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夜景写真家・岩崎拓哉の夜景撮影講座
第24回夜景写真のRAW現像・悪天候編

Posted On 24 11月 2016
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TOPIX

「 せっかく撮影に行ったのに悪天候だった・・・ 」こんな経験はございませんか?撮った写真をなんとかしたい!今回の”夜景写真のRAW現像 ”は ”悪天候編 ”です。悪天候日に撮影した写真をRAW現像でリカバリーして、よりベターな状態にする方法を解説いたします。ぜひご活用してください。。 by 編集部

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前回まで3回に渡って工場夜景写真のRAW現像を解説してきましたが、今回は一般的な街の夜景をテーマに解説したいと思います。綺麗な夜景写真を撮るには気象条件がポイントになってきますが、やむを得ず悪天候日に撮影した写真をRAW現像でリカバリーして、少しでもベストな状態に近づけたいと思います。

写真1 RAW現像後の悪天候の夜景写真(2014年5月撮影)

RAW現像後(2014年5月撮影)

【設定値】かすみの除去:+40 / 露光量:+0.3 / 白レベル:+20 / 明瞭度:+30 / HSL(彩度) オレンジ:+20, イエロー:+20, ブルー:-50(Photoshop CC「Camera RAW」を使用)

写真2 RAW現像前の悪天候の夜景写真(〃)

RAW現像前(2014年5月撮影)

5月は気温が高くなり、4月に比べて降水量は下がるが全体的に空気が霞んでいる日が多い。この時期は山に上がるよりも、ウォーターフロントや都心の公園などの撮影が適している。

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■夜景撮影に適した気象条件(復習)

第2回の記事「夜景の基礎知識(夜景学)」で詳しく取り上げているが、改めて気象条件の復習をしよう。以下の4つのポイントを押さえ、基本的なカメラの知識があれば簡単に綺麗な夜景写真が撮れるはず。特に今の時期は日没時間が早いため、夏に比べて撮影にたっぷり時間をかけられるのも嬉しい。

(1)時期

夜景撮影は1年を通じて楽しめるが、気温・湿度・降水量が低い11月~2月頃がベストシーズン。

(2)時間(曜日)

暗くなってから時間が経つごとに光量が落ちていくので、深夜の撮影はなるべく避ける。都心は休日よりも平日の方が街明かりが多い。

(3)方角

トワイライトタイムを狙うなら太陽が沈む西向きが空にグラデーションがかかり、最も美しい。

(4)天気

晴れ>曇り>雨の順に夜景が綺麗に撮れる。雨上がりや台風一過も狙い目。

写真3 11月のベストシーズンに撮影した夜景

ベストシーズン(11月撮影)

神戸・六甲山を代表する夜景スポット「天覧台」から撮影。標高が高い場所のため、真冬のような寒さだったが、空気が澄んでいて驚くほど綺麗な夜景写真が撮れた。いかに気象条件が大事であるかを痛感させられる。

写真4 同じ11月の撮影でも悪天候になるケースも

ベストシーズン(2016年11月・悪天候)

こちらは今年の11月に訪問して撮影した写真。日中は晴れていたが、夕暮れになると曇り空となり、遠くの方も霞んでしまった。ベストを狙うなら予め、ライブカメラなどで現地の景色をチェックしておくと良いだろう。

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■RAW現像のBefore/After

続いて、別の作例を用いてRAW現像のBefore/Afterをチェックしたい。作例に用いた写真は2015年11月に淡路島から撮影した明石海峡大橋のライトアップで、11月とは思えないほど空がどんよりしていて、なんとなく気分が暗くなるような写真だ。このような悪天候な写真であっても、RAW現像である程度リカバリーできる。

写真5 RAW現像前(Before)

RAW現像前(明石海峡大橋)

[ ボディ:CANON EOS 6D / レンズ:EF16-35mm F4L IS USM / 焦点距離:16mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:13秒 / 絞り数値:F8.0 / ISO感度:400 / WB:400 ]

写真6 RAW現像後(After)

RAW現像後(明石海峡大橋)

