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夜景写真家・岩崎拓哉の夜景撮影講座
第9回:花火写真の撮り方

Posted On 21 7月 2015
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Photo : Takuya Iwasaki

TOPIX

7月21日には北陸地方も梅雨明けし、いよいよ夏本番!夏の夜景と言えば・・・そう「 花火 」が真っ先に思い浮かびますね。今回の夜景写真撮影講座は「 花火写真の撮り方 」をピックアップいたしました。夏休みに「 花火写真 」にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。 by 編集部

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梅雨が明けてからは真夏日が続いており、夏の風物詩・花火が各地で見られるようになってきました。そこで今回のテーマはもちろん「花火撮影」。今年撮影したばかりの作例も紹介しながら、花火撮影におすすめの場所選びから撮影方法まで解説したいと思います。

写真1 花火写真(第37回 足立の花火)

第37回 足立の花火

[ ボディ:CANON EOS 6D / レンズ:EF24-105mm F4L IS USM / 焦点距離:28mm / 撮影モード:バルブ撮影 / シャッター速度:12.9秒 / 絞り数値:F8.0 / ISO感度:100 フィルター:ND4 ]
東京で最も開催が早い足立区の花火大会。当日は雨天のために撮影も一苦労。

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■花火撮影の場所選び

花火を撮影する上で良い場所を確保することが何よりも重要と言えます。写真として撮り応えのある大規模な花火大会ほど混雑し、早めに訪問して良い場所を確保したいところです。まずは花火大会のホームページをチェックし、会場付近の地図や打ち上げ場所を確認します。当日の天気予報のチェックも重要で、降水確率だけでなく風向きや風速も事前に把握しておきたいところです。また、花火会場によっては三脚の利用が禁止されている場合もあるので、注意が必要です。

写真2 花火会場の雰囲気

花火会場の場所撮り風景

午後3時前の時点で段差のある場所はほぼ全てキープされていた。打ち上げ場所の後ろには東京スカイツリーが見える。

(1)なるべく段差や斜面を確保する

花火会場で平地を確保すると三脚を立てた時に目の前の人が視界を遮ってしまう場合があります。逆に後ろの人の視界を遮ってしまう可能性もあります。そのため撮影する側も観賞する側も花火が楽しめるよう、段差のある場所を選びたいところです。段差のある場所を確保できない場合は平地でも最前列がおすすめ。

(2)打ち上げ場所から400m前後の距離が理想

打ち上げ場所との距離も重要になります。最適な距離は花火の大きさや打ち上げ場所によっても変わりますが、400m前後の距離が24-105mm前後の標準ズームレンズ1本で撮影しやすい距離と言えます。

(3)天気予報を見ながら風上を確保する

天気予報でチェックするのは降水確率や降水量だけではありません。花火開催時間帯の風向きもチェックし、なるべく風上を確保するようにしましょう。風下で風が強い日だと花火の煙が視界を遮ってしまう恐れがあります。

(4)有料席を確保するのもひとつ

有料席はロケーションに優れた場所がキープされており、場所撮りをすることなく花火を楽しめます。ただし、三脚が禁止されていたり、足場が揺れやすい場所に設置されていることもあるため、必ずしも有料席がベストとは言えません。そのため、撮影に適した有料席は「三脚が使える」「足場が安定している」「最前列か段差のある場所」の3条件が必須と言えます。会場によってはカメラマン用にスペースが確保されているケースも見られます。

写真3 カメラマン専用席

カメラマン席が用意された花火会場(有料)

久里浜の花火大会では有料席のチケットを事前に購入。事前に会場に電話で問い合わせ、カメラマン専用席があることを確認。一般の有料席では三脚が禁止されているため、双方に配慮する形が取られている。

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■花火撮影に必要な機材

次に機材の解説に入ります。花火撮影は一般的な夜景撮影とほとんど同じ機材で大丈夫ですが、「NDフィルター」はできるだけ用意したいところです。花火は大きく分けて、単発打ちとスターマイン(連続速射花火)の2種類がありますが、後者のスターマインはとても明るいため、絞り込んでも露出がオーバーしてしまう恐れがあります。そのため、NDフィルターが活躍します。

