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Cokin レンズフィルター講座
第7回 Cokin レンズフィルターでスナップ風ポートレート:散歩編 2013/09/09
 
▼TOPIX
ポートレートを中心として雑誌の表紙やコマーシャルフォトで活躍中の写真家、萩原先生がお送りする Cokin レンズフィルター講座の第7回目です。今回は、横浜の街を散歩しながら角形フィルターを使ったスナップ風ポートレートを撮影しました。
■ モデル ■
遠谷比芽子 ( 所属 ABP inc.
ヘアメイク : 渡嘉敷愛子
▼目次  

角形フィルターのメリット

使い方しだいで変わる表現力<
空気全体の湿気も表現
さいごに
▼写真0 P125 フィルター使用例
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Cokin P125 フィルター使用
▼著者 萩原和幸 ( はぎわら かずゆき )
萩原和幸
静岡県出身 東京工芸大学写真技術科卒業、静岡大学人文学部法学科卒業。故今井友一氏師事した後、K&S Photograph∞ を設立。フリーランスのフォトグラファーとして雑誌や広告撮影などで活動中。日本写真家協会会員。静岡デザイン専門学校非常勤講師。
 
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■ 角形フィルターのメリット
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● ピンポイントで効果をプラス

 

 前回に引き続き、横浜で撮影したスナップ風ポートレートを紹介する。前回は洋館内での撮影だったが、今回はぶらぶらと外をお散歩しながらの撮影だ。

 イチから作り上げるスタジオでの撮影とはちがい、屋外の撮影は、いわゆる“ロケ”となるわけで、その場にあるものを構図に取り込むことになる。その場の雰囲気を壊さずに、Cokin フィルターが角形フィルターであることを最大限に活かし、ピンポイントでカラーや効果をプラスすることを心がけた。

 時にさりげなく、ときに大胆に効果を構図内に取り入れた作品を、じっくりとご覧いただきたい。


 

● 坂道のある光景

 

 彼女と坂道をゆっくり歩きながら、撮影ポイントまで。ポイントについてからも、あれこれと話しながら、フィルターを通して彼女を見る。今見ている坂のある光景が気持ちよく写るようにと、ハーフグラデーションフィルターの「グレー2 (ハードND8 )」( P121 )と「ブルー1」( P122 )の2枚を使い(写真1)、P121で木々の緑の飛びを抑えつつ、P122で空に青みを加えた。彼女の仕草や表情に合ったキュートさを際立たせることができた(写真2写真3

   
 
▼写真1 2枚のフィルターを組み合わせる
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専用のフィルターホルダーに、フィルターを2枚挿しすることもできる 
モデル:遠谷比芽子( ABP )
▼写真2 P121 + P122 フィルター使用
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Canon EOS5D Mark III SIGMA 50mm F1.4 EX DG HSM f1.8 1/1000秒 +2/3 補正 ISO200 WB:マニュアル RAW
モデル:遠谷比芽子( ABP )
   
 
▼写真3 P121 + P122 フィルター使用
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Canon EOS5D Mark III SIGMA 50mm F1.4 EX DG HSM f1.8 1/1000秒 ISO200 WB:マニュアル RAW
モデル:遠谷比芽子( ABP )
 
 

 夏の日差しに暑さを感じ、日差しを避けるように、緑のトンネルを歩く。

 足下の木漏れ日と戯れるような彼女の仕草が可愛らしく、気づかれないようにシャッターを切る。その写真4では、背景の日差しのコントラストをまろやかにするために、フィルターはソフト系フィルターの「フォグ1(ハーフ)」( A150 / P150 )をチョイスした。

 気づいた彼女との距離をつめる。

 横位置で、構図の左半分にフォグの効果をそっと効かせる。さりげない滲みが、シャープな部分(向かって右目)をなお際立たせ、瞳に吸い込まれてゆく(写真5)。

   
 
▼写真4 P150 フィルター使用
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Canon EOS5D Mark III SIGMA 50mm F1.4 EX DG HSM f1.6 1/2000秒 +1/3 補正 ISO200 WB:マニュアル RAW
モデル:遠谷比芽子( ABP )
   
 
▼写真5 P150 フィルター使用
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Canon EOS5D Mark III SIGMA 50mm F1.4 EX DG HSM f1.8 1/1250秒 +1/3 補正 ISO200 WB:マニュアル RAW
モデル:遠谷比芽子( ABP )
   
   
■ 使い方しだいで変わる表現力
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● お気に入りのフィルターで

 

 僕のお気に入りのフィルターは、ハーフグラデーションフィルターの「タバコ2」( A125 / P125 )。独特な茶色でレトロな匂いを感じさせるカラーが、どことなく叙情をさそう。

