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大村祐里子の三脚レビュー
ベルボン・ 超小型三脚 UT-43
~ フィルム中判カメラで春色を撮る

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Photo & Text:大村祐里子


TOPIX

革新的で使いやすい三脚関連製品を提供するベルボン社から、発売後に話題をさらった、脚を180度反転して折りたたむことで、驚異的な小型高性能を誇る「 UTシリーズ 」の小型モデル ” UT-43 ” 。今回はデジタル全盛期にフィルム中判カメラをこよなく愛する写真家の大村祐里子さんが春を撮りに行きました。身長 148㎝、体重 40 kg の大村さん、愛機ローライフレックス SL66EとUT-43 を携え向かった先は春色に染まる昭和記念公園です。   by 編集部

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■ はじめに

ファインダーに映し出される世界の美しさ、一球入魂の撮影スタイル、現場の空気感まで写し込んだような仕上がり……そんな魅力にとりつかれ、デジタル全盛期になったいまでも私は日常的にフィルム中判カメラを使用している。
とりわけよく使うのが、愛機であるフィルム中判カメラ・Rolleiflex SL66Eだ。

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Rolleiflex( ローライフレックス )SL66Eは、1982年に発売された 6×6cm 判のフィルム一眼レフカメラだ。シャッターは機械制御式縦走り布幕フォーカルプレーン式を採用しており、レンズシャッターのカメラよりもシャッターのショックが大きめである。ピント合わせは蛇腹を繰り出して行う。蛇腹を繰り出すと、全長が伸び手持ちでホールドしづらくなる。よって、撮影時はブレないよう気を配る必要がある。当たり前だが、手振れ防止機構などまったく備えていないので、手持ちのときは、1/60 以下のシャッタースピードは基本的に使わないようにしている。

しかも、フィルム中判カメラは35mm のカメラに比べてフィルムサイズが大きいので、ブレてしまった場合、ブレがより大きく描写され目立ってしまうという特徴がある。

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以上のことから、Rolleiflex SL66E できちんと撮影するためには、「 三脚を使うべき 」と考えるようになるのは必然である。しかし、Rolleiflex SL66E はカメラ自体がずっしり重い( 約2kg )ので、歩き回って撮影をするときは、できるだけ三脚は軽くしたい……というのが本音である。

そんなとき、ベルボン株式会社の驚異的な小型高性能を誇る「 UT-43 」という三脚があることを知った。この三脚こそ、私のワガママを満たしてくれるのではないか?希望を胸に、早速、春の撮影散歩に Rolleiflex SL66E とUT-43 を持ち出してみることにした。

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Velbon UT-43

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Velbon UT-43

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■ UT-43を使ってみよう!

とにかくコンパクト!

とにかくコンパクト!

ベルボン株式会社の「 UTシリーズ 」は、トレッキングやツーリングなど、荷物を限界までコンパクトにしたい場合に最適な三脚シリーズだ。驚異の伸縮比による圧倒的な収納性を特徴としている。

今回使用する「 UT-43 」は、UTシリーズの中でも特に小型のものだ。縮長は 268mm、重さは 1080g 。手の小さい私が片手でひょいと持てるくらいコンパクトだ。

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私は撮影散歩をするとき、できるだけ荷物の数を減らしたい派だ。なんと、UT-43 はカメラリュックの横ポケットにすんなり入ってしまう。これならリュックひとつで移動できる。ありがたい。ちなみに、他の UTシリーズもすべて試したのだが、このリュックの横ポケットにおさまったのは UT-43 だけだった。

■ UT-43 の使い方

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UTシリーズは、脚を180度反転して折りたたみ、専用の自由雲台を脚の間に収納することで、小型化を実現している。このように、脚を少し開くと、中央にエレベーターと雲台が現れる。

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3本の脚を180 度逆になるまで完全に開いたら、ロータリーハブをつまみ、持ち上げながら回転させて、ロータリーハブの白い点とボディの白い線を合わせた位置に動かす。そうすると、脚が開きすぎないよう固定される。

