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荻窪圭の三脚レビュー
ベルボン・カーボン三脚 UTC-63

Posted On 11 10月 2017
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TOPIX

革新的で使いやすい三脚関連製品を提供するベルボン社から、剛性・軽量性・収納性の三拍子そろったコンパクトカーボン三脚、ウルトレックシリーズ「 UTC-63 」が今春に登場した。一時は店頭から姿を消した程の人気を博した同製品。今回は本誌5年ぶりの登場となる、荻窪圭氏のレビューをお楽しみください。by 編集部

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世の中、同時に成り立たせるのが非常に困難なものというのがあるわけで、たとえば、軽くて小さくてF2.8通しの10倍ズームレンズが欲しい……といわれても困るのである。安くてコンパクトで高画質でズームも使えるコンデジが欲しい、くらいはよく言われるけど、そんなおいしいカメラがあったらわたしが真っ先に買います。
で、三脚の話。
クルマに積んで現地まで行くから多少重くても頑丈なのがいいとか、スタジオで使うから携帯性は不要、という人はともかく、
・普通の人は公共交通機関を使ったり歩いたりするわけで、「携帯性」は欲しい。
・望遠レンズをつけてもOkな、剛性が高い「頑丈な」三脚が欲しい。
・立ったときの目の高さで普通に撮れる高さにまで伸びて欲しい。
この3つを同時に満たすのはムチャクチャ難しいのである。考えてみよう。

携帯性が高いってことは、持ち歩くときは短く軽くしたいということである。軽くてコンパクトになれば持ち歩くときの負担は格段に減る。でも携帯時に「 短い 」ってことは、撮影時も短いってことなのだ。全高( 三脚を一番高くしたとき )がどうしても低くなる。携帯時に短く、撮るときは長くしようと思うと、伸縮率を上げなきゃ行けない。そうするとどうしても「 脚が細くなる 」ため強度が落ちる。軽量のミラーレス一眼ならいいが大望遠レンズをつけての撮影やミドルクラス以上の一眼レフだと心許ないし、花火撮影など長秒時露光時は安定性が高い三脚が欲しい。

かくして多くのカメラユーザーは用途や優先順位に応じて複数の三脚を持ち、使い分けているのである。
でもほんとはひとつで済ませたい。少なくとも、ちょっと遠くへ撮影に行くとき用に「 困ったらこれを持っていけばOk 」な三脚が欲しい。ああ。

そんなとき、目の前にベルボンのUTC-63が現れたのである。

どうも「困ったらこれを持ってけ」的な製品らしい。ほんとにそうなのか、使ってみたので、3つのポイントに沿って語ってみたい。

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Velbon UTC-63

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Velbon UTC-63

■ ポイント1:携帯性はトラベル三脚の名にはじないコンパクトさ

3つのポイントに沿ってチェックする。ひとつめは「 携帯性 」、ふたつめは「 高さ 」、みっつめは「 頑丈さ 」だ。まず携帯性。
UTC-63の縮長は36cm。一眼レフやミドルクラス以上のミラーレス一眼をしっかり支えてくれるトラベル三脚としては非常に短い。長さはケースに入れた状態でこのくらい。カメラリュックからはみでない大きさだ。

写真1

カメラリュックとケースにはいったUTC-63。十分コンパクト。

カメラリュックとケースにはいったUTC-63。十分コンパクト。

ケースから取り出してみる。3本の脚を180度反転させて収納するため縮長は非常に短いがちょっと太め。
この長さならカメラバッグの三脚用ポケットやベルトにくくりつけてもはみでない。バッグの三脚用ベルトにつけて電車に乗ると、ぶつけないよう気を使うのだけどこの長さならバッグからはみでないので安心である。

