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第4回 ピンぼけ写真から卒業しよう! < 後編 > |
2014/01/17 |
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● 読者からの質問
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フォーカスロックを使っての再構図で、ピントが外れることがあります。どうしてですか? |
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ポートレート(人物写真)を撮るのが好きで、いろんな構図を試しています。オートフォーカスの性質は理解しているつもりなので、前回の記事にあったフォーカスロックを使って再構図しての撮影はよくしますが、ときどきピントが外れてしまうことがあります。何が悪いのでしょうか。
( T.Fさん ) |
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構図を変更するかマニュアルフォーカス、または、ライブビューでフォーカスポイントを移動します |
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前回の記事で紹介した「フォーカスロックしてから再構図」の方法では、ある特定の構図においてピントが外れることがあります。その詳細は以下に譲りますが、上記の方法でどうしてもピントが外れるときは、構図を変えるか、マニュアルでピントを合わせる、または、カメラにフォーカスポイントを設定できるライブビュー *1 があるなら、それを使ってピント合せします。 |
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● フォーカスロックでピントが外れる場合
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▼写真01a |
センターのフォーカスポイントを使った
再構図の場合 |
フォーカスポイントをセンターに置いてピントを合わせ、フォーカスロックで再構図する場合。 |
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再構図時のカメラの移動が大きいと、ピントが大きくずれてしまうことがある。 |
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オートフォーカスを使って撮影するとき、構図によってはフォーカスロック( 第3回を参照 )を使ってフレーミングしなおす必要があります。こうした撮影方法はカメラ中級者にとっては日常的なことだと思いますが、フレーミングしなおす際のカメラの振り方によっては、大きくピントがずれてしまうことがあります。
たとえば、人物撮影では「目」にピントを合わせることがほとんどですが、「顔」を中心に置くのは構図的にあまり良くないとされていので、多くの場合に顔を隅に配置します。また、女性のポートレートなどではカメラを人物の目の高さに置いて撮るよりも、少し高い位置( ハイアングルと呼ぶ )から見下ろすように撮る人も多いことでしょう。そして、カメラに慣れた人であれば、カメラの露出設定を変更して、ピントの合う範囲を前後に狭くして撮影するはずです。( 次回以降に紹介します )写真01a、01b はその典型的な撮影例です。
こうした状況でオートフォーカスを使って撮影するとしたら、カメラをどれだけ動かすでしょうか。特に、フォーカスポイント( 測距点 )をセンターに置いたままの場合を考えてみましょう。写真01bのように、頭を右上に置き、身体を対角線に配置した構図で、もちろん「目」にピントを合わせて撮るには、まずは人物の目にピントを合わせるために、写真01aのような構図にして、フォーカスロックします。次に写真01bの構図になるように再度フレーミングしなおします。そしてカメラの絞り値( 次回以降に紹介します )をできるだけ小さな数値に設定してシャッターボタンを押すと.......。撮った写真の目の部分を拡大して観てみましょう。あきらかにピントがずれているのがわかると思います。 |
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● なぜピントがずれるのか
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上記のような撮影をする場合、フォーカスロックして再度フレーミングしなおすときに、被写体に対してカメラの角度を大きく振り直して撮影することが多いはずです。このように、カメラの位置はそのままで角度だけを変えて撮るときには、「 コサイン誤差 」と呼ばれるピントのズレが生じます。
ピントの合う位置は、カメラの光軸に対して直角の平面になる。フォーカスロックを用いてカメラの位置は変えずに、カメラの角度だけを変えて再構図した場合は、コサイン誤差と呼ばれる合焦位置のズレがおき、フォーカスロックした場所のピントはボケてしまう。 |
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ピントが合う場所は、カメラの光軸に対して直角に交わる平面です。そのため、フォーカスロックした後でカメラの角度を変えると、図02の右図のように、ピント位置が後ろ( または前 )にずれてしまいます。
コサイン誤差も、カメラの設定でピントの合う範囲( 次回以降に紹介します )を広くしておけば、ある程度は緩和されます。しかし、ポートレートでは被写体である人物を浮き上がらせるために、ピントの合う範囲をわざと狭くして撮ることが多いので、どうしてもコサイン誤差が大きく出てしまいます。また、レンズの性能にもよりますが、ピントの精度は中央が一番良く、隅に行くほど落ちていきます。 |
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※01
戻る |
ライブビュー
