コンテンツのトップページへ コンパクトデジタルカメラで撮る水中写真
オヤジの夏休み 奇跡の海
第4回 オヤジの夏休み2010 〜神子元島ダイビング〜
     ハンマーヘッドシャーク 奇跡の大行進 (2)
 
ハンマーヘッドシャークの写真

前回は、コンパクトデジカメで撮った、神子元島のハンマーヘッドシャークの写真を紹介しましたが、今回はその続きとして、苦労話とカメラ設定の話…いわゆる撮影秘話編をお届けしたいと思います。
カメラの基礎知識が解っている人はなお一層楽しめる構成です。

ショボイ失敗写真を繰り返した挙げ句、苦肉の策で撮ったオヤジの奮戦ぶり、ご覧ください。 (2010/07/28)

 

■ハンマーヘッドの撮影は難しい

ひとつ前のページに戻るこのページのトップへ
 

神子元島は伊豆急下田近くの弓ヶ浜や小稲湾から船で約20分の外洋に浮かぶ無人島。

南伊豆のすぐ先にハンマーヘッドシャークやメジロザメ、マンタ、カンパチ、ヒラマサ、ワラサ等、大物回遊魚たちがやって来るポイントがあります。

神子元島ハンマーヘッドシャークの写真
神子元島のカメ根を回遊するハンマーヘッドシャークの群れ。ブレのない、ピタリと止まった写真なら、筋肉の躍動も伝わってきそうです。
神子元島ハンマーヘッドシャークの写真
頭上を泳ぐハンマーヘッドシャーク。まずは可能な範囲で近付いて撮影(ガイドの指示には従うこと)。手ぶれに注意、ブレるとシルエットもキレイに写りません。

ハンマーヘッドシャークのシーズンは夏本番、これからがダイビングシーズン真っ盛りへと突入です。

そして、今年の神子元はまさに大当たりの年。ハンマーヘッドシャークの大群がこれほど、連日目撃され続けていることかつてなかったのではないでしょうか。

ハンマーヘッドシャークの大群に遭遇する機会が多いということは写真を撮るチャンスも多いということ、写真好きにも最高の年になっています。

実際、一般のダイバーが撮影したカッコ良いハンマーヘッドの写真や動画がSNSやWEBアルバム、YouTUBEにたっくさん投稿され、連日賑わっています。

ところが、このハンマーヘッドシャーク、普段では、きれいに撮るのはなかなか難しいのです。

なにせ、ハンマーヘッドとの遭遇はほんの数秒…なんてこともしぱしば。カメラを構えてシャッターを押すのが精一杯の短時間です。その短時間でカメラの設定を工夫したりするのはとても至難のわざ…

更に、カメラを構えたときの姿勢は海水の中を泳いでいたり、急流に喘いでいたり、とブレる要素が満点。だからたぶん、プロカメラマンが撮影に臨むときも、事前にカメラ設定は綿密に行っておき、サメと遭遇した瞬間に勘と運を含めて、瞬時の判断で設定を切り替えたりして撮っていることでしょう。たくさんの要素がバッチリ合わないとカッコ良い写真はなかなか撮れないのではないでしょうか。

このような状況下なので、一般のダイバーがコンパクトデジカメで挑む場合は、まずはシャッターを押すだけが精一杯。そもそもコンデジではカメラ設定で工夫できることはそうは多くありませんので、どうしてうまく撮れないんだろう、と悩むモノの打開策がなかなかないのが実状です。

とはいえ、一眼レフだろうが、ミラーレス一眼だろうが、コンパクトデジカメだろうが、写真の理屈は同じ。どうにかカッコ良い写真は撮れないものでしょうか!?

