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礒村浩一のフィルター画作り講座
 第2回 PL フィルターで深い秋を撮る

Posted On 25 11月 2014
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TOPIX

プロ写真家のような画作りを目指す読者のために、写真家・礒村浩一がオススメのレンズフィルターとそのポイントを紹介する「 礒村浩一のフィルター画作り講座 」。第2回目「 秋 」の講座は、PL フィルターと ND フィルターを使って秋の色を表現する方法を伝授します。これらのフィルターを使うことでどのように写真が変化するのかをお楽しみください。  by 編集部

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■ 秋を彩る紅葉を表現するフィルターワーク

いよいよ秋も深まり、日いちにちと山から暮らす街の近くにまで紅葉が迫りつつある。下がりゆく気温とともに木々も色付き、我々の目にも鮮やかなグラデーションを焼き付けてくれる。風景撮影を楽しむ者にとっては見逃せない季節だ。だが実際に木々の紅葉をカメラで撮ってみると、見た目程の鮮やかさを捉えられていないという経験がないだろうか。それは紅葉の葉が陽の光を反射してしまうことが大きな原因だ。

■ PL フィルターで紅葉本来の色を引き出す

木々の葉の濃さは太陽光の射し加減によって見え方が変化してしまう。それはカメラから見たときの葉の表面と太陽の位置関係によるものだ。カメラ位置に対して太陽を背にする順光であれば比較的濃い色の発色となるが、これが木々の葉の後ろ方向に太陽がある、つまり逆光に近い状態となると木々の枝に繁る葉の表面に太陽光が反射してレンズに入射することにより、実際の葉の色よりも白っぽくなってしまう。これが葉の色の濃度差を生む原因である。

では紅葉本来の濃い色を捉えるためにはどうすればよいだろうか。導きだされる方法は葉の反射を抑えるということだ。そこで役に立つのが、反射面の映り込みを抑えるのに効果的なフィルター「 PL フィルター 」である。

写真1 PL 無し

森の紅葉を撮影。太陽の光が逆光となっているので、日の当たる部分の紅葉の葉が反射して浅い色となっている

写真2 PL 有り

PL フィルターを使用して撮影。紅葉の葉の表面の反射が抑えられ濃い色を引き出すことができた。同時に空気中の水蒸気で乱反射していた光も除去され、光の滲みも無くなった

ここで PL フィルターについて簡単に説明しておこう。前回の「 絵創り講座 第1回 」でも取り上げたが、PL フィルターは「 偏光フィルター 」ともよばれ、その構造は反射光の特定方向の「 光の波 」を遮断する「 偏光膜 」という特殊な膜をフィルターのガラスで挟んだものだ。これをレンズ前に取付けることで、被写体に当たり反射して来た不必要な「 光の波 」を遮断し映り込みを抑えることができる。これを活用し葉の表面の反射を抑えてしまえば葉の色本来の濃さを再現することができるのだ。

写真3 PL 無し

順光での撮影。光は満遍なくまわっているが全体にコントラストが低く立体感が乏しい。青空も薄い

写真4 PL 有り

PL フィルターを使用。全体にコントラストが上がり立体感が増した。青空も濃くなり雲の白さとのメリハリが生まれた

PL フィルターには空気中の水蒸気や塵による光の乱反射を除去することにより、コントラストを上げて被写体をくっきり写し出す効果もある。それにより青空をよりくっきりと濃い色の青空とすることもできる

写真5 PL 無し

お昼時の比較的高い位置からの日の光で照らされるイチョウの木。うっすらと雲がかかっていることもありコントラストは低目

写真6 PL 有り

PL フィルターを使用したことで、光にコントラストが付き、また青空も強調されたことで立体的でくっきりとした印象の写真となった

ここで使った PL フィルターはマルミ光機「 EXUS 」シリーズのサーキュラー PL フィルターだ。ちなみにサーキュラー PL フィルターは正確には通常の PL フィルターとは異なり、円偏光型の PL フィルターとなる。

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通常の PL フィルターではその特性上、カメラの AF が使用できない場合がある。最近の PL フィルターはほとんど円偏光型のサーキュラー PL フィルターとなっているが、念のために購入時には確認するようにしよう。

また注意点として、PL フィルター使用時にはその効果で透過する光の量が少なくなる特性がある。それぞれの PL フィルターで減光量は異なるが、今回使った「 EXUS 」シリーズのサーキュラー PL フィルターでは、絞りにして 2/3 ~ 1絞り分程度の減光となる。つまり絞り値を固定した露出となると、シャッタースピードを 2/3 ~ 1段分遅くしなければならない。したがって PL フィルターを使っての撮影では、カメラを三脚にしっかりと据え付けるか、もしくは手持ち撮影では手ぶれに気をつけて撮影するようにしよう。

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■ PL フィルターと ND フィルター効果の相乗効果

PL フィルター使用時における減光効果は、時として撮影時の光量調整に活かすことも可能だ。しかしいちばん強い効果をかけた状態であっても、絞りにしてひと絞り、シャッタースピードでは1段分程度の減光でしかないので、本格的な減光には ND フィルターを使う必要がある。ND フィルターとはレンズに入ってくる光の量を減らす効果のあるフィルターだ。この ND フィルターを使うことで、意図的に絞りを開けたりシャッタースピードを遅くして撮影できるようになる。

