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光画倶楽部
第2回 オリンパス OM-D E-M5 の特性試験 2012/09/26
 
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誰でもできる笠井アキラ流、
カメラ・レンズの特性試験


 カメラやレンズの特性を把握するときには、一般的な撮影によるものがもっとも身近。しかし、今回の 「 独断レビュー 」 では、いろいろな切り口で数量化・ビジュアル化にチャレンジ。その手法は特殊な道具などは使わずに、読者のみなさんでもやれる範囲 ( ちょっと難しい部分もあるけれど ) にとどめた。たとえば、マニュアルモードで段階露光する、インクジェットプリントでチャートを作って撮影し、画像処理ソフト Photoshop で数値を読むという程度。今回は、カメラボディの性能と特性を見極めてみたい。 「 なるほど こんな見極め方もあるのだな〜 」 と感じていただければ幸いです。
<著者メッセージ>



▼目次  

特性試験とは手相鑑定みたいなもの

カメラボディの検診
ダイナミックレンジと階調性
被写体記録特性はいかに?
次回予告
▼写真0 EVF の表示遅延試験
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iPod Touch 画面を同様に E-M5 でねらう。EVF 接眼部にビデオカメラやコンパクトデジタルカメラをセットし、その 「 別カメラの液晶表示 」 と iPod Touch 画面を同時に写し込むように ( 図中赤枠部分 ) 、図-2同様の方法で撮影する。
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■ 特性試験とは手相鑑定みたいなもの
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● 手相を見るのに顕微鏡はいらない

 

 僕ら一般市民がカメラ・レンズの特性を見極めるのは、それがたとえ数量化したものであっても、手相鑑定のようなものである。当たるも八卦、当たらぬも八卦ということもありえる。使用者の一人としてそのように 「 相 」 を見極めればいいのだ。

  「 診断・診察 」 ではなく 「 把握・鑑定 」 であっていっこうに差し障りがない。手相鑑定以外にも、僕ら自身が健康診断的な手法で特性を見極める方法もなくはないのだが、高価な解像力試験チャートや各種の 「 検診機器 」 が必要なので、それは伝統ある雑誌の診断室にまかせておきたい。手相鑑定なら顕微鏡は不要だ。せいぜい5倍程度の天眼鏡があればいいのである。

▼写真1 特性試験で評価する
カメラとレンズ
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オリンパス OM-D E-M5
+M.ZUIKO DIGITAL 12-50mm F3.5-6.3 EZ
+M.ZUIKO DIGITAL ED 40-150mm F4.0-5.6 R
+トキナー Reflex 300mm F6.3 MF MACRO
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● 当鑑定室の方針

 

 我がカメ相鑑定室では、第一に今日の中級以上のデジタルカメラについては、そのすべての性能は合格レベルにあるというスタンスをとりたい。 たとえば、自動車免許歴十数年を超えたような立場の人に、はじめて自動車を購入する人が、「 ホンダとスズキ、どちらの軽が性能いい? 」 と聞かれても、返答に困ってしまうであろう。正直、どっちだって高速道路できびきび走るし、シートの座りごごちだって悪くはない。そりゃ、レクサスと軽、どっちが性能がよいかと尋ねられれば話しは別だが、メーカーが手間暇かけて作り出した商品なのだから、想定外の欠陥や事故品は別として、競争力のある立派な機械であって当然なのである。そこで、まずは、カメラなりレンズなりの鑑定では、こうやったらこうなったという 「 相 」 を報告したい。

   
■ カメラボディの検診
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● 過去を見ながらの撮影 : EVF

   僕は、レンズ性能や撮影画質については、ひとまずどのカメラも信頼する。というか、元々 RAW 撮影 ( ※01 ) しかやらない僕にとって、カメラ内現像による JPEG 画像の画質や、ポートレートモード、夜景モードなどの 「 僕的にはよけいなお節介 」 モード ( オリンパスでは 「 ピクチャーモード 」 と呼ぶ ) の良し悪しはあまり気にならない。一方で、画質以前に、ファインダーについては、少しくこだわっている。

 この種のミラーレス一眼には光学ファインダー、いわゆる OVF ( Optical View Finder = 一眼レフのファインダーを含む光学的ビューファインダー ) は付いていない。OVF の良さは、被写体そのものをリアルタイムに見ることができるという点なのだが、一方で、撮影結果を見るのではないという弱点がある。

 ミラーレスカメラの背面のモニター表示や接眼して観察する EVF ( Electronic View Finder = 電子ビューファインダー ) では、カメラのセンサーが捕らえた像を電気的に表示しているわけで、たいがいの場合は、撮影結果 ( 写真の仕上がり ) とイコールまたは近似した状態を観察できる。

 しかし、僕の知見では、背面表示や EVF は、リアルタイムに被写体を見せてはおらず、数十ミリ秒程度の表示の遅延が生じている。この表示遅延は、センサー表面に結像した光学的な情報を、ちょうど動画カメラのように 30 分の 1 秒毎に連続撮影して、液晶などに動画像として表示する工程があるために発生する。表示遅延が十分に短いならば実用上の問題はないのだろうが、現在の遅延時間は僕的には 「 無視できない 」 ほど長い!

