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夜景写真家・岩崎拓哉の夜景撮影講座
第37回 イルミネーション撮影入門

yakeino37

Photo : Takuya Iwasaki

TOPIX

本年最後の夜景写真家・岩崎拓哉の夜景撮影講座は、まさに今がトップシーズンの ”イルミネーションの撮り方”をテーマに取り上げました。クロスフィルター・ソフトフィルターを使用してイルミネーションを魅力的に撮影する方法を解説しております。それではお楽しみください。 by 編集部

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夜景写真家 岩崎 拓哉の夜景撮影講座も今年最後の記事となりました。これまで約3年間に渡って連載を執筆させて頂きましたが、意外なことにイルミネーションの撮影テクニックはまだ執筆していませんでした。そこで、今回は冬の風物詩として親しまれているイルミネーション撮影のポイントを解説します。後半にはイルミネーション撮影と相性抜群のクロスフィルターやソフトフィルターを使った作例も紹介します。

写真1 クロスフィルターを使った作例

クロスフィルターを使ったイルミネーションの作例

定番のイルミネーションの写真にクロスフィルター【PRO1D R-クロススクリーン(W) for wide-angle lens】を使用。フィルター使用前に比べて全体が華やかな仕上がりになった。

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■イルミネーションの撮影・3つの特徴

一般的な夜景の撮影と比べて、イルミネーション固有の特徴があり、結論から言えば、街明かりなどの夜景に比べて撮影難易度は低くなります。天候もほとんど気にせず、手軽に撮影を楽しめるのがイルミネーションの魅力と言えそうです。

写真2 イルミネーションを見上げて撮影

イルミネーションを見上げて写す

天候の影響を受けにくいイルミネーションだが、下から見上げるような構図での撮影は雨が降ると、水滴がレンズにかかるため困難。もちろん、天気が良いに越したことはない。

(1)天候はほぼ不問

夜景と比べて空模様や空気の澄み具合にほとんど左右されず、よほどの強風や大雨以外は撮影に支障を来すことが少ない。雨が降ると路面にイルミネーションの光が反射して、美しさが増す。

(2)構図が簡単

イルミネーションは訪問者に見せるために美しく装飾されており、ブレや露出のミスが無い限りは構図で失敗することも少ない。

(3)手持ちでも撮りやすい

イルミネーションスポットによっては三脚の使用が禁止されている場所があるが、夜景に比べて光の距離が近く、ISO感度を高めに設定して絞りを開放寄りにすれば、手持ちでも十分に撮れるはずだ。

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■イルミネーション撮影の基本1:露出補正で見た目より華やかに写す

イルミネーションはマニュアル露出や絞り優先オートで撮ることが多いですが、イルミネーションによって明暗差があるため、露出補正に悩むことが多々あります。基本的にマイナス補正で撮ることは滅多になく、補正無し~+1ぐらいの間で撮ることが多いです。肉眼で見た状態は補正無しが近くなりますが、華やかさを強調するためにも、作品としてはややプラス寄りが適正と言えそうです。

写真3 露出補正なし

露出補正なし

見た目に忠実な明るさで写っているが、写真で見るとやや物足りない。

写真4 露出補正あり(+1)

露出補正あり

+側に補正することで、全体が華やかな雰囲気に。作例は少し色飛びしているので、好みで+1/3や+2/3ぐらいに設定しても良いだろう。

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■イルミネーション撮影の基本2:絞りのコントロールでボケを美しく

街の夜景はほとんどのシーンで絞って撮りますが、イルミネーションは絞り値のコントロールで作品のイメージが大きく変わります。遠近感のある被写体は背景をボカした方が幻想的に見えます。開放F値の小さい単焦点レンズか、通しでF2.8ぐらいのズームレンズがあるときれいにボケるはずです。

写真5 F2.8(絞り開放)

F2.8

後ろの木のイルミネーションがきれいにボケています。

写真6 F5.6

F5.6

開放から2段絞るだけで、後ろのボケがだいぶ小さくなりました。手前の馬のオブジェクトは全体にピントが合っている感じがします。

写真7 F11

F11

奥に見える木のイルミネーションがはっきりと見えてきました。

写真8 F22

F22

手前から奥までほぼ全体にピントが合っています。肉眼で見た状態に近いものの、写真が単調に感じられます。

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■イルミネーション撮影の基本3:長時間露光で人の姿を消す

イルミネーションスポットで撮影して悩まされるのが人の写り込み。なるべく、人の顔が写らないようにタイミングを考えてシャッターを切りたいところですが、完全に写り込みを防ぐのは難しいところ。三脚が欠かせませんが、感度を最も低い状態(ISO 100程度)に下げ、シャッターを10秒前後開けると動いている人物はほとんど写らなくなる。