現在のコンパクトデジカメは自動露出の技術がかなり進んでいますので、よっぽどのことがない限り、真っ白、とか真っ黒の失敗写真にはならず、それなりには撮れます。すなわち、それなりを良しとすれば、それで十分なのですが、やっぱり改心の作を撮って、プリントして写真立てに入れて机に飾りたいですよね。そう思ったら、もう一歩考えなければいけません。

ハンマーヘッドがガンガン回って来る今なら、コンパクトデジカメであれこれと工夫して撮れるかもしれないぞ、というわけで…

高速なシャッタースピードで撮りたい(失敗写真からの反省)

失敗写真「ぶれ」
失敗写真の例。露出を自動でやってくれるコンパクトデジカメでは、それなりに撮れるものの、失敗写真の多くがピンボケか手ぶれ。
失敗写真「ぶれ」
ブレをなくす方法を考えたいところ。この写真もブレがなければもっと鮮明でカッコ良い写真に…
失敗写真「ぶれ」
これも手ぶれの失敗写真。ブレの多くは、遅いシャッタースピードで撮影したことで起こっていました。
失敗写真「ぶれ」
これも失敗写真。シャッタースピードが1/80では動いている生物やサカナを鮮明に撮るのは困難です。実際、このときの海中は暗めなのですが、カメラは性能上もっとシャッタースピードを上げられるにもかかわらず、水中モードではなぜか遅めのシャッタースピードを選択してブレてしまい、更に暗く、濁った印象の写真になってしまいました。

水中写真テクニック講座で中野さんが解説しているとおり、水中写真の鉄則は被写体に近付くことです。とはいえ、相手はサメ、しかも流れもあるので、安全面を考えればガイドさんを無視して勝手に泳ぎ回って撮るというわけにはいきません。できる範囲で近寄ることがまず大切です。

それは置いておいて、私の場合、失敗写真を見ると多くの場合、多かれ少なかれブレています。遠くに拡がる群れを撮った場合も、近くの単体を撮ってもブレています。ブレる要素は2つです。ひとつはカメラを持った手がブレること、もうひとつは被写体が動いていることでブレることです。

今では、多くのカメラには手ぶれ補正機能が付いていて、陸上ではかなり役に立っているはずです。しかし、この機能は人間が陸上でカメラを構えたときにガクガク揺れる独特の周波数を関知してそのブレを補正する機能です。水中でカメラを持つ手のブレとは根本的に異なるため、水中で回遊魚を捕らえるときには、あまり役に立たないと考えるべきでしょう。

手ぶれを抑えるには速いシャッタースピードが必要です。実際、手ぶれ補整機能では被写体のブレは抑えられませんが、高速なシャッタースピードで撮れば、動いている被写体もピタリと止まり、細部までハッキリと描写した写真が撮れる「はず」です。

一眼カメラではシャッタースピードをユーザが自由に設定できるのが当たり前ですが、コンデジはカメラの理屈に詳しくないユーザを対象としている場合が多いため、いろいろなオートモード(シーン選択モード)が搭載されていても、マニュアル操作でシャッタースビードが選べない機種が多いのが現実です。

コンデジの場合、シーン選択モードのうち、シャッタースピードが速めに設定されるモードを選んで試してみる方法があります。シーン選択モードで、比較的速いシャッタースピードがセットされるのは「スポーツモード」です。動く選手をぴたり止めるために、カメラはシャッタースピードを速く設定して撮ろうとするからです。ただし、スポーツモードはメーカーによって動作が異なるので、海中の回遊魚の撮影にも向いているかは機種によって異なるでしょう。スポーツモードではある程度の暗さになると、自動でフラッシュ(ストロボ)を発光する機種もあります。また、暗めの写真になったり、そのモードではシャッターが降りない(失敗写真防止機能)、という事態になるかもしれない、というリスクはありますので、ここではアイディアとして提案するだけにとどめたいと思います。

水中写真に熱心なオリンパスの場合、コンパクトデジカメの一部に水中モードの設定を複数設けている機種もあります。イルカなど、速い動きのサカナや動物を撮影するのに最適な、つまり速めのシャッタースピードで撮れる水中ワイドモード2が用意されているようです。その場合、それに設定することで速いシャッタースピードでイルカはもちろんサメもバッチリ止まった、ブレのない写真が撮れるかもしれません(光量が十分に確保できない場合、暗い写真になってしまうのではないのかなぁ、ISO感度も自動で上げてくれるのかなぁ…著者は使っていないので確実なところはわかりません、すみません)。

 

最適なオートモード(シーン選択モード)がない!

