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髭達磨のフォト日記 2015 年 7 月 3 日
フレーミング&ポージングの
Web 講座とリアル講座ってどう思います?

Posted On 2015 7月 03
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■ ポージングとフレーミングがおざなりになっていませんか?

写真1 フレーミングありきのポージング指示
プロのモデルで、フレーミングとライティングを想定してからの細かなポージング指示をした写真。ポージング指示の際、目には見えない線の「 視線 」、顔の縦線、右腕が描く線と、白い木製ブロックの各辺が綺麗に交差するようにしている メインライト一灯のみのライティングだが、瞳にキャッチライトを入れるために、白いブロックの上にクリップオン・ストロボ1灯を、メインライトに影響しない程度に発光させている

プロのモデルで、フレーミングとライティングを想定してからの細かなポージング指示をした写真。ポージング指示の際、目には見えない線の「 視線 」、顔の縦線、右腕が描く線と、白い木製ブロックの各辺が綺麗に交差するようにしている。メインライト一灯のみのライティングだが、瞳にキャッチライトを入れるために、白いブロックの上にクリップオン・ストロボ1灯を、メインライトに影響しない程度に発光させている

お久しぶりです。気が向いたときに更新している髭達磨のフォト日記ですが、今回はとーとつにポートレートのフレーミングとポージングについて髭語りします。(笑) もちろん裏があります。読者の皆様に質問もあります。そんでもって宣伝もあります。よろしくお願いします。

ポートレートは他の撮影ジャンルと違って、被写体と撮影者が共同で作品を創り上げるという、楽しくもありますが、その分難しさがあるとても奥深いアートだと髭は思っています。そして十数年前から、本サイトの女性の撮りかた講座でもさんざん書いてきましたが、ポートレートは被写体である人物の個性を引き出すためにコミュニケーションに時間をかけ、お互いの信頼を築きながら作品を創っていくものだと思う……というかそうでなければダメなジャンルです。そうした最良のポートレートを撮るために必要なメソッドには、重要な順に以下の6つがあると髭は考えています。

  • コミュニケーション … いわずもがなですな
  • ロケーショニング …… 被写体の個性が表現できる場所
  • スタイリング ………… 被写体の個性を表現する衣装
  • フレーミング ………… 被写体の個性を活かす構図
  • ポージング …………… 被写体の個性に合わせた所作
  • ライティング ………… 被写体の個性を強調する照明
写真2 背景を意識したポージング指示
曲線が複雑に組み合わされた螺旋階段のあるロケーションでは、普通の立ちポーズだと背景の曲線に人物が負けてしまうことがある。こうしたロケーションでは、背景の曲線と同調するかのように、モデルにポージングを指示し、背景とのシンクロを楽しんでみよう。このときに気をつけることは、背景の線と体で描く曲線が重ならないようにすること。そして、階段のステップにある直線を水平にしないことだ。直線は、すべての線の中でもっとも強い線である。直線を水平もしくは垂直にフレーミングすると、さらに強さが増す。もし階段のステップを水平にフレーミングすると、他の曲線の美しさを打ち消してしまうため、カメラを少し傾けて撮影した。

曲線が複雑に組み合わされた螺旋階段のあるロケーションでは、普通の立ちポーズだと背景の曲線に人物が負けてしまうことがある。こうしたロケーションでは、背景の曲線と同調するかのように、モデルにポージングを指示し、背景とのシンクロを楽しんでみよう。このときに気をつけることは、背景の線と体で描く曲線が重ならないようにすること。そして、階段のステップにある直線を水平にしないことだ。直線は、すべての線の中でもっとも強い線である。直線を水平もしくは垂直にフレーミングすると、さらに強さが増す。もし階段のステップを水平にフレーミングすると、他の曲線の美しさを打ち消してしまうため、カメラを少し傾けて撮影した。

これら6つのメソッドのうち、最近ではライティングに関する書物やセミナーが激増しています。SG on the ROAD でも、ライティングセミナーをたくさん開催していますし、髭も何回か講師を担当してまいりました。そのときに気付いたことが、多くの受講者のみなさんがライティングに夢中になるあまりに、フレーミングとポージングについては少々おざなりになっているんじゃないかということです。上記した通り、ライティングは重要度が最も低いメソッドなのです。いや、決して重要度が低いからといってないがしろにはできないものですが、フレーミングとポージングができていないのに、ライティングばかり勉強しても、画竜点睛を欠くどころか、仏作って魂入れず状態だとは思いませんか?

そこで、昨年より髭が担当していた SG on the ROAD 1 to 1 で、ポージングとフレーミングのセミナーをレクチャーしてきていたのですが、ここにきて、Web 講座とリアルセミナーを連動してスタートさせてみてはどうかと思うようになったのです。リアルセミナーは、先日 GANREF にて、第2回フレーミング&ポージングゼミ( リンク先は蟹江節子さんのレポート )を開催してみました。自分で書くのもなんですが、この2回目のゼミは大好評(笑)で、これなら続けていけるなと、ある程度の感触を得ました。終了後にアンケートを取らせていただいた際に出てきた不満点を解消する方法も考えつきましたので、この秋から「 受講者・スポンサー・主催者のすべてが満足できるセミナー 」を裏テーマにフレーミング&ポージングセミナーを順次開催していこうと思っています。

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■ では Web 講座ってどんなの?