写真9 人の姿有り(1/15秒)

人の姿写り込み

1/15秒のシャッター速度は手ブレ補正に対応したカメラやレンズがあれば、手持ちでも撮れる。手持ち撮影は気軽な反面、人物を消すのは難しい。

写真10 人の姿無し(8秒)

人の姿写り込み無し

長時間露光で人物の写り込みを消すことに成功。ただし、人物が止まっていると写り込んでしまうので要注意。

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■クロスフィルターの活用

イルミネーションの撮影とレンズフィルターは相性抜群。様々なフィルターが撮影に活かせるが、まずは代表的なクロスフィルターを紹介。クロスフィルターは線の本数によって種類が分かれるが、一般的には4本(クロス)と6本(スノー)が多用される。どのフィルターを導入するか悩んだら、まずはスタンダードな4本から導入すると良いだろう。

写真11 クロスフィルターのセッティング風景

クロスフィルターの使用イメージ

装着しているフィルターは2017年11月17日に発売されたばかりの「PRO1D R-クロススクリーン(W) for wide-angle lens」の77mm。広角レンズ用に設計されていて、絞った時でも線が途切れにくい。作例は写真15で解説。なお、レンズはCanonのEF16-35mm F4L IS USMを使用。

写真12 フィルター無し

クロスフィルター無し

フィルターを装着しない状態で撮影。そのまま撮影するならもう少し露出を上げた方がきれいに見える。

写真13 フィルター有り(F5.6)

クロスフィルターあり(F5.6)

以前から定評のある「PRO1D plus R-クロススクリーン(W)」で撮影。1段絞って撮影したが、線の途切れはほとんど目立っていない。

写真14 フィルター有り(F16)

クロスフィルター(F16)

F16まで絞ると線の途切れが目立つ。基本的にクロスフィルターは絞り込んでの撮影に不向き。

写真15 フィルター有り(F16) ※for wide-angle lens使用

クロスフィルター(F16) for wide-angle lens

新製品のクロスフィルターで撮影するとF16まで絞ったにも関わらず、線の途切れが目立たなかった。仕上がりも全体的に華やかに見える。

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■ソフトフィルターの活用

続いて、イルミネーションに限らずライトアップの夜景とも相性が良いソフトフィルターで撮影。光を全体的に柔らかく見せることができる。フィルターによってソフト感が異なるが、一般的には効果が弱めのものでも大丈夫だろう。

写真16 ソフトフィルターのセッティング風景

ソフトフィルターの使用イメージ

フォギー(A)の効果が弱い方のフィルターを装着。レンズに写り込んだ光がすでに柔らかいイメージになっている。

写真17 フィルター未使用

ソフトフィルター未使用

フィルターを使っていなくても、全体的には華やかに見える。

写真18 フォギー(A)Nを使用 ※効果弱

フォギー(効果弱)

全体が柔らかい雰囲気になり、まるで光に包まれているかのようだ。

写真19 フォギー(B)Nを使用 ※効果強

フォギー(効果強)

効果が強い方のフィルターを使うとより、柔らかみのある仕上がりに。効果が強すぎると感じる方はフォギー(A)だけでも十分だろう。

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■今月のお勧め夜景スポット「多摩センターイルミネーション」

多摩センター駅前からパルテノン大通りにかけて、毎年開催されているイルミネーション。光の水族館やモミの木のツリーなどが人気。被写体も豊富で写真撮影を楽しむ人の姿も目立つ。

多摩センターイルミネーション2017
開催日:平成29年11月11日(土)~平成30年1月8日(祝・月) 16:30~22:30まで点灯
所在地:東京都多摩市落合1丁目
アクセス:小田急・京王・多摩モノレール「多摩センター駅」下車すぐ
料金:無料
参考URL:夜景INFO

写真20 光の水族館

光の水族館

光の水族館を広角レンズで写す。なるべく人が写り込まないタイミングを狙って、シャッターを切った。

岩崎拓哉
著者について
■ 夜景写真家 岩崎 拓哉 ■1980年生まれ。大阪府出身、神奈川県在住。法政大学経済学部卒。 2003年より夜景写真家を志し、日本全国や海外で夜景を撮影。 Webエンジニアの経験も活かし、「夜景INFO」などの夜景専門サイトを立ち上げる。カメラ雑誌の原稿執筆、夜景撮影の講師経験も豊富。総合・国内旅行業務取扱管理者の資格も持つ。 著書に「プロが教える夜景写真 撮影スポット&テクニック(日経ナショナルジオグラフィック社)」「夕景・夜景撮影の教科書(技術評論社)」。
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