 神経を集中して被写体を追い、今だ!と察知してすでに半押しでスタンバイしている人差し指の腹にわずかな力を入れてシャッターボタンを押す。こういう行為が写真を撮ることの楽しさのひとつでもあるのだが、撮影結果は 「 今だ! 」 の瞬間ではなく、あるいは、そもそも 「 今だ! 」 というより 「 今よりキモチ先だ! 」 とシーンを 「 読んで 」 撮影したにもかかわらずがっかりな結果となってしまうことがある。

 なぜそうなるか? 当たり前のことなのだが、電子的なファインダー像が僕らに見せてくれる被写体光景は十数ミリ秒とは言え 「 過去のできごと 」 となってしまっていて、それを見極めてシャッターを押しても、その瞬間からカメラは本番撮影のための各種手続き ( = シャッターをいったん閉じて、 センサーを電子的にリセットして、シャッターを開けて露光し、露光時間が経過後シャッターを閉じる ) に入るのだから、想定した瞬間はとうてい撮影できないというわけである。

 僕は、「 リアルタイム 」 に被写体を見るということはファインダーにとって最重要な生命線であると確信していて、今日の本格的な作品作りを想定して設計されているミラーレスカメラで OVF が装備されていない、または、後から装着することを前提に設計されていないものはすべて失格である。もちろん、風景撮影やスタジオでの静物の撮影などでは、ここまでリアルタイム性は必要がないから実用上の問題にはならない。しかし、今まで存在していた機能を退化させて生まれた新技術なんて、やっぱり許せない。


● OM-D E-M5 の場合

 

 さて、OM-D E-M5 には、このリアルタイム性を少しでも向上させようと、EVF の表示遅延を短くする 「 フレームレート : 高速 」 設定ができる。そこで、「 背面表示 」、EVF 表示の 「 フレームレート : 標準 」、「 同 : フレームレート : 高速 」 の3種類の表示において、どの程度の表示遅延があるかを調べてみた。

 表示遅延の確認は、図-1図-2のようなしくみを作れば誰でも実行できる。図-3のABCは、各表示方式の典型的的な遅延実写だ。

  この計測の結果、 「 EVF 表示 : フレームレート : 標準 」 で 0.066 秒の表示遅延。 「 同 : フレームレート : 高速 」 では 0.028 秒の遅延。 「 背面表示 」 では 0.033 秒の遅延となった。

 僕の過去の測定経験からも、多くのミラーレスカメラの背面表示は 0.03 〜 0.04 秒、EVF では 0.10 秒程度の表示遅延があるので、OM-D E-M5 は比較的優秀である。

 「 EVF 表示 : フレームレート : 高速 」 はそれなりに遅延が短く、シャッターチャンスをねらう撮影では 「 標準 」 よりはマシである。ただし、このモードでは蛍光灯照明などではちらつきが生ずることがあるそうだ。僕の実験した範囲ではちらつきは視認できなかった。夜景や暗い室内 ( たとえば結婚式におけるキャンドルサービスのシーン ) などを観察するときはモードオフの方が若干明るく表示される。しかし、暗い場所での表示能力については、他メーカーのミラーレスに比べてかなり劣っている。たとえば、図-4のような状況では構図決めもままならないのはいささか閉口してしまった。


▼図-1 背面モニター画面の
表示遅延試験
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100 分の 1 秒桁 ( 0.XX 秒 ) の表示が可能なストップウォッチアプリを アップル iPod Touch 画面に表示させ、カウント画面を E-M5 でねらう。カメラの背面表示と被写体の iPod Touch 画面を同時に写し込める構図 ( 図中赤枠部分 ) で、別のカメラを使い、できるだけ高速度で撮影する。別カメラがフォーカルプレーンシャッターの場合は、長辺方向の同じ位置に二つの液晶表示が写り込むように構図を決める。シャッター速は 1/4000 秒程度の高速が理想なので撮影 ISO 感度を最大にしておく。
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▼図-2 EVF の表示遅延試験
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iPod Touch 画面を同様に E-M5 でねらう。EVF 接眼部にビデオカメラやコンパクトデジタルカメラをセットし、その 「 別カメラの液晶表示 」 と iPod Touch 画面を同時に写し込むように ( 図中赤枠部分 ) 、図-2同様の方法で撮影する。なお、EVF 接眼部に装着するビデオカメラやコンデジについては、図-1の方法であらかじめ表示遅延時間を調べておき、その遅延分を差し引き補正する。 ( 写真を Click で拡大 )

