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3連休。
無性に天丼が食べたくなったゆきぴゅーは、6月の父の日以来ごぶさたしている“札束とーちゃん”を「行楽日和ですのでどこかに撮影に行きましょう」とそそのかしてお出かけすることにしましたの。
ちょうどその日は浅草で東京時代祭りというのをやっているそうですの。
浅草といえば天丼の有名店が軒を連ねるところではないですかっ。しめしめですの。当日札束とーちゃんはそんなゆきぴゅーのもくろみにも気付かずに、喜び勇んでキヤノンのフラッグシップ機2台を抱えてやってきました。
平成になってからはじまったというこのお祭りは今年で18回目を数えるそうですの。江戸・東京にゆかりのある歴史上の人物や事柄の行列ご一行が絵巻物のように年代順にパレードするというものなんですの。
案の定、地下鉄の駅から地上に出ると、雷門界隈は大変な混雑ですの。
「いや〜、それにしてもすごい
人出ですな、わたしはもう汗
だくですよ」
大きな体とはいえ一眼レフデジカメを2台抱えていれば人ごみの中では身動きとるのも大変ですの。ましてや白くて長いレンズはとっても邪魔そうですの。
「ゆきぴゅーさんはいいですね
体が小さいから小回りが
きいて」
と、汗をぬぐいながら軽自動車を褒めるようなことを言いますの。
「あ、今日はカメラも小さいの
を持ってきたんですね、
ゆきぴゅーさん」
「そうなんですの。わたくしは
重いのが苦手なんでこういう
日はコンデジなんですの」
雷門の周辺はあまりにも混雑していたので少し離れたところに陣を構えることにしました。それでも沿道にはたくさんの見物客やアマチュアカメラマンさんがいっぱいですの。
午後1時半。浅草寺を出発した絵巻行列がいよいよ遠くの方に見えてきましたの。時代はさかのぼること平安時代。パンフレットによるとまずは歌人、在原業平(ありわらのなりひら)が登場ですの。扮しているのは普段メガネがトレードマークのいとうせいこうさんなのですが、メイクをしていて、もちろんメガネを外しているので知らなければ誰だかわかりませんわ。ちゃんと筆を持って歌を詠んでいる風のニクイ演出ですの。おとなりの札束とーちゃんは汗をかきながら楽しく撮影をしているご様子ですの。
「いやぁ、それにしても動いて
いる被写体ってのはたいへん
ですなぁ」
「そうですわねー。あっ、北条
政子の登場ですわよ」
「おお、いいですな、いいです
な」
やっぱり女性が登場すると行列も一段と華やかですの。政子さんを演じるのは元松竹歌劇団出身の春日宏美さん。きりりとしたお姿が美しゅうございました。時代は戦乱の世を過ぎていよいよ徳川家康公が登場ですの。大奥御殿女中や参勤交代の行列が続々と目の前を通り過ぎますの。しかしながらさっきまで熱心に撮っていた札束とーちゃんの手が止まってきたようですの。
「どーしたですの?
撮らないですの?」
「いやね、ゆきぴゅーさん。
こういう行列はやっぱり目で
見ているほうが楽しいですよ。
あっ!あれは七福神じゃない
ですか。ほほぅ」
さすがに立ちっぱなしでの撮影は堪えるみたいですの。すっかり撮影は打ち切られたようですが、次から次へと繰り広げられる歴史絵巻を堪能していらっしゃるご様子。水戸の黄門さまが助さん格さんを従えての登場や、米海軍横須賀基地有志のペリー率いる黒船来航は迫力満点で、あちこちで歓声があがっておりました。
歴史絵巻パレードはその後、大政奉還によって江戸から東京へと変わり、文明開化の音を聞いたところで終了となりましたの。沿道では見物客が一斉に動き出しました。その頃ゆきぴゅーの腹の虫もぐううと鳴いたので、待ちに待ったタダでごはんタイムとなりましたの。
いつものごとく「何でも遠慮なく好きなもの言ってくださいよ。ガハハ」と言われたので「じゃ浅草といえば天丼を食べたいですわ♪」と計画通りのリクエストをして、有名な浅草・大○家へ行くことになりましたの。さすが有名店だけあって玄関の前で待つこと15分。お二階へ上がって待つこと15分。腹の虫も鳴く気力がなくなった頃にやっとこありつけた有名店の天丼は、ごま油だけで揚げたという今まで食べたことの無い食感のふっくらしたものなんですの。
しかしながらゆきぴゅーにとってはなんだかごはんの上にしょっぱいお好み焼きが乗っかっているようにしか思えず、いつも行く「てんや」のカラッと揚がった海老天丼780円のほうがおいしく感じてしまったのでした。悲しい貧乏舌ですの。
なにはともあれ満腹になってお茶をすすりながら札束とーちゃんが言いました。
「今日はいい勉強になりましたよ。こんな人出の多いところへは大きなカメラ
2台持ってきても大変なだけですな。ガハハ。わたしは後半はカメラ置いて
自分の目で楽しみましたよ。いやぁ楽しかった、楽しかった」
「お誘いしてよかったですわ。ところで、おとーちゃん。浅草では毎年8月に
サンバカーニバルってのがあって、裸同然のおねーちゃんたちがサンバ踊り
ながらパレードするってのがありますのよ」
「行きましょう!ゆきぴゅーさん、それ!来年絶対誘ってくださいよ」
ちょっとお疲れモードだった札束とーちゃんがサンバのおねーちゃんのおかげで一瞬で元気になったところでお店をあとにしたふたり。
「いやいやゆきぴゅーさん、今日はありがとうございました。ではまた何か
あったらよろしく頼みますよ、あ、あと来年のサンバの行列は絶対誘って
くださいよ。」
なんとも気の早いとーちゃんとお別れしておうちに帰ったゆきぴゅー。
と、その夜ケータイが鳴りました。
「あ、ゆきぴゅーさん。
今日はどうもどうも。
実はわたしね、あれから
ビックカメラに行ってですね、
小さいデジカメ買ったんです
よ。ゆきぴゅーさん持ってた
のよりもっと小さいんですよ。
いくしーっていうんだそーで
す。ガハハ。いやー軽くてい
いですね。携帯みたいに首からかけてしばらくはこれで楽しむことにしますよ」
「えええー?!
しばらくって、2台も持ってる1Ds MarkUはどーするですのー?!」
「あれはあれ、これはこれですわ」
まるで飴玉でも買ったかのようにそう報告してくれる札束とーちゃんの快進撃はまだまだ続く、ですの。
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