写真2

ケースからUTC-63を出してみた。十分短いのがわかるかと思う。

ケースからUTC-63を出してみた。十分短いのがわかるかと思う。

写真3

片手でひょい。これが一番大きさがわかりやすいかも。

片手でひょい。これが一番大きさがわかりやすいかも。

このたたみ方がUTシリーズの特徴。使うときはこんな風に脚をくるっと回転させる。写真では3本いっぺんに開いてるけど、実際には1本ずつやりましょう。

写真4

脚を少し開くとまんなかにエレベーターと雲台が現れる。雲台を三脚の脚の間にいれちゃうことで縮長を短くしてるのだ。

脚を少し開くとまんなかにエレベーターと雲台が現れる。雲台を三脚の脚の間にいれちゃうことで縮長を短くしてるのだ。

写真5

さらに3本の脚を雲台と反対側に持ってくることで、お馴染みの「三脚」の姿になる。

さらに3本の脚を雲台と反対側に持ってくることで、お馴染みの「 三脚 」の姿になる。

脚を開いたら角度を固定。中央のロータリーハブを持ち上げて60度回すと脚が開きすぎないよう固定される。

写真6

ロータリーハブ。これは脚を折り畳むときの位置。

ロータリーハブ。これは脚を折り畳むときの位置。

写真7

持ち上げて60度回してやることで、脚が開かないよう固定できる。

持ち上げて60度回してやることで、脚が開かないよう固定できる。

これでOk。
次の作業は脚の伸張だ。この脚の伸縮方法がウルトラシリーズの面白さ。これで5段である。パイプを持ち、右手を左に捻るとロックがはずれるので一気に伸ばす。伸ばしたら右に捻るとロックされる。作業としてはめちゃくちゃ簡単でクイックだ。

写真8

このように脚の先を持ってくいっと捻ってロックを外し、伸ばすのである。

このように脚の先を持ってくいっと捻ってロックを外し、伸ばすのである。

石突を握って回すと5段分一気に行く。素早く高い位置に持っていきたいときにいい。途中を持って回すとそれより根元分だけが伸びる。大事なのは「 ギュッ 」と締めること。締め方が甘いとカメラを載せたとき重みで脚が縮んじゃうことがあるのだ。UTC-63はカーボン製のため、他のウルトラロック製品に比べると、締めたときのギュッという感触がちょっと違う。剛性が高いので、きちんと締めれば緩むことはないって感じ。思ったよりしっかりしていた。

写真9

このように5段分脚が伸びる(エレベーターは一番下まで降ろしてある)。一番下の脚は細いけれどもカーボン製なので固くて上部。

このように5段分脚が伸びる(エレベーターは一番下まで降ろしてある)。一番下の脚は細いけれどもカーボン製なので固くて上部。

最後はエレベーターで調整。従来のUTシリーズはエレベーターを短くすることができなかったが、UTC-63はできるようになった。これは素晴らしい。

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■ ポイント2:高さ

ではこれでどのくらいの高さになったか。カタログ上は155cm。155cmってどのくらいなのか数字だとピンとこないと思うので、実際にカメラを装着して覗いてみた。わたしの身長が172cmくらい。それでファインダーを覗いて「 ちょっとファインダーの位置が高いかな 」というくらいだ。

写真10

一番高くした状態でカメラを装着してファインダーを覗いてみた。ちょっと高いかな。

一番高くした状態でカメラを装着してファインダーを覗いてみた。ちょっと高いかな。

縦位置グリップを着けていたり大きめの一眼レフだともうちょっとファインダーの位置があがるので、身長180cmくらいまでならもう普通に立った高さでいけそうだ。トラベル三脚は携帯性を重視するため、全長が短めのものが多く、撮影時に腰をかがめなきゃいけなかったり、フェンスなどに邪魔されて高さが足りない事がけっこうあるのだ。この長さなら問題なし。すばらしい。

