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伊達淳一のレンズレビュー
 Tokina AT-X 14-20 F2 PRO DX 

TOPIX

スタグラに5年ぶりに登場いただいた伊達淳一氏。氏のレンズレビューは多くの方のレンズ購入時の指標とされています。今回、伊達氏にレビューいただくのは ” Tokina AT-X 14-20 F2 PRO DX ”。伊達氏独特の切り口で迫るレンズレビューをお楽しみください。 by 編集部

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■ 撮影する被写体によって、カメラのフォーマットは使い分ける時代に

※ 注意
本文中の 実画像 の文字をクリックするとカメラで撮影した実際の画像が別ウインドウで表示されます。容量が大きいのでモバイル端末での表示に注意してください。

写真1  実画像 ファイルサイズ:約 12.8MB
4 月 29 日「 昭和の日 」は帆船日本丸の総帆展帆と満船飾を同時に見られる。超広角ズームを持っていると、つい船に近づきすぎてパースが強くなってしまうが、AT-X 14-20 F2 PRO DX のような 35mm 判換算で 21mm 相当の画角なら超広角としてはパースがキツくなりすぎず、船体全体を自然な遠近感で写すことができた  ニコン D500 AT-X 14-20 F2 PRO DX 絞り優先 AE F8 1/320秒 +1EV ISO:100 WB:AUTO1 14mm 域で撮影

4 月 29 日「 昭和の日 」は帆船日本丸の総帆展帆と満船飾を同時に見られる。超広角ズームを持っていると、つい船に近づきすぎてパースが強くなってしまうが、AT-X 14-20 F2 PRO DX のような 35mm 判換算で 21mm 相当の画角なら超広角としてはパースがキツくなりすぎず、船体全体を自然な遠近感で写すことができた
ニコン D500 AT-X 14-20 F2 PRO DX 絞り優先 AE F8 1/320秒 +1EV ISO:100 WB:AUTO1 14mm 域で撮影

広角~超広角レンズは、バックフォーカス( 撮像素子面からレンズ最後端までの距離 )が短いほうがレンズ設計的に有利だ。そのため、一眼レフよりもミラーレスカメラのほうが、フランジバック( 撮像素子からマウント面までの距離 )が短く、バックフォーカスの短縮化の制約となるミラー機構もないので、同じ性能ならよりコンパクトに、同じ大きさならより高性能なレンズを作りやすい。ところが、APS-C 一眼レフは、フルサイズ一眼レフとフランジバックは同じなので、フルサイズよりもレンズの焦点距離を短くしなければならないのに、バックフォーカスはフルサイズと同じだけ確保する必要があり、それだけ性能のいい超広角ズームを設計するのは難易度が高くなる。

● AT-X 14-20 F2 PRO DX
大口径ズームレンズでありながら、絞り開放からきわめて高性能を発揮する新設計を採用した「 AT-X 14-20 F2 PRO DX 」

大口径ズームレンズでありながら、絞り開放からきわめて高性能を発揮する新設計を採用した「 AT-X 14-20 F2 PRO DX 」

かつては、AF カバーエリアの広さと連写スピードの速さ、よりコンパクトなシステムで超望遠撮影ができる、という利点で APS-C 一眼レフを支持していたボクではあるが、ソニー α7 シリーズの登場で状況が変わってきた。フルサイズでも周辺までピントを合わせられるようになり、画質を重視した撮影はソニー α7 系、機動力を活かした撮影にはマイクロフォーサーズ機、そして、APS-C 一眼レフは超望遠レンズによる動体撮影、超高感度が求められる動体撮影にはフルサイズ一眼レフ、というように、撮影する被写体やシチュエーションによって、フォーマットやカメラタイプを明確に使い分けるようになってきた。正直、1種類のカメラですべてをカバーできるのが財力的にも体力的にも理想ではあるが、少なくとも現時点では、すべてのニーズを1種類のカメラでカバーするのは不可能なので、お金は掛かるが、それぞれの撮影シーンで高い満足度を得るには、機材を使い分けるのが一番だ。