▼図-3 表示の典型的表示遅延状態
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背面表示
12 回平均遅延時間 = 0.033 秒
EVF ( フレームレート : 標準 )
12 回平均遅延時間 = 0.066 秒
EVF ( フレームレート : 高速
12 回平均遅延時間 = 0.028 秒
※ 写真Cは、被写体表示時刻と表示結果時刻の差は ( 7.45-7.39 = ) 0.06 秒となるが、ファインダー接眼部に装着した小型ビデオカメラの表示遅延が 0.34 秒あるので、その分を差し引きして、0.028 秒の遅延である。
( 写真をClickで拡大 )

▼図-4 京都御苑から望む
大文字山送り火
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RAW 撮影 AdobeCameraRaw ( ※02 ) にてノイズ抑制し、シャドウ階調を整えて現像。 この撮影ポイントは、京都御苑内の広場だ。送り火のある8月 16 日の夜だけは、普段点灯している園内の照明は消灯されている。画面下方左側の灯りは、御所の壁を照明する非常に暗いライトである。手前にたたずむ人物などを照明しているのは数十メートル離れた場所にある道路の街路灯だけだ。 E-M5 と同時に撮影したソニーのミラーレスカメラ最上位機種である NEX-7 では、その EVF にて構図決定が出来る程度のファインダー視認性だったが、E-M5 では残念ながら奥の灯り以外はまったく何も見えない状況であった。 ( 写真を Click で拡大 )
● 実画像はコチラ

※01 RAW 撮影
 Raw ( ロウ ) = 生 ( ナマ ) の意味。デジタルカメラ内の受光センサーから送り出されてきた電気信号に一切の加工を加えていないデジタルデータのこと。  デジタルカメラのうちレンズ交換式一眼レフや同ミラーレスカメラなど、本格的な写真作品創作をも前提としている機種では…… --> 続きを読む  戻る
※02 AdobeCameraRaw
 前掲の Raw ファイルを現像処理するための Adobe ( アドビ ) 社のソフトウエアモジュールの総称。このモジュールは……--> 続きを読む  戻る
   
■ ダイナミックレンジと階調性
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● 明暗差記録可能域!

 

 次に、撮影した写真画像に反映されるカメラ特性を述べてみたい。まず最初に、「 ダイナミックレンジ 」 について調べてみた。ダイナミックレンジとは、カメラが1回の露光で記録可能な明暗差のことをいい、写真的には絞り段数 ( あるいはシャッター段数 ) で何段分の明暗差を記録できるというような言い方となる。

 テスト方法はさほど難しくない。図-5のように、カメラはレンズをとりはずした状態で使う。「 ピクチャーモード 」 は 「 Flat 」 がいいだろう。ホワイトバランスはオートか屋外光活用ならデーライトに。JPEG 撮影としておく。また、「 メニュー ⇒ カスタム ⇒ 露出 / 測光 / ISO ⇒ 露出ステップ 」 でステップ数は 「 1/2EV 」 を選んでおく。 マニュアル露出設定にし、シャッター速を 1/30 にセット、背面表示の露出インジケーターが適正露光 ( プラマイ0 ) 表示になるように、ISO 感度と白紙面の明るさ ( 光源の距離 ) を調整する。ISO 感度はあまり高くするとノイズの影響で測定誤差が生じやすい。ISO = 800 程度が上限である。

 この状態で、シャッター速 1/4000 から1秒まで、1/2EV ずつ速度を変化させながら都合 25 コマ、撮影を繰り返す。撮影された JPEG 画像を Photoshop でオープンして、全ての画像の同じ位置の RGB 値を読み取って平均値を計算して図-6Aの表を作成、図-6Bのようなグラフを作成する。このとき Photoshop の 「 ファイル ⇒ スクリプト ⇒ ファイルをレイヤーとして読み込み 」 コマンドを使えば、撮影した複数の画像ををレイヤーに重ね合わせてオープンしてくれる。さらに、ツールパネルの 「 カラーサンプラーツール 」 を活用すれば、読み取りたい位置を確実に固定できる。 読み取った結果は、グラフ用紙にプロットしてもいいし、表計算ソフトで 「 散布図 」 グラフを作成してもいい。

 図-6Cの青線のようにグラフに、ダイナミックレンジを読み取る線を引いてみよう。僕らが普通に使う 「 実用ダイナミックレンジ 」 は、階調値が約 5 〜 250 に対応する EV 値である。縦軸の 5 と 250 付近から水平線を延ばし、グラフカーブと交差したら垂直下方に線を下ろす。この二つの平行線の間の EV 値の幅が 「 実用ダイナミックレンジ 」 である。

