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ND8フィルターを装着して撮影 ~シャッター速度と絞りの関係~ |
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三脚でカメラを固定して、レリーズを取り付けたら準備完了。NDフィルターの実験を開始しましょう。
ところでせっかくの実験ですから、シャッター速度と絞りの関係も学習しやすいように手順を追って説明します。
まずはファインダーで構図などを確認して、プログラムオートで写真を1枚撮ってみます。プログラムオートではカメラが測光した情報を元に適切と思われるシャッター速度と絞り値で撮影されます。
作例01 |
フィルターなしで撮影した場合。シャッター速度1/100 絞りF5.0。 |
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この写真の撮影データはシャッター速度1/100、絞り値はF5.0となりました。なんとも普通の写真ですが、逆にシャッター速度を上げて撮るにはどうしたら良いでしょうか。ひとつはモード設定をシャッター速度優先モードに設定して速いシャッター速度で撮ること、もうひとつは絞り優先モードに設定して絞りを開放して撮ること、です。
作例02 |
フィルターなしで撮影した場合。シャッター速度1/250 絞りF2.8。 |
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作例01と比べてシャッター速度が速くなった分だけ、水の玉がはっきり見えるようになりましたね。
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EOS40Dの場合、絞り優先モード「AV」(Aperture Value)にダイアルを合わせて数値を設定します。 |
上は絞り優先モードに設定して絞りを開放して撮った写真です。使用しているレンズの開放F値が2.8なので、それに設定してあります。絞りを開放したため背景がボケたことがわかるでしょうか?
逆に絞り優先モードに設定して絞り込んで撮ると、シャッター速度は遅くなって水の玉はもっとわからなくなります。
背景のボケは消えてよりはっきりと浮かび上がります(これが絞りによるボケ、被写界深度の深さの違いです)。ここまではフィルターなしでの話しです。
さて、ここでNDフィルターを装着してみます。「ND8」を装着して、作例01と同様にプログラムオートでカメラのシャッターを押してみます。
作例03 |
ND8装着。シャッター速度1/40 F3.5。 |
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ND8を装着してそのまま撮った写真が上です。サングラスのようなフィルターレンズを装着したにもかかわらず、意外と普通の写真が撮れていることに驚く人がいるかもしれません。撮影データを見るとシャッター速度は1/40に、絞りはF3.5となりました。ND8を装着したことによって光量が減ったので、カメラはシャッター速度を遅くするとともに、絞りも開いて光をより多く取り込んだのです。プログラムオートでは、シャッター速度と絞りの両方を調節して適正露出で自動的にきれいな写真を撮ってくれるのです。
このように、ND8を取り付けただけでもシャッター速度が遅い写真を撮ることができます。作例01と比べて、水が糸のように表現されていますね。しかし、絞り値も変わるのでユーザーが思ったほどシャッター速度は遅くなっていません。そこでND8を取り付けた分だけシャッター速度がグッと遅くなるように設定して撮影してみましょう。最初にプログラムオートで撮ったときと同じ絞り「F5.6」に固定すれば、暗いフィルターを装着している分だけ、もっとシャッター速度が遅くなるはずです。モードを「絞り優先モード」にして「F5.6」にセットしてシャッターを押します。
作例04 |
ND8装着。シャッター速度1/20 F5.6。 |
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シャッター速度は1/20になり、水は更に白糸のように見えるようになりました。実際にはもっと絞り込むことができます。つまり、絞り値をF5.6よりもっと大きな設定値にすることで、シャッター速度をもっともっと遅くすることができます。下の写真は絞り値をF22に設定した写真です。
作例05 |
ND8装着。シャッター速度1.3 F22。 |
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露光時間は1.30秒となり、水流はまさに白糸のように、きれいな線を描きました。ND8フィルターを使用することで白糸のような水を撮ることができるとともに、シャッター速度と絞り値の関連を改めて復習することができましたね(笑)。
少し作例が解りづらい? ごめんなさい、比較してみましょう。
作例06 |
左がフィルターなしでシャッター速度1/250で撮影した写真。右がND8フィルターを装着してシャッター速度1.3で撮影した写真です。 |
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光量とシャッター速度、絞り値の関係が理解できていないユーザが完全なマニュアルモードで適当にシャッター速度と絞り値を設定してシャッターを押すと、適切な露出ができずに、真っ白や真っ黒な写真になってしまうことがあります。
しかし、「絞り優先モード」や「シャッター速度優先モード」にセットした場合は、ユーザが設定した絞り値やシャッター速度の設定を尊重し、その設定に合わせて絞り値を変更して適正な露出をカメラが自動で設定してくれるので失敗写真は大幅に減らすことができます。
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