露出の設定によって写真のデキは大きく変わります。
簡単撮影ゾーンやコンパクトカメラの自動設定など、初級向けの環境ではカメラが露出を自動で判断して決めてくれます。しかし、必ずしもカメラが自動で判断して決めてくれた露出が、撮りたい写真の適正露出とは限りません。だから、中級者にステップアップするためには露出を調節するテクニックを覚えた方がよいのです。
●ダイナミックレンジってよく聞くでしょ
|
<写真A>
薮田氏がセッティングした状態を、私が便乗して横撮り撮影した写真です。
ブラケティング機能(後述)で3枚を連続して撮りました。最初は適正露出と思われる状態の写真です。 |
|
|
|
<写真B>
ブラケティング機能では、2枚目は露出アンダーで撮影されます。妖艶な感じの写真でメリハリが効いています。これはこれでいい感じだと思います。 |
|
|
|
<写真C>
3枚めは露出オーバーで撮影されます。飛んでいてもこのくらいハイキーな写真の方が、広告などでは使い易い場合もあります。 |
|
明るいところと暗いところが同居しているような写真の場合は特に、露出には悩まされます。明るいところに露出設定を合わせれば、暗い部分は黒く潰れてしまい、暗いところに合わせれば明るいところは白飛びしてしまうからです。もちろん、カメラの性能によっても、黒潰れや白飛びしてしまう度合いは異なります。
「ダイナミックレンジが広い」とか「狭い」といった言葉を聞いたことがあるかと思いますが、「ダイナミックレンジが広い」カメラほど、黒潰れや白飛びを防ぐ能力には長けています。実は、同じサイズの撮像素子(CCDやCMOSセンサー)を搭載するカメラの場合、高画素数の撮像素子ほどダイナミックレンジは狭くなる傾向にあるのです。つまり、高画素数のモデルをこぞって欲しがる初心者もいらっしゃいますが、ともすると初級者には難しいカメラを欲しがっている、と言えなくもないわけです。
もちろん、カメラメーカーだって騙して商売したくはないでしょう。高画素数をでっかくPRしておいて、実はしょぼい画像のモデルじゃ世間が許しません。そこで高画素化で落ちそうになるダイナミックレンジ幅を、各社いろいろな技術を投じて拡げているわけです。富士写真フイルムのハニカムCCDも、高画素でありながら広いダイナミックレンジを実現している技術として有名ですよね。
だから、カメラ選びには画素数だけでなくダイナミックレンジの広さなんかも気にしてみるといいですよ。
●人間の欲望はダイナミック!!(意味不明)
さらにしつこくダイナミックレンジの話。
例えば、もしとんでもなくダイナミックレンジが広いカメラがあるとしましょう。右のような写真を撮ったとしても、明るいところは写真Bの明るい部分のようにはっきりと(カーテンのしわが解る)、暗いところは写真Cの暗い部分のようにこれまたはっきりと撮れることでしょう。これなら曖昧に露出を設定してもOKですね・・すべて解決・・そんなカメラが最強っ!!・・・なんて、そういうわけでもないんですよ(どんどん話がそれていく・・(汗;))。
想像してみてください、今言ったような写真を。つまり、明暗がはっきりしていない写真ってことですよね。それで果たして見栄えのする写真と言えるのでしょうか? 仮にレタッチで写真を加工して、そういう写真を作ったとしても、とても不自然で、パンチのない、メリハリもない写真になってしまうのです。
●黒潰れ、白飛びは善か悪か?
なんの話だっけ?
そうそう、どんな高性能カメラであっても、露出の設定によって黒潰れや白飛びは発生します。カメラが自動で露出を設定する場合、カメラさんの立場からすれば、この黒潰れや白飛びは「悪」なのです。自動なんだからそれで仕方ないのです。つまり、なるべくそれが発生しない設定が「適正」という意味です。
前回解説したように、一般的にはカメラは被写体含めて写真全体の複数箇所の明るさを測り、適正露出を決定しますので、大雑把に言うと、平均露出がセットされます。だから右の写真のように、窓際で人物を撮ると、窓の明るさに平均値が引っ張られて肝心な人物は暗く、黒くなってしまいます。また、運良く人物に露出が合ったとした場合、今度は被写体の白っぽい部分は露出オーバーで撮影される可能性が高くなります。しかし、撮影者にとっては白っぽい部分が重要な場合もありますよね。そんなときは肝心な部分が白飛びした写真にならないよう、カメラが判断した適正露出よりも露出アンダーで撮っておいて白飛びを防ぎ、後で好きなようにレタッチで調整するのが良い選択になります。
右の3つの写真、露出が全部違います。ブラケティング機能(後述)を使って撮りました。あなたはどれが一番お気に入りですか? ここには黒潰れも白飛びもあります。写真を鑑賞するのには、黒潰れや白飛びは絶対悪ではなく、それを含めて楽しむものです。カメラ任せの自動露出を使っていると、実は3つの写真とも撮れません。もっと真っ黒けになってしまいます。「自分の意図した写真を撮りたい」と思うならカメラ任せの露出から卒業すること・・それこそが初級者からの卒業なのであります。
|