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デジカメPopeye II
第19回 暗くてもストロボを使わず、手ぶれさせずに撮る方法
 
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ちょっと暗いなぁ、という場面でも
ストロボを使わないで撮影したい、しなくちゃなんない…。

そんなときどうしていますか?

ISO感度を高感度に設定すれば
ストロボなしの撮影にトライできます。

体育館のスポーツ撮影などにも
活用できますよ。

(左写真:夕方でもストロボなし撮影がポイントです)

 
(2005.4.20)
 

 さて、リニューアルして始まったデジカメPopEye II
 今回からは「撮る」「見る」「レタッチ」「保存」「活用」など、デジカメ写真やデジカメ画像を楽しむ方法を一緒に勉強していきましょう。私、オヤジ代表として、オヤジのスキル向上を目指して邁進する所存でございます(って大袈裟な…(汗;))。

さて、今回はゴールデンウィーク前に知っておきたい「撮る」テクニックです。

 撮影方法や技については、僕が書いた別のコラム「オヤジがキスデジで撮る!初心者向けスナップ講座」でいろいろと解説しましたが、今回は暗いところでもストロボを使わずに撮る方法です。

暗いところでもストロボなしで撮影

 夕方の情景とか、室内でのスナップ撮影、体育館で行われているスポーツの撮影など、暗いと感じるところでの撮影は「どうも思うようにいかない」というご同輩のオジサン達も多いと思います。
 カメラ任せのオートで撮影している場合、カメラが暗いと判断したら、自動的にストロボが発光してくれますから、撮影はそれなりにできますよね。しかし、「思った絵と違う」と感じたことはないですか?
また、「ストロボ撮影は禁止と言われた」ら、打つ手無し。ストロボ発光を使わずに失敗写真を量産した経験を持つご同輩もいらっしゃるかもしれません。

 例えば、下の写真Aは「オヤジがキスデジで撮る!初心者向けスナップ講座」の目次でも掲載した写真です。2つの例を見比べると解るとおり、ストロボを使った写真と使わない写真では、イメージがずいぶんと異なります。初心者向けスナップ講座では、「オート」をやめて「マニュアル」に切り替えることでストロボが自動発光しちゃうのを防ぐことができ、それによって味のある撮影ができるかも、とEOS Kiss Digitalを具体例として解説しました。

写真A
夕方のカフェ。同じ時間と場所で撮影した写真ですが、左はストロボ発光で撮影した写真、右はストロボを禁止して撮影した写真。できあがりのイメージはずいぶんと異なります。(Model:藍海夏)

 ところで、元々カメラが自動でストロボを発光しようとしている「暗さ」なのですから、無理矢理ストロボを禁止したら、光量不足でシャッター速度が遅くなり、手ぶれを起こす危険性が増えてきますよね。では、どうすればよいのか。こういうときは、「ISO感度の設定」を高感度に設定します。そうすれば、シャッタースピードが速くなり、ストロボなしでも暗いところで撮影したり、手ぶれの危険性を少なくすることができます。ただし、その見返りとして撮影した写真にノイズが乗ってしまいます。そこんとこ例をあげてみましょう。

「ノイズ? …ノイズってどんな感じ? ひどいの?」

そうですよね、そこんとこまとめて例をあげて解説しましょう。

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ISO感度とは?! 

 ISO(イソ、アイソ)とは、「International Organization for Standardization」の略称で、一般に国際標準化機構と訳されています。ISO感度を詳しく知るには銀塩フィルム式カメラの話にさかのぼらなければなりません。
 ISO感度とは、銀塩フィルムに表記されている感度(光の必要度)をさします。ASA (米国標準規格、アーサ) とも呼ばれますね。一般には、カメラショップなどでフィルムを購入する際に、感度100、200、400から選択していると思います。このフィルムの感度のことです。

 では、フィルムの感度によって写真はどのように変わるのでしょうか。
少し突っ込んだフィルム式カメラの話をもう少し続けます。ISO(ASA)100などの低感度のフィルムは粒子が細かいので、きめ細かでクリアな写真が撮れることが特長です(微細な部分まで鮮明に記録するフィルムの能力を「シャープネス」と呼び、低感度ほどシャープネスには優れています)。

 しかし、低感度なフィルムほど、比較的長時間、光を宛てておく必要があります。つまり、日中の屋外(特に晴天)など、明るく、十分に光をレンズ内に入れることができる場所ではISO(ASA) 100や200などの低感度フィルムが適しています。そして屋内や夕方など明るさが十分ではない場所では、フィルムに光を十分に宛てることができない状況が考えられるため、もう少し高感度なISO(ASA)400が良いとされています。

 もっと暗い状況下、ストロボが使えない屋内撮影などでは高感度フィルム800を、もっと暗い状況、例えば極端な話…パパラッチが盗み撮りをするような場合は1600や3200以上(超高感度フィルム)を使います(例が悪かったな(笑))。



