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薮田織也の女性ポートレートゼミ
ポージング&フレーミング on the Web #01
 ~ 2ステップでS字立ちポーズ!

薮田織也の女性ポートレートゼミ ポージング&フレーミング on the Web

Photo & Text 薮田織也 モデル:響-kyo-

TOPIX

新連載、薮田織也の女性ポートレートゼミ・ポージング&フレーミング on the web。第1回は、ポージングの基本中の基本、美しく魅せる立ちポーズです。やってみると意外に難しいとされる「 S字 」の立ちポーズですが、薮田流超簡単指導で誰でもできるようになります。ぜひ試してみてください。また、本編を読む前に、「 ポーフレ・はじめに 」をご一読ください。( 編集部 )

~ ポーフレ・はじめに ~

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■ 難しいS字ポーズを2ステップで実現

写真1 左の NG ポーズから2ステップで右の Good ポーズに大変身!

写真 1  左の NG ポーズから2ステップで右の Good ポーズに大変身!

ポージングの基本は、全身の関節を使ってSの字を描くように立つ「 S字の立ちポーズ 」です。写真1を観てもらえばわかるとおり、左の棒立ちよりも美しく、脚も長く見える右側がS字ポーズです。

蛇足ですが、この記事を作成中に「 写真1の左側のような NG ポーズをとる女性は現実ではいないだろ 」、という意見をもらいました。この作例ではプロモデルに不慣れな(笑) NG ポーズをとってもらっているのでリアリティは無いかもしれませんが、実際には思いのほかたくさんいます。モデル経験のない背の高い女性と胸の大きな女性は、背の高さと胸の大きさを隠すために、こうした姿勢を自然にしてしまうものなのです。女性は、男性の目を意識する前に同性の目を強く意識しているものだということを、男性カメラマンは理解しておく必要があります。話を戻しましょう。



このS字ポーズを、筆者は長年にわたっていろいろな書籍や記事で詳しく解説してきました。ところが、プロのモデルなら簡単にできるこのポーズも、ポージング初心者にとってはかなり難しく、細かな指示をすると筋肉がこわばり、かえって美しくなくなってしまいます。そこで、ポージング初心者でも簡単にできる「 2ステップS字ポージング術 」を編み出しました。その方法が写真2です。

写真2 ① 猫背で両方の脚が横に並んでいる状態。② 片脚立ちする。③ あげた脚を重心を置いた脚の前に出す。足の裏は床に着けない。

写真 2  ① 猫背で両方の脚が横に並んでいる状態。② 片脚立ちする。③ あげた脚を重心を置いた脚の前に出す。足の裏は床に着けない。

2ステップS字ポーズ( 写真2 )は、1ステップ:片脚立ちして、2ステップ:軸足の前に上げた脚を重ねるだけです。大切なのは、2ステップの重ねた脚を床に着けないこと。

写真3 片脚だけで立つと、両肩を結んだ線と左右の腸骨を結んだ線が「 <( 不等号 ) 」になる

写真 3  片脚だけで立つと、両肩を結んだ線と左右の腸骨を結んだ線が「 <( 不等号 ) 」になる

人は片脚立ちすると、体のバランスを保とうとします。実際に姿見の鏡の前でやってみればわかりますが、両肩を結んだ線と左右の腸骨を結んだ線の形が「 <( 不等号 ) 」( 写真3 )になっているはずです。このとき、頸椎から脊椎にかけての線がS字を描くのでS字ポーズと呼ばれています。

一般的に人物写真は、画の要素が直線よりも曲線で構成されていると美しく感じるものです。もちろん、例外もたくさんありますが、まずはポージングの基礎として、撮る人も撮られる人も、S字ポーズがやれるようにしましょう。今後も連載中頻繁に書くと思いますが、モデルにポージングを指示するときは、撮る側もそのポーズをする必要があります。そんなの恥ずかしくてできるわけないと言う人は、モデルにポージングさせる権利はないと思っておいてくださいね。格好悪くてもいいんです。自分ができないポーズをモデルさんに要求することがどれだけ大変なことかがわかりますし、実際にやって見せればモデルさんの飲み込みもスムーズになります。それはともかく、モデルさんを笑わせるつもりでポージングしてください。きっと場が和みますから(笑)

