチ修整したい写真を開きます。

画像D Photoshop Elements6.0には、4つの範囲選択ツールがあります。ツールボックスから選択できます。
画像E
1.「クイック選択ツール」を選択します。 2.「+」(選択範囲に追加)が便利です。 3.選択範囲の精度(自動判別の細かさ)を調整できます。
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画像F 被写体をなぞると、輪郭が範囲選択されます。余分に選択されたところは後で「Alt」キーを押しながらなぞって削除します。
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画像G 被写体がひととおり選択できました(初心者向けの解説なので精度の細かい操作はしていません)。
画像H 「境界をぼかす」を選択します。
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画像I ぼかす半径を数値で指定します。

 
まず、被写体を範囲指定します。範囲指定のテクニックはあらゆるレタッチの基本と言えるもので、プロの仕事になるほど、範囲選択に膨大な時間を費やします。

しかし、ここは超初級向け講座なので、妥協は承知で難しい手順ではなく、最も簡単でそれなりに効果が得られる方法でいきましょう。

Photoshop Elements 6.0では、選択範囲で有効な5つのツールが用意されています。「なげなわツール」「マグネット選択ツール」「多角形選択ツール」「自動選択ツール」「クイック選択ツール」です。そのツールを場面場面で使い分けるのですが、今回は「クイック選択ツール」で操作してみましょう。

 

【選択範囲ツール】

なげなわツール
マウスで任意に範囲をなぞって指定する。
人の意志と判断で範囲指定したいときに使う。細かいマウス操作が必要なので、きれいに作業するには上級者のスキルが必要。

マグネット選択ツール
被写体の縁をなぞると自動指定される範囲指定の方法。なぞった部分のカラーや模様をPhotoshop Elementsが解析して自動で輪郭を抽出して範囲選択してくれる。粗いマウス操作でも範囲指定が楽に行える初中級者向け。

多角形選択ツール
マウスでクリックした点と点を直線で結ぶ範囲選択ツール。四角や六角、建物や家電製品など、直線のフォルムの被写体を選択するのに適する。

自動選択ツール
クリックした部分の近似色をPhotoshop Elementsが解析して、自動で輪郭を判断して指定してくれる。ベタやベタに近い色で塗られた輪郭を範囲選択したいときに便利。点で指定するので初心者にも便利。

クイック選択ツール
マグネット選択と同様に、カラーや模様をPhotoshop Elementsが解析して自動で輪郭を抽出して範囲選択する機能で、マウスでドラッグした部分を自動的に高度に解析して範囲を抽出する。マグネット選択ツールと自動選択ツールの中間のような指定の操作が可能なので、初心者にも使いやすく、高度な範囲指定ができる。


ツールボックスから「クイック選択ツール」をクリックして選択します。画面上部のオプションバーの「+」(選択範囲に追加)が選ばれていることも確認しておきましょう。

「クイック選択ツール」を選択したら、被写体の輪郭付近をマウスボタンを押したままなぞっていくと、なぞった部分のカラーや模様を解析して輪郭を判断し、範囲選択されることが解ります。

そのまま被写体の色合いや模様が変わったところを横断するようになぞります。一気になぞってもOKですし、少しずつクリックしながら指定してもOKです。。

いま行った範囲選択をやり直したいときはメニューバーの「編集」→「クイック選択の取り消し」を選びます。

余計な部分が選択されてしまった場合は、キーボードの「Alt」キーを押しながら、取り消したい範囲選択の部分をなぞります。

ひととおり被写体が範囲選択できたら完了です。

次に選択範囲の境界をボカします。境界をボカすのは、被写体の輪郭をはっきりしたり、背景をボカしたり、といった操作を行った際、効果が現れる部分に違和感を残さないためです。

メニューバーから「選択範囲」→「境界をぼかす」を選択し、「境界をぼかす」ダイアログでぼかしたいピクセル値(画素値)を入力します。

どのくらいの数値を入力するかは画像のサイズや解像度によって異なりますが、デジタルカメラで撮影した原寸で操作を行っている場合は、最初は大きめの数値10〜20程度を指定してみてください。