実は今回、マルミ光機より PL フィルターと ND フィルターの両方の効果を合わせ持つ新しいフィルターが発売されることとなった。それが「 CREATION SERIES C-PL/ND フィルター 」である。

「 CREATION SERIES C-PL/ND フィルター 」には光量を 1/8 にまで減光できる「 CREATION C-PL/ND8 」と光量を 1/16 にまで減光できる「 CREATION C-PL/ND16 」がラインナップされている。フィルター径はそれぞれ 58mm と 77mm が用意されており、それ以外のフィルター径となるレンズにはステップアップリングを使って装着する。

これまでスローシャッター撮影時などに PL フィルターの効果を活かしながら光量を減らすには、ND フィルターを PL フィルターと合せ重ね掛けして使用する必要があった。もちろんこれでも減光は可能だが、フィルターの重ね掛けはフィルター間の不必要な内面反射などによる画質の低下や、広角レンズ使用時における撮影画面のケラレなどの不具合が生じる恐れがある。その点からも一枚で PL と ND 効果を得られる「 CREATION SERIES C-PL/ND フィルター 」の登場はありがたい。

写真7 CREATION SERIES C-PL/ND

マルミ光機より新発売の「 CREATION SERIES C-PL/ND フィルター 」。これ一枚で PL フィルターと ND フィルターの両方の効果を同時に得ることができる

写真8 C-PL/ND のレンズへの装着

キヤノン EF16-35mm F4L IS USM に CREATION C-PL/ND8 77mm 径を装着したところ。これより径の小さなレンズにはステップアップリングを併用して装着する

写真9 C-PL/ND の操作

シグマ APO 70-200mm F2.8 EX DG OS HSM に CREATION C-PL/ND16 77mm 径を装着。PL フィルター効果の調整は通常のサーキュラー PL フィルターと同じく、フィルター前枠を回転させて行う。なお、フィルターを回転させても減光量は変わらない

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■ CREATION C-PL/ND を使った作例・ビフォア/アフター

写真10 ビフォア

1/15 秒で撮影

写真11 アフター

1/2 秒で撮影

「 CREATION C-PL/ND8 」を使って、絞りを開放値のままシャッタースピードを3段遅くして撮影した例。PL フィルターの効果で葉の映り込みを抑え濃い緑を引き出すと同時に、ND フィルターの効果で滝の流れの動感をスローシャッターによる撮影で表現することができた。

写真12 ビフォア

1/15 秒で撮影

写真13 アフター

1/2 秒で撮影

「 CREATION C-PL/ND8 」を使って、絞りを開放値のままシャッタースピードを3段遅くして撮影した例。PL フィルターの効果でコントラストを上げて滝の周りの岩場のトーンを締めると同時に空に溶け込んでいた木の枝を再現。滝の流れもスローシャッターで動感を表現した。

写真14 ビフォア

F22 で撮影

写真15 アフター

F5.6 で撮影

「 CREATION C-PL/ND16 」を使って、同じシャッタースピードのまま絞り値を4絞り分コントロールした例。通常であればスローシャッターなどでの撮影では明るさのバランスを取るために絞りは絞り込まなければならない。しかし絞りを絞りすぎると小絞りによる回折現象が発生してしまい、画質の劣化を引き起こす原因となってしまう。そこで「 C-PL/ND フィルター 」の ND フィルターの効果を活かすことで、絞りを絞ることなく画質を保ったまま撮影することが可能だ。また、PL フィルターの効果で葉の映り込みを抑え紅葉の濃度を引き出すと同時に、画面全体のコントラストを上げて締まりのある画像とすることもできた。

「 CREATION C-PL/ND16 」を使って、絞り F16 のままシャッタースピードを3段遅くして撮影。PL フィルターの効果でコントラストを上げて遠景の山の姿を引き出すと同時に、川の水の流れを長秒露光で幻想的に表現した。

写真16 ビフォア

1/6 秒で撮影

肉眼では見る事のできない情景を、PL フィルターと ND フィルターの効果を合わせることで写真に表現することができる。

写真17 アフター

3.2 秒で撮影

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■ 最適なフィルターワークで秋の魅力を引き出す

このように画質の劣化を最少に抑えつつ、PL フィルターの効果と ND フィルターの効果を同時に一枚のフィルターで得られる「 CREATION SERIES C-PL/ND フィルター 」の登場は、秋の紅葉撮影はもちろんのこと、さまざまなシーンで効果的な絵創りに力を発揮してくれるに違いない。また、PL フィルターも使いどころをきちんと理解することで、より印象的な紅葉撮影ができるだろう。ぜひともこれらのフィルターを最大限に活かして、魅力的な秋の姿を写真に焼き付けていただきたい。

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礒村 浩一
著者について
■ 礒村 浩一 写真家 ■(いそむらこういち)   1967 年福岡県生まれ。東京写真専門学校( 現 東京ビジュアルアーツ )卒。女性ポートレートから風景、建築、舞台、商品など幅広く撮影。全国で作品展を開催するとともに撮影に関するセミナーおよび撮影ツアーの講師を担当。デジタルカメラに関する書籍や Web 誌にも数多く寄稿している。近著「 オリンパス OM-D の撮り方教室 OM-D で写真表現と仲良くなる 」( 朝日新聞出版社 )、「 マイクロフォーサーズレンズ完全ガイド 」( 玄光社 )など。 2015 年 9 月よりデジタルハリウッド「 カメラの学校 」講師。Web サイトは http://isopy.jp/ Twitter ID : k_isopy
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