※ カメラの工業規格などにおけるダイナミックレンジは異なる手法が存在する。

 このようにして求めた本カメラのダイナミックレンジは、約 9.5EV、絞り値で9段と2分の1絞り分の被写体の明るさの変化を記録できるということが分かる。ちなみに、デジタルカメラは、標準的な撮得モードのときに、中庸な明るさの物体 ( 18% 反射率の物体 ) を適正露光で撮影すると、その RGB 値が 118 になる前提で設計されている。図-6Cの緑線のように、作成したグラフの縦軸の 118 の位置からグラフのカーブに接する水平線を描き、さらにその交点から垂直線を下ろして横軸を読み取る。その位置からハイライト規準点までは約 3.7EV の距離があることがわかる。すなわち、適正露光によって得られた 18% 反射率の物体の明るさよりも3絞りと3分の1段、明るい物体までは階調飛びを越さず記録できるが、それ以上明るい、たとえば陽光を浴びて白く輝く雲など、がある場合は、その階調は記録されず白飛びしてしまうことを意味している。このことを 「 ハイライト側ダイナミックレンジ 」 と言う。

 ちなみに、業務用一眼レフデジタルカメラなどでは、ハイライト側ダイナミックレンジをできるだけ広める工夫がなされていて、18% 反射率の物体の明るさよりも約 4.5 〜 5 段明るい物体まで白飛びしないように撮影できる。E-M5 のダイナミックレンジ = 9.5EV は最近のデジタルカメラの中では一般的な値と思うが、ハイライト側ダイナミックレンジが 3.7EV というのは、若干もの足りない。このままだと晴天屋外などで真っ白な物体などが白飛びを起こしてしまうことが懸念される。ミラーレスカメラは、業務用サブ機としても普及して行くだろうから、せめて 4EV、欲を言えば 4.3EV 以上は確保してもらいたいものだ。しかし、E-M5 でも RAW 撮影し、Adobe CameraRaw にて現像すると、もう少しダイナミックレンジを広くできたことを補追しておきたい。

 なお、ハイライト階調だけに限って言えば、1段アンダー露光で撮影し、その分明るくなるように RAW 現像したり、カメラのメニューの深層部にある仕上がりの設定要素 ( たとえばハイキー / ローキー設定 ) を明るく仕上がるように設定しておけば、0. 5 〜 1絞り程度のハイライトダイナミックレンジの拡張が可能である。


▼図-5 ダイナミックレンジのテスト
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マウント部分には光を拡散する白紙やハンカチをかぶせておく。あとでかぶせる枚数を調整できるように数枚の予備を準備しておこう。E-M5 では、レンズを外した状態で、ボディ側マウント向かって右横のロックピンを押し込むとシャッター速などが調整できなくなるので要注意。 三脚に固定したカメラを窓際から外光へ、あるいは、室内なら光源に向ける。ただし、高速に点滅している蛍光灯光源はたとえ写真用であっても使わない方がよい。数千分の1秒のシャッター速のときに精度を出せないからである。
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▼図-6A ダイナミックレンジの鑑定 A
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▼図-6B ダイナミックレンジの鑑定 B
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▼図-6C ダイナミックレンジの解説
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A : R・G・B 各チャンネルの階調値を表の 「 階調値 」 覧に記入し、平均値を計算。階調値がゼロから増えてゆき 255 になった行の 「 EV 」 覧にゼロを記入。このゼロを起点に階調値が小さくなる方向に、-0.5、-1.0、-1.5 と -0.5 ずつ減ってゆく数値を記入する。この数値は、被写体の輝度 ( 明るさの度合い ) が、-0.5EV 値 ( 絞り 1/2 段 ) 分ずつ暗く ( 濃く ) なっていることを意味する。
B : 表をグラフに描く。
C : 横軸がEV値、縦軸が階調値だ。図の青線、緑線のように縦軸の 5、118、250 から水平線を引き、グラフ交差ポイントで垂直線を下ろすとダイナミックレンジが読み取れる。
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■ 被写体記録特性はいかに?
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● カメラの第一義的な使命

   カメラは、外界の事物を忠実に記録することが一義的な使命だと僕は思う。忠実に 「 記録 」 さえできていれば、後工程でいかようにも 「 再生 」 する処理を加えることができるからだ。一方で、実際に忠実に記録したデジタルカメラデータをそのまま表示したり、あるいはプリントしたりすると、僕らはその絵像の見えに違和感を覚える。現代社会では、「 好ましい画像 」 への価値がテレビジョンや数多くの印刷物などによって形作られていて、僕らもそういう価値観が刷り込まれているため、忠実記録の画像に大きな隔たりが生じているのである。

 そこで、カメラ以後の工程で何も処理を加えない大半のカメラユーザのために、デジタルカメラ内には 「 好ましく処理 」 するプロセッサーが組み込まれた。いわゆる 「 画像処理エンジン 」 ってやつだ。このエンジンには、いろいろな能力がある。風景、ポートレート、夜景、フラッシュ使用などの撮影環境による 「 好ましく 」 なるように露出を決定すること、撮影後ほぼ同時に好ましい仕上がりに画像処理すること、さらには、「 デイドリーム 」、「 ファンタジックフォーカス 」、 他、「 好ましさ 」 を越えたアーティスティックな創作処理もまたエンジン君がやってのけてくれる。