写真4 花火撮影に必要な機材

花火撮影に必要な撮影機材

ミラーレスなどレリーズのオプションが無いカメラはワイヤレスリモコンで代用できる可能性がある。

(1)カメラ本体

バルブ撮影やマニュアル露出のできるデジタル一眼レフやミラーレスが望ましい。

(2)レンズ

たいていの花火撮影は標準ズーム(フルサイズ換算で24-105mm程度)1本あれば大丈夫。作品のバリエーションを広める上で望遠ズームや超広角ズームも持参するのも良い。

(3)三脚

少々重たくてもなるべく頑丈で安定した三脚を持参したい。場所を確保する上で周囲への目印(撮影するという意思表示)にもなる。

(4)レリーズ・リモコン

バルブ撮影時に必須。必ず持参しておきたい。

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(5)NDフィルター

NDフィルターには種類があるが、ND4やND8がおすすめ。ISO感度100のカメラであれば、ND4が1つあれば十分だろう。

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(6)メンテナンス用品・その他

ブロワーやレンズクロスなど。花火会場は手元が真っ暗になることが多いので、LEDライトがあると便利。電子水準器が内蔵されていないカメラはクイックシューに取り付ける水準器も用意したい。

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■花火撮影時のセッティング・カメラ設定

場所を確保した後は花火の打ち上げまで余裕を持ってセッティングしたいところです。ポイントとして三脚を設置し、カメラを固定する際に雲台を逆向きに取り付けると、真上に花火が打ち上がった場合でも捉えることができます。ただし、雲台の操作に慣れていないと花火撮影時にもたついてしまうので、逆向きに取り付ける場合は普段からトレーニングしておくと良いでしょう。また、花火撮影時は水平を微調整する余裕もないので、脚の調整でしっかり水平をキープしておきましょう。

写真5 セッティング風景

セッティング風景

雲台を反対向きに取り付けた例。目の前で高く花火が打ち上がるような撮影場所では反対向きにしておくと安心。

(1)撮影モード:バルブ撮影(B)

バルブ撮影モードが無い場合はマニュアル露出で代用。

(2)ISO感度

ISO100または200に設定。最も低い感度に設定します。撮影する花火の種類によってはISO感度を高めに設定することもあります。(拡張ISO感度は基本的に未使用)

(3)絞り(F値)

絞りはF8~11が目安。F11以上絞っても良いが、回折現象(小絞りボケ)に注意したい。

(4)ノイズリダクション

長秒時露光でノイズリダクションを有効にすると撮影直後にノイズ低減処理がかかるため、撮影タイミングを逃してしまいます。基本的にはノイズリダクションはOFFにしておき、必要があれば撮影後のレタッチでノイズを低減しましょう。

(5)ピント合わせ

花火が打ち上がった段階ではじめはAFでピントを合わせ、MFにスイッチを切り替えると以後のピント合わせが不要になり、スムーズに撮影できます。ただし、ズームリングを動かした場合は再度ピント合わせが必要になります。

写真6 カメラ本体の設定画面

設定画面

写真の例は「バルブ撮影」「絞り 8.0」「ISO 100」の基本的な設定。

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■花火写真の作例

それでは実際に撮影した花火の写真をいくつかご紹介(今回は全て撮って出し)したいと思います。撮影の流れとしては単発打ちの場合は花火が打ち上げ音が鳴った後にシャッターを開き、花火が消えたタイミングでシャッターを閉じるのがベストです。スターマインを撮る場合はなるべく絞り込んで、露出オーバーにならないように気をつけます。

写真7 2015久里浜ペリー祭(単発打ち)

2015久里浜ペリー祭(単発打ち)

