上海の国際撮影器材&デジタル映像展は、中国経済の中心地・上海で行われるカメラ機材ショーということで、規模は小さいながらも注目されるショーの一つとなっている。また中国・上海国際婚礼撮影器材展覧会( CHINA WEDDING EXPO )と併催されることで、プリントを中心としたラボショーといった意味あいが強く、 China P & E とは趣きの違うショーとして中国では捉えられている。
一方、エプソン、コニカミノルタ、コダックなど、プリンターメーカーの出展が見られたのは、やはりブライダルフォトのプリント需要を見込んでのことだろう。富士のブースでも人気の X シリーズやチェキのほかに、ミニラボマシーンや店頭で手軽に出力できるプリンシャオなどを展示。また、もともとラボショーに近いビジネスショーだったという名残のように、ホール奥には、ラボ機のパーツなどを扱うブースもあった。アワガミを扱うブースがあったのにはちょっと驚かされた。
実は今回、このカメラ機材ショーの取材をぎりぎりまで悩んでいた。というのは、昨年会場を訪れてみて、カメラ関連のあまりの出展社数の少なさに、カメラ機材ショーとしての意味を見出せなかったからだ。4月に China P & E で取材したカメラメーカーの駐在員の中にも、「 あれはブライダルショーなので、ウチは出展しません 」と言い切る人もいた。中国にいるメーカーの人がそういう認識だったら、わざわざ日本から取材に行くこともないか、と感じていたのだった。
しかし、6月に日本で開催された PHOTO NEXT 2013 で富士フイルムの X−M1 がお目見えしたり、ソニーの RX1 R やキヤノンの EOS70D が発表されたりと、上海のカメラショーに合わせるかのようなタイミングで立て続けに新製品の発表が続くと、どうしても気になってくる。各社、日本のマーケットに向けた製品だけを開発しているわけではない。様々な国の事情に合わせて製品を登場させてくるのだから、中国をかなり意識しているのか? と勘繰りたくもなる。しかも、ショーに行けば、メーカーの販売戦略やトレンドが少なからず見えてくるし、日本にいては分からない新しい発見もあるからだ。さらに、China P &E が開催された4月とは、中国の経済状況も対日関係も微妙に変化してきている。各社の中国市場への今後の展開が、少しは見えてくるかもしれない。そんな期待もあって、急遽上海に飛ぶことにしたのだった。
昨年と大きく違うところと言えば、ブースでコンパニオンを撮影する人垣をあちこちで目にするようになったことだろうか。そう言う意味では、ビジネスショーとしての意味が、かなり薄まってきているようだ。また、会場でカメラを手にしている人の持っている機種を見てみると、ニコン D800 やキヤノン EOS5D Mark III といった、ハイエンドの一眼レフカメラが目立つ。しかも、けっこうな年配の人が多い。こういった中高年の富裕層によって、中国のカメラ市場は支えられているに違いない。だが、婚礼撮影器材展を目当てに来ている若い女性たちとは、明らかに違和感がある。それは、カメラ機材ショーとしての存在そのものが、もはや違和感のあるものになってしまっているからなのかもしれない。