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高崎勉のネットショップのための商品撮影講座
~第5回 白い商品を撮る


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TOPIX

ご好評いただいている物撮り講座、『 高崎勉のネットショップのための商品撮影講座 』も第5回目を迎えました。今回からはより実践的なブツ撮りに入っていきます。最初は「 白い商品を撮る 」です。なぜ、難しそうな「 白い商品 」から撮るのでしょうか?その答えは本文にあります!白い商品の撮り方のご参考にご覧ください。by 編集部

みなさんこんにちは。フォトグラファーの高崎勉です。
前回、前々回の2回に分けてプロダクトカットについてお話しをいたしました。
商品カットには「 切り抜きカット 」と「 角版カット 」があって、用途によって撮り方を変えなければならないという解説をしました。 今回は白い商品を撮るときの注意点に触れたいと思います。

化粧品、飲料、世の中には様々な商品がありますが、もしかしたら色に関しては一番多いのが白い商品かもしれません。はっきり言って白い商品の撮影は難しいです。ですが商品撮影の基礎となり、ここを抑えれば一気に撮影が上達します。その理由で、具体的な商品撮影の第1回目に白い商品を選びました。
今回の被写体はサプリメント『 食べる純炭 Kiyora( きよら ) 』という商品です。

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■ 「 白い商品 」を撮るための背景とライティング

まずはライティングしないで部屋の蛍光灯だけで撮ってみます。( 意図的にライティングしない状態です。 )「 写真1 」のように白い商品は黒い背景に置くと簡単に目立たせることができます。
セットはB1サイズの黒い紙を台に敷いて、奥の方を立ち上げて画面全体をカバーするようにセットしました。下の「 図1 」を参照ください。

▼写真1

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▼図1
白い紙をスタンドや適当な箱などで支えてR状にする。壁に貼って固定しても良い。

白い紙をスタンドや適当な箱などで支えてR状にする。壁に貼って固定しても良い。

では、次に同じセットで背景を白い紙に差し替えて商品を置くとどのようになるか見てみましょう。

▼写真2

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背景の白色に馴染んでしまい、商品が引き立ちません。 明らかに黒い背景に置いた方が商品は引き立ちます。

では、さらに商品の魅力を引き出すためにライティングをしていきましょう。写真撮影用のLEDライトでは無く、ここでは一般に家庭で使われるLED電球でライティングをしていきます。 これなら、安価で手が出しやすいですね。セットは先ほどと同じです。 LEDライトは背景用に1灯と商品に向けて1灯ライティングしました。

▼写真3

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▼写真4

写真4_re_RR

▼写真5
商品に対してのライトには光を柔らかくするためにトレーシングペーパーを設置しました

商品に対してのライトには光を柔らかくするためにトレーシングペーパーを設置しました

この2枚をご覧いただくとお分かりのように黒い錠剤は白い背景の方が引き立ちます。 ライティングのポイントは下の「 ▼写真6 」のように背景用のライトが商品に当たらないように配慮したことです。

▼写真6

DSC_3251_RR
ではここで、もう一度「 ▼写真4 」を見てください。商品の手前がグレー調にグラデーションになっています。これは、背景用ライトをセットの中間に設置した黒い板に光をあて、その反射の影を調整してグラデーションを出しています。
では次に、それぞれのライトの役割を明確にするため、1灯ずつ点けたときの画像を見比べてみましょう。これでそれぞれのLEDライトがどのように機能しているかがわかりやすくなると思います。

▼写真7
▼セット( 写真6 ) 手前のLED :オン 背景のLED :オフ

▼セット( 写真6 )
手前のLED :オン
背景のLED :オフ

▼写真8
▼セット( 写真6 ) 手前のLED :オフ 背景のLED :オン

▼セット( 写真6 )
手前のLED :オフ
背景のLED :オン

手前のライトだけの「 ▼写真7 」も背景がグレーのグラデーションになっていて、このままでも角版カットとして問題なく使えるレベルになっています。また、背景のライトだけで撮影した「 ▼写真8 」も製品の登場感を表現したイメージカットとして応用できるかもしれません。
ライトの位置で表現が全く異なることがこの2枚の写真からもわかります。
角版カットに関してはこれで成立するかもしれません。ですがホームページ、チラシやパンフレットを作成する際に、「 商品を目立たせたいから 」という理由だけで「 切り抜きカット 」に背景に黒や濃い色を背景に敷くのはナンセンスです。

▼写真9

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今回の商品は食べる炭のサプリメントですから、黒い背景もアリでしょう。ですが、この商品「 Kiyora( きよら ) 」は稀な例です。
写真を使う媒体の背景が「 白 」だとすると、白背景にレイアウトされてもちゃんと白い商品が目立つ写真を撮ることが必要です。
では「 切り抜きカット 」が必要な時にどのようなセッティングで撮影したらいいのでしょうか、検証して行きしょう。