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次は脚の伸縮だ。脚の先端にある石突を握り、緩む方向に回しながら、5 段分一気に引き伸ばす。勢いをつけて、シャッ、シャッ!と引き伸ばすのがコツだ。最初は勝手がわからず戸惑うかもしれないが、慣れれば問題ない。最後まで引き伸ばしたら、石突を締まる方向に回して固定する。このとき、意識的にきつめに締めることが大切だ。しっかり締めないと、カメラを載せたときに重みで脚が縮んでしまうことがある。

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■ 高さについて

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5段分、脚を伸ばした状態がこちら。エレベーターを伸ばさない全高は1378mm。脚が細めなので頼りなく見えるが、脚そのものは丈夫なので、見た目よりは安定感がある。

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エレベーターを伸ばすと全高は1540mmとなる。私の身長は148cmなので、それよりも高いということになる。十分すぎる高さである。あの小さく折りたたまれた三脚がここまで大きくなるとは……驚き。

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開脚調整ノブをずらすと、開脚角度を変更できる。通常開脚の場合は左位置に、フル開脚の場合は右位置にずらす。

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フル開脚させ、脚を一番短くしたときの最低高は330mm。ウエストレベルファインダーのカメラはローポジションの方が得意なので、このくらい低くなると非常に助かる。

■ 雲台周りについて

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クイックシューを利用したボール雲台。

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ストッパーを緩めると、カメラを自由に動かすことができる。アングルが決まったらストッパーを締めてカメラを固定する。

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反対側にあるパンストッパーを回し緩めると、水平方向のみを独立して回転させることができる。フレーミングを調整する際に便利だ。

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クイックシューがやたら小さくて不安になるが、実際は結構しっかりしている。シュープレートの裏にはカメラ取り付け用のネジつまみがついているので、カメラへの装着は非常に楽である。コインで回さないとカメラに取り付けられないタイプは、撮影中緩んだとき(コインが手元にないと)イラっとするので、ネジつまみがついているのは嬉しい。

※今回は、Rolleiflex SL66Eのネジ穴にネジアタプター( 3/8インチネジを1/4ネジに変換するもの )をつけてから、シュープレートを取り付けている。

■ UTシリーズについて

ここで、今回試したUTシリーズについて簡単に触れておきたい。UTシリーズは、UT-43、UT-53、UT-63の3種類がラインナップされている。長さはどの機種もほぼ同じ。数字が大きいほど強度がアップされており、自身の機材の大きさ・重さに合わせて選択することが可能だ。

さらに、最新のUTC-63はカーボンファイバーを使用している。質量が100g軽くなっていながら、推奨積載質量が( UT-63 の )3㎏ から
4㎏ と大幅にアップしている。……驚き。昨年、発売直後に品切れが続いた人気商品というのも納得できる。

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■ 撮影で使ってみよう!

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それでは、撮影に持ち出してみよう。カメラ( 約2kg )と三脚( 約1kg )を合わせて約3kg程度。これなら疲れず歩き回れる、と思えるくらいの重量である。

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三脚にカメラを固定し、春の公園を撮影。このくらいの高さが、立った状態でファインダーを覗くのにちょうど良い。UT-43の推奨積載質量は2kg。Rolleiflex SL66Eの重さも約2kg。使ってみるまではカメラを支えられるか心配だったが、実際にカメラを載せてみるとしっかり支えられていた。

以下は全て三脚を使用した作品。

F8 1/60 Kodak Ektar 100

F8 1/60 Kodak Ektar 100

F16 1/15 Kodak Ektar 100

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手持ちの場合、絞って景色を撮影することはほとんどない。なぜならば、シャッタースピードが低速になり、ブレてしまうことが怖いからだ。しかし、三脚があれば絞った撮影が可能となる。久しぶりにF16まで絞り込んで景色を撮ってみた。隅々まで描写される感じが気持ちよい。

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F8 1/60 Kodak Ektar 100

F8 1/60 Kodak Ektar 100

花を撮影してみた。見上げるような体勢をとっても、ストッパーをきつく締めればカメラはきちんと固定された。雲台は思ったよりも丈夫だ。上向きアングルのときも安心して使える。

