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夜景写真家・岩崎拓哉の夜景撮影講座
第41回 東北で最も被写体のバリエーションが豊かな青森夜景の撮り方

Posted On 23 4月 2018
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Photo : Takuya Iwasaki

TOPIX

九州から岡山と移動してきた、夜景写真家・岩崎拓哉の夜景撮影講座は今月は一気に北上し、青森夜景の撮り方をお届けします。先月に引き続き夜景スポットのイメージが薄い地区ですがライトアップから工場、大パノラマまで様々な被写体が楽しめると筆者は述べております。それではご覧ください。 by 編集部

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4月も末になり、日中は真夏日に近いほどの暖かい日が続くようになりました。北海道や東北、日本海側の夜景スポットも雪解けと共に訪問出来る場所が増え、撮影スポットが豊富な時期でもあります。今回は東北地方で最も夜景スポットが充実した青森県を紹介。「青森=夜景」はなんとなく、イメージしづらいと思いますが、ライトアップから工場、大パノラマまで様々な被写体が楽しめます。

写真1 青森ベイブリッジを写す

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■青森県の特徴

青森県の人口は約138万人で、東北地方で最も人口の多い宮城県の230万人に比べると、100万人近く少ない。本州の最北端にあるため、関東からでも相当距離があるが、東北でも有数の夜景観光都市とも言える。人口だけを考えると宮城県(仙台)の夜景が最も美しいイメージがあるが、俯瞰(ふかん)夜景が中心で、眺める分にはキレイだが、作品として撮るには特徴を出すのが難しい。秋田県や岩手県にも夜景スポットがあるものの数が少なく、北東北では間違い無く、青森県の夜景が最も美しいと言えるだろう。

写真2 青森県の地図

青森県の地図

青森県は本州の最北端にあり、函館との間で旅客フェリーの定期航路も運行している。関東からは陸路であっても、移動は1日がかりだ。

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■青森県の夜景撮影のポイント

青森=夜景のイメージは東北以外の人には浮かびづらいが、白神山地などの世界遺産観光と合わせて訪問するのも良いし、せっかくなら夜景撮影も楽しんで欲しい。東北地方の最北部にあるため、雪の影響が大きいが、雪が降っていない時期を狙えば、それほど撮影は難しくない。十分な防寒着と強風時にも耐えられる三脚、広角・標準・望遠のズームレンズがあれば、ほとんどのシーンで問題無く撮影できるだろう。

写真3 釜臥山展望台

釜臥山展望台と駐車場

10月中旬に自家用車でむつ市にある釜臥山を訪問。当日は雲がやや多かったものの、空気が澄んでいてベストコンディションであった。

(1)気象条件:むつ市も訪問するなら10月末までを狙う

青森県内は初冠雪の観測は八甲田山や岩木山で10月上旬頃(2017年時点)。11月に入ると、むつ市の釜臥山は登山道が閉鎖されるため、むつ市も訪問するなら「公式サイト」を参考の上、10月末までがベスト。青森市内や八戸市内は11月でも山間部を避ければ、まだ大丈夫だろう。

(2)撮影機材:広角レンズも望遠レンズも活かせる

三脚が禁止されている施設はほとんど無いため、手ブレ対策で困ることはないが、山間部は風が強いので、丈夫な三脚が望ましい。撮影する被写体やエリアによってレンズの画角を使い分ける必要があり、青森市内でベイブリッジを撮るなら広角レンズが必要なシーンもあり、八戸市内で工場夜景を撮る時は望遠レンズがメインとなる。

(3)訪問手段:飛行機または新幹線で

関東圏や函館方面からの訪問であれば、新幹線での移動がスムーズ。関東より西側のエリアからの訪問は飛行機利用がメインとなるだろう。

(4)移動手段:青森市街地以外は車移動が基本

アスパムや青森ベイブリッジがある青森市街地は徒歩でも巡れるが、他のエリアは基本的に車が無いと移動が困難。駅前や空港でレンタカーを借りるのも良いだろう。

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■撮影スポット(1):釜臥山(むつ市)

「秘境夜景」とも称される本州で最も最北端に位置すると言われる夜景名所。青森市内からでも車で2時間以上かかるが、アゲハ蝶のような形をした夜景が幻想的。街明かりの光量もそこそこ多いが、風の強い日が多いので丈夫な三脚が欠かせない。トワイライトタイムは広角寄りで、完全に空が暗くなってからは標準域で写すと良いだろう。なお室内からも撮影できるが、写り込み対策が必要なので、できるだけ屋外から撮りたい。(地図

写真4 トワイライトタイムにアゲハ蝶を写す

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 [ ボディ:CANON EOS 6D/ レンズ:EF16-35mm F4L IS USM/ 焦点距離:28mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:15秒 / 絞り数値:F8 / ISO感度:800 / WB:白色蛍光灯

写真5 標準レンズでアゲハ蝶を写す

暗くなってからの釜臥山からの夜景

[ ボディ:CANON EOS 6D / レンズ:SIGMA 50mm F1.4 DG HSM / 焦点距離:50mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:5秒 / 絞り数値:F8 / ISO感度:1600 / WB:白色蛍光灯 ]

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■撮影スポット(2):アスパム展望台(青森市)