 写真6は、山手の洋館でのカット。モデルの後ろの爽やかなグリーンから、ノスタルジックな雰囲気をさらに助長させてくれるタバコ色が、『現在〜過去』と1カットの中で明確な2つの時代を見せてくれているようでおもしろい。

 山手から海の方へと下りてきた。天気は曇りから、雨の匂いがする風が吹きはじめた(写真7)。

   
 
▼写真6 P125 フィルター使用
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Canon EOS5D Mark III SIGMA 50mm F1.4 EX DG HSM f1.6 1/200秒 +2/3 補正 ISO200 WB:マニュアル RAW
モデル:遠谷比芽子( ABP )
   
 
▼写真7 P125 フィルター使用
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Canon EOS5D Mark III SIGMA 50mm F1.4 EX DG HSM f4.0 1/500秒 +1 1/3 補正 ISO200 WB:マニュアル RAW
モデル:遠谷比芽子( ABP )
   
 

 懐かしい雰囲気へと一気に導いてくれるハーフグラデーションフィルター「タバコ2」( P125 )は、たとえば夕方っぽい匂いを加えたり、ポイントカラーとして加えたりしても、大いに活躍してくれる

 このフィルターは、某誌の表紙撮影でも活用した。アジアンな暑い夜を作り出してくれた(写真8写真9)。角型フィルターだからこそ、使い方しだいで、さまざまな表現力を演出してくれる。

   
 
▼写真8 P125 フィルター使用
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Canon EOS5D Mark III SIGMA 50mm F1.4 EX DG HSM f2.2 1/400秒 +2 1/3 補正 ISO200 WB:マニュアル RAW
モデル:遠谷比芽子( ABP )
   
 
▼写真9 P125 フィルター使用
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Canon EOS5D Mark III SIGMA 50mm F1.4 EX DG HSM f2.2 1/200秒 +1 1/3 補正 ISO200 WB:マニュアル RAW
モデル:遠谷比芽子( ABP )
   
■ 空気全体の湿気も表現
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● 雨が降り出しそうな雰囲気を演出

 

 いよいよ雨が降り出しそうな、高い湿度が感じられるようになってきた。この湿気感は、フォグで表現できそうだ。そこで、ここでもう一度、ソフト系フィルター「フォグ1 (ハーフ)」( P150 )をフォルダーに差し込んだ。

 風の吹く方を向きながら、「もうすぐ雨、振りそうだね」と彼女(写真 10 )。

 「降る前にもうちょっとだけ歩こうよ。」空気全体が湿気を含み、まとわりつくようだ(写真 11 )。

   
 
▼写真 10 P150 フィルター使用例
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Canon EOS5D Mark III SIGMA 50mm F1.4 EX DG HSM f3.2 1/640秒 +2 1/3 補正 ISO400 WB:マニュアル RAW
モデル:遠谷比芽子( ABP )
▼写真 11 P150 フィルター使用
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Canon EOS5D Mark III SIGMA 50mm F1.4 EX DG HSM f2.8 1/200秒 +2/3 補正 ISO200 WB:マニュアル RAW
モデル:遠谷比芽子( ABP )
   
 

 「雨が降り出したら、帰ろう」。じっとりした湿度の高い空気感を、「フォグ1 (ハーフ)」( P150 )が絶妙に表現してくれた。まるで空から湿気が降ってくるよう。写真 12 がラストカット。今回の撮影も終了だ。

   
 
▼写真 12 P150 フィルター使用
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Canon EOS5D Mark III SIGMA 50mm F1.4 EX DG HSM f3.5 1/200秒 +2/3 補正 ISO200 WB:マニュアル RAW
モデル:遠谷比芽子( ABP )
   
■ さいごに
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 今回、Cokin 角形フィルター講座の機会をいただき、改めてフィルターのおもしろさを再発見した。そして、自分の使い方次第で、表現の可能性を広げることができることを大いに感じることができた。今ではグラビア撮影だけでなく、雑誌の表紙撮影や広告撮影でも、大いに使わせてもらっている。

 まずはここの講座で気になった2〜3枚を、ぜひお手に取っていただきたい。そして、それらのフィルターを使って実際に撮影されることで、「へぇ〜」と思えるシーンに必ず出会うことでしょう。そのうち、撮影に出かけるたびに「あそこであのフィルターを入れたい」と感じるようになるかも……。そうなったら、もうフィルターの虜だ。僕も常に数種類のフィルターをカメラバッグに入れている。「あそこであのフィルターを入れたい」と感じた時に、入れられるように。

 僕は、もうすっかりフィルターの虜だ。

   

■ 協力企業 ■
ケンコートキナー


■ 制作・著作 ■
萩原 和幸
スタジオグラフィックス

 
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初出:2013/09/09 このページのトップへ
 
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