さて、私のコンデジの場合ですがスポーツモードがありません。なんと、シーン選択にスポーツモードがないのです。そのかわり、「高感度撮影モード」があります。ISO感度を上げることでシャッタースピードの速い写真を撮るというモードです。ISO感度については後述しますが画質を犠牲にしてシャッタースピードを優先するモードです。このモードを使って必要以上に画質を落とすのは本意ではありませんし、ISO感度を上げすぎるとかえって解像感が損なわれます。しかも私の機種では高感度撮影モードでは連写ができません(なんで?)。

それで納得がいかなければ…ということで「マニュアルモード」が付いています。

ぬぬぬ…挑戦的な…
いいでしょう。

そりゃあ、いつも一眼レフで操作している露出の設定ですから、マニュアルモードがあれば、コンデジでだって一眼のようにマニュアル撮影できるハズです。ちっちゃいボタンをパスパスやって調整しますよ…と。

手動でシャッタースピードをできるだけ速く設定しておき、後はハンマーヘッドが登場したとき、状況に合わせて絞りとISO感度で適正露出に合わせて撮る、マニュアル操作でのハンマーヘッドの撮影に取り組んだわけです。

結果は・・
素晴らしい写真とは言えないかも知れませんが、ちっさいCCDの割りには頑張った写真が撮れたのではないでしょうか。

神子元島 ハンマーヘッドシャーク 奇跡の大行進

 

マニュアルモードでシャッタースピードを1/250に設定したら、輪郭クッキリでピタッと止まった写真が撮れました。
Camera Data:
SONY コンパクトデジタルカメラ Cyber-shot DSC-W300、
純正水中ハウジング「マリンパック」、INON ワイドコンバージョンUWL-100
F2.8 1/250秒 ISO100 ストロボなし
補正:Adobe Photoshop CS4
撮影地:伊豆 神子元島 カメ根 2010.07.14撮影


シャッタースピードと絞り、ISO感度の関係

さて、ここでカメラの基礎知識をおさらいしましょう。

写真は十分な光を得られないとき暗くなり、ひどいと真っ黒になってしまいます。光の量が多すぎれば真っ白になります。この光の量を「露光量」と呼び、シャッタースピードと絞りによって適切かどうかが決まります。露光量が適切な状態を適正露出と呼び、きれいな写真が撮れるはずです。

露光量はシャッタースピードと絞り値によって決まります。シャッタースピードを上げれば上げるほど十分な光量が必要になりますが、その分絞り値を少なくすることで多くの光を得ることができます。シャッターの速さをカタカナで表したとするなら(笑)、「パッチッリ」と撮るより、「パッ」と撮る方が一瞬でたくさんの光が必要だからです。絞りは「f.2.8」や「f8.0」などF値で表わされ、少ないF値に設定するほど光量が大きくできるため、高速のシャッタースピードが使用できます。

現在のデジタルカメラは真っ白や真っ黒になってしまう写真はほとんどありません。そうならないようにカメラが自動モードでサポートしてくれているからです。暗い海中のような悪状況下でも、なんとかそれなりの写真を撮るようにカメラが努力してくれます。

前述の失敗写真例のようになんとかカメラが撮ってくれた、ボ〜ッとした写真では満足いかないので、もっときれいな写真を撮るにはどうすれば良いか、まず原因から考えました。前述の失敗写真例は「水中モード」で、だいたい1/60秒〜1/80秒で撮られています。それでは遅すぎます。「1/60〜1/80」程度のシャッタースピードがちょうど良い、もしくはそれぐらいの遅いシャッタースピードが必要、と海中の明るさからカメラが判断して自動でセットしたものですが、それでは持ち手も被写体(回遊魚)もブレるので、もや〜っとした残念な写真になってしまいます。最低でも1/125、できれば1/250秒以上にシャッタースピードをセットしたいところです。あの人のデジカメではきれいに撮れているのにワタシのではダメ…といったときは、シャッタースピードに違いがあるかもしれません。

