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薮田織也のデジカメ1・2・3
第9回 露出設定の基本 ~ ISO 感度

Posted On 16 6月 2014
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第9回 露出設定の基本を覚えよう ~ ISO 感度

 

TOPIX

カメラの露出設定に必要な3つの要素のうち、「 シャッタースピード 」と「 絞り 」を前回までに紹介しました。残る1つは「 ISO 感度 」。今回は、初心者にとってこの聞き慣れない用語「 ISO 感度 」について、優しく具体的に解説します。

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■ ISO 感度とは?

● カメラの光に対する感度

ISO 感度のことを、誤解を恐れず思い切り簡単に解説すれば、「 暗いところでも撮影できるようにする機能 」です。そして、ほんの少しだけ専門的に解説すると、「 カメラの受光センサーの光に対する感度 」のことです。

OM-D E-M1 の受光センサー

OM-D E-M1 の受光センサー

デジタルカメラの内部、レンズの後ろには上の写真のような「 受光センサー 」と呼ばれる装置があります。レンズを通した光をこのセンサーに当てることで映像を撮影できるわけですが、このセンサーの感度、つまり「 ISO 感度 」を高く設定すると、「 暗いところでも撮影できる 」ようになるわけです。ISO 感度はある特定の感度を標準の設定値にしてあり、必要に応じて増減させて使います。

● コラム ● ASA 感度って知って( 覚えて )いますか?
デジタルカメラが登場する以前にフィルムカメラを使ったことがある方なら、「 ASA 感度( アサ、アーサと呼んだ ) 」というフィルムに表示されていた用語を覚えていることでしょう。ASA 感度は写真フィルムの感光感度のことで、日中の屋外での撮影なら ASA 100 のフィルム、暗いところでの撮影なら ASA 400 といったように、撮影する場所の明るさに応じてフィルムを選んでいた方もいるはずです。現在は ASA 感度の用語自体は使われておらず、ISO 感度で統一されています。

ASA 400 の 35mm フィルム パトローネ

ASA 400 の 35mm フィルム パトローネ

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■ ISO 感度はどういうときに使うのか

● 写真がブレてしまうとき

暗い場所で撮影するときなど、シャッタースピードが 1/30 秒以下に遅くなってしまうときは、カメラを持つ手が震えて画面がぶれてしまう「 手ブレ 」が起きやすくなります。このようなときに、ISO 感度を高く設定して、シャッタースピードを速く設定できるようにします。

こう説明すると、なんだかとても難しそうと思うかもしれません。しかし、現在販売されているほとんどの一般向けデジタルカメラには、シャッタースピードと絞りを自動設定する「 プログラムモード(※01) 」の他に、「 Auto モード(※02) 」と呼ばれている撮影のためのすべての設定を自動化する全自動モードが搭載されています。この「 Auto モード 」を使って撮影しているのであれば、シャッタースピードと絞りはもちろんのこと、ISO 感度などのよくわからない設定を撮影者が意識することなく撮影に集中できます。よって、普段の撮影では ISO 感度はあまり気にしなくてもよいものなのではありますが………。

よりカメラに親しみたい、もっと自分の思うとおりの写真が撮れるようになりたい……そう思ったときは、シャッタースピードと絞りの設定はもちろん、ISO 感度の設定も自分でできるようにならなければなりません。

※01 プログラムモード
カメラの露出設定モードのひとつで、シャッタースピードと絞りの両方を、カメラが自動的に設定するモード。この際、多くのカメラでは、ISO 感度の設定は自動化されない。プログラムモードは、一般向けデジタルカメラにはもちろんのこと、プロ用のカメラにも搭載されていることが多い。
※02 AUTO モード
プログラムモードの自動露出設定に加え、カメラ固有の撮影モードまでもを自動的に選択、設定して、撮影できるモード。内蔵しているストロボの自動発光や、ISO 感度などの自動設定ができる。自動設定される機能はカメラによって異なる。
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■ ISO 感度の変更で変わる露出設定と画質

● ISO 感度を上げるとシャッタースピードを速くできる

それでは、ISO 感度を増感( 感度設定を高くする )していくと、露出設定がどのように変化するのかを紹介しましょう。下の写真は、同じ場所、同じ明るさの環境で、同じ被写体をプログラムモード( シャッタースピードと絞りはカメラ任せ )撮ったもので、このとき ISO 感度を 100、400、800、25600 と増感させてみたものです。

ISO 感度の変更による露出設定の変化( 使用カメラ:Nikon D7000 )

