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夜景写真家・岩崎拓哉の夜景撮影講座
第28回 夜景撮影を成功させるロケハンのポイント

Posted On 22 3月 2017
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TOPIX

今回の岩崎拓哉の夜景撮影講座はロケハンについて執筆いたしました。夜景撮影に置いては、昼間に前もってロケハンをし準備することの重要性に関して筆者は説いています。夜景撮影を円滑に行うためのチェックすべき10のポイントとは? by 編集部

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今回は夜景撮影テクニックではなく、夜景撮影を成功させるためのロケハンのポイントを解説いたします。冬の夜景撮影シーズンは終わりを迎えますが、日没が遅くなるこれからの時期こそ、たっぷりとロケハンに時間をかけ、万全の体制で夜景撮影に挑みましょう。

写真1 事前にロケハンを済ませた展望台から撮影

沖縄の夜景

沖縄へ夜景巡りの旅に出掛けていた時に撮影した1枚。浦添大公園の展望台からの眺めは県内でもトップクラス。気象条件はイマイチだったが、ロケハンを重ねた上で、トワイライトタイムはここからスタートするのがベストだと判断した。

写真2 明るいうちに展望台を視察

明るいうちにロケハン

日中に一度公園を視察。展望台に入れることを確認し、構図などをチェックして必要な機材も予め見定めておく。万が一、夜に訪れて展望台が工事などで入れなければ、その時のショックはかなり大きいだろう。

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■私がロケハンを重視する理由

夜景撮影におけるロケハンとは明るい時間帯に撮影予定のスポットに訪問し、景観・眺望を予めチェックしたり、現地まで安全にたどり着けるかルートなどを確認することを意味します。自宅付近のスポットや、観光地として有名な展望施設などであればロケハンはさほど必要ではありませんが、特に旅先で車から降りて歩くような場所ほど、ロケハンが重要になってきます。私自身は夜景撮影を始めた頃からできるだけロケハンをしていますが、旅先でロケハンをせずいきなり現地に訪問して、撮影に失敗した苦い経験もあります。

写真3 ぶっつけ本番で現地に訪問すると・・・

立入禁止の看板

横浜ベイブリッジが間近で眺められる絶好のスポット。ここには何度も訪れたことがあるが、夜いきなり訪問すると工事中で中に入れなかった。

■ロケハンで押さえる10のポイント

夜景撮影を成功させるためのロケハンは、ただ昼間に現地の景観をチェックするだけではない。安全面の確認や必要な機材の選定など、色々押さえておくポイントがある。夜景撮影を楽しむ人が増えているとは言え、昼間に比べてリスクが無いとは言えないので、特に遠くの場所へ出掛ける時ほどロケハンをして欲しい。

(1)現地に立入できるか確認

事前にインターネットや情報誌で情報収集を進めることになるが、実際に現地に着くと工事や施設の閉鎖で立入が規制されていることも少なくない。そもそも立入が禁止されている場所もある。夜いきなり訪問して立入出来ないことに気付くと、大幅に時間をロスしてしまい、モチベーションも下がってしまう。

写真4 取り壊し予定となっていた展望台

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数年ぶりに写真を撮り直そうと訪問した公園の展望台。展望台の周りからはほとんど景色が見えないため、撮影を断念。

(2)訪問ルートの確認

初めて訪問する場所が公園や緑地の場合、駐車場や最寄り駅から数分~15分程度歩くことが多い。
いきなり夜に訪問しても迷子になるリスクがあるので、明るいうちに実際にルートを歩いて確認しておく。
バスを使って訪問するような場合は時刻表を控えておこう。

写真5 公園の案内図をチェック

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現在地から展望台までかなりの距離があることを確認。昼間なら気持ちよくハイキングできるが、夜は真っ暗で、長時間歩くため、展望台からの夜景撮影は断念した。

(3)駐停車場所の確認

駐車場が整備されていなかったり、夜間は駐車場が閉鎖される撮影スポットも少なくない。近くで安全に車を停められそうな場所やコインパーキングを探しておく。

写真6 駐車場の利用時間を確認

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公園の駐車場は17時前後に閉鎖するところが少なくない。19時閉鎖であれば、日没が遅い夏期は車が停められない。

(4)安全面の確認

いくら景観が素晴らしい場所であっても、日中に比べて夜間の訪問は安全上不安になる場所もある。明るいうちに現地を確認しておいて、もし明るい時間帯でも不安を感じたら、夜間の訪問は控えた方がいいだろう。

写真7 まさに上級者向けトレッキングコース?