 僕は、こうした 「 好ましさ 」 や 「 アートさ 」 への付加機能は、カメラレビューなどで鑑定評価する必要性をまったく感じない。なぜなら 「 好み 」 や 「 アート 」 というのは、「 善し悪し 」 ではなく 「 好き・きらい 」 であるし、そもそも冒頭に述べたようにカメラの第一義的使命ではない。どうでもよいと言っているわけではないが、僕が個人の嗜好で他人様がよかれと思い組み込んだ 「 嗜好的 」 仕上がり結果をコメントするのはおこがましいと思う。 そこで、ここでは、本質的にカメラが持っているべきもっともベーシックな被写体を記録する能力 ( 被写体を再生する能力ではない ) について、鑑定してみた。

● 階調記録特性

   鑑定には、図-7のように、自家製カラーチャートを使った。インクジェットプリンタでプリントしたこのカラーチャートを、画面中央部にやや小さめに適正露光で撮影し、データ上のチャート各色のカラー値を Photoshop で調べ、図-8A図-8Bのように二つのグラフを描いた。 撮影にあたっては写真用デーライト蛍光灯照明を使ったが、屋外で撮影してもよいだろう。鏡面反射のある光沢紙に印刷したチャートなので、カメラ側が白いと映りこみが生ずる。そこで約 60 × 90 センチの黒いウレタンパネルをついたて状に立てかけ、中央に空けた穴からのぞき込むように撮影した。

 図-8Aのように、「 ピクチャーモード 」 のどの設定においても、特性はS字形状となっている。このS字形状によりグラフ中央付近の傾きを 45 度よりも急峻にしてコントラストを高めつつ、ハイライト ( 右肩部分 ) は白飛びしにくく、シャドウ ( 左脚部分 ) は黒つぶれしにくい画像を得ている。 「 ピクチャーモード 」 が 「 Natural 」 と 「 Vivid 」 のときの階調特性はほぼ同じであり他のモード時よりも最もコントラストが高まる傾向に記録される。 「 Flat 」 モードのときは、L=50 ( 被写体反射率 18% ) より明るい領域でやや低コントラストで暗い目の画像となるが、ハイライト領域のグラフ傾斜角度は 「 Natural 」 と 「 Vivid 」 よりも急傾斜であるので、被写体として白の中に微妙な模様があるような、たとえばブライダルで言えば白無垢の和装、白いウエディングドレスなどの場合は、「 Flat 」 の方が、その濃淡差をよく表現記録できることになる。そういう見方をすると 「 Flat 」 と名付けるのは誤解を招きやすいと言える。 このS字形状の階調記録特性は多かれ少なかれ、各社のデジタルカメラ共通の傾向である。OM-D E-M5 は、若干コントラストが強めではないかという印象を持ったが他機との比較はまだ行っていない。 「 Portrait 」 モードの記録特性は、グラフ全体が他よりも若干上方向に移動している。すなわち全体に明るめに記録されることを意味する。また、L 値が 70 以上のハイライト領域のグラフの傾斜は 「 Flat 」 と同様の傾向を持っている。

 「 ピクチャーモード = Flat 」 または 「 Portrait 」 が僕としてはなじみやすい。しかし、僕自身は RAW モードで撮影するので、どの設定であっても無関係で後から好みの特性にして現像している。被写体に忠実に記録する、すなわちグラフが 45 度右上がりの傾斜を持って曲線ではなく直線となる 「 ピクチャーモード 」 は存在しない。僕は、デジタルカメラ黎明期から、RAW 撮影ができるような上位機種には、この直線特性の撮影モードがあるべきだと主張してきたが、今のところそのようなカメラはないようだ。したがって、もし、忠実度を高めたいような撮影では、RAW 撮影しておき現像ソフトのトーンカーブ機能に 「 逆S字特性 」 を与えて現像すれば目的を達成できる。図-9に Adobe CameraRAW 現像ソフトにて逆S字カーブを与えているようすを示す。

● 色彩記録特性

   図-8Bのグレー三角マークは、「 ピクチャーモード = Flat 」 にて 「 カラー設定 = AdobeRGB 」 のときの色彩記録特性である。赤丸マークは、被写体のカラー特性を表している。もし撮影結果のマークが、この赤丸と重なれば被写体の色を忠実に記録しているということを意味する。