カメラの背面にある液晶パネルをファインダー代わりに使うモードをライブビューと呼ぶ。コンパクトデジタルカメラやミラーレス一眼カメラでは標準的な仕様だが、光学ファインダーが装備されている一眼レフカメラでは、ライブビューの切り替えスイッチでモードを変更する。なお、最近のカメラでえは、ライブビューにおいてフォーカスポイント( 測距点 )を変更できるようになってきている。ライブビューでのフォーカスポイントは、光学ファインダーのそれよりも自由度が高く、ほぼすべての位置にフォーカスポイントを移動できる。 |
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● カメラの平行移動
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カメラの角度は変えずにカメラを上下左右のいずれかに平行移動させると、コサイン誤差を防止できる。 |
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コサイン誤差は、フレーミングしなおすときにカメラの光軸の角度を変化させることで生じます。よって、図03のように、カメラの角度は変えずに、カメラの位置を平行に移動させることで、コサイン誤差を防ぐことができます。しかし、カメラを手持ちしている実際の撮影において、正しく平行移動することはなかなか難しいものです。この方法は、三脚などでカメラを固定して使うときのために覚えておいてください。 |
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● カメラの角度変更を最小にする
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フォーカスポイントの位置を、被写体のピントを合わせたい部位にもっとも近い位置まで移動しておく。 |
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カメラの角度を少しだけずらしてフレーミングしなおす。 |
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コサイン誤差は、カメラの光軸角度の変化に比例して大きくなります。つまり、角度の変化をなるべく小くすれば、コサイン誤差も小さくなります。そのためには、フォーカスポイントの位置を、写真04aのように、被写体のピントを合わせたい部位にもっとも近い位置まで移動しておき、そこにピントを合わせたい部位を合わせます。その位置でフォーカスロックをしたら、カメラを振って正しい構図( 写真04b )にフレーミングしなおします。
一部のカメラ雑誌の調査では、フォーカスポイントを隅に移動してフレーミングしなおすより、センターに置いたままの方がピントの精度が高いという結果が出ているようですが、これはすべてのカメラやレンズに当てはまるわけではありません。最近のカメラのオートフォーカス性能の向上により、隅に置いたフォーカスポイントでもセンターのレベルに近いフォーカシングができるようになってきているので、基本的にはここで紹介する方法をまず覚えておきましょう。その上で、自分のカメラの性格や性能に合わせて、方法を選択するようにしましょう。 |
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● ライブビューのフォーカスポイントを使う
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ライブビューのフォーカスポイントは、ファインダー内のフォーカスポイントの移動エリアよりも広範囲に移動できる。 |
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ほとんどのカメラで、ファインダー内でフォーカスポイントを移動できる範囲は中央寄りに限られていて、四隅まで移動できません。こうした制限があるために、これまでに紹介したコサイン誤差などの弊害に悩まされるわけですが、最近のカメラのライブビューには、四隅近くまで( カメラによっては四隅ギリギリまで )移動できるフォーカスポイントが用意されています。( ライブビューのフォーカスポイントのないカメラもあります )四隅まで移動できるライブビューのフォーカスポイントを使えば、フォーカスロック+再フレーミングの必要がないので、コサイン誤差を気にする必要がなくなります。
こうしたファインダー内とライブビューのフォーカスポイントの違いは、オートフォーカスの原理の違いによるものです。難しい解説は省略しますが、ファインダー内では「 位相差 AF 」という、ピントを合わせるべき方向と量を検出してピントを合わせる方式を使っています。ライブビューの方では、「 コントラスト AF 」という、カメラ内の受光部に映し出された画像の中から、明暗の差が最大の場所を何度も検出してピントを合わせていく方式です。それぞれに一長一短があり、位相差 AF はピント合わせのスピードは速いのですが、構造が複雑で、またピントを合わせるポイントが限られてしまいます。コントラスト AF は、何度もレンズを移動させながらピントを合わせていくために、ピント合わせの時間がかかりますが、画像上のほぼどこにでもピントを合わせられます。ただ、オートフォーカスの技術は日々進歩しているので、ここで紹介した問題もいずれ解決していくことと思います。 |
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● それでもピントが合わないんだ!!
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次回は番外編と称して、どうしてもピントが合わない原因と、その対策について紹介します。内容は少しだけ高度になりますが、自身の愛機のためにもご一読ください。それでは次回お目にかかりましょう。 |
■ 制作・著作 ■
スタジオグラフィックス
薮田織也事務所 |
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