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頂上からの景色は素晴らしかったが、夜にもう一度ここを登るとなるとモチベーションが沸かない。結局、昼間の視察だけにとどめておき、夜景撮影は断念した。

(5)現地の混雑状況を予測

展望台によっては数人しか撮影するスペースが設けられていない場所も少なくない。混雑することが予想されたら、早めに現地に訪問して撮影場所を確保できる。

写真8 5人程度が限界の展望台

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富士山の有名撮影スポットのひとつ。展望台が整備されているが、撮影できる人数は多くて5名ぐらいだろうか。休日の訪問は場所取りが大変そうだ。

(6)景観の確認

実際にたどり着けたとしても、景色が見えなければ全く意味が無い。特に木々の成長で視界が狭くなるスポットが少なくない。ネット上の画像を参考にする時は、いつ頃撮影されたデータかチェックしておきたい。

写真9 極めて視界不良

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インターネットの情報を参考に訪問したが、情報が古く、木々が成長していて街はほとんど見下ろせない。夜に重たい機材を背負って訪れたらショックを受けたであろう。

(7)構図や機材の確認

三脚が使えるかどうか、どのような画角のレンズが適しているか。見渡せる景色や現地の環境を見ながら見定める。視界が狭いスポットであれば、広角レンズを減らすなど機材を選別することで、荷物を減らして移動時の負担を軽減できる。

写真10 望遠レンズだけで撮影が完結?

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工場夜景スポットなど、望遠レンズだけで作品撮りができる場所も少なくない。撮影ポイントごとに必要な機材を押さえておけば、移動も楽になる。

(8)訪問する順番の確認

一日に複数箇所訪問する場合、各撮影スポット間の距離や移動方法などを考慮する。予め移動にかかる時間や撮影スポットに入場できる時間などを把握しておくことで、効率良く撮影スポットを回れる。実際に景観を見て、トワイライトタイムをどこで撮影するかも決めておきたい。

写真11 トワイライトタイムは一番夜景の美しい場所から

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日中に観光を楽しみながら、ロケハンも念入りに進めた。最も見晴らしの良い山の上から撮影をスタートし、スムーズに撮影スポットを巡れた。

(9)偶然、撮影スポットを見つけることがある

前もって撮影スポットを調査していても、実際に現地に着くともっと視界の良い場所が見つかることも。夜にいきなり訪問すると新しい場所を探すのにためらうが、日中であれば安全面やルートも余裕を持って確認できる。

写真12 偶然カーナビで見つけた展望広場からの景色

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インターネットの地図だけでなく、現地でカーナビを見て初めて展望公園があることに気付く場合も。夜に気付いた場合は、タイムリミットを考えるとロケハン無しで訪れるのにも勇気がいる。

(10)ロケハン時は機材を最小限に

日中のロケハンであれば三脚を持ち歩く必要もなく、カメラもサブ機で十分だ。私はメインカメラがフルサイズ一眼レフの「EOS 6D」だが、ロケハンの時はミラーレス一眼「EOS M3」を首にぶら下げ、手ぶらで荷物を極力減らしている。

写真13 日中は機材を最小限にしてフットワークを軽くする

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ロケハンで撮影スポットを探す時は移動時間も長くなりがち。日中に作品を撮るのでなければ、三脚も必要なく、最小限の機材を持ち歩くのがいいだろう。

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■今月のお勧め夜景スポット「梶原山公園」

静岡市内で最も知られた夜景スポットの1つ。標高300mの場所に整備された公園からは静岡市内の夜景が一望できる。ただし、公園までの道幅が狭いため心配な方は昼間に一度下見しておくと良いだろう。

梶原山公園
開放時間:終日開放
所在地:静岡県静岡市葵区大内
アクセス:清水ICから車で約30分
料金:無料
URL:梶原山公園(夜景INFO)

写真14 静岡の街並みを一望する

梶原山公園

東名高速道路の光跡を綺麗に写すために、シャッターを25秒程度空けた。広角レンズでの撮影に向いた被写体だが、上下の余白が目立つため、作例は望遠レンズを使って撮影。

岩崎拓哉
著者について
■ 夜景写真家 岩崎 拓哉 ■1980年生まれ。大阪府出身、神奈川県在住。法政大学経済学部卒。 2003年より夜景写真家を志し、日本全国や海外で夜景を撮影。 Webエンジニアの経験も活かし、「夜景INFO」などの夜景専門サイトを立ち上げる。カメラ雑誌の原稿執筆、夜景撮影の講師経験も豊富。総合・国内旅行業務取扱管理者の資格も持つ。 著書に「プロが教える夜景写真 撮影スポット&テクニック(日経ナショナルジオグラフィック社)」「ゼロから学ぶ工場夜景写真術(アスペクト社)」。
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