グレー三角マークは、グラフ中央から八方に広がって行く特性において、C ( シアン色 ) の色相方向 ( 時計文字盤の7時方向 ) 以外については、赤丸マークとほぼ同じ 「 角度 」 で広がっていることが分かる。すなわち、「 色相 」 ( 中心から放射状に広がる角度 ) がほぼ忠実に記録されていることを意味する。なお、シアン色は、若干グリーン方向にずれて記録されているが三角マークの連なり具合はほぼ直線的であり実写で違和感はないであろう。

一方、被写体の鮮やかさ ( = 彩度 ) については、各色相で記録特性に差異がある。赤色相 ( 時計文字盤で2時 ) 、マゼンタ色相 ( 同3時 ) 、緑色相 ( 同9時 ) の三つの色相においては、彩度 ( 中心点からの距離 ) 記録特性がほぼ忠実で、高彩度の色もその鮮やかさを維持して記録されていることが分かる。

それ以外の色相については、高彩度色が赤丸マークより内側にあり 「 伸び悩み 」 状態になり鮮やかさ不足の記録特性である。これは、カラー値を記録する記述ルールである 「 AdobeRGB カラースペース 」 そのものが、この頭打ちポイントより高彩度を記述する能力を持っていないことに起因している。

ただし、グレー三角マークのずれを子細に観察すると、もっとも彩度が高い外側にある三角マークと、外から二番目の三角マークが伸び悩み頭打ちとなっているが、それより内側の三角マークは、対応する赤丸マークのそばに居続けていることがわかる。つまり非常にあざやかな色合いについては彩度を忠実に記録できていないが、それ以外の色合いはほぼ忠実に記録できていると言えるわけである。

以上は 「 グレー三角マーク = AdobeRGB 」 の色彩記録特性であるが、「 青丸マーク = sRGB 」 については、さらに大きく高彩度色を忠実に記録しきれていないことがわかる。特に、6時方向の青から9時方向の緑までの色合いについては、「 彩度半ば 」 で 「 頭打ち ( = 飽和 ) 」 となっている。そればかりか、元来、グラフ原点 ( 中心 ) から凛と八方に直線的に伸びるべき点の連なりが、頭打ちにともない折れ曲がっている = 色相がずれていることがわかるだろう。これは、記述ルールで AdobeRGB カラースペースの限界以上に、sRGB がさらに狭い色域しか記述できないことに起因している。

そして、このひどくゆがめられた色彩記録特性は、どのメーカーのデジタルカメラであっても、カラー設定を sRGB にする限り回避できないものであり、僕は大いに不満なのだ。なぜ、このような古典的で不完全なカラースペースを未だに標準として使い続けるのか!

冒頭に述べたように 「 カメラは外界を忠実に記録する 」 ことを第一義としているわけであり、僕は、カメラメーカーが sRGB をデフォルトとしている現状は大きな問題であると考えている。たとえ、表示モニターやカラープリンターなどが、表現できない色合いであったとしても、それは出力 ( 再生 ) の限界・制限であって、記録 ( 入力 ) をそれに合わせて制限するのはまちがいだと言いたいのだ。

オーディオに置換して考えてみよう。美しい音色の小鳥のさえずりのような高音域が、たとえ、あるオーディオアンプとスピーカーによっては再生できない高音域であったとしても、オーディオレコーディング段階では確実に記録しているはずだ。

ところが今日のデジタルカメラの発想は、どっちみちアンプやスピーカーでは出せない音だから、たとえ実際に見えていても、データ上に記録する必要は無い〜というスタンスなのだ。これからのデジタル写真の状況や環境を構成して行くメーカーや研究者各位は、今一度、この有様を、再生機器メーカーとともに強く再考願いたい。

図-10A図-10Bは、自作カラーチャートのもっとも右端の 10 色 = 自然界の典型的なカラー群について、そのオリジナルカラーが各ピクチャーモード ( sRGB 時 ) でどのように記録されるか? をグラフ化したものである。個々の色合いについて詳しくは述べないが、図内の矢印のようにオリジナルカラーをシフトさせて記録していることがわかる。

これらのグラフの細部を捕まえて、そのカメラのカラー記録性を議論するのは意味あることではない。どっちみちゆがめられて記録されているのだから無駄なあがきである。それよりも、試写した結果とグラフの示す意味を照合して 「 クセを把握 」 し、自らの写真表現に活かしてほしい。



 