[ ボディ:CANON EOS 6D / レンズ:EF24-105mm F4L IS USM / 焦点距離:67.0mm / 撮影モード:バルブ撮影 / シャッター速度:14.9秒 / 絞り数値:F9.0 / ISO感度:100 フィルター:ND4 ]
花火写真で良く見かける単発打ちの例。単発打ちはスターマインに比べて明るくないので、シャッター速度は必然と長くなる。黒いうちわなどでレンズを覆い、多重露光のように複数の花火を入れるのも良いだろう。

写真8 2015久里浜ペリー祭(スターマイン)

2015久里浜ペリー祭(スターマイン)

[ ボディ:CANON EOS 6D / レンズ:EF24-105mm F4L IS USM / 焦点距離:98.0mm / 撮影モード:バルブ撮影 / シャッター速度:7秒 / 絞り数値:F9.0 / ISO感度:100 フィルター:ND4 ]
打ち上げ数が3,500発と小規模なため、スターマインもやや控えめな感じだった。NDフィルターのおかげで必要以上に絞り込まず適正露出となった。

写真9 足立の花火(スターマイン)

足立の花火(スターマイン)

[ ボディ:CANON EOS 6D / レンズ:EF24-105mm F4L IS USM / 焦点距離:35.0mm / 撮影モード:バルブ撮影 / シャッター速度:7.2秒 / 絞り数値:F8.0 / ISO感度:100 フィルター:ND4 ]
昼間から花火打ち上げ時の前半までずっと雨が降っており、撮影に苦労した。写真はオープニングのスターマインを捉えたが、水滴が若干目立ってしまったのが残念。ただ、構図としては良いのでレタッチである程度フォローできるだろう。雨天時は傘を差したりカバーでカメラを保護し、こまめにレンズをクロスで拭くと良い。

写真10 足立の花火(縦構図)

足立の花火(縦構図)

[ ボディ:CANON EOS 6D / レンズ:EF24-105mm F4L IS USM / 焦点距離:32.0mm / 撮影モード:バルブ撮影 / シャッター速度:12.1秒 / 絞り数値:F8.0 / ISO感度:100 フィルター:ND4 ]
花火に対して適正露出となっているが、街並みが少々暗く感じるため、もう少し露出時間を長くするかレタッチで明るく処理したい。写真の左下にはライティングされた東京スカイツリーも見える。

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■今月のお勧め花火大会「第30回神奈川新聞花火大会」

神奈川県内では特に有名な花火大会。打ち上げ数も多く、良いロケーションを確保できれば横浜の夜景をバックに美しい花火が撮影できる。カメラメーカーのイベントやセミナーで撮影に適した場所が確保される場合も。

花火会場詳細
開催日:2015年8月4日(火)19:00~20:15
所在地:横浜みなとみらい21 臨港パーク前面海上
アクセス:各線横浜駅東口または桜木町駅から徒歩
料金:臨港パーク・カップヌードルミュージアムは花火鑑賞券が必要
URL:神奈川新聞花火大会

写真11 神奈川新聞花火大会(有料区画で撮影)

神奈川新聞花火大会

[ ボディ:CANON EOS 5D Mark2 / レンズ:EF24-105mm F4L IS USM / 焦点距離:60.0mm / 撮影モード:バルブ撮影 / シャッター速度:7秒 / 絞り数値:F16.0 / ISO感度:100 ]
カメラメーカーが主催する撮影イベントに申し込み、花火撮影のレクチャーを受けた後に専用の撮影区画で撮影。当日はNDフィルターを持参していなかったため、F16まで絞って撮影した。

岩崎拓哉
著者について
■ 夜景写真家 岩崎 拓哉 ■1980年生まれ。大阪府出身、神奈川県在住。法政大学経済学部卒。 2003年より夜景写真家を志し、日本全国や海外で夜景を撮影。 Webエンジニアの経験も活かし、「夜景INFO」などの夜景専門サイトを立ち上げる。カメラ雑誌の原稿執筆、夜景撮影の講師経験も豊富。総合・国内旅行業務取扱管理者の資格も持つ。 著書に「プロが教える夜景写真 撮影スポット&テクニック(日経ナショナルジオグラフィック社)」「ゼロから学ぶ工場夜景写真術(アスペクト社)」。
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