写真2  実画像 ファイルサイズ:約 11.7MB
横浜みなとみらいの帆船日本丸。換算 21mm 相当の画角だと、最近では超広角というほどではないかもしれないが、標準ズームのワイド端では入りきらないランドマークタワーと日本丸を縦位置で収められる  ニコン D500 AT-X 14-20 F2 PRO DX 絞り優先 AE F5.6 1/200 秒 +1EV ISO:100 WB:AUTO0 14mm 域で撮影

横浜みなとみらいの帆船日本丸。換算 21mm 相当の画角だと、最近では超広角というほどではないかもしれないが、標準ズームのワイド端では入りきらないランドマークタワーと日本丸を縦位置で収められる
ニコン D500 AT-X 14-20 F2 PRO DX 絞り優先 AE F5.6 1/200 秒 +1EV ISO:100 WB:AUTO0 14mm 域で撮影

とはいうものの、体力には限界がある。複数のマウントで、超広角から望遠、超望遠、マクロまですべての画角をカバーするレンズを持って歩くのは、ボクの体力では絶望的だ。なので、基本的には、撮影内容によって、使用するボディに合わせ、自ずと持って出かけるレンズも絞られてくる。

特に、APS-C 一眼レフを選択するのは、超望遠で野鳥やヒコーキを撮影したいときなので、持って出かけるレンズは大口径望遠レンズや超望遠ズームだけ、というケースも珍しくない。広角から中望遠で何か撮りたいものに出会ったら、その時はコンパクトカメラで撮影する、という割り切りだ。

写真3  実画像 ファイルサイズ:約 13.1MB
ゴーストやフレアをチェックするため、太陽を画面内に入れてワイド端で撮影。一般的に絞り込むほど、ゴーストは小さくなる一方、ゴーストの明るさが増すが、F11 まで絞ってこの程度のゴーストで済んでいる  ニコン D500 AT-X 14-20 F2 PRO DX 絞り優先 AE F11 1/400秒 +1/3EV ISO:100 WB:AUTO0 14mm 域で撮影

ゴーストやフレアをチェックするため、太陽を画面内に入れてワイド端で撮影。一般的に絞り込むほど、ゴーストは小さくなる一方、ゴーストの明るさが増すが、F11 まで絞ってこの程度のゴーストで済んでいる
ニコン D500 AT-X 14-20 F2 PRO DX 絞り優先 AE F11 1/400秒 +1/3EV ISO:100 WB:AUTO0 14mm 域で撮影

ただ、ポケットに入るサイズのコンパクトカメラだと、超広角の画角まではカバーしていないことが多く、フォトジェニックな雲やキレイな夕景に出会ったときなど、もう少し広角で写せれば、と思うこともある。また、航空祭に行ったときも、ブルーインパルスがスモークで描く巨大なハート(キューピッド)や星(スター&クロス)、サクラなどを一画面に収めるには、それなりの超広角が必要となる。広角から中望遠の平凡な画角はコンパクトカメラでカバーできるが、超広角となるとキビシイものがある。

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AT-X 14-20 F2 PRO DX

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■ AT-X 14-20 F2 PRO DX を手にしたキッカケはニコン D500

前述したように、APS-C 一眼レフにとって超広角ズームはウィークポイントだ。最新のフルサイズ対応超広角ズームやミラーレスカメラの超広角ズームのほうが周辺まで安定した画質で撮れる。( 現在のボクにとって )APS-C 一眼レフは超望遠による動体撮影だけのワンポイントリリーフ的存在なので、手持ちの APS-C 一眼レフ用超広角ズームにはサッサと見切りをつけ、数年前に売り払ってしまった。

写真4  実画像 ファイルサイズ:約 12.6MB
秩父高原牧場近くの天空を彩るポピー。開放 F2.0 の明るさがあれば、ボケにくい APS-C でもワイドの近接撮影で背景を大きくぼかすことができる。広角のボケとしては二線ボケ傾向も少なく、穏やかなボケ味で、周辺の引っぱられ感も少ない  ニコン D500 AT-X 14-20 F2 PRO DX 絞り優先 AE F2 1/8000秒 -1EV ISO:180 WB:AUTO0 15mm 域で撮影

