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香港初のカメラショー「 PICEX2014 」レポート

Posted On 06 6月 2014
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TOPIX

GW の真っただ中、5月2日(金)から4日(日)の3日間、香港で初の撮影器材ショー PICEX 2014( Photo Imaging & Camera Expo )が開催された。今回は、NPO 法人「 日本の写真文化を海外へプロジェクト 」のスタッフとして出展者として参加したので、その様子をレポートしよう。

 

■香港でカメラショーが初開催のワケ

香港と言えばアジア経済の中心地。有名なオークションやトレードショー、展示会などが毎週のように開催され、世界各地からバイヤーが集まってくる。そんな香港だから、カメラショーもさぞかし大規模なイベントなのだろうと思われがちだが、今までカメラショーが開催されたという話は聞いたとこがない。気になっていろいろ調べてみると、その背景が見えてきた。

香港のオークションやトレードショーは、その多くがワールドワイドのイベント。それを目当てに、海外のバイヤーや観光客、ビジネスマンが世界中から香港に集まって来る。最近では主要なホテルのロビーには、トレードショーの入場券が購入できる券売機が設置されていたり、イベント会場までの無料シャトルバスが用意されていたりもするほどだ。

一方で、香港の地元の人たちに向けた展示会というのは、意外に少ない。そもそも香港は、東京都の半分くらいの土地に 700 万人ほどしか住んでいない。香港の人たちに関心の高い、海外留学の説明会やウェディング関連のイベントなら、大勢の人が集まるのだろうが、カメラ愛好者となるとその人口はぐっと少なくなる。それぞれのメーカーで、週末にショッピングモールのホールで展示会やタッチ&トライを開催するので充分足りるという考え方もある。それほど大きいとは言えない市場規模を考えれば、日本の CP+ のような展示会を開催するというわけにもいかないのだろう。そんな状況もあって、なかなかカメラショーが実現できなかったようだ。

ちなみに香港では、ミラーレスカメラがレンズ交換式カメラの約4割を占めると言われている。こうした状況は日本、韓国、台湾とほぼ同じで、アジアの先進国の傾向のひとつ。スマートフォンの普及率も高いので、コンパクトカメラの売れ行きが低迷しているというのも日本と同じような状況と言える。

カメラショーの熱気はどこの国も同じ。ステージ前に集まるアマチュアカメラマンたち。

カメラショーの熱気はどこの国も同じ。ステージ前に集まるアマチュアカメラマンたち。

開会式のオープニングイベント。

開会式のオープニングイベント。

出展企業を紹介する案内。見慣れたロゴばかりだが、販売代理店の出品がほとんどだった。

出展企業を紹介する案内。見慣れたロゴばかりだが、販売代理店の出品がほとんどだった。

こじんまりした会場だが、午前中はほとんど来場者がいない。

こじんまりした会場だが、午前中はほとんど来場者がいない。

こじんまりした会場だが、午前中はほとんど来場者がいない。

こじんまりした会場だが、午前中はほとんど来場者がいない。

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■ 春はアジアのカメラショーシーズン

日本でのゴールデンウィークの時期になぜアジア各地でカメラショーが開催されるのか、というのにも実は理由がある。日本で2月に開催された CP+ で発表された製品が、市場にリリースされはじめるのがだいたい4~5月なので、日本で発表された最新の実機をいち早く紹介できるのがこの時期になるわけだ。今年は韓国のカメラショー Photo & Imaging 2014が4月17日(木)~ 20日(日)、中国・北京のカメラショー China P & Eが4月25日(金)~28日(月)に開催されていた。また、ペンタックス 645Z の発表が4月15日、ライカ T システムの発表が4月24日だったというのも、カメラショーの日程に符合する。メーカー各社も各国のカメラショーを意識していることが伺える。

 

香港特有の事情としては、5月1日が中国の祝日・労働節( メーデイ )。5月3日まで3連休となることから、中国からの旅行客が香港にも大勢やって来る。こうした旅行客は、中国の富裕層の人たちだ。そうしたことも見込んでこの時期に開催が決定したようだ。

フェーズワンやキャンソンを扱う G-Technology のブース。

フェーズワンやキャンソンを扱う G-Technology のブース。

フィルムを扱う CAMERA FILM PHOTO のブース。

フィルムを扱う CAMERA FILM PHOTO のブース。

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■カメラショーなのにカメラがほとんどない!?

香港で初のカメラショー PICEX( Photo Imaging & Camera Expo ) は、九龍湾国際展貿中心のスターホールで開催された。その規模はヴィクトリア湾に臨むコンベンションセンターには及ばないものの、九龍サイド最大のイベントホールで、コンサートが開催されるなど、地元では名の知れたランドマークのひとつ。しかし、会場となったスターホールの広さは武道館の 1/3 程度と広くはない。こじんまりとした印象だった。

今回は香港での第1回目となるカメラショーだけに、どんな人が集まるのかよりもどんな企業が出展するかに興味が湧く。事前に入手した資料には、キヤノン、エプソンをはじめデータカラー、ワコムなど、知ったメーカーのロゴが並んでいたが、開催日前日、出展の準備が終って会場内をぐるりと廻ってみると、出展者向けの資料にあったメーカーのブースがほとんど見当たらない。各社とも現地の販売代理店を通しての出展らしく、メーカーが単独でブースを出すということではないらしい。第1回目ということで様子見なのだろうか、あるいは市場規模の小ささの問題なのだろうか……。ちなみに最大のブースは、ハッセルやブロンカラー製品を扱うシュリロ香港のブース。ツァイスのレンズをショーケースにズラリと並べて紹介していた。あとは出版社やアクセサリーメーカーなど。ステージは3つもあるのに、ブースは 25 ほどしかなく、カメラがほとんど並んでいないという状況だった。