▼図-7 デジタルカメラカラー特性鑑定用カラーチャート
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チャートは、横 10 列、縦 10 行 = 100 色とした。左端第一列は 「 Gray 」 と命名し、若干濃い白 ⇒ グレー ⇒ 漆黒の 10 段階の変化のあるグレーステップとした。 二列目から右方向へ、赤・黄色・マゼンタ色・紫・青・シアン色・緑・黄緑の8色相を各列に並べアルファベット名を付与した。最も右列は 「 Typical 」 と命名し、上から6色目までは、市販カラーチャートの代表色 「 グレタグマクベスカラーチェッカー 」 ( ※03 ) に存在する自然界の代表色に近似した色を並べ、同列下4色は、僕が独断で加えた肌色と青空色の追加代表色を配置した。 R から YG までの、8色相のカラーは、最上段が最も鮮やかで、下段に行くに従いにごって ( = グレーに近づいて ) 徐々に低彩度になった状態である。各列の最上段の高彩度カラーは、各社のインクジェットプリンタ + 純正写真用紙 ( グロッシー ) にて再現可能な彩度より、さらに若干にごった色合いとしていて、容易に正確にプリントできるように工夫している。 また、上辺と下辺のグレー地は、反射率 18% としていて、撮影後、Photoshop などでこの部位の RGB 値が 118 前後になっていることを確認すれば、撮影が適正露光であったか、照明にムラはなかったかなどを確認できる。 チャートのデータは、Photoshop の Lab カラーモード ( ※04 ) で作成し、プリント時には 「 カラー処理 = Photoshop によるカラー管理 」、「 マッチング方法 = 相対的な色域を維持 」 にてプリントした。いわゆるカラーマッチングプリントである。 ( 図を Click で拡大 )

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▼図-8A 階調記録特性 A
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▼図-8B 階調記録特性 B
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A : 階調記録特性 E-M5 の 「 ピクチャーモード 」 を 「 Natural 」、「 Vivid 」、「 Flat 」、「 Portrait 」 の各設定で撮影したときの階調記録特性をひとつのグラフ上に描いた。カメラのメニュー 「 メニュー ⇒ カスタム ⇒ 画質 / 色 / WB ⇒ カラー設定 」 は 「 AdobeRGB 」 としたが、階調記録特性は 「 sRGB 」 でも同じであった。横軸は、被写体のカラーチャートの 「 Gray 」 列の測色値である Lab 値のうち L 値を目盛っている。この値は、プリントしたチャートを測定しないと得られないが、プリントデータ上にある値を Photoshop で調べれば近似値が得られるのでそれを使ってもよい。縦軸は、撮影データを Photoshop で Lab に変換し L 値を読み取った値である。 なお、グラフ上で相対比較しやすいように、最小値と最大値がグラフ原点ゼロと最大値 100 に位置するよう、それぞれ読み取った値に係数をかけて補正している。
B : カラー記録特性 「 R 〜 YG 」 までの各色相のカラー値について、チャート上の実測カラー Lab 値と、撮影記録されたデータ上の RGB 値から導き出される Lab 値のうち、 「 a 」 と 「 b 」 の値を横軸と縦軸にしてグラフを作成した。このグラフは、中心 ( 縦軸・横軸ともに0 ) がグレーを意味し、そこから遠ざかるほど鮮やかな色であることを示す。また、真上が黄色で時計回りに色合い ( 色相 ) が変化していることを意味する。 グラフ中、大きな赤丸がオリジナルチャートの各カラーの位置となる。撮影データのカラー値が、この赤丸点とぴたりと重なれば忠実に撮影記録されたことを意味する。この調査も 「 ピクチャーモード 」 を 「 Natural 」、「 Vivid 」、「 Flat 」、「 Portrait 」 の各設定で撮影したときのものが存在するが全部をお見せしてもあまり意味あるものではないので 「 ピクチャーモード = Flat 」 について、「 メニュー ⇒ カスタム ⇒ 画質 / 色 / WB ⇒ カラー設定 」 が 「 AdobeRGB 」 と 「 sRGB 」 にしたときを示す。
( 図を Click で拡大 )

▼図-9 高忠実な階調特性を得るための AdobeCameraRaw 現像ソフトの現像設定例
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図のようなトーンカーブを設定し、かつ、露光量を調整することで被写体に高忠実な階調変化を得ることが出来る。絵画の複写や、色つき商品の一部分の撮影などでは役立つ。
( 図を Click で拡大 )