秩父高原牧場近くの天空を彩るポピー。開放 F2.0 の明るさがあれば、ボケにくい APS-C でもワイドの近接撮影で背景を大きくぼかすことができる。広角のボケとしては二線ボケ傾向も少なく、穏やかなボケ味で、周辺の引っぱられ感も少ない
ニコン D500 AT-X 14-20 F2 PRO DX 絞り優先 AE F2 1/8000秒 -1EV ISO:180 WB:AUTO0 15mm 域で撮影

とりわけニコンの DX フォーマット( APS-C )モデルは、D300S を最後に高速連写モデルが発売されず、一応後継機として位置付けられていた D7000 シリーズも、MB-D12 を装着した D810 で DX クロップするよりもコマ速が遅いので、DX フォーマット機はすべて処分し、ニコン D810 を FX( フルサイズ )と DX( APS-C )兼用機として使っていた。そのため、自ずとレンズの更新も FX フォーマット対応レンズのみとなり、DX 専用レンズは AF-S DX NIKKOR 16-85mm f/3.5-5.6G ED VR と、トキナー AT-X 107 DX Fisheye 10-17mm F3.5-4.5 の2本を残すのみとなっていた。

写真5  実画像 ファイルサイズ:約 19MB
天空を彩るポピーをパンフォーカス撮影。PL フィルターを使っているので、シャッタースピードを考え、F8 で撮影しているが、ピント位置が少し手前を意識しすぎたのか、遠景の解像は少し甘めかも。ただ、テレ端 20mm でここまでピントが来れば万々歳だ  ニコン D500 AT-X 14-20 F2 PRO DX 絞り優先 AE F8 1/100秒 -1/3EV ISO:200 WB:AUTO0 20mm 域で撮影

天空を彩るポピーをパンフォーカス撮影。PL フィルターを使っているので、シャッタースピードを考え、F8 で撮影しているが、ピント位置が少し手前を意識しすぎたのか、遠景の解像は少し甘めかも。ただ、テレ端 20mm でここまでピントが来れば万々歳だ
ニコン D500 AT-X 14-20 F2 PRO DX 絞り優先 AE F8 1/100秒 -1/3EV ISO:200 WB:AUTO0 20mm 域で撮影

ところがである。もはや出ないと思っていた D300Sの 真の後継機、D500 が発売されてしまったのだ(汗)。APS-C 高速連写一眼レフとしてはまさに夢のようなスペックで、その発売を楽しみにしていたのだが、D500 と組み合わせる望遠、超望遠レンズはしっかりあるのだが、標準ズームは D300 時代の 16-85mm ズームだし、超広角ズームはなんとフィッシュアイズームだ(笑)。さすがに、超望遠での動体撮影に特化したワンポイントリリーフ的存在といっても、せっかくいいカメラを買うのだから、望遠以外のレンズにもこだわりたいところだ。

写真6  実画像 ファイルサイズ:約 17MB
構図にアクセントを付けるため、撮影ポジションをグッと下げ、手前にポピーの花を大きめに配してみた。パンフォーカス撮影よりも適度に遠景がボケていたほうが立体感が出るので、回折の影響の少ない F8 で撮影。中途半端なボケもうるさくなっていないのは見事だ  ニコン D500 AT-X 14-20 F2 PRO DX 絞り優先 AE F8 1/100秒  ISO200 WB:AUTO0 15mm 域で撮影

構図にアクセントを付けるため、撮影ポジションをグッと下げ、手前にポピーの花を大きめに配してみた。パンフォーカス撮影よりも適度に遠景がボケていたほうが立体感が出るので、回折の影響の少ない F8 で撮影。中途半端なボケもうるさくなっていないのは見事だ
ニコン D500 AT-X 14-20 F2 PRO DX 絞り優先 AE F8 1/100秒  ISO200 WB:AUTO0 15mm 域で撮影

