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萩原和幸のレンズレビュー 広角ズームレンズ
 Tokina AT-X 12-28 PRO DX レビュー 第3回
2013/10/17
 
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 本サイトでお馴染みの写真家、萩原和幸のレンズレビュー、広角ズームレンズ Tokina AT-X 12-28 PRO DX レビュー第3回目は、SIGMA 10-20mm F3.5 EX DC HSM と Tamron SP AF 10-24mm F/3.5-4.5 DiII LD Aspherical [IF] と Tokina 12-28 F4(IF)DX を比較したレポートをお届けする。
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■ トキナー AT-X 12-28 PRO DX と
  シグマ、タムロンの広角ズーム3本の外観比較
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▼写真01 まずは外観比較
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 まずは外観比較。左が SIGMA 10-20mm F3.5 EX DC HSM、中央が Tokina 12-28 F4(IF)DX、右が Tamron SP AF 10-24mm F/3.5-4.5 DiII LD Aspherical [IF]。鏡胴表面に唯一梨地仕様になっている Tokina 12-28 F4(IF)DX が、ひときわ高い高級感を漂わせている。この中では SIGMA 10-20mm F3.5 EX DC HSM が一番シンプルなデザイン。Tamron SP AF 10-24mm F/3.5-4.5 DiII LD Aspherical [IF] は、鏡胴が一番スリムで握りやすかった。ズームリング幅も太いので、ズーム操作がしやすい。MF 操作については、Tokina 12-28 F4(IF)DX が独自のワンタッチフォーカスクラッチを搭載し、MF 撮影を十二分に意識している分、圧倒的に使いやすいと感じた。

■ 3本のレンズでワイド端、テレ端の画角と描写の違いを比較
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 次に画角の比較をしてみよう。シグマ、タムロンともにワイド端が 10mm。いずれも広角側を重視したズーム域を持つレンズと言える。一方 Tokina 12-28 F4(IF)DX は広角側は 12mm ながらテレ側に焦点域が長い。被写体を大きく捉えるには有利なズーム域が特徴のレンズだ。

 それぞれのレンズの発色を見ていくと、SIGMA 10-20mm F3.5 EX DC HSM はクールな雰囲気の青みがかる傾向がある。一方 Tamron SP AF 10-24mm F/3.5-4.5 DiII LD Aspherical [IF] は暖色系で、若干黄色味がかる傾向。Tokina 12-28 F4(IF)DX はというと、クリアでニュートラルな発色を示した。ちなみにコントラストは Tokina 12-28 F4(IF)DX が一番高く、全体的に鮮やかな発色だ。Tokina 12-28 F4(IF)DX の発色傾向が前者2本と異なるのは、最新のレンズコーティングを施しれているからだと思われる。画面全体の解像感も Tokina 12-28 F4(IF)DX が一番良好だった。

※ 共通データ:Nikon D7100 絞り優先オート(f11) ISO100 WB :オート RAW

 
※ 注意
以降の写真をクリックすると、すべて実画像で表示されます。
10MB を越える画像があるので、表示に時間がかかる場合や、携帯端末などでは正しく表示されないことがあります。

▼写真02 SIGMA 10-20mm F3.5 EX DC HSM ワイド端
 
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▼写真03 Tamron SP AF 10-24mm F/3.5-4.5 DiII LD Aspherical [IF] ワイド端
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▼写真04 Tokina AT-X 12-28 PRO DX ワイド端
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 続いてテレ端を比較する。

▼写真05 SIGMA 10-20mm F3.5 EX DC HSM テレ端
 
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▼写真06 Tamron SP AF 10-24mm F/3.5-4.5 DiII LD Aspherical [IF] テレ端
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▼写真07 Tokina AT-X 12-28 PRO DX テレ端
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■ 画角の違い( 建造物 )
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 同様に建物を撮影した、画角の違いを見てみよう。

▼写真08 SIGMA 10-20mm F3.5 EX DC HSM ワイド端
 
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▼写真09 Tamron SP AF 10-24mm F/3.5-4.5 DiII LD Aspherical [IF] ワイド端
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▼写真10 Tokina AT-X 12-28 PRO DX ワイド端
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 続いてテレ端

▼写真11 SIGMA 10-20mm F3.5 EX DC HSM テレ端
 
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▼写真12 Tamron SP AF 10-24mm F/3.5-4.5 DiII LD Aspherical [IF] テレ端
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▼写真13 Tokina AT-X 12-28 PRO DX テレ端
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■ 絞り開放で最短撮影距離の違いを比較する
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 続いて最短撮影距離での撮影比較。ニコン純正レンズとも比較したが、ワイドレンズでぐぐっと被写体による撮影は、迫力ある印象を与えると同時に、広く捉えながらも背景がボケる独特の表現ができる。そこで今回も絞りは開放、最短撮影距離で撮影し、どこまで被写体に寄れるのかと、背景のボケ味をチェックしてみることにした(ニコン D7100 を使用し、ピントは AF で撮影した)。