▼図-10A ピクチャーモード 「 Natural 」 と 「 Portrait 」 における肌色のカラー値記録特性
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赤丸マークのオリジナルカラーは、おおむね0原点から遠ざかる = 鮮やかになる方向にシフトしている。全体としては、グラフの上方向へのシフトの方が、右方向へのシフトよりも多い。すなわち肌色の黄色成分を増量したような傾向となっている。階調記録特性で述べたように、 「 Portrait 」 ( 赤三角マーク ) を選ぶと、「 Natural 」 ( 青丸マーク ) よりも明るめに記録するのだが、明るさについてはそうであっても色合い ( 色相や彩度 ) についてはピクチャーモードによる違いは少なく,グラフ座標上でほぼ同じような位置となる。
( 図を Click で拡大 )
▼図-10B ピクチャーモード 「 Vivid 」 と 「 Flat 」 におけるカラー値記録特性
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このグラフで着目したいのは、そもそも6時から9時方面のカラーを sRGB カラースペースでは正しく記録する能力がないのでどのように 「 違和感なくゆがめて 」 記録しているか? という点である。オレンジ四角マークが、sRGB カラー設定でピクチャーモードを 「 Vivid 」 としたとき、緑三角マークが 「 sRGB・Flat 」、青三角マークが 「 sRGB・Natural 」 である。 「 Natural 」 については、赤丸マークが原画の色合いであるので、そんなに遠い位置に移動してはいない。しかし、VividやFlatでは水色矢印のように色相が変化する方向に移動していることが分かる。また、「 Flat 」 と 「 Vivid 」 では移動する方向が赤丸マークを挟んで逆方向である。このグラフが示している色合いは典型的な青空色なのだが、「 Flat 」 ではグリーンが増える、おとなしい青空色に、「 Vivid 」 では紫系の濃い青空色へと色相が変位して記録されている。
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▼図-11 sRGB によって記録できなかった色合いの一例とその AdobeRGB 撮影画像
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上段はカラー設定を sRGB にして撮影した結果、下段はカラー設定を AdobeRGB とした結果である。このように、赤やオレンジなどに両者の表色の違いはきわめて少ない。しかし、青緑色 ( エメラルドグリーン ) のドレスについては、ひどく表色に違いがあることがわかる。実際の色合いは下段の画像に近いのだが、JPEG 撮影で、sRGB モードでシャッターを押したときは、記録されたデータそのものが上段の画像のように 「 偏色 」 して記録されるのだ。なお、Web マガジン上では、読者諸氏のモニター表示環境によって、実際の色合いが正確に伝わらないために、ここでは、両者の違いを相対的に把握できるような画像作りとしている。 ( 図を Click で拡大 )



▼図-12A ピクチャーモード 「 Natural 」
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図-12E ( 忠実化処理画像 ) と比べるとピクチャーモードが 「 Natural 」 とは言うもののかなりコントラストは高い。
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▼図-12B ピクチャーモード 「 Vivid 」
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鼻のピンク色、グリーンアイなどを図-12Aと比べれば、色合いが鮮やかになっている。コントラスト感は 「 Natural 」 と同じと言ってよい。
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▼図-12C ピクチャーモード 「 Flat 」
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「 Flat 」 では、鼻から額への逆V字形の白い毛並みのディテールが 「 Natural 」 よりも明瞭になった。呼び名は 「 フラット = 平坦 」 ではあるが、このようにハイライトとシャドウしかないような被写体ではかえってコントラストになった印象となる。
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▼図-12D ピクチャーモード 「 Portrait 」
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「 Portrait 」 で記録すると全体が明るく記録される。中間調成分が少ないので分かりにくいが、左下の白い毛の影部分や、両耳の明瞭感に違いがある。また、ハイライト部は 「 Flat 」 同様のコントラスト感となる。常用するならこの 「 Portrait 」 モードをおすすめする。
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▼図-12E AdobeCameraRaw による高忠実化トーンカーブ補正
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Adobe 社の RAW 現像モジュール 「 AdobeCameraRaw 」 を使って、図-9 の高忠実化トーンカーブ補正を加えて現像したもの。ハイライトディテール・シャドウディテールまで十分に再現される。反面、絵像はどことなくにごったイメージとなり、メリハリ不足に感ずるだろう。しかし、創作表現はここからはじまると確信している。 ( 写真を Click で拡大 )
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※03 グレタグマクベスカラーチェッカー
 Gretag-Macbeth ( グレタグマクベス ) 社が、1976 年に作成した伝統的なカラーチャート。24 色からなっていて、色彩学的によく検討・設計されたカラーチャートとして……
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※04 Lab モード
 Photoshop はいくつかのカラーモードを取り扱うことができる。カラーモードとは、色を再現するために必要な要素色の種類を言う。ポピュラーなカラーモードとしては……
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■ 次回予告
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   本レポートの次回、第三回目は、レンズの鑑定を中心に展開したい。

 カメラボディのレビューでは、どちらかというと 「 数量 」 で見極めるような手相鑑定をやってみた。これは、他のレビュー記事などにそういう手法があまりポピュラーではないという理由もあり、ユーザーとしていつもの主観評価に加えて定量的な把握手法を示したいからでもある。

 一方、レンズについては、従来から解像力や MTF 特性評価など定量的にレンズの能力を見極めできる。けれども、僕は、工業製品としての不良品でないかぎり現代レンズ ( その大半が日本で設計・品質管理されている ) の解像力などは必要十分なレベルにあると考えているので数量化して鑑定することはまずない。そのようなことから、解像力やその他のレンズ性能の数量化は行わずに、僕独自の手法による実写テストを介してそちらを見極めたいと思う。乞うご期待!

■ 協力企業 ■
ケンコートキナー
オリンパスイメージング

■ 制作・著作 ■
スタジオグラフィックス
笠井アキラ
   
 
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初出:2012/09/26 このページのトップへ
 
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