といって、AF-S DX NIKKOR 16-80mm f/2.8-4E ED VR にリプレースしても、標準域にあまりこだわりのないボクにとって、投資に対して得るものはあまりなさそうだ。できれば、周辺画質のいい超広角ズームがあれば、とは思うものの、冒頭で述べたように、センサーサイズに対してムダにフランジバックが長い APS-C 一眼レフは、超広角ズームの設計には不利だ。

写真7  実画像 ファイルサイズ:約 14.5MB
みなとみらいの横浜税関前の暮景。もう少し、空が暗くなったほうが写真的には良かったが、これはあくまで夜景撮影で街灯が画面内に入ったときにゴーストが出るかどうかのチェックで撮影したカット。周辺のコマフレアも小さく、この程度ならゴーストの心配もないようだ  ニコン D500 AT-X 14-20 F2 PRO DX 絞り優先 AE F2.8 1/2.5秒  +1/3EV ISO:100 WB:5000K 14mm 域で撮影

みなとみらいの横浜税関前の暮景。もう少し、空が暗くなったほうが写真的には良かったが、これはあくまで夜景撮影で街灯が画面内に入ったときにゴーストが出るかどうかのチェックで撮影したカット。周辺のコマフレアも小さく、この程度ならゴーストの心配もないようだ
ニコン D500 AT-X 14-20 F2 PRO DX 絞り優先 AE F2.8 1/2.5秒  +1/3EV ISO:100 WB:5000K 14mm 域で撮影

そんな堂々巡りをしていたとき、もしかしてこれはいけるかも!? と注目したのが、「 トキナー AT-X 14-20 F2 PRO DX 」だ。なにしろ、14-20mm F2 という他にはない孤高のスペックで、開放F値が F2 と明るいこともさることながら、ワイド端の画角は 14mm( 換算 21mm )と控えめで、ズーム倍率はわずか 1.5 倍弱という割り切った仕様。しかも、トキナーの製品紹介ページを見ても「 大口径ズームであっても、絞り開放から性能を発揮できる新設計を採用 」とあり、サンプル画像も、F2 開放で撮影されたカットばかり。確かに、絞り開放のキレの良さとボケ味はしっかり感じ取れるが、絞ったときの描写も見せて欲しいぞ! と思わずツッコミを入れたくなってしまうほどだ(笑)。そんなわけで、D500 と組み合わせる超広角、いや広角ズームとして、トキナー AT-X 14-20 F2 PRO DX を選ぶことにした。標準域はとりあえず 16-85mm ズームでカバーできるし、画質を重視する撮影はちょっと重いけどフルサイズの 24-70mm ズームを持ち出せばいいし……。20mm( 換算 30mm )から 24mm( 換算36mm )が焦点距離の空白域になってしまうが、ボクの場合そこまでしてシームレスに焦点距離をカバーする必要はないし、あくまで APS-C 一眼レフは超望遠撮影が主だ。AT-X 14-20 F2 PRO DX で狙うのは、ブルーインパルスがスモークで描く巨大なフィギュアや、フォトジェニックな雲や空の表情。残りの標準域はそれこそコンパクトカメラに任せてしまえ……というのは極論だろうか?

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■ フルサイズはパンフォーカス撮影がむずかしい

写真8  実画像 ファイルサイズ:約 16MB
横浜・赤レンガ倉庫の夜景。赤レンガの壁面も驚くほどクッキリと描写されている。F4 まで絞れば周辺の点光源も羽根を広げることもなく、ほぼ点像に写っている。窓ガラスのヘッドライトの反射に多少パープルフリンジが感じられるが、気になるほどの量ではない  ニコン D500 AT-X 14-20 F2 PRO DX 絞り優先 AE F4 5秒  +1/3EV ISO:100 WB:2630K 14mm 域で撮影

横浜・赤レンガ倉庫の夜景。赤レンガの壁面も驚くほどクッキリと描写されている。F4 まで絞れば周辺の点光源も羽根を広げることもなく、ほぼ点像に写っている。窓ガラスのヘッドライトの反射に多少パープルフリンジが感じられるが、気になるほどの量ではない
ニコン D500 AT-X 14-20 F2 PRO DX 絞り優先 AE F4 5秒  +1/3EV ISO:100 WB:2630K 14mm 域で撮影

