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オヤジの夏休み 奇跡の海
第5回 オヤジの夏休み2010 〜神子元島ダイビング番外編〜
     神子元島ダイビング★リアルレポート
 
ハンマーヘッドシャークの写真

前々回前回は、コンパクトデジカメで撮った、神子元島のハンマーヘッドシャークの撮影秘話。楽しんでいただけましたか?

あれだけの大行進が連日見られたのは希で 「奇跡の三週間」として語り継がれそうです。大行進は異例のイベントとして、今回は神子元島のダイビングではどのようにサメが登場したり、撮影が行われるのかを、デジカメダイバー☆リアルダイバー風にお届け致します。
通常の神子元島でのサメの撮影がどれだけ困難なことか、想像でも実感して頂ければ幸いです。失敗写真もあえて公開しています。 (2010/07/28)

 
■ オマケ 神子元島ダイビング★リアルレポート
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2010年は7月10日頃より、神子元島でハンマーヘッドシャークが大ヒット。
連日、大行進する光景が見られ、ダイバー達で大賑わいです。

それより少し前の7月3日の神子元島ダイビング★リアルレポートを、今回オマケとしてお送りします。潜れば群れに当たるというのはあまりにもまれなこと…通常の神子元島ダイビングのイメージを誌上で体験してもらえたらうれしいです。

1本目、9時30分過ぎ頃に出航して約20分で神子元島に到着。
その日の天候は曇り、ときどき雨。
天候が悪いと、海は少し怖い雰囲気を感じるかもしれません。

神子元島と曇り空を水面から見た写真

海の中はきれいです。ただ、太陽の光が弱いので、写真は光量不足に悩まされるパターンです。シャッタースピードが遅くてブレたり、暗い写真になる可能性が高くなりますので、きれいな写真を撮るならやっぱり絶対、晴天に潜りたいものです。

カメ根の海中の写真

カメ根に潜行。チームは根に沿って数分間、進みました。
サメいないなぁ、と思い始めた頃、 突然、チームの頭上を鮫が通過。
独特のシルエットからハンマーヘッドシャークだと解ります。

神子元島ハンマーヘッドシャークの写真

今日はカメラがご機嫌ななめ、いきなりのピンボケ。更にブレ。コンパクトデジカメの場合はフォーカスをマニュアルで合わせることができないので、ピントばかりは完全にカメラ任せ。被写体を認識してくれなければピントは合いません。

ピントが来ないなぁ、とクビをかしげていたら左舷上方にもうひとつハンマーヘッドが横切りました(上右)。

神子元島ハンマーヘッドシャークの写真

と思ったら、それが群れを引き連れていました。 7尾の小群れ。

神子元島ハンマーヘッドシャークの写真

小さな群れですが、キラキラ輝くボディを揺さぶって進む姿は崇高さを感じます。

神子元島ハンマーヘッドシャークの写真

ちょっと距離が遠い。でもシルエット写真にはしたくなかったので、太陽光をなるべく避けて撮影。

ここから根を離れて沖に出してサメを探しますが、その直前にまた単体を発見。
大好きな角度で現れたのにびっくりするくらいのピンボケ。
なんでこんなにピンが来ない!?

神子元島ハンマーヘッドシャークの写真

何が気に入らないのか本当にカメラが絶不調。
(ワイコンを外していたのにワイコン設定になっていたことに帰ってきてから気付く)

ダッシュして鮫に近付き、撮影しますがすぐに振り切られました。
相手はさすが魚…。

神子元島ハンマーヘッドシャークの写真

同じ船の他チームと海中で遭遇。バイバーイ・・

ダイバーの写真

なんてやっていたら・・
チームの横をメジロザメが通過。 ハンマーヘッドシャークを見た後のメジロザメは身体が小さく感じます。
とりあえずシャッターを押す。

神子元島メジロザメの写真

1本目からハンマーヘッドが見られて良かったね、と思いながら浮上を開始し、安全停止に入りました。安全停止とは水深3〜6m弱の水深を維持して約5分間、流れに身を任せることで、減圧症という身体へのダメージを回避するために行います。

ただ中層で浮いているだけの時間なのですが、この間も神子元では気が抜けません。
実際、チームのすぐ横にハンマーヘッドが単体で登場。
カメラを構えて寄っていったらゆっくりと逃げました。これもまたブレ。
どうやらこのカメラの水中モードは、回遊魚の撮影には向いていないようです。

神子元島ハンマーヘッドシャークの写真

安全停止中のハンマーヘッドを久しぶりに見たな、と思っていたらまたハンマーヘッドが登場。
こんどのはちょっと太め。

神子元島ハンマーヘッドシャークの写真

何度も観られるのは楽しいな、と思っていると、またまたハンマーヘッドが下から登場。

神子元島ハンマーヘッドシャークの写真

少し濁りがあるけれど、水色が青いので気持ちいい。
小群れ見て、安全停止中に3度もハンマー見て満足して浮上。
ガイドさん、チームみんなバンザイ。

ダイバーの写真

2本目もカメ根。
潜行して15分、根周りでワラサ(中型のブリ)の小群れの向こうにハンマー2尾発見。
アッという間に泳ぎ去り、写真は全然だめでした。証拠写真程度。

神子元島ハンマーヘッドシャークの写真

この後、沖だししてハンマーヘッド2尾(その向こうに群れがいたらしい)、 メジロザメ2尾と遭遇、こちらの位置からはともに1尾ずつのみ確認できました。

2本目終了。

船に戻ると、なんと他チームがマンタと泳いだと騒然。

昼食休憩。
予備のバッテリーを忘れたのでダイビングサービスのコンセントを借りてバッテリー充電。
そして、更に凄かった3本目に出発、カメ根。

カメ根に潜行後、シャークシティ方面に向かう途中、ハナダイ乱舞・・
きれいだなぁ。

ハナダイの写真

…な〜んて見ていたらガイドがタンクを連打する音!!

