●建物の写真って歪んでますよね
人物写真のレタッチが多い本講座ですが、今回は建物の写真の補正です。 ビルなどの大きな建物の全景を撮る場合を考えてみましょう。このとき、28mm から 100mm といった普通のズームレンズ付いているカメラで、大きな建物を撮るとします。被写体となる建物から遠く離れて、その全景がフレーム内に難なく収まるとすれば、建物の写真が歪むことはほとんどありません。これは、建物の高さと横幅よりも、カメラから建物までの距離の方が大きい場合で、こうした写真では、絵画で使われる遠近法の原理どおり、建物の幾何学的な形状を維持した写真になるはずです。 でも、現実の撮影では、建物とカメラの距離はそんなに取れるものではありませんよね。東京タワーや六本木ヒルズのようなランドマークにもなるような高さの建物なら別ですが、よくある高さの建物の周りには、全景を撮るには邪魔になる別の建物があったりするものです。ですから結局、建物のすぐ前の道路から撮るなんてことが多いはずです。レタッチ例の写真も同様で、建物の前の歩道から撮った写真で、建物の上にいくほど小さくなるという、ビリケン型の歪みが顕著に現れた写真です。この写真は建物の全景ではありませんが、建物の1階の全容だけでもここまで歪んでしまいます。
人物写真のレタッチが多い本講座ですが、今回は建物の写真の補正です。
ビルなどの大きな建物の全景を撮る場合を考えてみましょう。このとき、28mm から 100mm といった普通のズームレンズ付いているカメラで、大きな建物を撮るとします。被写体となる建物から遠く離れて、その全景がフレーム内に難なく収まるとすれば、建物の写真が歪むことはほとんどありません。これは、建物の高さと横幅よりも、カメラから建物までの距離の方が大きい場合で、こうした写真では、絵画で使われる遠近法の原理どおり、建物の幾何学的な形状を維持した写真になるはずです。
でも、現実の撮影では、建物とカメラの距離はそんなに取れるものではありませんよね。東京タワーや六本木ヒルズのようなランドマークにもなるような高さの建物なら別ですが、よくある高さの建物の周りには、全景を撮るには邪魔になる別の建物があったりするものです。ですから結局、建物のすぐ前の道路から撮るなんてことが多いはずです。レタッチ例の写真も同様で、建物の前の歩道から撮った写真で、建物の上にいくほど小さくなるという、ビリケン型の歪みが顕著に現れた写真です。この写真は建物の全景ではありませんが、建物の1階の全容だけでもここまで歪んでしまいます。
●建物の形状を正しく伝えるために
ここまで歪んでしまった写真では、見る人に建物の形状を正しく理解してもらうことはできませんよね。そこで、実際の写真ではありえないことですが、Photoshop で加工して、この歪みを補正してみましょう。
●レタッチ操作の流れ
ここでは、以下の機能を使って補正します。 [ 背景レイヤー ] を編集可能にする [ グリッド ] の設定 [ グリッド ] の表示 [ 遠近法 ] コマンド レタッチの流れは、以下の通りです。 あらかじめ、 サンプル画像をダウンロードしておいてください。 1. サンプル画像を開いて、[ 背景レイヤー ] を編集可能にします。 2. 歪み補正の参考にする [ グリッド ] を設定します。 3. [ グリッド ] を表示させます。 4. [ 遠近法 ] コマンドを使って、歪みを補正します。 5. [ 遠近法 ] コマンドで、傾きも補正します。 6. [ グリッド ] を非表示にして完成です。
ここでは、以下の機能を使って補正します。
●レタッチのポイント1 − [ レイヤー ]
画面1では、開いた画像ファイルの [ 背景レイヤー ] をダブルクリックしています。この操作は、 [ 背景レイヤー ] を通常の [ レイヤー ] に変換するテクニックです。なぜ [ 背景レイヤー ] を通常の [ レイヤー ] に変換するのかというと、ここで使う [ 遠近法 ] コマンドなどの [ 変形 ] ツールは、[ 背景レイヤー ] には適用できないからです。(「レイヤーの基本概念を知ろう」を参照)
●レタッチのポイント2 − [ グリッド ]
画面2で行なっている操作は、画像を [ 遠近法 ] コマンドを使って変形させるときに、参考にする [ グリッド ] の設定です。[ グリッド ] は、便宜的に表示させて使うことのできる方眼状のガイドです。さまざまな用途に応用できる機能ですが、ここでは建物の形状を補正するための参考程度に使います。 設定した [ グリッド ] を表示させるには、画面3の手順で操作します。
●レタッチのポイント3 − [ 遠近法 ]
レタッチ例の写真のように、建物の上にいくほど小さくなるという、ビリケン型の歪みを補正するには、[ 編集 ] メニューの [ 変形 ] にある [ 遠近法 ] コマンドを使います。[ 遠近法 ] コマンドを使うと、画面4のように画像の周囲に□(ハンドル)の付いた枠(バウンディングボックス)が表示されます。このとき、各頂点の□(ハンドル)をドラッグすると、ドラッグした方向と逆の頂点にある□(ハンドル)が、ドラッグした距離と同じだけ逆方向に移動します。画面5の場合は、右上の□(ハンドル)を右方向に水平にドラッグしたので、左上の□(ハンドル)が、自動的に左方向に移動しました。このとき、画面では確認できませんが、画像は台形に歪んでいます。 画面5では、[ グリッド ] を参考にしながら、□(ハンドル)をドラッグし、適当なところで上中央の□(ハンドル)を操作しています。枠(バウンディングボックス)の各辺の中央にある□(ハンドル)は、枠(バウンディングボックス)の辺の長さを維持したまま、上下左右にドラッグして変形させられるという特徴を持っています。つまり、画面5では、頂点の□(ハンドル)で画像の歪みを補正して、辺の中央の□(ハンドル)で画像の傾きを補正しているわけです。 こうして補正した結果が画面6です。補正前と比べると、絵画のような遠近法で表現されているので、写真としては不自然ではありますが、建物の形状が理解しやすくなっているかと思います。
レタッチ例の写真のように、建物の上にいくほど小さくなるという、ビリケン型の歪みを補正するには、[ 編集 ] メニューの [ 変形 ] にある [ 遠近法 ] コマンドを使います。[ 遠近法 ] コマンドを使うと、画面4のように画像の周囲に□(ハンドル)の付いた枠(バウンディングボックス)が表示されます。このとき、各頂点の□(ハンドル)をドラッグすると、ドラッグした方向と逆の頂点にある□(ハンドル)が、ドラッグした距離と同じだけ逆方向に移動します。画面5の場合は、右上の□(ハンドル)を右方向に水平にドラッグしたので、左上の□(ハンドル)が、自動的に左方向に移動しました。このとき、画面では確認できませんが、画像は台形に歪んでいます。
画面5では、[ グリッド ] を参考にしながら、□(ハンドル)をドラッグし、適当なところで上中央の□(ハンドル)を操作しています。枠(バウンディングボックス)の各辺の中央にある□(ハンドル)は、枠(バウンディングボックス)の辺の長さを維持したまま、上下左右にドラッグして変形させられるという特徴を持っています。つまり、画面5では、頂点の□(ハンドル)で画像の歪みを補正して、辺の中央の□(ハンドル)で画像の傾きを補正しているわけです。
こうして補正した結果が画面6です。補正前と比べると、絵画のような遠近法で表現されているので、写真としては不自然ではありますが、建物の形状が理解しやすくなっているかと思います。