▼写真14 SIGMA 10-20mm F3.5 EX DC HSM ワイド端
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▼写真15 SIGMA 10-20mm F3.5 EX DC HSM テレ端
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 このレンズの最短撮影距離は 0.24m( AF時 )。接近撮影にかなり強いという印象だ。特にワイド端( 10mm )で最短撮影距離で撮影したときの画は、強烈なワイド感と背景のボケ描写が活かされ、接近による迫力と被写体を浮かび上がらせる感じを同時に表現できる面白みがある。

 次に Tamron SP AF 10-24mm F/3.5-4.5 DiII LD Aspherical [IF] のワイド端とテレ端。

▼写真16 Tamron SP AF 10-24mm F/3.5-4.5 DiII LD Aspherical [IF] ワイド端
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▼写真17 Tamron SP AF 10-24mm F/3.5-4.5 DiII LD Aspherical [IF] テレ端
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 このレンズの最短撮影距離は 0.3m。第1回目の Tokina12-24F4(IF)DX II との比較の中でも最短撮影距離の話をしたが、このレンズの最短撮影距離は 0.3m と、Tokina12-24F4(IF)DXII と同じ値。もちろん 0.3m でも必要十分なのだろうが、ここではもう一歩寄りたいという物足りなさを感じてしまった。寄りたいのに寄れないもどかしさを抱きながらの撮影だった。ちなみに、開放値で撮影した際の発色として一番あっさりしていたのも、このレンズだ。

 そして Tokina AT-X 12-28 PRO DX のワイド端とテレ端。

▼写真18 Tokina AT-X 12-28 PRO DX ワイド端
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▼写真19 Tokina AT-X 12-28 PRO DX テレ端
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 ワイド端の焦点距離は、前回のニコン AF-S DX Zoom-Nikkor 12-24mm f4G IF-ED と同様の 12mm ながら、やはり最短撮影距離 0.05m の差は大きい。ファインダーを覗いていて、「 寄れるなあ 」という印象で、ボケもその分大きくなり、被写体を浮かび上がらせて捉えることができた。ボケ味も自然だ。またこのレンズはテレ端が 28mm ということで、テレ側でも被写体を大きく捉えることができる。ポートレート撮影で接近戦が好みのユーザーにはありがたいスペックだ。また、開放値で撮影した際の発色、コントラストともに一番高く、最短撮影距離での解像感も申し分ない。

■ 総評&Tokina AT-X 12-28 PRO DX の作例
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 ある意味、同じ土俵で勝負しているとも言えるサードパーティ製の3本の広角ズームレンズ。先に申し上げておくと、これら3本とも前回のニコン純正レンズと比較して、極端な性能の差を感じることはなかった。普段の撮影では、おそらく純正レンズと比べても性能差を感じることは少ないだろうし、コストパフォーマンスなどの総合的な観点から見ると、サードパーティ製のレンズの選択そのものが“アリ”だ。

 その上で今回の3本のレンズの特徴をまとめてみよう。まず Tamron SP AF 10-24mm F/3.5-4.5 DiII LD Aspherical [IF] だが、発売からずいぶん経っており( 2009 年3月 )、その間、日々向上しているほかのレンズ性能やカメラの画質、画像処理技術の進歩などから考えると、どうしても描写そのものに、わずかながら古さを感じてしまった。

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 SIGMA 10-20mm F3.5 EX DC HSM は、Tokina 12-28 F4(IF)DX に比べて開放値も明るく、ワイド端 10mm スタートと、ワイド側に有利なレンズ。しかし、テレ端が 20mm 止まりということで、広角域オンリーの使い方になりそうだ。そうなると、このレンズを持ち出す撮影シーンというのは限られてくる可能性が高い。ワイド感を活かしながら、しかし撮影シーンを選ばずにオールラウンダーな使い方をしたいと考えるのなら、Tokina 12-28 F4(IF)DX を選択する方が良さそうだ。これが前モデルの 12-24mm のレンズでは、ワイド端が長く( 10mm に対し 12mm なので )、テレ端も 24mm までと、ユーザーにチョイスしてもらうにはかなり不利な状況だったと思う。Tokina12-28(IF)DX は、テレ端が 28mm になったことで、広角〜標準までをカバーする使い勝手のいいズーム域に広がり、一気に選択の筆頭に立ったカタチだ。

 いずれにせよ、広角ズームという括りでの今回の比較、レンズのチョイスは撮影スタイルにかなり左右される。Tokina 12-28 F4(IF)DX は広角域の使用頻度の高い焦点域をカバーしているので、「 広角ズームを1本選ぶとしたらどのレンズに絞る? 」という選択に、確実に応えてくれる1本と言えよう。

 
 

● 次回は……


 

 次回はラストの第4回目。Tokina 12-28 F4(IF)DX で撮影した作例をズラッとお見せいたします。お楽しみに!


■ 協力企業 ■
ケンコー・トキナー


■ 制作・著作 ■
スタジオグラフィックス
萩原 和幸
 
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