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高崎勉のネットショップのための商品撮影講座
~ 第6回 透明な商品を撮る

Posted On 21 12月 2015
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TOPIX

今回の高崎勉のネットショップのための商品撮影講座は撮影が難しい透明な商品の撮影方法に関してご説明いたします。誰もが実現可能なちょっとしたテクニックに関しても触れていますのでご一読ください。 by 編集部

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みなさんこんにちは。フォトグラファーの高崎勉です。
前回の「 白い商品を撮る 」はいかがでしたか?「 白い商品の撮影 」は難易度が高いですが、上達するためには避けて通れない撮影です。ポイントを押さえて繰り返し撮影にチャレンジしてみてください。
さて 、今回はこれも難易度が高いが、身近にあふれている「 透明な商品 」についての撮影方法を解説いたします。メガネや飲料水のボトル、透明な容器に入った食品など様々な製品がありますね。ネットショッピングの商材としてもいろいろ見当たるのではないでしょうか。 今回は「 プロポリスキャンディー 」を被写体にして解説します。

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■ 商品を観察して形を整える

最初に商品を手に取り、どんな質感なのか、どんな色か、透け具合は?などを観察します。撮影前に知るべきことはたくさんあります。その後、形( または中身 )を整えます。

▼写真1
中身を整えたキャンディー(左)と送られてきた状態のキャンディー(右)の比較

中身を整えたキャンディー(左)と送られてきた状態のキャンディー(右)の比較

左の商品の方がパッケージの形が整っていて見栄えが良く、中身の飴玉の数も想像がつきます。このように撮影商品の状態を良くすることで、実はライティングもしやすくなります。
次に個装された商品を撮影する場合の手順を説明します。まず、同じ製品が幾つかあるのでしたら、欠けた商品や傷が目立つものがないか、印刷の歪みがないかをチェックして、その中で一番いいものを選びます。
商品を加工しても構わないか関係者に確認した上で、裏側にハサミで穴を開けます。( 今回の商品は中央にラベルがあるのでその裏に穴を開けても見えません。 )

▼写真2
表から見えない所にだけ切り込みを入れる

表から見えない所にだけ切り込みを入れる

▼写真3
中身を取り出して形の悪いものや欠けたものがないか調べ、商品が2つ以上あるときは中身を綺麗なものに差し替える。

中身を取り出して形の悪いものや欠けたものがないか調べ、商品が2つ以上あるときは中身を綺麗なものに差し替える。

▼写真4
個装の一つ一つを良く見ると包装の折り返しの線が入っていることに気づきます。

個装の一つ一つを良く見ると包装の折り返しの線が入っていることに気づきます。

左の個装の重ね合わせの線が邪魔だと考えるのなら、パッケージに戻すときに向きが裏側になるように詰めます。また、この時に飴玉の数を間違ってはいけません。実際に手元に届いた時に商品が撮影した画像よりも少ないとクレームの対象になってしまいます。
大袋に戻す時はゴミが入らないよう注意し、形状を補正できるものは事前に直しておきます。 ここまでの作業はとても面倒です。ですがこれで写真の見栄えはずっと良くなります。
※ラベルなどが無くて穴が開けられないときはそのままの開封しない状態で、袋を傷めないまま中身を整えるしかありません。

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■ 透明な商品の形をすっきりと見せるには

さて、お待たせしました。ようやくライティングのお話です。ここでは「 切り抜きカット 」を進行していきましょう。 まずは白い紙の上で撮ってみます。

▼写真5
白ケント紙の上で撮影

白ケント紙の上で撮影

▼写真5のように白い紙の上に飴玉の袋を置いて撮ることは誰でも最初に考えますね。ですがこれでは影が邪魔をして中身が見づらい写真になります。実際に写真を知り抜いてみましょう。

▼写真5-B
下の方の影が「 汚い 」のがわかります。

下の方の影が「 汚い 」のがわかります。

この汚い影を消すために、面倒なのですが、ガラスの板を用意し、左右両端を固定して宙に浮かせる工夫をします。

▼写真6
ガラス板の両端を箱馬などに乗せて床から50cmほど離す。

ガラス板の両端を箱馬などに乗せて床から50cmほど離す。

白い背景を作るために、床に白い紙を敷きそこに1灯射ちます。そして、ガラスの上に商品を置き、商品に対して12時の方向と9時の方向からライトを当て、反対側にはレフ板を用いて影を弱めるとともに光量の低下を補います。
ガラスの上の商品の周囲は黒い紙で覆います。床に向けたライトの照り返しで商品の輪郭が明るくなって溶け込むことを防ぐためです。

▼写真7
セットの外観

セットの外観です。カメラを真下に向けて撮影するときはカメラやレンズなどの落下に充分気をつけてください。機材ばかりでなく商品を傷付けますし、ガラス板が破損すると危険です。

▼写真7のセットで撮ったのが以下▼写真8です。

▼写真8

写真8_RR

▼写真5と▼写真8の2枚を実際にPhotoshopで輪郭を切り抜きいた画像を並べて比較してみましょう。

▼写真9
白ケント紙の上で撮影した切り抜き画像とガラスの上で撮影した切り抜き画像。

白ケント紙の上で撮影した切り抜き画像とガラスの上で撮影した切り抜き画像。

いかがでしょうか。
ガラスの上で撮った方がクリヤーですよね。口に入れる商品( 食品、飲料 )は特に写真の濁りが少ない方が印象がいいのです。
透明な袋に映るハイライトが気になるかもしれませんが、ビニールの袋の質感を表していますので問題ありません。ただし飴玉やラベルにハイライトがなるべくかからないように配慮してライトの位置を決めてください。特に商品名などの文字情報が正しく見えることが重要です。

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■ 今回の1枚

ヒカリエ/コルトン版下_OL_cs4

あぶらとり紙で有名な京都のブランド「 よーじや 」の店舗コルトン用の写真です。金箔を背景に正面から撮るのは難しいです。ギラギラし過ぎることなく、気品漂う仕上がりに配慮しました。

■ 次回予告

次回は同じ透明でも中身に液体の入った商品についてのお話です。ワインのボトルを題材にしますのでお楽しみに。

■ 撮影協力 ■

株式会社 タムロン
ベルボン 株式会社
株式会社みつばちの詩工房

高崎勉
著者について
■ 高崎 勉 - Tsutomu Takasaki - 1967年 富山市生まれ 写真家、広告カメラマン ■ 東京工芸大学短期大学部卒業後(株)アマナを経て1999年独立。主に広告業界で活動し「心に響く商品写真」を追求。プロフェッショナルクリエイターを育成する「Takasaki Seminar」を開催し、後進の育成にも積極的に関わる。第65回毎日広告デザイン賞・最高賞。87th N.Y.ADC 入賞。APAアワード入賞など、受賞多数。作品制作にも積極的に取り組んでおり、2011年の発表以降、年2~3回のペースで写真展開催。NPO法人「日本の写真文化を海外へプロジェクト」ディレクター。プライベートでは被写体を「商品」から「愛娘」に替えて、写真三昧の日々を過ごす。
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