F5.6 1/30 Kodak Ektar 100

F5.6 1/30 Kodak Ektar 100

上の写真と同じ場所から、今度は地面に散った花びらを撮影した。Rolleiflex SL66Eの機能である「 アオリ 」を使っている。不思議なピントの合い方をしているのはそのためだ。手持ちでアオる場合はいつもファインダーでピントの山が掴みにくいのだが、三脚でカメラをしっかり固定しているので、いつもよりもピントの山を掴むことに集中できた。

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F11 1/30 Kodak Ektar 100

F11 1/30 Kodak Ektar 100

カメラを真上に向けて、頭上の木々を撮影した。三脚があると、絞って真上を撮れるので楽しい。しかし、絵的にこれだけではつまらないと感じた。

F11 1/30 Kodak Ektar 100 多重露光

F11 1/30 Kodak Ektar 100 多重露光

今度は、頭上にある木々を多重露光してみた。1枚目と2枚目のあいだに、少しだけカメラを動かしている。私は1枚目を撮ったあと、カメラを少し横にスライドさせて2枚目を撮影する、というスタイルの多重露光が好きだ。三脚があるとその撮影がしやすい。

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F4 1/60 Kodak Ektar 100

F4 1/60 Kodak Ektar 100

三脚を一番低くして、タンポポを撮影した。花を中心にドドンと据えた構図にしたかったので、蛇腹を最大まで繰り出し、被写体に寄った。蛇腹を繰り出すとカメラのサイズが大きくなり、手持ちの場合はホールドするのが難しくなるが、三脚があるとそこを気にしなくて良くなる。おかげで絵作りとピント合わせに集中できた。

F4 1/60 Kodak Ektar 100

F4 1/60 Kodak Ektar 100

同じく、三脚を最低高にして、赤いチューリップを撮影した。これまでブレを防ぐという意味合いで三脚を使っていたが、今回UT-43を使ってみて「絵作りに集中できる」という意味でも三脚は素晴らしい撮影のパートナーだと思った。

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F8 1/60 Kodak Ektar 100

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三脚があれば、カメラをナナメに傾けた構図もなんのその。

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F11 1/15 Kodak Ektar 100

F11 1/15 Kodak Ektar 100

三脚があれば、構図を先に決めて、被写体を待つこともできる。サイクリングロードを含めた構図を先に決め、カメラを三脚に据えて待つ。自転車が良い位置に来た瞬間にシャッターを切った。私は短気なので、普段は被写体を待つような撮影をほとんどしない。三脚があることで撮影スタイルも変わるものだな、と思った。

F16 1/15 Kodak Ektar 100

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やはり絞って撮るのは楽しい。

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■ まとめ

3時間ほど休憩なしで公園内を歩き回ったが、機材の重みによる疲れは感じなかった。持っていることを忘れてしまうくらいのコンパクトさと軽さは素晴らしい。UT-43 は「 できるだけ三脚は軽くしたい 」という私の希望に見事に応えてくれた。

しかも見た目より安定感があり、撮影中は愛機である Rolleiflex SL66E をしっかりと支えてくれた。

今回は三脚があるおかげで、シャッタースピードが低速になることを気にせず、絞り込んだ撮影を楽しむことができた。正直なところ、いままでは手持ちで自由にアングルを探ることが正義だと思っていたフシがあり、機動力が落ちるという理由で三脚を敬遠していた。しかし、UT-43を使ってみて、三脚にカメラを据えたほうがかえって絵作りに集中できることに気がついた。

UT-43は三脚上級者の方には物足りないかもしれないが、小型軽量の三脚を探している方や、三脚を気軽に持ち出してみたい、という方には非常にオススメだ。春の撮影散歩にぜひ連れ出してみて欲しい。きっと、新しい世界を見せてくれるはずだ。

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大村 祐里子
著者について
■ 大村 祐里子 - Yuriko Omura - ■ 1983 年 東京都生まれ 写真家( 有限会社ハーベストタイム所属 )  雑誌、書籍、アーティスト写真の撮影など、さまざまなジャンルで活動中。『写ガール』にて「読書感想写真」、CAMERA fanにて「SHUTTER GIRL WORLD」連載中。http://shutter-girl.jp/
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