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レンズフィルター初級講座
デジタルカメラ レンズフィルター 初級講座
第18回 星景写真を撮りに行こう
        ~ プロソフトンで撮る夜空 ~
2012/05/31
 
デジタルカメラ レンズフィルター 初級講座 星景写真を撮りに行こう

デジタルカメラ時代のレンズフィルター初級講座の最終回のテーマは「星景写真」。使う器材は、デジタルカメラ、三脚、レリーズ、そしてソフトフィルターと、いたってシンプル。星景写真では定番ともいえる「PROソフトン」を使った撮影方法を解説します。

Photo & Text by 神崎洋治
 

星景写真を撮りに行こう

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星景写真とは?

星たちがきらめく空、星空を撮るのは "難しい" と考えがちですね。
たしかに難しいのですが、ただし、星の写真にはいくつかの種類があり、難易度も異なります。星の写真と聞いて、最初に思い浮かべるのは星雲や銀河を写した天体写真(天文写真)でしょう。クレーターがはっきり写った月面の写真かもしれません。これらの写真は、天体望遠鏡とカメラを組み合わせて撮影するなど、難易度も高くなり、器材も必要になります。

そこで、まずお勧めしたいのが「星景写真」です。
星の写真を撮ったことがない、という読者には聞き慣れない言葉かもしれませんが、星が入った風景写真のことです。

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作例01

星景写真の例
星空が入った風景写真。近所の相模川で撮影。ソフトフィルター「プロソフトンA」使用。

郊外に行くと星がちらほらと見えますから、山並みや山の稜線をフレームに入れて星空を写すと星景写真になります。都会でも月や金星などの明るい星を入れて夜景や夕景を撮るのも良いでしょう。都会には人工光がきらめいていますので、都会の灯りと星空とのコラボレーションが撮れれば素晴らしい写真になります。
もちろん、壮大な星空が近くに拡がる山岳地域に行って風景とともに撮影するのが一番です。冬は空気が澄んでいて星空がきれいに写りますし、夏は天の川、ミルキーウェイを意識した構図も楽しいでしょう。

星景写真に必要な器材

とはいえ、星景写真の撮り方にも実はいろいろあります。この講座ではもっともシンプルな方法を紹介します。器材はデジタル一眼レフ、三脚、レリーズ、そしてレンズフィルター(ソフトフィルター)です。つまり一般の風景写真と基本は同じ、星の光を拡げる(拡散させる)ためにソフトフィルターを使う程度の違いです(三脚とレリーズ、シャッター速度については「第6回 NDフィルター(2) NDフィルターを使った撮影の手順」でも紹介しています)。

「PRO1D プロソフトン【A】(W)」(ケンコー・トキナー)。

ケンコー・トキナーのPROソフトンの中でもより高信頼のPRO1Dシリーズのフィルター「PRO1D プロソフトン【A】(W))」 。薄型設計なので超広角レンズにもお薦め >> アマゾンで価格をみる(口径サイズに注意)

ソフトフィルターの効果は、製品によって様々ですが、星景写真では「プロソフトン」(PROソフトン)がよく利用されていてお勧めです。ソフトフィルターの種類によっては、光の中心までもがぼやけてしまったり、楕円や歪んでにじむ性質のものもあります。

効果の弱い「プロソフトンA」は適度なにじみが比較的歪みなく拡がるので星景写真好きに愛好者が多いようです。

プロソフトンA」を装着しても光の輝きがさびしいときは効果が強めの「プロソフトン(B)」を使います。星の写真は月の光の明るさや周囲の人工光による明るさに左右されるので、それらを加味して最適なフィルターを選択します。(MC プロソフトンAの価格をアマゾンで見る)

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フィルターなしで撮影した写真。はっきりと写っていますが、大きな夜空には光点(点像)が小さく、少しさびしい感じです(クリックして拡大)。

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プロソフトンA(PROソフトンA)の効果。光を効果的に拡散して、夜空の星のきらめきを演出するソフトフィルター(拡散フィルター)。星景写真の愛好家にはPROソフトンを支持する人も多いようです(クリックして拡大)。


星なんて見えない?