私の場合も、1/250秒以上にシャッタースピードをセットしたいところなのに、自動の水中モードでは遅いシャッタースピードが設定されてしまいました。もちろん海中は陸上より暗いため、仕方ないかもしれません。しかし、シャッタースピードが限界まで速く設定されているわけではありませんでした。思いが叶わないのであれば、高感度撮影モードを使うか、マニュアル操作しかありません。マニュアル操作の場合、シャッタースピードを手動で設定し、それに合わせて自分で絞り値を設定して適正露出で撮る(もしくはその逆)、ことになります。失敗すれば真っ黒、暗すぎる写真ばかりになるかもしれません。

神子元島 ハンマーヘッドシャーク 奇跡の大行進

 

被写体がゆっくり泳いでいれば、シャッタースピードは1/160でもいけました。ISO200に設定したら、もう少し明るい写真が撮れたかもしれませんね。ISOを100から200にすると、その分だけノイズが増える恐れがあります。
Camera Data:
SONY コンパクトデジタルカメラ Cyber-shot DSC-W300、
純正水中ハウジング「マリンパック」、INON ワイドコンバージョンUWL-100
F2.8 1/160秒 ISO100 ストロボなし
補正:Adobe Photoshop CS4
撮影地:伊豆 神子元島 カメ根 2010.07.14撮影

一眼の場合は、シャッタースピードか絞り値のどちらかをユーザが決め、それに合わせてもう一方の数値をカメラが自動で分析してセットしてくれる優先モードがたいていは搭載されています(シャッタースピード優先/絞り優先)。この機能を使うと、失敗写真は激減します。しかし、コンデジにはマニュアル操作ができても優先モードまでは用意されていないものがほとんとです。そうなると両方の数値をユーザが設定して撮ることになります…それは失敗すれば暗かったり、真っ白な写真になる、危険度・ヤバさ、がムンムンということです。

また、比較的暗い海中ではレンズ性能で最も明るい絞り開放の状態でも光量がまだ足りない、ということにもなりかねません。例えば、シャッタースピードを「1/125」にセットしたとき、リアルビュー液晶が真っ暗になった場合は光量不足ですので、絞り(F値)を更に小さく設定します。なお、私のデジタルカメラの場合はズーム(テレ)とワイドとで設定できるF値が異なります。ズームではF5.5までですが、ワイドならF2.8まで絞り開放の設定ができます。つまり明るさを稼ぎたいときはズームは使わず、ワイドの状態で撮る必要があります。なお、F5.5より、F2.8の方がピントが合う範囲(被写界深度・ピントが合う遠近の距離)が狭いので、よりシビアなピント合わせが必要になります。
もし、シャッタースピードを「1/125」にセットして、F2.8にセットしたとしても液晶が真っ暗だったら、シャッタースピードをもっと上げたいどころか、下げなければ明るい写真が撮れない、暗い海中…ということです。

神子元島 ハンマーヘッドシャーク 奇跡の大行進

 

F値が小さいレンズを持ったデジタルカメラほど、シャッタースピードを高速に設定できるので、暗い場面では性能に余裕を持っていると言えます。ただし、大群全体にピントを合わせるにはF値はできるだけ大きい数値で設定したい…といった葛藤もあります。
Camera Data:
SONY コンパクトデジタルカメラ Cyber-shot DSC-W300、
純正水中ハウジング「マリンパック」、INON ワイドコンバージョンUWL-100
F2.8 1/200秒 ISO100 ストロボなし
補正:Adobe Photoshop CS4
撮影地:伊豆 神子元島 カメ根 2010.07.14撮影

そして最後の手段がISO感度です。シャッタースピードを固定し、絞りを開放してもなお暗いとき…徹底的に光量が足りないときは、ISO感度の数値を上げることで写真を明るくできます。これがいわゆる高感度撮影です。弊害は、ISO感度を上げると明るくなる(シャッタースピードを高速にできる)反面、ノイズが増えることです(週刊誌でよく見るパパラッチが撮った超高感度写真を思い出してください)。海に入る前でも構わないので、予め自分のカメラでISO感度を上げて暗めの場所を撮ってみて、どの程度ノイズが出るか確認し、許容できるISO感度を確認しておきます。ちなみに水中モードなど、シーン選択モードではISO感度もカメラが自動で決める機種もあり、その場合はユーザがいくら高感度を手動で設定しても意味がありません。

