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高崎勉のネットショップのための商品撮影講座
~ 第9回 ジュエリーを撮る

Posted On 25 3月 2016
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TOPIX

今回の高崎勉のネットショップのための商品撮影講座はネットショップで取り扱う店舗も多いと推定される、ジュエリーの撮り方の解説です。身に着けるアクセサリーゆえ、より写真の重要性が要求される商品です。それではご覧ください。 by 編集部

皆さん、こんにちは。フォトグラファーの高崎勉です。今回はジュエリーの撮影にチャレンジです。これまでに他の被写体のときにもお伝えしたように、まず商品の観察から始めます。
ジュエリーは細工が繊細なので糸屑やホコリが絡み付いていることがあります。観察とともに綺麗にすることからスタートします。

■ ジュエリー撮影ならではの道具と準備

何事にも専門分野にはそれなりの道具が必要です。ジュエリー撮影にも特別な道具が要ります。手袋、ルーペ、トレイ、ピンセット等です。それらを使って観察と清掃をします。

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▼写真2

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▼写真3

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▼写真4

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商品を観察する時は背景を暗くすると、ホコリが浮き上がって見えます。

▼写真5

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▼写真6

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撮影のステージに乗せてライティングしてしまうと商品を安易に動かしたくないものです。狭いセットの中での掃除は困難です。できるだけ事前に済ませておくと撮影がスムーズに進みます。
撮影の背景には白いアクリル板を用意しました。( 白いケント紙でも問題ありません。 )撮りたいイメージに合わせて、色や素材を選べば良いと思います。
さて、ここで皆さんは指輪を立たせるにはどうすれば良いか悩まれるのではないでしょうか。僕は乳白色の固形ワックスを使っています。適量指輪の設置面に付けてリングを押し付けるように立て、はみ出したワックスを爪楊枝のようなニードル( 先の尖った棒 )で除去します。
使い勝手の良いワックスは撮影機材専門店などで扱っています。

▼写真7

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▼写真8

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▼写真9

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▼写真10

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準備が整ったらいよいよ撮影です。ジュエリーは小さいのでマクロレンズが向いているでしょう。今回使うのはTAMRON90mmマクロです。

▼写真11

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■ プロ用ストロボ( モノブロックタイプ )で撮る

今回は照明機材にプロ用のストロボを使用します。これまで一般家庭用のLED電球など入手し易い照明で解説してきましたが、ジュエリーの撮影は気を配ることが多いので光量の調節がし易く、色も安定している点、そして初心者にも扱い易く、価格も比較的入手し易いラインナップが揃っていることからCOMET社の TWINKLE 04FⅢを選びました。

今回はいきなり正解に近いライティングの角度をお伝えします。ジュエリーは金、銀など鏡面の仕上げが施されたものがほとんどなのでカメラと被写体の反射角側にライトを置きます。( 図1参照 )

▼図1
カメラ、被写体、ライトの位置関係に注意する

カメラ、被写体、ライトの位置関係に注意する

ただし、まともに光が跳ね返ってくると白とびしてしまいますから微調節は必要です。まずはディフューザーなしの1灯ライティングで撮影してみました。( ▼写真12 )

▼写真12
1灯、ディフューザー無し

1灯、ディフューザー無し

影が強くコントラストの高い写真になりました。これが決して悪いわけではなく、夏のイメージ商品でしたらこのままでも良いかもしれません。しかし、金属部分に黒い箇所が多く、正確に商品の特徴が出ていません。ネックレスの真珠も黒ずんだ感じです。カメラ側に銀レフを入れてみることにします。( ▼写真13 )

▼写真13
1灯+カメラ側に銀レフ

1灯+カメラ側に銀レフ

これだけでも写真全体の墨っぽさが解消され、すっきりしました。でも、まだ影が強いのでライトと被写体の間にディフューザーを張って光を和らげてみました。( ▼写真14 )

▼写真14
1灯+カメラ側銀レフ+ディフューザー

1灯+カメラ側銀レフ+ディフューザー

トレーシングペーパーでも構いませんが紙の目の模様が商品の滑面に映り込む可能性を考え、紙の目がない樹脂製のアートトレーシングペーパー( 通称:アートレ )を使いました、張った角度やセッティング方法は( ▼写真15 )をご参照ください。

いかがでしょう。商品の特徴を捉え、判り易くなったのではないでしょうか。「 光が優し過ぎる印象になって弱く見える。 」ということでしたら、ここからライトの位置やレフの角度を調整していけば良いでしょう。