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■ S字ポーズは脚が長く見える

写真4 左右の腸骨の高低差(a)と前後の足の爪先の差(b)が脚を長く見せる効果になる

写真 4  左右の腸骨の高低差(a)と前後の足の爪先の差(b)が脚を長く見せる効果になる

S字の立ちポーズのメリットは、画全体にリズム感を生み、人物の曲線美を演出することの他に、脚を細く長く見せる効果( 写真4 )があります。

脚を前後に重ねるときは、重心を置いている後ろの足首の約半分以上を、前に置いた足首で隠すように心がけてみましょう。こうして両の脚で「 V字 」を描くようにすると、脚全体が細くシェイプアップされたように見えます。

ここまでが誰でもできる初心者向けと言ってもよい超簡単S字ポーズです。大切なのは「 重心を1箇所に集中させる 」こと。これは立ちポーズに限らず、座、仰臥と、すべてのポージングに共通する重要ポイントなので覚えておいてください。ここで片脚立ちさせているのは、重心を片足に集中させるためなので、S字ポーズに慣れてきたら、前に出した足の爪先を床に軽く着けるくらいはして構いません。ただし、重心は常に後ろ側の足に置くことは忘れないでください。

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■ より高度なS字ポーズ

写真5 基本の片脚立ちをベースに、aからfの順で形を整えていく

写真 5  基本の片脚立ちをベースに、aからfの順で形を整えていく

誰でもできる超簡単S字ポーズだけでは物足りないという方に向けて、より高度なS字の立ちポーズ( 写真5 )を紹介しておきましょう。ただし、慣れないうちは本番で使ってはいけません。ぎこちなくなってしまいますからね。姿見の鏡の前で毎日練習して、自然にできるようになってから本番撮影で使ってみましょう。

まずは写真5を観てください。一見簡単にポージングしているように見えますが、効果を狙っての意図的なポイントがいくつもあります。

それでは写真5からまでを個別に解説していきましょう。

写真5a カメラの方向に対して腰を 45° にして片脚立つ。重心を置くのはカメラから遠い方の足

写真 5a  カメラの方向に対して腰を 45° にして片脚立つ。重心を置くのはカメラから遠い方の足

より高度なS字の立ちポーズも、基本的な立ち方は前述した超簡単S字の立ちポーズと同じですが、写真5aのように、今度は腰をカメラに対して1時半か 10 時半、つまり 45° 程度の角度を付けて立ってから片脚立ちします。腰の角度をカメラに対して 45° にするのは、腰幅を細く見せる効果を期待すると同時に、ヒップラインをカメラに見せるためでもあります。片脚立ちして、カメラから遠い方の足に重心を置いていると、カメラに見える方の腰は少し上がっているので、必然的にヒップアップしたラインが見えるようになります。ヒップラインが落ちてきているのが気になる人には有効な立ち方です。

写真5b 両足は11時、もしくは1時に開いて立つ。重心を置く足が短針。長針は常にカメラに向かせる

写真 5b  両足は11時、もしくは1時に開いて立つ。重心を置く足が短針。長針は常にカメラに向かせる

体をカメラ正面に向けて立った超簡単S字の立ちポーズでは足の角度は気にしていませんでしたが、より高度なS字の立ちポーズでは、腰を 45° ひねっているので足の角度も大切になります。ここでは爪先が向いている方向を時計の長針と短針に見立てて、11 時か1時に開いて立ちますが、カメラの向きに対して左 45° で立っているときは 11 時、右 45° で立っているときは1時、といった具合です。重心を置いている足が短針で、浮かせている足が長針ですね。

「 腰が 45°なら足は 10 時半か1時半なのでは?」と思うかもしれませんが、そうすると重心を置いている足が開きすぎで見えてしまいます。よって、短針の足は少し閉じる感じにするわけです。

写真5c 腰は 45° をキープしたままウエストから上をカメラ側にタオルを絞るようにひねる

写真 5c  腰は 45° をキープしたままウエストから上をカメラ側にタオルを絞るようにひねる

この手順の中で、なかなか難しいのがの、腰を残してウエストだけひねる( 写真5c )ことです。多くの初心者が、腰も同時にカメラ側にひねってしまうのです。これを正しくやれるようになるには何度も練習するしかありません。正しく腰を残してウエストから上だけをひねると、ウエストが細く見える効果があるので、ウエスト周りが気になる人は是非に攻略してくださいね。

写真5de 首を肩の付け根からカメラから遠い方に傾ける。カメラ側の肩を落とす

写真 5de  首を肩の付け根からカメラから遠い方に傾ける。カメラ側の肩を落とす

の効果は、首を長く見せるだけではなく首のシワを解消する効果も期待できます。首のシワは男性が思っている以上に女性は気にしています。首が長く綺麗な女性でも、デコルテが大きく出た服を着ているときに両サイドの髪の毛を前に垂らしていることが多いのは、そうした気持ちのあらわれだと思ってよいでしょう。髪の毛を前に垂らしていると首やデコルテが表現できないので、「 せっかくの長い首と綺麗なデコルテがもったいないので、カメラ側の髪の毛だけ後ろに垂らしてもらえるかな?」と言って褒めながら、のポージング指示でシワのない綺麗な首を撮ってあげましょう。