というわけで、ニコン D500 の広角域をトキナー AT-X 14-20 F2 PRO DX に任せることにしたわけだが、実際に AT-X 14-20 F2 PRO DX を使ってみた感想は、これまで APS-C で見たこともないほど周辺画質が高く、周辺でボケが引っぱられたり流れたりするような描写も極めて少ないこと。また、夜景撮影においては、絞り開放では周辺の点光源がコマフレアで少しだけ羽根を広げるものの、F2.8 まで絞れば完全な点像とまではいかないが、実用上問題ないレベルまで収まってくれる。諸収差がよく抑えられているので、ピント位置を外れた部分でも周辺像の乱れが少なく、そのため、前後のボケ味もそれほどうるささを感じないのだろう。

写真9  実画像 ファイルサイズ:約 15MB
横浜の大観覧車を絞り開放ワイド端で撮影。あまりスローシャッターにすると、動いている観覧車がぶれてしまうので、画質とシャッタースピードのバランスを考え、ISO:400 まで感度アップ。こんなとき F2.0 の明るさが活きる。画面右下の端を見れば開放時のコマフレアが確認できる  ニコン D500 AT-X 14-20 F2 PRO DX 絞り優先 AE F2 1/25秒  +1/3EV ISO:400 WB:4170K 14mm 域で撮影

横浜の大観覧車を絞り開放ワイド端で撮影。あまりスローシャッターにすると、動いている観覧車がぶれてしまうので、画質とシャッタースピードのバランスを考え、ISO:400 まで感度アップ。こんなとき F2.0 の明るさが活きる。画面右下の端を見れば開放時のコマフレアが確認できる
ニコン D500 AT-X 14-20 F2 PRO DX 絞り優先 AE F2 1/25秒  +1/3EV ISO:400 WB:4170K 14mm 域で撮影

ただ、ズーム倍率が 1.5 倍弱しかないので、とりあえず、適当なところでカメラを構え、ズームして構図を考える、といった撮り方には向いていない。21mm、24mm、28mm の3本の単焦点レンズを使っている感覚で、被写体と向き合い、最初の立ち位置を決め、最終的なフレーミングをズームで微調節する、という使い方をしないと、これだけしかズームできないのかよ、という不便さが気になってしまう。あくまでレンズはズームではなく、トリミングできる単焦点の広角レンズとして付き合うのが吉だ。

写真10  実画像 ファイルサイズ:約 17MB
河口湖畔の大石公園のラベンダーと富士山( 頭が雲隠れしているけど )をパンフォーカス撮影。富士山まで確実に被写界深度内に収めるため、F11 まで絞って撮影。そろそろ小絞りボケの影響が出てくる絞り値だが、レンズの解像力が高いので、この程度の絞り値ではまったく解像低下を感じない  ニコン D500 AT-X 14-20 F2 PRO DX 絞り優先 AE F11 1/80秒  ISO100 WB:晴天 16mm 域で撮影

河口湖畔の大石公園のラベンダーと富士山( 頭が雲隠れしているけど )をパンフォーカス撮影。富士山まで確実に被写界深度内に収めるため、F11 まで絞って撮影。そろそろ小絞りボケの影響が出てくる絞り値だが、レンズの解像力が高いので、この程度の絞り値ではまったく解像低下を感じない
ニコン D500 AT-X 14-20 F2 PRO DX 絞り優先 AE F11 1/80秒  ISO100 WB:晴天 16mm 域で撮影

もうひとつ、AT-X 14-20 F2 PRO DX を使ってみて感じたのは、風景のパンフォーカス撮影がやりやすいという点。高画素のフルサイズ機でパンフォーカス撮影をしようとしても、例え、24mm の広角撮影であっても F11 程度ではとても手前から奥までピントが合わせることはできない( 厳密には、ピントが合っているように写すことができない )。F16 でも手前重視だと遠景は甘くなるし、F22 まで絞ると光の回折の影響がかなり大きくなり、解像だけでなくコントラストも低下するので、高画素本来の高精細描写は得られない。しかも、思いっきり絞り込むので、朝夕の光量が少ないシーンや、PL フィルターを併用していると、シャッタースピードもかなり遅くなってしまう。