「富士写真フイルムの『NATURA』。
ISO1600という高感度性能で、フラッシュ不要の撮影環境をアピール。

 高感度フィルムは光を当てる時間が短くて済むので、シャッタースピードを早くすることができます。従って、一般にはストロボが必要な場所でも高感度フィルムならストロボなしで撮影することができます。例えば、富士写真フイルム社の製品『NATURA』はISO感度1600を活かし、きれいな夜景や室内写真がフラッシュ(ストロボ)なしで撮れることをアピールしている例と言えるでしょう。暗すぎて手ぶれが心配という状況でも高感度フィルムなら手ぶれを防ぐことができます。

 しかし、デメリットもあります。それは高感度フイルムほど粒子が大きいため、絵が粗くザラ目状にノイズが入りがちな点です。

 「高感度フイルムの話はよく解った。しかし、デジカメはフィルムを使ってないのに、なんでISO感度が関係あんの?」って疑問を抱きますよね。ごもっともです。デジカメの場合、感度優先の撮影モードをISO感度「相当」として用意しているのです。つまり、ISO 100は十分に光が得られる日中向き、400や800と高感度に設定するほど暗いところ向き(ただしノイズが乗る)という風です。

ISO感度の選択 


レアルマドリードが来日した際にプレス記者として撮影した練習風景。夜のスタジアムは光量不足だが、ストロボも使えないので、ISO感度を800や1600にセットして撮影する。

 スナップやポートレイト、風景写真など、ISO感度は通常、100以下にセットして撮影しています。そして例えば、屋内のスポーツを撮影する段になったらISO感度の変更を検討します。バスケットボールやバレーボール、新体操…夕方や夜のスタジアムでサッカーや野球の撮影などなど、これらを撮影する際にはストロボは禁止されているか、使っても意味がありません。とはいえストロボなしで普通に撮ると、シャッタースピードが遅くなって手ぶれや被写体のブレた写真だらけになってしまいます。そこで、ISO感度を高い数値に設定します。明るい場所なら400、暗いなと思ったら800です。それでも手ぶれをするなら1600まで試してみましょう。数値を大きくすればするほどシャッタースピードを速くできますが、画像にはノイズが乗ります。できれば三脚などで手ぶれを防いで少ないISO数値を使いたいところですが、ノイズの点を覚悟さえすれば手持ちカメラでも、手ぶれなどの致命的な失敗を防ぐことができます。

 

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ノイズってどんな風に出るの? 

 「ノイズは覚悟の上って…そもそもノイズってどんなもの?」という人もいらっしゃることでしょう。簡単な作例で恐縮ですが、暗めの場所で撮影した例、写真を見て下さい。

 まずは、Panasonicの『DMC-FZ1』でストロボ発光して撮影した例が写真Bです。次に、ストロボ発光を禁止にして撮影してみました。そちらはシャッタースピードが遅くなり、ひどい手ぶれを起こしてしまいました。ISO感度は100になっています。

写真B

写真C

写真Dは、ストロボ発光を禁止したあと、ISO400に設定変更して撮影した例です。シャッタースピードは速くなり、手ぶれせずに撮影できるようになりました。

写真D

 Panasonicの『DMC-FZ1』で撮影した写真Bと写真Dを比較したモノ、すなわちISO100(ストロボ)とISO400の写真を比較したものが下の写真Eです。ISO400の方がザラザラした画像になっています。これがノイズです。こうして細かく見てしまうと、画像の破綻が各所にあることが判ります。(これが許せるかどうかは用途によりますよね)

写真E

 高感度ゆえのザラめ。一眼レフデジカメではどうなのでしょうか?
普及型デジカメと比較して、巨大なサイズの撮像素子と高度な画像処理エンジンを持つ一眼レフはISO感度を上げてもノイズがそれほど多くならないのが利点です。見やすく比較するためにリサイズしてしまっていますが、FZ-1のISO400より、EOS Kiss DigitalのISO1600の方がはるかにノイズのない優れた画質を維持していることが解ります。(※レンズを比較してもFZ-1の方が明るいレンズを使用しているにも関わらず…です)

写真F


 高感度なISOは用途によってはとても実用的です。特に私たち、報道写真を撮る仕事では必要不可欠なのです。また、デジタル一眼レフならISO800や1600でも一般の使用でも実用的だと思います。だから、ストロボが使えない暗いところではISO感度を上げて、大切な一瞬を手ぶれなく撮影してみることをお勧めしちゃうのです。手ぶれなどで失敗したくない場面では威力を発揮するでしょう。
そうですね、最初は、念のために何枚か高感度ISOで抑えを撮っておく、という考え方でもいいと思います。ノイズがやっぱり気になる、という人もいるでしょうから。
 パーティなどの記念写真でもストロボを使うと冴えない写真になってしまうことがありますよね。雰囲気を重視したい場合なども、ストロボを使わずあえてISO感度を上げてそのままの光で撮るのもまた一興です。

ISO感度の変更の仕方はカメラによって異なりますので、マニュアルをよく読んで設定して下さい(オートモードではISO感度を変更できない機種もあります)。ISO感度の変更は慣れてしまえば簡単で、撮影の幅が拡がって、とても重宝しますよ。

試してみて下さい。


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