写真3 ウエストショットで注意すること
ウエストショット、バストショットだけでも注意しなければならない点は山ほどある

ウエストショット、バストショットだけでも注意しなければならない点は山ほどある

この夏から髭は、フレーミングとポージングのコツをテーマにした新連載をスタートさせようと画策しています。どんなことをやるのかというと、たとえばこんな感じです。

写真3を観てください。基本的なポージングができる( ここ重要です )プロのモデルのウエストショットですが、写真に振られたアルファベット a ~ m までが、撮影者が意識しなければならないポイントです。順に解説していきましょう。


a … カメラに近い側の肩を落とさせる。b … ロングヘアーの場合、カメラ側の髪は背中に回す。c … 目線はレンズの中心から顔を振っている方向に少しだけずらす。( この写真ではレンズど真ん中を見ている )d … 顎は引きすぎないようにする。( この写真では引きすぎている )e … 頭はカメラと反対方向に少しだけ倒す。f …カメラ側の二の腕は体に密着させない。g … 手首の関節は少し角度を付ける。h … 腕でバストラインを隠さないようにする。カメラから遠い側の腕を胸元に近づけるときは、バストラインと腕の間に空間を作る。i … 背中のライン( ビーナスライン )をカメラ側の腕で隠さない。腕を曲げるときは背中との間に必ず空間を作る。( この写真では空間が小さすぎる )j … 背中を後ろに反らせることで体で曲線を描く際、お腹が突き出ないように気をつける。k … 手を胸、お腹の辺りに置くときは、体に密着させないようにする。l … すべての指の関節を緩やかに曲げる。m … お腹のラインが気になるときは、k のポイントを意識した上で、お腹の曲線を隠すように置く。

ここでは「 なぜそうするのか 」をわざと書きませんでしたが、Web 講座やリアルセミナーでは、その理由や目的などを明確に解説していきます。と、まぁ、この例は構想していることのほんの一部ですが、ポージングの指示の仕方とか、ポージングに合わせたフレーミングの仕方( 逆もあり )などを細かく解説していこうと思います。

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■ ポージングってあざといわけじゃない

写真4 ポージングを指示せずに引き出すテクニック
撮影中はモデルと話しまくる。話している途中でモデルが意図せずになにげなくした仕草、表情も、ポージングだ。場数を踏んで、そうした仕草や表情を引き出すテクニックを磨いていこう。

撮影中はモデルと話しまくる。話している途中でモデルが意図せずになにげなくした仕草、表情も、ポージングだ。場数を踏んで、そうした仕草や表情を自然に引き出すテクニックを磨いていこう。

ポージングと聞くと、一部のカメラマンやモデルから「 あざといのはいやだ 」という意味不明な言葉を聞くことがあります。彼らの中では、ポージング=あざとい、という式がなぜかできあがっているわけです。髭に言わせればそれは大きな勘違いです。もちろん、ポートレート撮影の途中で、わざとあざとくアニメチックなポージングを楽しみながらしてもらうこともあります。でもそれは、「 撮影者と被写体が楽しみながら撮影している途中で、気分も高まってきた末に自然発生したポージング 」だと言い換えることもできるのです。いきなりあざといポージングを要求するのではもちろんだめです。何が言いたいのかといいますと、撮影者がこころがけるべきことは、前セクションで書いたような細かなポージング指示をすることではなく、理想的なポージングを自然発生的にさせるということです。「 そんなの理想論だ 」と思う人が多いことでしょう。いえいえ、理想論なんかじゃありません。理想論じゃないことを、Web 講座とリアルセミナーで実践、証明していきたいと思っています。

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■ Web 講座とリアルセミナーへのご意見ご質問をお願いします

そういうわけで、フレーミング&ポージング講座の Web 講座とリアルセミナーを画策している髭に、なにとぞご意見とご質問を投げかけてください。読者の皆様のそうした声を反映した連載とセミナーにしたいと考えております。よろしくお願いします。

■ ご意見ご質問はこちら ■
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■ 宣伝させてもらいます!

髭こと薮田織也が、来る 2015 年7月 12 日、横浜で夜景ポートレートワークショップを本サイトでもお馴染みの礒村浩一先生と開催します。( 主催:礒村写真事務所 )

夜景の美しさで人気の横浜みなとみらいを舞台にモデル撮影を行うワークショップです。日没後の日の明かりが得られない状況にて、限られた明かりを活かしながら人物の姿を捉えます。同時に背景に港街の情緒溢れる光景を最適に捉えるための構図や露出コントロールを学びます。

モデル:夏弥

モデル:夏弥

モデル:大草いつか

モデル:大草いつか

■ 詳細は下のイソピーのアイコンをクリック! ■
※本ワークショップは、礒村写真事務所主催であり、スタジオグラフィックスおよび GANREF とは無関係です。お問い合わせは礒村写真事務所までお願いします。
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著者について
■ 薮田 織也( Oliya T. Yabuta )人物・光景写真家 ■  1961 年生まれ。テレビ番組制作会社、コンピュータ周辺機器メーカーの製品企画と広告制作担当を経て、1995 年独立、人物写真家に。2000 年よりモデルプロダクションの経営に参画し、モデル初心者へのポージング指導をしながらポージングの研究を始める。2008 年「モテ写: キレイに見せるポージング」を共著で上梓。2003年か らStudioGraphics on the Web の創設メンバーとして活動。近著に「 美しいポートレートを撮るためのポージングの教科書 」( MdN 刊 )、監修書籍に「 ちょっとしたコツで10倍かわいく見える モテ[写]の教科書。」(MdN 刊)がある。公益社団法人 日本広告写真家協会 正会員