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夜景写真家・岩崎拓哉の夜景撮影講座
第13回:夜景撮影に影響するレンズのゴースト・フレアを検証

Posted On 10 12月 2015
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TOPIX

読者の皆様からご好評いただき、おかげさまで「 夜景写真家・岩崎拓哉の夜景撮影講座 」の連載も2年目に入りました。厚く御礼申し上げます。今回はシーン別の解説はいったんお休みし夜景撮影に影響するレンズのゴースト・フレアについて解説していただきました。 by 編集部

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12月に入り、定番のイルミネーションの撮影テクニック解説も考えましたが、あえて今年最後の記事はマニアック路線でいきたいと思います。イルミネーションの解説を期待されていた読者の皆様すみません。さて、夜景撮影で度々悩まされるのが、交換レンズによって発生するゴースト・フレア問題。私が夜景撮影を始めた頃からずっと悩まされ続けてきた問題でもあります。今回は、これまでに撮りためてきた作例を紹介し、異なるレンズでゴースト・フレアの出現頻度を比較検証、そして実際にゴースト・フレアを軽減するちょっとしたコツを解説したいと思います。

写真1 ゴースト祭り

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強い光源を望遠レンズで撮影。ゴーストが画面中心部に集中し、観賞に耐えがたい写真になってしまった。果たしてゴーストを軽減する方法はあるのだろうか。
[ ボディ:CANON EOS 5D Mark2 / レンズ:70-200mm / 焦点距離:70.0mm / 撮影モード:マニュアル露出 / シャッター速度:10秒 / 絞り数値:F9.0 / ISO感度:200 / WB:白色蛍光灯 ]

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■そもそも「ゴースト・フレア」とは?

夜景撮影が好きな方なら「ゴースト」や「フレア」という言葉を耳にしたことがある方も多いはず。「ゴースト」と「フレア」はたいてい同時に発生しますが、厳密にはそれぞれ異なった現象となります。

【ゴースト】

強い光源にレンズを向けた時にレンズ内で反射を繰り返すことにより発生する本来は写らない光。

【フレア】

強い光源にレンズを向けた時に有害光が反射して発生する光がかぶる現象。光がかぶった部分はシャープさを失い、画質が低下する。

写真2 ゴーストとフレア

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公園にある光源を間近で撮影した例。極端な作例だが、光源の強さや距離によって、観賞に堪えがたいほどのゴースト・フレアが発生してしまう。
「Tamron SP 70-300mm F/4-5.6 Di VC USD」

写真3 ゴーストとフレア(別レンズ)

IMG_9464

ほぼ同じ構図でレンズを変えて撮影。一見、ゴーストが目立たなくなっているように感じられるが、逆にフレアが画面全体に写り込み、夜空がほとんど見えなくなってしまった。
「Canon EF24-105mm F4L IS USM」

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■ゴースト・フレアの目立たないレンズ

綺麗な夜景を撮るなら極力ゴーストやフレアは軽減したいところ。全くゴーストやフレアが出ないレンズは耳にしたことがありませんが、レンズによって目立ち方が大きく違ってくるのも事実。実際、メーカーのホームページやパンフレットを見ても確実な情報はわかりません。インターネットやカメラ雑誌のレビューの方がまだ参考になることも。これまで様々なレンズを使ってきましたが、ゴースト・フレアが目立たないレンズは以下のような傾向が見られる。

(1)値段が高い

値段が高いレンズはコーティング処理がしっかりしていて、ゴースト・フレアの軽減を謳っている製品も多いようです。ただし、必ずしも値段の高いレンズが耐ゴースト・フレア性能に優れているとは断言できません。あくまでも”傾向”として考えて下さい。

(2)発売日が新しい

新しいレンズの方がデジタル対応に進んでおり、同じシリーズのレンズでもモデルチェンジされた製品が狙い目です。

(3)ズームレンズより単焦点

単焦点に比べ、ズームレンズの方が複雑な構造となり、レンズの枚数も多くなります。全体的に単焦点レンズの方がゴースト・フレアが目立ちにくい傾向が見られます。

写真4 様々なレンズ

IMG_4169

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■レンズ比較検証

それでは実際にほぼ同条件で撮影した2枚の写真を比較したい。1例目は同メーカーの高級レンズ同士の比較。大きな違いは発売の年式と数万円の値段差。結論から言うと新しいレンズの方がゴースト・フレアが目立たず、想定通りの結果。2例目は純正の高級レンズと安価な社外レンズの比較で、社外レンズの方が優れていたという想定外の結果。