写真11  実画像 ファイルサイズ:約 15MB
河口湖ハーブフェスティバルの八木崎公園にて。ラベンダーとアジサイの両方が見頃だったので、アジサイも撮影。ボケ味が悪いとうるさくなる被写体だが、二線ボケ傾向も少なく、口径食も F4 まで絞れば目立たなくなる  ニコン D500 AT-X 14-20 F2 PRO DX 絞り優先 AE F4 1/160秒  ISO100 WB:晴天 17mm 域で撮影

河口湖ハーブフェスティバルの八木崎公園にて。ラベンダーとアジサイの両方が見頃だったので、アジサイも撮影。ボケ味が悪いとうるさくなる被写体だが、二線ボケ傾向も少なく、口径食も F4 まで絞れば目立たなくなる
ニコン D500 AT-X 14-20 F2 PRO DX 絞り優先 AE F4 1/160秒  ISO100 WB:晴天 17mm 域で撮影

その点、APS-C なら同じ画角でもレンズの焦点距離が短い分、同じF値でもボケにくい。しかも、D500 の画素数は 2,000 万画素と控えめなので、24mm 相当の画角でもうまくピント位置を調節すれば、F11 程度まで絞れば手前から奥までパンフォーカスで写すことができる。要は APS-C はボケない、D500 は画素数が少ないので微小なボケまでわからない、ということだが、撮影した写真をピクセル等倍鑑賞したときに、このちゃんとピントが合っているという気持ちよさは格別だ。もちろん、高画素のフルサイズ一眼レフで撮影した写真を 2,000 万画素まで縮小し、適切なシャープネス処理を施せば、同等以上のパンフォーカス感が得られるのかもしれないが、ピクセル等倍で見てピントが甘かったりレンズの収差が目に付いてしまうと、自己嫌悪に陥ったり機材に対する不満でモチベーションがダダ下がりになってしまう。一方、撮って出しでピクセル等倍鑑賞に耐えるキレキレの描写が得られると、自分の腕が上がったように感じるし、撮影の満足度は高くなる。仕事ならともかく、趣味の撮影なら、撮影結果に自己満足できるか否かは撮影に対する報酬として重要な要素。AT-X 14-20 F2 PRO DX は、そんな自己満足度が間違いなくアップするレンズだ。

写真12  実画像 ファイルサイズ:約 17MB
河口湖ハーブフェスティバルの八木崎公園のラベンダー。手持ちで撮影であまり思い切って絞りきれなかったので、少し手前のラベンダーのピントが甘めだが、微ボケした部分がぶれたような描写にはなっていない。結構、前ボケがぶれたように写る広角レンズが多いが、このレンズはその心配はほとんどない  ニコン D500 AT-X 14-20 F2 PRO DX 絞り優先 AE F9 1/100秒  ISO200 WB:晴天 14mm 域で撮影

河口湖ハーブフェスティバルの八木崎公園のラベンダー。手持ちで撮影であまり思い切って絞りきれなかったので、少し手前のラベンダーのピントが甘めだが、微ボケした部分がぶれたような描写にはなっていない。結構、前ボケがぶれたように写る広角レンズが多いが、このレンズはその心配はほとんどない
ニコン D500 AT-X 14-20 F2 PRO DX 絞り優先 AE F9 1/100秒  ISO200 WB:晴天 14mm 域で撮影

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■ レンズ性能チェック - 被写界深度・回折

写真13  実画像 ファイルサイズ:約 13MB
山梨県北杜市明野のひまわり( 浅尾新田会場 )。中央のひまわりの花にピントを合わせ、絞り開放で撮影。右上の微妙にボケたひまわりを見ても、さほどうるさい描写になっていない。下手なレンズで撮影すると、二線ボケがうるさく、かんに障ってしまうところだ  ニコン D500 AT-X 14-20 F2 PRO DX 絞り優先 AE F2 1/4000秒  ISO100 WB:晴天 14mm 域で撮影