ハッセルブラッドを扱うシュリロでは、ズラリとカメラ、レンズを並べて展示。

ハッセルブラッドを扱うシュリロでは、ズラリとカメラ、レンズを並べて展示。

中古カメラを扱うブースもあったが、カメラメーカーの単独出展はなかった。

中古カメラを扱うブースもあったが、カメラメーカーの単独出展はなかった。

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■日本の写真文化に興味津々の来場者

5月2日(金)、香港の人気女優の美棋さん、写真家の高志強さんなどを迎えて PICEX 2014 がスタートした。来場者は若い人が多く、女性の姿も目立つ。コンパニオンが少ないせいなのか、カメラを手にしている来場者は意外と少ない。手にしているカメラを見ると、一眼レフの中級機クラスが多い。白レンズはほとんど見掛けなかった。

意外だったのは、そんなに広い会場ではないにも関わらず、一日中熱心に会場を見て回る人が多かったこと。ステージイベントもいつも満席の状態だった。私も2日目の午後、「 日本のファインアートプリント 」をテーマにステージに立ったが、海外の写真事情の紹介であるにも関わらず満席だった。

NPO 法人「 日本の写真文化を海外へプロジェクト 」のブースでは、制作中の写真集をはじめ、日本の Fine Art Print JPの活動と各種ファインアートペーパー、日本映像用品工業会の「 用品年鑑 」、そして日本のカメラ雑誌を紹介した。ブースを訪れる人は途切れることはなく、向かいのブースからも「 賑わっているね 」と声をかけられるほど。ブースを訪れた来場者は、名前の知らない写真家の作品集であるにもかかわらず、丁寧にページをめくってそのクオリティの高さに驚いたり、ファインアートペーパーがどこで買えるのか、特殊なプリンターが必要なのかといった質問を熱心するなど、滞在時間が長いのが印象的だった。また「 用品年鑑 」のようなアクセサリーをまとめたものがないことから、日本語が読めないにもかかわらず購入したいという人も多かった。さらに日本のカメラ雑誌の種類の豊富さにも驚いている様子だった。いろいろな意味で、日本の写真文化に興味を持ってもらえたように感じられた。

今回は出展者でもあったので、ブースを離れて取材する時間時間があまりなかったが、運営にも関わって舞台裏まで覗くことができたことは興味深かった。3日間の来場者は 30,159 人( 主催者発表 )。内容的にはやや物足りなさを感じる部分がないわけではなかったが、初のカメラショーとしては成功と呼べるものだったようだ。来年はどういうものになるのか、今から楽しみでもある。

日本の写真文化を海外へプロジェクトのブースでは FAP( Fine Art Print JP )の作品を展示して来場者の注目を集めていた。

日本の写真文化を海外へプロジェクトのブースでは FAP( Fine Art Print JP )の作品を展示して来場者の注目を集めていた。

We Paa のプリントデモコーナー。

We Paa のプリントデモコーナー。

来場者のカメラは一眼レフの中級機が多かった。

来場者のカメラは一眼レフの中級機が多かった。

AO フォトブックサービスには女性の来場者も目立った。

AO フォトブックサービスには女性の来場者も目立った。

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ワークショップのコーナーはいつも満席状態。

ワークショップのコーナーはいつも満席状態。

ステージイベントは4カ国語で行なわれていた。

ステージイベントは4カ国語で行なわれていた。

会場のあちこちにギャラリーコーナーがいくつも設けられていた。

会場のあちこちにギャラリーコーナーがいくつも設けられていた。

各国の写真集を扱う asia one。日本の写真集もあった。

各国の写真集を扱う asia one。日本の写真集もあった。

ピンホール写真のブース。中は見えない。

ピンホール写真のブース。中は見えない。

メインステージ脇から。会場があまり広くないので客席も少ないが、いつも満席だった。

メインステージ脇から。会場があまり広くないので客席も少ないが、いつも満席だった。

 

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柴田誠
著者について
1964 年生まれ。2012 年春に 24 年間勤務した出版社を退社し、フリーのフォトジャーナリストとなる。その後、香港に個人事務所 CYBER DRAGON HKG LIMITED( 數碼龍珠( 香港 )有限公司 )を立ち上げ、フォトキナをはじめとする国内外のカメライベント、写真フェアなどを中心に取材活動を行い、香港をベースにして国内や海外のカメラ雑誌や ウェブマガジンに執筆している。ちなみに日本在住。出版社在籍中には、カメラ誌の製品担当者で組織する「 カメラ記者クラブ 」にも通算 16 年間在籍。編集者時代に培った幅広い人脈と豊富な経験を活かした活動をするとともに、「 日本の写真文化を海外へプロジェクト 」を主宰。業界の活性化と後進の指導にも積極的に取り組んでいる。中国のカメラ雑誌「 撮影之友 」の編集顧問も務める。日本写真家協会( JPS )会員、日本写真協会( PSJ )会員、日本香港協会( JHKS )会員。
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