「うがっ」

タカベ(小魚の種)の向こうにハンマーヘッドの群れ・・だ。 いくつものボディがキラリと光る。
ここからショウのはじまりでした。

神子元島ハンマーヘッドシャークの写真

手前のタカベ(小魚)にピントが合ってしまい、その向こうのハンマーヘッドにピントが合わない。
何度も言いますが、デジカメはピントが手動にできない、これが辛い。
しかもちょっと遠い…ダメか、と焦る…
でも、よく見ると根がまだ先にある・・もっと寄れるんじゃない?

しかも、ハンマーが強い流れに逆らって泳いでいるので、ほとんど進んでいません。
チャンス。

根から飛んでフィンを蹴る蹴る、蹴って激流を超えると・・・
ぬぬっ、こんなに寄れました。

神子元島ハンマーヘッドシャークの写真

ちょっとゴメン、タカベ、邪魔っ!! ピントが来ないーっ!!

神子元島ハンマーヘッドシャークの写真

根に捕まってしばらくハンマー鑑賞。
目視でははっきり見えるけれど、写真に撮るにはやっぱり暗すぎる。
群れの数は約30尾、規模としては普通・・この時点では。

神子元島ハンマーヘッドシャークの写真

ゆっくりと、徐々に、群れは離れていきます。
あぁ、至福の時が去っていく・・と 思ったら…後ろから別の群れが合流…

「ど・・どんだけいらっしゃるんですか」(心の叫び)

横位置からあおり位置に、やや見上げる位置に来ました。

神子元島ハンマーヘッドシャークの写真

見上げる位置に後ろの群れが合流したので私は根からジャンプ!!
シャッターを押しながら激流の中、水深をゆっくり上げる…フィンを蹴って連写、連写。

神子元島ハンマーヘッドシャークの写真

「タカベーっ!! 邪魔ーっ!! 空気読めーっ!!」(心の叫び)

神子元島ハンマーヘッドシャークの写真

空気と縁がないタカベに、空気が読めるわけがありません。

こうなったらタカベよりも前に出て、カブリつき席まで移動するしかない。

ぬぬ、ガンバレば、もうひとつ先の根に移れる…
そこならまだしばらくハンマーの群れを見られる!!

しかも、相変わらずハンマーは強い流れに逆らって、ほとんど進んでいません。
またまたチャンス。

タカベを抜き去れ!! (なんの掛け声?)

チームももちろん、ひとつ先の根に全力で移動。
さすが常連チーム!!
またまたシャッターを押しながらダッシュして根を目指します。
ひとつ先の根に着底。 ぬぬぬ、近い。

神子元島ハンマーヘッドシャークの写真

しかもタカベを抜いて前に出た、勝利!!
もう誰のタカベにも邪魔させないぜ。

神子元島ハンマーヘッドシャークの写真

海が暗いため、シャッタースピードが上がらずこのままではブレは必至。
しかし、激流ではカメラの設定変更まではちょっと無理。
シャッターを押し続けるしかありません。

神子元島ハンマーヘッドシャークの写真

ゆっくりゆっくりと進んでいるのでシャッターを押す時間だけはたっぷりと、あります。

神子元島ハンマーヘッドシャークの写真

金槌型の頭部にはロレンチーニ器官と呼ばれる電気関知装置が装備されています。
いわばソナーを左右に振りながらクネクネと泳いでいるのです。

神子元島ハンマーヘッドシャークの写真

そんな様子をたっぷりと堪能。
徐々に遠ざかっていくハンマーの皆さん。

神子元島ハンマーヘッドシャークの写真

根伝いに移動した人に比べて、フィン移動で群れに近づいたので、タンクの空気を激しく消費していました。ただ、チームみんなも同様にエアを消費しているようで、バディの方はもっと減っていたこともあってチームみんなですぐに深度を上げる体制。 深度を上げれば、タンク内の空気の残圧も上がりますので安心。

そこへワラサの群れが勢いよく登場。ガイドがみんなに知らせます。
でもハンマーヘッドの群れの後だとワラサの群れにも感心やや薄。

な〜んて考えていたら、ワラサの向こうにまたハンマーヘッドの群れを発見。

ガイドが慌ててベルをならしますが、さすがにもう追うだけのエアの余裕がタンクにありません。 深度を上げながらのハンマー鑑賞。 去っていく小群れ。

安全停止を経て、水面に浮上したダイバーたち歓喜の声。
エキジットすると船上ではダイバーとガイドが握手して大喜び。
ダイビング後半のほとんどをハンマーの群れと一緒にいられた、スペクタクルな1本でした。

感動的なダイビングでしたが、この次の週からハンマーヘッドシャークの大群による大行進が始まったのです…

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                                               (初出 2010/07/28)

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