青森県で数少ない夜景を観賞できる展望室。360度の大パノラマが広がり、青森港や市街地が見渡せる。建物自体がライティングされるため、ライトがあたる向きを写すと写り込み対策が困難になるため、方角の見極めが必要。トワイライトタイムの青森港は絶景。なお、写り込み対策は過去の記事「第14回:展望室で夜景を綺麗に撮るコツ」を参考にして欲しい。(地図

写真6 青森ベイブリッジと青森港を写す

アスパムからのトワイライトビュー

[ ボディ:CANON EOS 6D / レンズ:EF16-35mm F4L IS USM / 焦点距離:16mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:20秒 / 絞り数値:F8 / ISO感度:200 / WB:白色蛍光灯 ]

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■撮影スポット(3):青森ベイプロムナード(青森市)

中央ふ頭の先にある遊歩道。デッキがフットライトで照らされており、夜間の訪問も安心できる雰囲気になっている。青森ベイブリッジを正面に見渡せるが、被写体とは距離があるので、望遠レンズを使うと良いだろう。風が強い日はISO感度を400~800ぐらいに設定すると安心。(地図

写真7 正面に青森ベイブリッジを移す

ベイプロムナードから青森ベイブリッジを写す

[ ボディ:CANON EOS 6D / レンズ:TAMRON SP 70-300mm F4-5.6 Di VC USD (Model A005) / 焦点距離:88mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:10秒 / 絞り数値:F9 / ISO感度:400 / WB:白色蛍光灯 ]

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■撮影スポット(4):館鼻公園(八戸市)

八戸を代表する夜景スポット。高台にあるため見晴らしが良く、街明かりだけでなく、火力発電所を中心とした工場夜景も見渡せる。無料開放された展望室からはより高い場所から夜景が見渡せるが定休日があるので訪問時は注意。作例はシャッターを長時間空けて、水蒸気と水面をなめらかに写している。水蒸気を止めて臨場感を出すなら、逆にISO感度を上げて、高速シャッターで撮影すると良いだろう。(地図

写真8 八戸火力発電所を写す

館鼻公園から火力発電所を写す

[ ボディ:CANON EOS 6D / レンズ:TAMRON SP 70-300mm F4-5.6 Di VC USD (Model A005) / 焦点距離:147mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:20秒 / 絞り数値:F11 / ISO感度:200 / WB:白色蛍光灯 ]

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■撮影スポット(5):諏訪1丁目(八戸市)

河川敷から八戸セメントの工場夜景が写せる。正面にあるNSPタワーは期間限定でライトアップされるそうだ。撮影には特に注意するポイントは無いが、NSPタワーを縦位置で写したり、広角レンズで星空を写し込むような構図も良いだろう。(地図

写真9 八戸セメントのNSPタワーを写す

八戸セメント

[ ボディ:CANON EOS 6D / レンズ:EF24-105mm F4L IS USM / 焦点距離:47mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:15秒 / 絞り数値:F8 / ISO感度:640 / WB:白色蛍光灯 ]

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■撮影スポット(6):八太郎3号ふ頭緑地(八戸市)

八戸飼料穀物コンビナートが見渡せる公園。製油所や化学工場のような煌めきはないが、サイロと繋がるコンビナートが特徴的で、写真映えする。撮影後にRAW現像でシャープネスを強めにかけると、より迫力ある作品に仕上がるだろう。右手に見えるオイルタンク群を望遠レンズで写すのも良いだろう。(地図

写真10 飼料穀物コンビナートを写す

飼料穀物コンビナートを写す

[ ボディ:CANON EOS 6D / レンズ:TAMRON SP 70-300mm F4-5.6 Di VC USD (Model A005) / 焦点距離:70mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:8秒 / 絞り数値:F8 / ISO感度:400 / WB:白色蛍光灯 ]

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■青森でおすすめの観光スポット「龍飛崎」

津軽半島の最北部にある観光名所。津軽海峡を中心とした見晴らしが良く、車が通れないことで有名な階段国道(国道339号線)や青函トンネル記念館なども有名。青森市内から2時間近くかかり、付近には夜景スポットはほとんど無いが、観光や昼間の風景撮影メインならおおいに楽しめるだろう。

夜景スポット名所在地:青森県東津軽郡外ヶ浜町字三厩龍浜

アクセス:JR青森駅から車で約1時間40分~2時間

料金:無料

URL:龍飛崎|青森県観光情報サイト アプティネット

写真11 津軽海峡を写す

龍飛崎からの風景

龍飛崎から津軽海峡を見渡す。視界一面に海が広がり、どの方角を撮っても絵になる。

岩崎拓哉
著者について
■ 夜景写真家 岩崎 拓哉 ■1980年生まれ。大阪府出身、神奈川県在住。法政大学経済学部卒。 2003年より夜景写真家を志し、日本全国や海外で夜景を撮影。 Webエンジニアの経験も活かし、「夜景INFO」などの夜景専門サイトを立ち上げる。カメラ雑誌の原稿執筆、夜景撮影の講師経験も豊富。総合・国内旅行業務取扱管理者の資格も持つ。 著書に「プロが教える夜景写真 撮影スポット&テクニック(日経ナショナルジオグラフィック社)」「夕景・夜景撮影の教科書(技術評論社)」。
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