上のプロソフトンの装着例で紹介した写真をみても、郊外で夜空を撮っても、月やとても明るい星しか写っていません。この写真は、神奈川県相模原市 相模川の上空の夜空です。夜空を撮ったところで、郊外では所詮、この程度、星なんてパラパラとしか写真には撮れない…そう感じますが、はたして本当にそうでしょうか?

みなさんは星は実際には夜空いっぱいに拡がっていることも、しかし都会や郊外では人工光が明るすぎてよく見えないこともご存じですよね。

一見して「星なんて見えない」と思われる夜空でも、露光時間を変えられるカメラならもっとたくさんの星たちを観ることができます。次の写真は、上の上のプロソフトンの装着例で紹介した同じとき、同じ空です。月が明るいこともあって目では星は数個ほどしか見えないのですが、露光時間を長し設定して写真を撮ると、星がたくさん写っていることがわかります(拡大写真で確認してください)。

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本当はたくさんの星が輝いている
露光時間の長い明るい写真を撮ると星がたくさん写っていることがわかります(拡大写真で確認してください)。なお、明るい写真を撮ると三日月は影の部分の弱い反射が写って、満月のようになります(クリックして拡大)。

星の数の様子を確認するため、故意に極端なトーン補正を行い星の写りをはっきりさせた写真も用意してみました。上の写真と同じものです、クリックしてご覧ください(クリックしてトーン補正した拡大写真を見る)。

もう一枚、ほぼ同じ時間、同じ場所で撮った写真を紹介します。故意に極端なトーン補正を行って星の写りをはっきりさせた画像と見比べられるようにしておきました。本当はびっくりするくらい星たちはそこにあって、工夫次第で写すことができるんです。

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右は故意に極端なトーン補正を行い、星の写りをはっきりとさせた画像です。クリックして拡大すると見比べられるようにしてあります(クリックして拡大)。


星は動いている

ところで、星は動いていますよね。誰でもご存じのことと思います。

星景写真の場合は夜の撮影ですので、必然的にシャッター速度の遅い(露光時間の長い)撮影になります。シャッター速度をとても遅く設定して、いわゆる長時間露光の撮影をする場合、露光時間が長いほど光を取り込む時間が長くなるので明るい写真を撮ることができ、また目には見えにくい小さな星も捉えられます。ところが、一方で露光時間が長いとノイズが発生してしまいます。ISO感度を上げると露光時間を短くできますが、ISO感度を上げることでのノイズが出ます。このあたりのバランスが悩ましい点ですね。
なお、星は動いているために露光時間が長いと「点」ではなく「光跡」になります。

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作例02

オリオン座の星景写真
シャッター速度(露光時間)、約120秒でこのくらい流れた光跡になります(クリックして拡大)。プロソフトンA使用。

星を光跡として撮りたい場合はそれでもOKですが、星を光点(点像)として撮影したい場合はシャッター速度をむやみに遅くはできません。その点が星景写真の難しいところです。点像として撮影する場合は、30秒以内のシャッター速度(露光時間)を目安とすると良いでしょう。長くても1分以内に抑えたいところです。

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作例03

湖とオリオン座の星景写真 180秒
シャッター速度(露光時間)、約180秒。オリオンの光跡(クリックして拡大)。プロソフトンA使用。


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作例04

湖とオリオン座の星景写真 25秒
シャッター速度(露光時間)、約25秒なら点像で写ります(クリックして拡大)。プロソフトンA使用。星座の輝きをもっと強調したいときは、フィルターにプロソフトンBを選択すると良いでしょう。


ちなみに長時間露光で撮影しつつ、点像として撮影する場合は、星の動きに合わせてカメラを追尾させる(ガイド撮影と呼びます)雲台や三脚セット等が用いられ、そういった製品は市販されています。また、より専門的には赤道儀が使われます。この講座では解説しませんが、興味がある人はインターネット等で検索してみてください。