かすみ除去や明瞭度の調整で雲に隠れていた空を強調させた。橋桁部分のメタリック感も鮮明に出ている。

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■RAW現像テクニック

今回は全体の露出などのバランスを整えた後、空・橋桁・水面・地面などを段階フィルターと円形フィルターで部分的に補正した。作例のような写真は明暗差が激しいため、全体での調整は最低限にしておくと良いだろう。

写真7 (1)全体の調整

01-全体の調整

全体に露出がマイナス気味だったので、露光量は高めに設定。全体のメリハリを出すために明瞭度も高めに設定し、彩度も少し上げている。
[ 明瞭度:+75 ][ 露光量:+0.75 ][ 自然な彩度:+30 ]

写真8 (2)段階フィルター・上

02-段階フィルター(上)

続いて、上の空模様のグラデーションを目立たせるため、かすみの除去を高めに設定した。全体的に沈んでいた空模様の隙間から綺麗な空の色が浮かび上がってくる。
[ かすみの除去:+75 ]

写真9 (3)段階フィルター・中

03-段階フィルター(中)

下の空も同様にかすみの除去を設定。数値は上の空模様と同一でも良いし、上の空ほど目立たないので、少し数値を控えても良いだろう。
[ かすみの除去:+50 ]

写真10 (4)段階フィルター・下

04-段階フィルター(下)

水面がやや暗い感じがしたので、気持ち程度露出を上げた。
[ 露光量:+0.25 ]

写真11 (5)円形フィルター・下

05-円形フィルター(下)

手前の地面の暗さが目立ってしまうため、シャドウを最大に設定した。全体とのバランスを考えて、彩度も少しだけ上げている。
[ シャドウ:+100 ][ 彩度:+20 ]

写真12 (6)円形フィルター・上

06-円形フィルター(上)

最後の仕上げは必要かどうか好みが分かれるが、地面の部分の彩度を上げているので、同様に画面中心から全体にかけて彩度を上げている。
[ 彩度:+20 ]

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■今月のお勧め夜景スポット「摩耶山 掬星台」

RAW現像の作例で紹介した「六甲山 天覧台」に並ぶ神戸の有名スポット。日本三大夜景のブランドでも知られており、大阪~神戸方面の街明かりが視界一面に広がる。週末は展望台が混雑するので平日の訪問がおすすめ。撮影には丈夫な三脚と標準&望遠ズームレンズがあると良いだろう。真冬は路面が凍結することもあるので、訪問前に天気を必ずチェックしたい。

夜景スポット名
営業時間:終日開放(まやビューラインは要営業時間確認)
所在地:兵庫県神戸市灘区大石長峰山
アクセス:阪神高速「摩耶ランプ」から車で約40分
料金:無料(駐車場は1回500円)
URL:http://www.nightview.info/yakei/detail/maya/

写真13 大阪方面の1,000万ドル夜景

摩耶山 掬星台

視界一面に1000万ドルの夜景と称される大パノラマが広がる。まさに日本一の名が相応しい絶景スポット。展望台は木造デッキとなっていて、周囲に人がいると足場が揺れやすいので撮影時はブレに注意したい。
[ ボディ:CANON EOS 6D / レンズ:EF16-35mm F4L IS USM / 焦点距離:28mm / 撮影モード:絞り優先AE / シャッター速度:13秒 / 絞り数値:F9.0 / ISO感度:200 / WB:オート ]

岩崎拓哉
著者について
■ 夜景写真家 岩崎 拓哉 ■1980年生まれ。大阪府出身、神奈川県在住。法政大学経済学部卒。 2003年より夜景写真家を志し、日本全国や海外で夜景を撮影。 Webエンジニアの経験も活かし、「夜景INFO」などの夜景専門サイトを立ち上げる。カメラ雑誌の原稿執筆、夜景撮影の講師経験も豊富。総合・国内旅行業務取扱管理者の資格も持つ。 著書に「プロが教える夜景写真 撮影スポット&テクニック(日経ナショナルジオグラフィック社)」「夕景・夜景撮影の教科書(技術評論社)」。
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