コンテンツのトップページへ 髭達磨・薮田織也のプチ日記
 2007年 10月 30日 火曜日 華南トラの写真の真贋鑑定
 
滅したと言われている華南トラ (アモイトラ) が中国で見つかったとかで、世間 (主に中国) じゃ何かと騒がしいようですね。 髭も先週辺りにネットニュースで知って、「絶滅してなかったんだぁ〜、よかったねぇ」 なんてほのぼのしてたんですけど、ニュースに掲載された写真を見て思わず噴出しちゃいましたよ。まだ見てない人は、コチラをどうぞ ……………。

ました? どう思います? あっ、わかってると思いますけど、右の写真じゃないですよ。産経ニュースの写真ですからね。さて、43 年ぶりに見つかったとされる華南トラの写真ですけど、スタグラの読者なら噴飯モノの写真だと思います。ネット上の掲示板などでは 「捏造写真」 だと結論が出てるみたいですけど、 六本木の某テレビ局もワイドショーのネタにしたいからということで、またまた髭に真贋鑑定の依頼がきましたよ。( この原稿は 10 月 30 日の放送当日に書いてるんですけど、読者が読むのは 10 月 31 日以降ですね)
 
▼写真1  
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久しぶりの佑紀ちゃんの登場かと思えば、呼んでもいないのに 「虎」 まで登場してきました。しかも髭の足元をジト〜っと見つめています。腹へってんですかね。
     
度のことですが、髭がどういう屁理屈をこねて真贋を判定したかを書きますよ。皆さんも興味があったらトラの写真をダウンロードして、Photoshop で開いてみてくださいね。まず、右に掲載した件の写真の Exif 情報を見てください。ここで二回目の噴飯をしてくださいよ旦那。なんと焦点距離が 35mm ですよ主任! ( EOS Kiss Digital X の場合は、約 1.6 倍で 35mm カメラ相当なので 、その計算だと 56mm です ) 標準レンズのような画角でこの写真を撮るとしたら、被写体のトラさんまで 3m とか 4m とかに近づかなけりゃダメっすよ係長! この写真は、中国は陝西省鎮坪県の山中で、猟師の周正竜さん ( 52 歳 ) が撮ったんだそうっすけど、いくら猟師だからって、いくら絶滅寸前だからって、課長! 野生のトラっすよ部長! おとなになると身長がなんと 2.5m にもなるんだそうっすよ専務! そんなワイルドでビッゲストなトラに、3m 近くまで寄って 「 1 + 1 は?」 なんて話しかけたんすか社長! 猟師のあんたが構えるのは猟銃であるべきで、カメラじゃないはずだー! もしかして構えたのがキヤノンだからって、「 実は、大砲のつもりだったんだよ 」 なんてオチがあるんすかー! くぅ〜っ、さすが中国、やることがいちいち中華三昧だー!

〜びっくり。もう Exif を見た時点で真贋鑑定するのが嫌になっちゃったんですけど、もしかして超技術大国の中国ですから、「 Exif 大好きな日本人を驚かしてやれ、ちょうどハロウィーンだし 」 なんて考えて、Exif をありえない情報に改竄したのかもしれないぞってことで、もうちょっと頑張ろうって、気を取り直したんです。で、お茶目な表情をしたトラの写真をもう一度じっくり見直すと、わかったことがありました。トラの周囲は緑の草木がいっぱいなのに、トラの体がまったく 「 緑かぶり 」 してないんですね。もしかしたらものすごく赤くて青いトラだから、少々の緑かぶりは屁でもねぇぜなのかもって微笑みながら考えて、Photoshop のヒストグラムチェックをしてみました。写真からトラの部分だけを選択範囲で囲んでサンプリングしてヒストグラムを見ると、「ブルー」 の山が極端に多いんですよ。

かに写真全体が 「 青かぶり 」 気味ではありますけど、写真全体とトラ君以外をサンプリングしたチェックでは、右の写真2ほどブルーが多くないんですよ。そこで、トラ君の写真と同じようなロケーションで撮られた写真をネットで何枚も探してきて同様のチェックをしました。結果はどの写真においても、トラが自然に 「 緑かぶり 」 してます。まぁ、そんなチェックなんかより、写真を見ただけで、「 草木への光の当たり方と虎へのそれが同一でない 」 ってのがわかります。周囲の草木は左斜め上方向から光が当たっているのに対して、トラのみ、正面から光が当たっているのがわかりますよね。トラの瞳には前方からの光らしいハイライトがあることと考え合わせると、トラだけストロボのような補助光を受けていることになります。でも、Exif 情報からするとストロボは発光していませんし、もしストロボを焚いてるなら手前にある葉っぱも影響を受けるはずです。そういうわけで、結論を書きますと、この写真は 120 % 捏造写真だと断言してもいいでしょう。

 
トラの写真の Exif 情報
カメラ:EOS 400D
(EOS Kiss Digital X のこと)
焦点距離:35mm(35mm換算で56mm)
シャッタースピード:1/40秒 絞り値:F5.0
ストロボ:無発光
露出制御モード:プログラムAE
露出補正:なし
撮影日時:2007/10/03 16:38:28
変更ソフトウェア:Photoshop CS Windows
変更日時:2007/10/12 08:20:03
私が TV 局から渡されたデータには、幸いに Exif が残っていましたが、ニュースサイトの JPEG 画像には Exif 情報は残っていないと思います。







▼写真2  
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Photoshop でトラ君の写真を開いて、毛皮の一部を [ なげなわツール ] で選択してから [ ヒストグラム ] パレットを開くと、ブルーのグラフが極端に多いのがわかります。緑かぶりするどころか、青かぶりしてます。



















うね、ロケットとかミサイルとか核爆弾とか作れるだけのお国なんだからね、もうちょっとまともな写真を作りましょうよ……って、あっ、いや、合成はいけませんよ、合成は。信じちゃう人もいるんですからね。合成写真の場合は、ちゃんと合成ですって書いておかないとね。写真1もね。
     
    ■ご報告
髭の誕生日に発売予定 ( さりげなく宣伝 ) の Olympus E-3 を予約してきちゃいました。 ついでにだからってんで、超広角ズームレンズも買っちゃいました。E-3 が届いたら、これまたついでに、こんなレンズも買っちゃおうかなぁなんて考えています。あっ、でも、来年春に出るこのレンズもいいなぁ。あ〜フォーサーズ三昧になりそうな髭。どうやらものすごい勢いで仕事をこなさないと年が越せそうにありませんね。
 
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