デジタル一眼レフで撮影する際、保存する画像ファイルのモードは「RAW + JPEG」モードがお勧めです。撮影した一枚の写真をJPEGとRAWの両方で保存するモードです。RAWで保存すると1枚の画像サイズが大きくなるため、ある程度、大容量のメモリカードが必要になりますが、JPEGは後から確認しやすく抜群に便利で、気に入った写真があったら、同じ写真をRAWで現像するときれいにできあがります。RAWで現像する際に露出や色温度の補正ができますので、撮影時に多少、カメラ設定を失敗してもリカバリーが可能なことも長所です。

星の写真を撮ることで写真を撮る楽しみが拡がり、また一層、宇宙への夢や憧れが膨らみます。ご自宅の近くでも簡単にはじめられる星景写真、ぜひ一度、チャレンジしてみてください。

[ ご挨拶と予告 ]
さて、「デジタルカメラ時代のレンズフィルター初級講座」の連載も今回が最終回です。デジタルカメラ時代にもレンズフィルターの魅力と役割を伝えたい、ということではじまったこの企画ですが、 楽しんで頂けましたでしょうか。ご好評につき、およそ1年間に及ぶ長期連載へと発展しましたが、ご愛読頂きまして本当にどうもありがとうございました。なお、7月から短期集中連載ではありますが、続編となる四角いフィルターを中心とした「Cokin」シリーズを使った撮影術を紹介するコーナーが始まりますので、ぜひそちらもご期待頂ければ幸いです。よろしくお願いいたします。

Text & Photo by 神崎洋治 (デジカメWEB)

<お知らせ>

国際フィルターフォトコンテスト 2012-2013 を開催中
国際フィルターフォトコンテスト 2012-2013 を開催中です。ケンコー・トキナー社が主催する日本語、英語、中国語、ロシア語で開催されている国際大会です。フィルターを使って撮影した写真なら応募参加できます。フィルターメーカーは問いません。フィルターを使用して良い写真が撮れたら、応募してみては如何でしょうか。
応募期間は2012年10月1日~2013年9月30日。長期間なので、4つのシーズンに分けての募集、現在はシーズン2の応募を受付中、シーズン1の読者投票を実施中です。 > 国際フィルターフォトコンテスト 2012-2013 を開催中

国際フィルターフォトコンテスト 2011-2012 の審査結果 公開中
昨年度に実施された、「国際フィルターフォトコンテスト 2011-2012 の審査結果」が発表されています。入賞作品の数々はお手本の宝庫。レンズフィルター活用の参考になりますので、スキルアップのためにもチェックしてみることをお勧めします。

StudioGraphicsギャラリーに投稿しよう
写真を撮ったら、スタジオグラフィックスの画像投稿サイト「StudioGraphicsギャラリー」で紹介してください。
登録や参加は無料です。アクセス、お待ちしています。


著者プロフィール
神崎洋治 :photo

神崎 洋治(こうざきようじ)
パソコン、周辺機器、インターネット、セキュリティ、DVDなどに詳しいライター兼コラムニスト。
1996年から3年間、アスキー特派員として米国シリコンバレーに住み、パソコンとインターネット業界の最新情報を取材。取材記事は月刊アスキーとインターネットアスキーに連載したほか、日経BP社、朝日新聞社、毎日新聞社、電波新聞社などの雑誌や書籍に寄稿。以降、ライター業に浸る。日経パソコンやアスキー.ドットPCなどの雑誌やウェブでの記事連載多数、書籍の著書も多い。また、セミナー講師やウェブ開発プロデューサーとしても活躍中。
> ホームページ TRISEC International,Inc.



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目次
Cokin レンズフィルター 初級講座
 

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第5回 Cokinの不思議なセンター・フォーカス・フィルター ~ センタースポットやパステル系ディフューザーで花の撮影を楽しむ ~

最終回 Cokinフィルター 独特の世界を楽しむ ~スター16、接写レンズ、スーパースピード~

目次


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初出:2012/05/31
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