写真11

エレベーターを下げたくらいが個人的には使いやすい高さだった

エレベーターを下げたくらいが個人的には使いやすい高さだった

逆に低くしたいときはどうか。開脚角度は3段階。2番目の開脚角度にするとこのくらい。かなり安定する。地面にしゃがんで撮りたいときなんかにいい。

写真12

レバーの位置を動かすことで開脚角度を変えられる

レバーの位置を動かすことで開脚角度を変えられる

写真13

この状態で雲台まで46cmくらいになる。

この状態で雲台まで46cmくらいになる。

最も低くすると、脚は180度に近い角度まで開脚するが、センターポールを少し上げなきゃいけなくなる。だからこんな感じになる。

写真14

ここまで開くと雲台まで約34cm。かなり低くできる。 低いアングルでじっくり撮りたいときに。

ここまで開くと雲台まで約34cm。かなり低くできる。
低いアングルでじっくり撮りたいときに。

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■ ポイント3:剛性・安定性はどうか

最後のチェックは頑丈さだ。UTC-63が他のUTシリーズと違うのは素材。脚やセンターポールがカーボンなのである。カーボンの良さは軽さと硬さ。この硬さが大事。脚を伸ばした状態で上からぐっと力をかけてまったくたわまない。剛性が高いのだ。これは予想以上だった。多少重いカメラを載せてもびくともしないのである。カーボン三脚の良さはわかっているつもりだったが、5段伸縮のウルトラシリーズもカーボン化によってこれだけ剛性が出せたのはびっくり。
さらにそれ以上に予想以上だったのが雲台。UTC-63って折り畳み時のコンパクトさも追求しているので、雲台もやや細長いのだ。しかも自由雲台である。安定性に不安はあったのだが、結果はこの通り。カメラはレンズ + ボディで約2.2kgの組み合わせ。もうちょっと重くても大丈夫そうだ。

写真15
こんな中途半端な角度にしてもピクリともしない

こんな中途半端な角度にしてもピクリともしない

小さな雲台ながらあなどれないのである。雲台はクイックシュー式。クイックシューにはカメラを縦位置にしたとき重みで回転しないよう2つの爪がついたハイエンドのタイプだ。

写真16
大きめのクイックシュー。2つの回転防止爪が特徴。

大きめのクイックシュー。2つの回転防止爪が特徴。

写真17
爪を起こして装着するとこのようになり、縦位置撮影時にレンズの重みでカメラが回転してしまうのを防げる。

爪を起こして装着するとこのようになり、縦位置撮影時にレンズの重みでカメラが回転してしまうのを防げる。

写真18
クイックシューを雲台にはめると自動的にレバーが締まる。これでOk。

クイックシューを雲台にはめると自動的にレバーが締まる。これでOk。

雲台には3つの水準器がついており、どの方向にも水平をとれる。

写真19
X軸Y軸Z軸の3つの水準器付。

X軸Y軸Z軸の3つの水準器付。

自由雲台をコントロールするのは2つのノブ。ひとつはパン専用。パン専用ノブがついているのは使いやすい。

写真20
パン用のノブ

パン用のノブ

もうひとつはティルト用。下手な自由雲台はティルト用ノブをぎゅっと締めると少し雲台が動いてしまうものだが、UTC-63に付属する雲台はそんなことない。固定したい角度でぎゅっと締まるし、テンションのかかりかたもよく、きちんと締めるとピタッと止まる。

写真21
ティルト用のノブ。締めたときの感触がいい。

ティルト用のノブ。締めたときの感触がいい。

ハイエンド機だけあっていい雲台を使っているのだ。雲台は交換可能だが、きれいに折り畳むには雲台がある程度細くなければならない。他の雲台を使いたいときは( 3way雲台が必要なときとか )、雲台と三脚をそれぞれ別に携帯するか、UTC-63の縮長の短さを犠牲にして普通の三脚のように持ち歩くか、になるだろう。

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■ ミドルクラス以上の一眼レフやミラーレス一眼を使っている人に

さて使い終わったらしまうのである。UTC-63で一番コツが必要なのは収納時かも。まあ慣れれば簡単だけど、油断して、脚を折り畳んだとき脚とエレベーターの間に指を挟んで痛かったのはわたしです。
そういう不注意はともかくとして、このUTC-63、予想以上のデキでした。
携帯時は36cmで重さも1.52kgとトラベル三脚に相応しい携帯性を持ち、全高が155cmと十分な高さを持ち、なおかつカーボン化によってハイエンドな一眼レフも支えられる( 推奨積載質量は4kgまで )剛性も持ったのである。
UTC-63はトラベル三脚で本格的な撮影はちょっと……と思っている人こそ試してもらいたい。ハイエンドクラスのミラーレス一眼やミドルクラスの一眼レフを使って撮影に出かけたい人に特によい。
脚の伸縮方法にさえ慣れちゃえば、見た目や軽さから想像できないくらいしっかりした三脚として働いてくれるはず。

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荻窪圭
著者について
老舗のデジタル系フリーライター兼カメラマン。デジタルカメラやスマホ関連のカメラ記事が中心なるもときどき猫写真家や古道愛好家になる。連載は「iPhoneカメラ講座」「這いつくばって猫に近づけ」、デジタルカメラの新製品レビューなど。近著は「東京古道探訪」「古地図と地形図で楽しむ東京の神社」など、なぜか東京の歴史散歩本が多い。
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