普通のS字ポーズでは首にシワが入ることはそうありませんが、菱川師宣の浮世絵「 見返り美人図 」のようなカット、つまり大きく首をひねるポーズを撮るときには、かならずのポージング指示をし、首にできるシワを目立たなくします。

写真5f カメラ側の腕を脇から離してウエストと腕の間に空間を作り、背から腰にかけてのラインを見せる

写真 5f  カメラ側の腕を脇から離してウエストと腕の間に空間を作り、背から腰にかけてのラインを見せる

最後が写真5fのカメラ側の腕を脇から離してウエストと腕の間に空間を作るポージングで、これが立ちポーズ最後の締めとも言えるものです。せっかくS字ポーズができていても、ここを決めないとすべてが台無しになると言っても過言ではありません。実際、これができていないためにウエストから上が太く見えてしまう写真を SNS などで大量にみかけます。

写真5fのポージングは、ビーナスラインと呼ばれる背中からお尻にかけての曲線を見せるためです。ビーナスラインをカメラ側の腕で隠してしまうと、腕の外側のラインから反対の腕の外側までが上半身に見えてしまいます。つまり実際よりも太って見えることになるわけです。これはバストはもちろん、ウエストにおいても同じことがいえます。美しく魅せるポージングで大切なのは、美しいラインを見せてそうではないラインは隠すことです。そのために、腕と体の間に空間を作ることが大切なのです。今後もこのポイントは頻出しますから、よ~く覚えておいてくださいね。

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■ S字立ちポーズの作品例

最後に、S字の立ちポーズを使った作品例をご覧にいれながら今回はこれでお別れです。写真6写真7ともに、モデルさんの脚線美を強調した写真です。

大きく性格の違う衣装ですが、脚線美はきちんと表現できていると思います。衣装の性格でポージングの指示方法も変わってきますが、その辺はいずれきちんと紹介します。また、写真7は表現のためにライティングの要素も重要になってくる作例ですが、今後、ポージング&フレーミング( ポーフレ )とは別に、ポージング&ライティング( ポーライ )の連載も考えていますからご期待ください。

写真6 体のラインがきっちりと出る衣装での脚線美強調。ポイントは、浮かせている脚のヒールが隠れないように爪先をカメラに向けること。そして軸足を開きすぎないようにすること

写真 6  体のラインがきっちりと出る衣装での脚線美強調。ポイントは、浮かせている脚のヒールが隠れないように爪先をカメラに向けること。そして軸足を開きすぎないようにすること

写真7 体のラインが見えない衣装での脚線美強調。背景の窓から入る自然光で衣装を透かし、綺麗な脚をわずかに見せている

写真 7  体のラインが見えない衣装での脚線美強調。背景の窓から入る自然光で衣装を透かし、綺麗な脚をわずかに見せている

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■ ポージング&フレーミング on the ROAD のお知らせ

薮田織也の女性ポートレートセミナー・ポージング&フレーミング on the ROAD vol.2


来る 2016 年 3 月 26 日(土)に、本連載の内容をリアルで体験できる「 薮田織也の女性ポートレートセミナー・ポージング&フレーミング on the ROAD vol.2 」が開催されます。ふるってご参加ください。
■ 詳細は以下でチェック!■
薮田織也の女性ポートレートセミナー・ポージング&フレーミング on the ROAD vol.2



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■ 次回予告

次回はポートレート・フレーミングの基本をお届けします。お楽しみに。

■ 制作・著作 ■
スタジオグラフィックス
薮田織也事務所
■ モデル ■
響-kyo-

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薮田 織也
著者について
■ 薮田 織也( Oliya T. Yabuta )人物・光景写真家 ■  1961 年生まれ。テレビ番組制作会社、コンピュータ周辺機器メーカーの製品企画と広告制作担当を経て人物写真家に。2000 年よりモデルプロダクションの経営に参画し、モデル初心者へのポージング指導をしながらポージングの研究を始める。2008 年「モテ写: キレイに見せるポージング」を共著で上梓。2003年か らStudioGraphics on the Web の創設メンバーとして活動。近著に「 美しいポートレートを撮るためのポージングの教科書 」( MdN 刊 )がある。
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