ISO感度を上げるときは、デジタルカメラの「ノイズ除去(ノイズリダクション)」を強く設定する方法もあります。私の機種には高感度撮影時のノイズを低減する「クリアRAW NR(ローノイズリダクション)」機能があり、設定しておくことで高感度撮影で発生した時のノイズをRAWデータの段階で除去する機能です。
一般に「ノイズ除去(ノイズリダクション)」機能はたいてい装備されていますが、強すぎると写真がツルッとした滑らかすぎる画質になることもあります。

また、デジカメによってはコントラストや彩度、シャープネスなどの強弱を設定できる機種もあります。水中ではカメラと被写体の間に水の膜があるため、ぼんやりした画像になりがちなので、これらを強調することでしっかりしたメリハリのある画像にカメラが仕上げてくれるかもしれません。しかし反面、もしかするとその補正がやり過ぎな写真だなと感じる人もいるかもしれません。

神子元島 ハンマーヘッドシャーク 奇跡の大行進

 

コントラストはHard、彩度はHigh、シャープネスはHard、ISO200で発生したノイズを「ノイズリダクション」で除去、とあれこれ設定した写真。Photoshop で少し補正すると独特の写真になります。なお、F2.8で撮ると、被写体にピントが合えば、後ろの根はボケた写真になります。
Camera Data:
SONY コンパクトデジタルカメラ Cyber-shot DSC-W300、
純正水中ハウジング「マリンパック」、INON ワイドコンバージョンUWL-100
F2.8 1/250秒 ISO200 ストロボなし
補正:Adobe Photoshop CS4
撮影地:伊豆 神子元島 カメ根 2010.07.14撮影

一眼レフのマニュアル操作の知識を使い、コンパクトデジカメのマニュアル操作で撮った写真が、前回や今回紹介した画像です。Photoshop CS4を使って、カラー補正も行っています。

初心者向けに解説しようと思いましたが、今回は露出設定について全く解らない人には少し難しい話になってしまいましたね。ごめんなさい。各用語の解説や基本的なカメラのしくみについては、スタジオグラフィックスの記事に関連記事がありますから、詳しくはそちらも読んでください。

デジカメ用語集
シャッタースピード絞り被写界深度ISO
デジカメのしくみ
手ぶれ補正「明るいレンズ」とF値 
水中写真テクニック講座
水中写真の露出のテクニック
デジカメPopEye(初級向け)
暗くてもストロボを使わず、手ぶれさせずに撮る方法

なお、シャッタースピードや絞り値など、撮った写真のデータはExifという規格に準拠して画像に記録されています。Exif情報は様々なグラフィックスツール等で確認できるほか、「Exif Reader」というフリーソフトでも見ることができます(吉本龍司氏作)。ここまで熱心に読んで頂いたのに、こう言うのもなんですが、マニュアル撮影には大失敗のリスクが伴いますので、普段一眼レフでマニュアル撮影をしたことがない場合はお勧めできません。せっかくのハンマーヘッドとの遭遇なのに、大失敗の写真では収穫がゼロです。自信がない人は、高感度撮影を使い、速めのシャッタースピードでの撮影を試してみる方が無難です。多少のノイズならPhotoshop等で除去することもできます。

神子元島ハンマーヘッドシャークの写真
早朝の神子元に現れたハンマーヘッドシャーク。ストロボなしで撮っているので、太陽光の加減によってはどうしても暗めの写真になってしまうことも。

また、ブレを抑えるわけではありませんが、ブレていない写真をゲットするにはストロボを使わない撮影では「連写モード」が有効です。シャッターを押した反動でブレることが多いので押しっぱなしの連写では2枚目以降にブレていない写真が撮れる可能性が高いからです。連写なら被写体ブレのない写真、ブレの少ない写真を複数枚の中から選べます。やってみてください。