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■ 「 白い商品 」の切り抜きカット

まずは黒い背景に商品を置いてライティングし、切り抜いてみました。

▼写真10

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▼写真11

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「 ▼写真10 」から切り抜いたカットが「 ▼写真11 」です。
商品撮影の経験が豊富な僕でも、黒い背景の中で切り抜き用のライティングをすることは困難です。なぜなら、白い背景に収まったときのイメージができないからです。白さを意識するあまり、明る過ぎるばかりでなく、質感や立体感のない写真になってしまいました。
やはり「 白い商品 」の切り抜きカットを撮影するのに、黒い背景は適切ではありません。そこで白い背景を作り、それから商品のライティングを始めました。白背景と大まかなライティングは出来上がっているので、輪郭を黒く締めるために黒い板や紙などで無駄な白の反射をカットしました。ボトルの質感や立体感、そして白さを、実際の白背景に置いた状態でコントロールするので、どんな風にライティングしたら良いかが、黒背景と比較してずっとイメージしやすくなります。「 ▼写真9 」のままのライティングで周囲を黒くしたら商品の向かって右側のシャドウがさらに暗くなったのでレフ板で調整しました。
「 第3回 プロダクトカットとは 」 の「 ■切り抜きカットについて 」の章でも、輪郭を際立たせる手法は詳述しています。こちらも読み返してください。 )

▼写真12

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▼写真13

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そのようにしてライティングした写真は実際に切り抜いて白背景にレイアウトしても「 ▼写真13 」のように立体感、質感がちゃんと伝わる写真になります。
黒の背景で撮影した「 ▼写真11 」と白の背景で撮影した「 ▼写真13 」の切り抜きカットを並べて、2枚を比較してみましょう。

▼写真14

どちらの写真が伝わりやすいかは一目瞭然ですね。

どちらの写真が伝わりやすいかは一目瞭然ですね。

この時、もう一つの重要なポイントがあります。第3回目でもお伝えしたように商品をステージの床面から浮かせることです。写真では透明のアクリルキューブを使っていますが、白いものでも構いません。5~10cm浮かせることにより、床の白が商品のフェイスに反射すること( 白かぶり )を抑え、商品の輪郭を出しやすくします。

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■ 「 白い商品 」の撮影が難しい理由とは

どうして白い商品を撮ることが難しいのでしょうか?
前項の最後に僕が答えを出していますね。白い背景に「 白い商品 」のため、輪郭を表現することが難しいのです。読者のみなさんは、白い画用紙に白い商品を鉛筆で描く時、何から描きますか?大半の方は「 輪郭 」から描くのではないでしょうか。「 白い商品 」の撮影では鉛筆や筆を使うようにいかないため、商品の輪郭を表現することが難しいのです。
商品の輪郭が背景に溶け込んでしまったり、明るさを定められずに質感の表現ができなかったりするので、白い商品の撮影は難しいのです。
つまり、「 商品の輪郭を際立たせることを意識してライティングすること 」 それが白い商品を撮影するコツの第一歩と言えるでしょう。
プロカメラマンの中にもグレーの背景で白い商品を撮る方がいますが、それは経験があるからできることです。白背景にレイアウトされたことを想像だけでライティングしてはいけません。ライティングを組み立てる時は「 実際に白背景を用意する 」ことが大切です。 白い背景に輪郭が際立つ写真が撮れたなら、その写真はほぼどんな背景にも収まりやすい写真といえます。
手間を惜しまず、「 白い背景を用意する 」ことこそが白い商品の切り抜きカットを上手に撮影する近道だということを覚えておいてください。

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■ 今回の1枚

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今回は写真作品の紹介ではなく,僕が監修・出演している写真教材のご案内です。でも、この中には過去に発表した作品も収録されていますので、気になる方はチェックなさってください。

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■今月の便利グッズ

ホームセンターに売っている塩ビの水道パイプ。トレーシングペーパーを止めたりするの
に重宝します。 もちろん写真用品メーカーからも撮影専用の機材としてディフューザー用の枠などが販売されています。

自分にとってどんな機材が必要か見極めるには時間がかかると思いますのでこのようなグッズで簡易的に試してみてはいかがでしょうか。

■ 次回予告

次回はこれも撮るのが難しいとされる「 透明な商品 」の撮影方法です。お楽しみに!

■ 撮影協力 ■

株式会社 タムロン
ベルボン 株式会社
食べる純炭 きよら

高崎勉
著者について
■ 高崎 勉 - Tsutomu Takasaki - 1967年 富山市生まれ 写真家、広告カメラマン ■ 東京工芸大学短期大学部卒業後(株)アマナを経て1999年独立。主に広告業界で活動し「心に響く商品写真」を追求。プロフェッショナルクリエイターを育成する「Takasaki Seminar」を開催し、後進の育成にも積極的に関わる。第65回毎日広告デザイン賞・最高賞。87th N.Y.ADC 入賞。APAアワード入賞など、受賞多数。作品制作にも積極的に取り組んでおり、2011年の発表以降、年2~3回のペースで写真展開催。NPO法人「日本の写真文化を海外へプロジェクト」ディレクター。プライベートでは被写体を「商品」から「愛娘」に替えて、写真三昧の日々を過ごす。

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