 

3.アンシャープマスクでピンボケ画像を引き締める
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画像J  「アンシャープマスク」を選択します。

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画像K アンシャープマスクを設定します。

Clickで拡大

画像L 元の画像(上)と「アンシャープマスク」を実行した画像(下)です。ピンボケは解消されました。

 

「アンシャープマスク」とは、画像の個々のピクセル(画素)の周囲にある、異なる色情報を持ったピクセルを検索して、指定した量だけピクセルのコントラストを高めるフィルタです。ひとことで言うと輪郭を引き締める効果がありますが、やりすぎると輪郭がブッとくなったり、不自然なマンガのような線を作り出してしまったり、ノイズのようなザラザラ感が出てしまいます。

メニューバーから「画質調整」→「アンシャープマスク」を選択します。
「アンシャープマスク」ダイアログでは、しきい値、量、半径の3つの要素を調整して画像の図柄や輪郭のシャープ感を出します。指定した「しきい値」を基準に、指定した「量」と隣接する「半径」内のコントラストを強める(明暗を強調する)のが原理ですが、理屈で理解するのは難しいので、プレビュー画面をみにがら調整すると良いでしょう。プレピュー画面に表示される範囲をマウスで動かして調整したり、サイズ(拡大/縮小)を「+」「-」で変更することができますので、確認しやすい位置とサイズを選びます。

【アンシャープマスクの設定】

プレビュー画像 
指定した効果をすぐに確認できる(「プレビュー」はチェックしておく)。マウスをドラッグして見たい部分を変更できる。

「+」「-」 

表示する画像サイズの%を変更する。


値が大きいほど輪郭線が強調される。高解像度プリントには 150 〜 200 %の値が適している。

半径

数値を低くすると境界に近い部分だけがシャープに、高くすると広範囲がシャープになる。高解像度プリントには 1 〜 2 の値が適している。

しきい値

周囲との境界を判断するピクセルの違いを指定。 「0」は画像すべてに適用。肌の色などにノイズが入るのを避けるには、2 〜 20 の範囲で設定する。

「しきい値」等の数値を変更したりスライダーを動かすと効果がプレビュー画像に反映されますので、確認しながら3要素のイメージをつかみましょう。人物写真で注意したいのは"アンシャープマスクを強くするとノイズが目立つ"ことです。肌にザラザラ感が出ないように「しきい値」を調整し、シャープ効果とノイズの目立ち具合を試しながら、妥協できる設定を決定しましょう。

4.被写体以外をボカす
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画像M 「選択範囲を反転」を選択し、選択範囲を被写体"以外"に変更します。

画像N 「ぼかし(ガウス)」を選択します。
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画像O ぼかす度合いを数値で指定します。プレビュー画面をマウスでクリックすることで実行の前後の画像をプレビュー確認できます。「OK」で決定です。

最後の仕上げは範囲指定した被写体、以外の画像部分をぼかす作業です。これは画像によっては必要ない場合も多いでしょうから、必要な場合のみ行ってください。

メニューバーから「選択範囲」→「選択範囲を反転」をクリックします。

変化はわかりにくいですが、それまで被写体が選択されていたのが反転して、被写体以外が選択された状態に変わります。

メニューバーから「フィルタ」→「ぼかし」→「ぼかし(ガウス)」を選択します。ぼかしダイアログが表示されますので、ぼかす度合いを数値で指定します。

私は、概ね「0.5」〜「2.0」を使います。

これで今回操作した手順は完了です。

細かな数値はケースバイケース、個々の写真によって異なりますが、失敗のピンボケ写真でも、結構いい写真に復活できたと思います。

ホームページやブログなど、ウェプで使用する場合は写真のサイズも小さく、解像度も粗いので、かなりのピンボケでも意外と修整が効いて救済できます。

後の祭りと思っていたなら、ダメでもともと・・ぜひ試してみてくださいね。

では、次回もお楽しみに。

 

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※Photoshop等はアドビシステムズ社の商標です。
 
初出:2008/05/28
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