▼写真15
▼写真14の撮影セット

▼写真14の撮影セット

写真12 ~ 写真14のうち、どれが正しいという話ではありません。大切なのは「 どう伝えたいか 」という表現の問題です。この商品のイメージ、特徴の何を一番伝えたいかという情報整理が商品撮影の難しくもあり、また面白いところです。

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■ ストロボ撮影にした理由とは

さて、今回プロ用照明(モノブロックタイプ)を使った最大の理由ですが、光量を調整できるというところにあります。

▼写真16

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数点を構成するジュエリー撮影では商品のピントを合わせたい箇所が同一平面になりにくいのです。( 図2参照 )

▼図2
カメラと被写体までの距離がバラバラで同一平面にならない

カメラと被写体までの距離がバラバラで同一平面にならない

しかも近接撮影であることからF値は絞り気味にしないと複数ある商品の顔にピントがきません。
一般の照明電球では光量を変えられないので、絞りを絞りたかったらシャッタースピードを遅くするかISO感度を上げる必要があります。ですが感度の上げ過ぎは画質の荒れに繋がります。感度を上げなければシャッタースピードが1秒以上の長さになることになります。
ネックレスなど安定した商品なら安心ですが、ワックスで立てた指輪などは安定が悪いので速やかに撮影を進行したいものです。見せたい角度にしたくて無理なバランスで立てた時には特に時間をかけられません。
そういったストレスをなくすために光量が大きく(F値を稼げる)、調整できるプロ用の機材は便利なのです。
「 クリップオンタイプのフラッシュも同じなのでは? 」とお考えの方もいらっしゃるでしょう。カメラの上部に固定できるタイプの小型ストロボ(クリップオンタイプ)をスタンドに固定して撮影することも出来ます。ですがそのやり方だと光を見ながらのライティングができません。
今回使用したモノブロックタイプのストロボは「モデリングライト」が付いています。ライティングする時は電球色のモデリングライトで、そしてシャッターを切る時には太陽光に近いフラッシュが発光する仕組みですので作業が楽です。

また、今回使用したコメット社からは同じサイズのLEDライトも出ていますのでフラッシュではなく定常光の方がやり易いという方はそちらをお使い頂いても良いでしょう。ストロボほどではありませんがこのLEDライトも光量の調整ができます。特にライブビュー撮影なさる方には、定常光で見たままの色で写るので都合がいいでしょうね。

▼写真17

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▼写真18

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さて、ジュエリーの撮り方はいかがでしたでか。今回は僕の講座にしては珍しく道具へのこだわりが強かったように思います。写真はデジタル化のお陰で誰もが安易に撮ることが出来るようになりました。ですが専門的な撮影になるほど、専用の道具や機材が必要になってくるということなんです。でも今回使用したストロボのように、本格的にチャレンジしたいと願う方にとって比較的入手し易いものが最近は増えてきた気がします。
安全第一であること、そして人に迷惑をかけないこと。この2点に注意して商品撮影にどんどんチャレンジして頂きたいと願います。

◆本記事を執筆している 「 高崎 勉先生のDVD教材 」↓↓↓

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■ 今回の1枚

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春ですね。僕は毎年、桜を撮っていますがブツ撮りカメラマンらしく、このような桜の写真もあっていいと思いました。この1枚が参考になって広告の仕事が生まれたこともあります。

■ 次回予告

次回からは違った角度からの切り口で記事にする予定です。それでは次回をお楽しみに。

■ 撮影協力 ■

株式会社 タムロン
ベルボン 株式会社
ケシェルシャローム

高崎勉
著者について
■ 高崎 勉 - Tsutomu Takasaki - 1967年 富山市生まれ 写真家、広告カメラマン ■ 東京工芸大学短期大学部卒業後(株)アマナを経て1999年独立。主に広告業界で活動し「心に響く商品写真」を追求。プロフェッショナルクリエイターを育成する「Takasaki Seminar」を開催し、後進の育成にも積極的に関わる。第65回毎日広告デザイン賞・最高賞。87th N.Y.ADC 入賞。APAアワード入賞など、受賞多数。作品制作にも積極的に取り組んでおり、2011年の発表以降、年2~3回のペースで写真展開催。NPO法人「日本の写真文化を海外へプロジェクト」ディレクター。プライベートでは被写体を「商品」から「愛娘」に替えて、写真三昧の日々を過ごす。
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