また、私の機種には、撮った写真の明暗の差をなくす「DRO」(Dレンジオプティマイザー)という設定があります。逆光などのとき、黒潰れを防ぎ、うっすらでも被写体が見えるよう補正する機能で、逆光のハンマーを見上げて撮ってもクチやエラを描写できることがあります。その反面、逆光でハンマーヘッドのシルエットを撮りたいとき、特に薄い影になる固体はクッキリ感がなくなって、かえって障害になることもあります。群れの奥がシルエットで見えている、その影も薄くなってしまいます。こうしてみると、コンパクトデジカメでも意外と設定やモードによって写真がガラッと変わったり、成功と失敗を分けることが解りますね。

最後にオヤジ的所感ですが、押すだけできれいな写真が撮れるデジタルカメラが欲しいとは思うものの、誰が撮ってもきれいな写真が撮れると思うと、それはそれでちょっと寂しい気もします。ハンマーヘッドが目の前に登場してから、小さなボタンでガシガシとマニュアル設定して、失敗覚悟で、やっとこさ撮った自分だけの写真も、それはそれで楽しいものです。

失敗だって、たくさんありますけれどね。

勉強、勉強!!

                                                 (初出 2010/07/28)

<< BACK
オヤジの夏休み2010 〜神子元島ダイビング〜 ハンマーヘッドシャーク 奇跡の大行進(1)

>> NEXT
オヤジの夏休み2010 〜神子元島ダイビング 番外編〜
神子元島ダイビング★リアルレポート 奇跡の大行進の一週間前のはなし

>> 目次コンパクトデジカメで撮る水中写真 オヤジの夏休み 奇跡の海

メールマガジンに登録しませんか

スタジオグラフィックスで「水中写真テクニック講座 中野誠志の 海Photo! 楽Photo!」の連載
水中写真テクニック講座

>> デジタルカメラとデジタル画像の活用サイト「スタジオグラフィックス」 トップページへ

スタジオグラフィックス 人気記事ピックアップ
曲面(バスト)に合わせてタトゥー風に文字を貼り付けるフォトレタッチ術   曲面(バスト)に合わせてタトゥー風に文字を貼り付けるフォトレタッチ術
(フォトショップ早わかり Photoshop Tips & Manual)
胸の曲線に合わせて文字を合成するテクニック

意外と難しい、順光できれいな写真を撮る方法  

意外と難しい、順光できれいな写真を撮る方法
(プロが教える 女性の撮り方講座)
順光、斜光、逆光、半逆光、側光、トップ光の違いと注意点


女性らしさを表現する立ちポーズってなに?   女性らしさを表現する立ちポーズってなに?
(モテる撮られ方大研究「モテ写 on The Web」)
きれいに撮られるテクニック 第2弾は立ちポーズの基本

デジカメダイバー★リアルレポート   EOS 5D Mark II で水中マクロ撮影
(水中写真テクニック講座)
西伊豆大瀬崎で水中写真大研究

風景写真をミニチュア写真に加工する方法   風景写真をミニチュア写真に加工する方法
(フォトショップ早わかり Photoshop Tips & Manual)
風景写真をミニチュア模型のように加工するレタッチ術

Photoshop Elementsで、空を青く、芝生を緑に演出する方法   Photoshop Elementsで、空を青く、芝生を緑に演出する方法
(フォトショップ・エレメンツ de ゴーゴー!)
青い空、緑の芝生…記憶の色を取り戻す魔法のカラー補正術

Webアルバムを作って知人に写真を見せる方法   Webアルバムを作って知人に写真を見せる方法
(Picasa3 徹底活用講座)
思い出の写真を家族や友達とウェブで共有

パソコンで録画した番組をiPhoneやiPod Touchで観る方法   パソコンで録画した番組をiPhoneやiPod Touchで観る方法
(デジタル放送の視聴と録画&活用講座「地デジ生活 2000GT」)
iPhoneに録画した番組を転送して屋外で楽しむ

テレビ番組を電車の中からケータイで予約する方法   テレビ番組を電車の中からケータイで予約する方法
(デジタル放送の視聴と録画&活用講座「地デジ生活 2000GT」)
「録画予約を忘れてた!」そんなときどうする?

 

 
 
 
  このページのトップへ
 






     
 
 

     
 
Created by
サンタ・クローチェ
トライセック
リンクについて
著作権について
プライバシーポリシー