写真5 パターン(1)同メーカーの新旧レンズ比較

レンズ比較(1)

「Canon EF16-35mm F4L IS USM(左)」「Canon
EF17-40mm F4L USM(右)」と比較。絞りはいずれも開放値のF4.0に設定。どちらも高価なLレンズだが、フレアは双方共に目立たず、右側の古いレンズでゴーストがわずかに目立っている程度だ。ただ、両レンズ共に耐ゴースト・フレア性能が優れており、右の旧レンズを現役で使っているカメラマンも少なくないはず。著者は右のレンズを10年ぐらい現役で使い、2014年夏に左のレンズに買い替えた。夜景撮影との相性は抜群で、隅々までシャープに描写でき、主力レンズとして愛用している。

写真6 パターン(2)別メーカーのレンズ比較

レンズ比較(2)

「Tamron
SP 70-300mm F/4-5.6 Di VC USD(左)」「Canon
EF24-105mm F4L IS USM(右)」の比較。望遠ズームレンズと標準ズームレンズの比較となってしまうため、本来は競合するレンズでは無いが、参考に同一の焦点距離(約70mm)で撮影。安価なTamronの望遠ズームレンズの方はゴーストがわずかにしか出ておらず、非常に優秀な結果が出た。右側のLレンズの方は光源の右下に大きなゴーストが発生している。いずれも著者が愛用しているレンズだが、右のレンズは強い光源が少ない場所など、多少ではあるが撮影シーンが限られてしまう。

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■ゴースト・フレアの軽減テクニック

ここまでレンズによる比較事例を紹介してきたが、お手持ちのレンズでゴースト・フレアを少しでも軽減する方法を紹介したい。手軽にできる軽減テクニックは以下の3つ。

(1)レンズフードを装着

レンズフードを装着することで、少しでもゴースト・フレアを軽減でき、レンズの保護にも繋がるので夜景撮影時は必ず装着したい。

(2)ハレ切りをする

レンズの上に模造紙や手をかぶせ、余計な光をカットする。ただし、写り込みに注意。

(3)強い光源を避ける

根本的な解決策。光源の入る角度を調整したり、離れて撮影するなど。

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■作例紹介

最後は実際にゴースト・フレアを軽減した作例を紹介したい。上の事例は構図を見直して、光源自体を構図から外した例。下の事例は光源を手すりの後ろに隠す小技。高性能なレンズを使うのが理想だが、お手持ちのレンズでもちょっとした工夫でゴースト・フレアは軽減できるので、是非試して頂きたい。

写真7 虹色のゴーストが左側に発生

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横浜ベイブリッジを写そうとしたが、右側にある光源が原因でゴーストが発生してしまった。

写真8 光源を避けて撮影

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光源が入らないように構図を変えて撮影。光源を入れた方が雰囲気が出るが、光源の明かりが強すぎて、相当高性能なレンズでないと写し込むのは難しい。

写真9 画面中心にゴーストが発生

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公園内の街灯が原因で強いゴースト・フレア共に発生。画面の中心に入ってしまったため、写真として非常に見づらい。

写真10 手すりで光源を隠して撮影

IMG_4698

誰でもできる簡単テクニック。手すりに街灯を重ねるだけで、ゴースト・フレアがほぼ見えなくなった。撮影時は目の前の夜景だけでなく、周囲の明かりにも気を配りたい。

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岩崎拓哉
著者について
■ 夜景写真家 岩崎 拓哉 ■1980年生まれ。大阪府出身、神奈川県在住。法政大学経済学部卒。 2003年より夜景写真家を志し、日本全国や海外で夜景を撮影。 Webエンジニアの経験も活かし、「夜景INFO」などの夜景専門サイトを立ち上げる。カメラ雑誌の原稿執筆、夜景撮影の講師経験も豊富。総合・国内旅行業務取扱管理者の資格も持つ。 著書に「プロが教える夜景写真 撮影スポット&テクニック(日経ナショナルジオグラフィック社)」「ゼロから学ぶ工場夜景写真術(アスペクト社)」。
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