ISO 感度の変更による露出設定の変化
( 使用カメラ:Nikon D7000 )

この写真は夕方の窓から入る自然光だけという環境のため、ISO 感度が 100 ( D7000 の最小設定 )のとき、シャッタースピードは 1/30 秒、絞り値は使用レンズの最大開放値( 第8回の絞りを参照 )、f/2.8 です。1/30 秒というシャッタースピードは、ややもすると手ブレしかねないスピードです。また、f/2.8 という絞り値は、ピントの合う範囲が前後に狭くなってしまうので、ピントを合わせたポイント以外が大きくぼけてしまいます。ボケを狙った写真ならば構いませんが、できる限り全体的にピントを合わせたい場合は、もっと絞り込まなければなりません。しかし、絞り込むとなるとシャッタースピードは速くしなければなりません。

そこで、ISO 感度を段階的に上げていってみましょう。上の写真では、ISO 感度を 400、800 と上げています。このときのシャッタースピード( SS )を確認してください。ISO:400 で SS:1/125 秒、ISO:800 で SS:1/160 秒まで速くなっているのがわかるでしょう。シャッタースピードは、1/80 秒もあれば手ブレの恐れが低くなります。ISO:800 で SS:1/160 秒までかせげるのであれば、ISO:800 のままシャッタースピードを 1/80 秒に遅らせることで、絞りは f/4.5 まで絞り込めるはずです。こうすることで、手ブレを抑え、ピントが前後に合う範囲も広げられます。
( シャッタースピードと絞りの関係は次回以降に紹介します )

● ISO 感度を上げるとノイズが増える

ISO 感度を上げれば暗い場所でも明るく撮れるメリットがあるのなら、はじめから ISO 感度を高く設定しておけば良いじゃないかと思うかもしれません。しかし、上の写真をもう一度よく観てもらうとわかりますが、ISO 感度を上げていくと画像にノイズが増えていくというデメリットがあるのです。

ISO 感度が 100 や 400 のときには無かったノイズが、800 になると少しだけ発生しはじめ、そして極端に増感した ISO:25600 ともなるとノイズだらけになっているのがわかるでしょう。ノイズは、シャッタースピードを遅くした長時間露光での撮影や、ISO 感度を上げての撮影で発生します。

最近のデジタルカメラは、こうしたノイズをカメラ内で除去する機能があります。遅いシャッタースピードで撮影したときなど、液晶画面に「 処理中 」などと表示されるのを見たことがあると思いますが、あれは発生したノイズを除去するプログラムが動いているのです。こうしたノイズ除去処理のおかげで、ISO 感度を増感しての撮影でも、比較的ノイズの少ない画像が得られます。ただし、ノイズを除去した画像が得られるには、以下の条件のいずれかを満たす必要があります。

  • カメラの画像フォーマットで JPEG を選択しているとき
  • 画像フォーマットが Raw の場合、Raw 現像をカメラ内で処理するか、カメラメーカー純正の Raw 現像ソフトを使う

 

上記条件以外、たとえば Raw で保存してから Adobe Lightroom などのサードパーティ製 Raw 現像ソフトを使うときは、カメラ内のノイズ除去処理は無効になります。あらためて Raw 現像ソフトのノイズ除去機能を使う必要があります。

上の写真は、カメラのノイズ除去を無効、さらに Raw 現像ソフトのノイズ除去機能を使わずに掲載しているので、ノイズが多く発生しています。

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■ 次回予告 ■

● もう一度、初心者向けに再始動!?

読者の方から、「 超初心者向けといいながら難しすぎる! 」とお叱りの声をいただきました。丁寧に解説したつもりでしたが、後から読み返してみると確かに難しいかもしれません。余計な解説を加えず、ピンポイントでわかりやすい解説を心がけるつもりで、次回からは心機一転! カメラの各部名称あたりから仕切り直そうと考えています。お楽しみに!

 

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薮田 織也
著者について
■ 薮田 織也( Oliya T. Yabuta )人物・光景写真家 ■  1961 年生まれ。テレビ番組制作会社、コンピュータ周辺機器メーカーの製品企画と広告制作担当を経て人物写真家に。2000 年よりモデルプロダクションの経営に参画し、モデル初心者へのポージング指導をしながらポージングの研究を始める。2008 年「モテ写: キレイに見せるポージング」を共著で上梓。2003年か らStudioGraphics on the Web の創設メンバーとして活動。近著に「 美しいポートレートを撮るためのポージングの教科書 」( MdN 刊 )がある。
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