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デジカメPopeye
第11回 レタッチとヒストグラム
 

EOS-1D MarkII 試作機にて

デジカメ画像掲示板「電脳光画部」、だ さんの作品
(No.7049)
陽光に見る素敵な瞬間・・・壁紙にしたい

 
(2004.3.24)
  更にヒストグラムの話
 前回のヒストグラム入門はいかがでしたか?
「今までなんだか意味不明だったグラフの活用法がな〜んとなく解ってきた」ということでも、書いている方はとてもうれしいです。さて前回は、撮影するときにヒストグラムを活用する方法を解説しました。女の子の写真を題材にして白飛びを説明したので、ピンとこなかった人がいたかもしれません。

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画像1
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画像2

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画像3

オート露出に任せていると、ピンクの花が白飛びしてしまいました。白い花や白い犬など一層、白飛びする可能性が高くなります。
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画像4
露出アンダーにして撮影しておきます。ピンクの綺麗な色が出ました。更にレタッチで少しばかり補正を施せば完璧でしょう。
 

そこで今回補足として、再度、別の写真、今度は花が被写体の写真を例として用意しました。花の種類には疎いのでなんという名前の花か解りませんが、薄いピンク色の花が印象的だったのでキヤノンの『EOS Kiss Digital』で、露出はオートで撮影をした写真が「画像1」です。つまりは、一般の人が「あぁ、綺麗な花だなぁ」と思ってシャッターボタンを押して撮れた状態ですね。
実は意外とこの写真のように、写真全体の色合いが豊富で、それでいて最も重要な被写体が白っぽい、というシチュエーションがデジタルカメラにとっては最も過酷な状況のひとつでもあるのです。つまりカメラは構図全体を見て適正露出にセットして撮ってくれますが、最も重要な被写体が露出オーバー気味になり、質感を表す階調が表現できなくなってしまう「白飛び」が発生してしまいます。撮った写真を後でフォトショップで開いてみてガッカリした、という同様の経験者もいるかもしれません。小さい液晶ではこの白飛びを確認するのは困難ですね。
そこで、ヒストグラムを見るとやはり、真っ白のデータが多くなっています(画像2)。拡大すると画像3のように一部、ピンクの階調が潰れてしまっています。撮影時にそれが解れば、一番重要な被写体に合わせて露出をアンダーめに設定して撮影しておくことができます(画像4)。アンダーで暗くなっている部分は後でレタッチでカラー補正すれば、綺麗な写真に仕上がります。

最近、特に人気の高いデジタル一眼レフカメラでは、撮ったばかりの写真画像を、液晶モニタにヒストグラムとともに表示して見られる機能が一般的になっています。また、先日手にする機会を得た富士写真フイルムの新しいデジタルカメラ『FinePix F710』にもヒストグラムを表示する機能がしっかり搭載されていました。
デジタル一眼レフのユーザーだけでなく、どんなカメラのユーザーでも露出オーバーによる白飛びは防止したいものです。適正露出で階調表現豊かな美しい写真画像を撮るためにもヒストグラム表示機能が付いたデジタルカメラは増えていって欲しいですね。





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綺麗な画像のヒストグラムとは?

さて、今回はヒストグラムをレタッチで活用する方法です。活用と言ってもヒストグラムは画像の傾向を把握するグラフに過ぎませんから、ヒストグラムから何が解るのか、というヒントを解説します。

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画像5

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画像6

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画像7

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画像8
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画像9

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画像10
 露出アンダーな画像や眠たい画像など、レタッチでカラー補正することでヒストグラムにどのような変化が現れるか見てみましょう。
 また、ここで紹介する内容は皆さんが持っている、ご自分で撮影した画像でも、同じようにヒストグラムの変化を見ることができますので、ぜひやってみてくださいね。

 右の画像は室内でネコを撮った写真(画像5)です。いや、ヒョウかな。サルかも。とにかくほ乳類です。噛まれると痛いので注意して下さい。いや、そういう話しじゃなくて、まぁサンプルはこの際なんでもいいのですが、この写真はなんとなく暗く感じますし、実際にヒストグラムを見てみる(画像6)と、やはり山が左に偏った暗めの画像であることが解ります。
 みなさんもよく活用すると思いますが、フォトショップやグラフィックソフトが持っている「自動レベル補正」機能は、この山の偏りを全体にまんべんなく延ばしてくれる(画像7)わけです(これだけではなく、カラーバランスなども自動で調整してくれます)。その結果、画像8のようにくっきりした画像ができあがります。

 「自動でやられたら理解できん」という人向けに手動で行う方法をひとつ紹介します。フォトショップのメニューバーから「イメージ」-「色調補正」-「レベル補正」を選択してください。このレベル補正ではRGBのヒストグラムが表示されますので、先程の左に偏った山を、右に延ばして調整することができます(画像9)。

 山をまんべんなく延ばしてできあがった画像が画像10です。山を全体的にノッペリと延ばすだけで、画像5と比較して、くっきりきれいで、かなりいい感じになりました。

レタッチによる画質の後退

 ただ、問題点も同時にわかります。レベル補正後のRGBのヒストグラム(画像9の一番下)を見ると解りますが、山はまんべんなく延ばしたものの、延ばした分の中間の色情報は隙間ができてくし形に抜けた状態になっています。見た目には綺麗な画像に変わっていますが、レタッチによって色情報が抜けたいささか不自然な画像になっていることを示しています。

 この状態ではまだ均衡が保たれていますが、他にもいろいろとレタッチ操作を加えるとバランスが崩れてカラー情報が破綻し、画質が一気に低下するという事態にも繋がりかねません。過度なレタッチは確実に画質を後退させているのです。デジタルだからレタッチでなんでもできる、というわけでなく、できるだけ撮影の段階でいいものに仕上げておくことは必要です。また、JPEGのような圧縮画像フォーマットを使うと保存の時に、更にカラー情報は間引きされ、画質は明らかに後退していきます。

 プロがやる場合のレタッチはこのように、細心の注意を払いながら、様々な情報を駆使し、確認とトライを繰り返しながら、きれいな写真に仕上げていくわけですね。

 

 

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