山梨県北杜市明野のひまわり( 浅尾新田会場 )。中央のひまわりの花にピントを合わせ、絞り開放で撮影。右上の微妙にボケたひまわりを見ても、さほどうるさい描写になっていない。下手なレンズで撮影すると、二線ボケがうるさく、かんに障ってしまうところだ
ニコン D500 AT-X 14-20 F2 PRO DX 絞り優先 AE F2 1/4000秒  ISO100 WB:晴天 14mm 域で撮影

これからこのレンズを購入したいと考えている人の参考になればと思い、ワイド端の 14mm、ズーム中域の 16mm、テレ端の 20mm の各焦点距離で、F2 開放から最小絞りの F22 まで1絞りずつ変えて撮影してみた。ピント位置は前から2列目中央のひまわり。絞り開放の画質( とりわけピント面の周辺画質 )や絞っていくにつれ、被写界深度がどの程度深くなり、どこから光の回折の影響で解像が低下しているかも見て欲しい。

※撮影地 山梨県北杜市明野サンフラワーフェス 浅尾新田会場

■ 焦点距離 14mm
f/2.0 実画像
焦点距離 14mm f/2.0
f/2.8 実画像
焦点距離 14mm f/2.8
f/4.0 実画像
焦点距離 14mm f/4.0
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焦点距離 14mm f/5.6
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焦点距離 14mm f/8.0
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焦点距離 14mm f/11
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焦点距離 14mm f/16
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焦点距離 14mm f/22
■ 焦点距離 16mm
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焦点距離 16mm f/2.0
f/2.8 実画像
焦点距離 16mm f/2.8
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焦点距離 16mm f/4.0
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焦点距離 16mm f/5.6
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焦点距離 16mm f/8.0
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焦点距離 16mm f/11
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焦点距離 16mm f/16
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焦点距離 16mm f/22
■ 焦点距離 20mm
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焦点距離 20mm f/2.0
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焦点距離 20mm f/2.8
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焦点距離 20mm f/5.6
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焦点距離 20mm f/16
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焦点距離 20mm f/22
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■ レンズ性能チェック - パンフォーカスの性能

パンフォーカス撮影で悩むのが、被写界深度の深さと光の回折による小絞りボケの影響。前景が近いほど遠景までピントを合わせるのがむずかしくなり、ピントを手前の被写体に合わせたのでは、とても遠景まではカバーしきれない。解像を重視して F9 ~ 11 程度では遠景まではピントが合わないので、奥までピントが合わないのを承知で手前重視でピントを合わせることになる。F13 まで絞ればピント位置を2列目にひまわりにしても大丈夫かと思ったが、ピクセル等倍鑑賞では微妙に甘さが残る結果となった。前景が近いと、APS-C でもパンフォーカス撮影はむずかしい。ましてや、フルサイズで同じシーンをパンフォーカス撮影しようとしても、フォーカスブラケットで合成しないと無理だ。そういう意味では、D500 と AT-X 14-20 F2 PRO DX の組み合わせは、比較的容易にパンフォーカス撮影ができるのが魅力だ。

■ 焦点距離 14mm
f/2.0 実画像
焦点距離 14mm f/2.0
f/2.8 実画像
焦点距離 14mm f/2.8
f/8.0 実画像
焦点距離 14mm f/8.0
f/16 実画像
焦点距離 14mm f/16
■ 焦点距離 16mm
f/9 実画像
焦点距離 16mm f/9
f/11 実画像
焦点距離 16mm f/11
f/16 実画像
焦点距離 16mm f/14

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伊達淳一
著者について
■ 伊達淳一 ■1962年広島県生まれ。千葉大学工学部画像工学科卒。写真誌などでカメラマンとして活動する一方、専門知識を活かしてライターとしても活躍。黎明期からデジカメに強く、カメラマンよりライター業が多くなる。
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