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若子jetのスナップフォトコラム☆VOL.4
門前仲町編

Posted On 2014 8月 21
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本連載も今回が4回目。毎回、違う街でスナップを撮っていると、その街ならではの匂いや町並みの違いが見えてくるから不思議だ。今回撮りおろしをしたのは門前仲町。

門前仲町は、もともと江戸時代に現在でも都内最大の八幡宮である「富岡八幡宮」を管理する別当寺の「永代寺」の門前町として栄え、当時は「深川永代寺門前仲町」と呼ばれていた。その永代寺は敷地が約6万坪もあり、富岡八幡宮や現在の深川公園なども、その敷地だったそうだ。明治維新後、神仏分離の政策によって「永代寺」は廃寺(後に再興)となったが、江戸時代は同寺で成田山新勝寺の不動明王の出開帳を行ったこともあり、その敷地に現在の「深川不動堂」が建てられたのだと言う。

深川の名称からも分かるとおり、この界隈は漁師町として賑わい、また商業も盛んであったことから、今でも下町ならではの活気にあふれている。そこで暮らす人々は、非常に人情深い印象だった。門前仲町と呼ばれる前の地名は深川門前仲町だったようで、昔ながらのにおいも沢山残っている。また、町のあちこちに下町ならではの生活感も漂う町並みもあり、ほっこりしてしまう。

江戸時代には、伊能忠敬等が居を構えた地でもあり、松尾芭蕉も歩いたゆかりの地としても有名で、街のあちこちに記念碑などがあり、まるで江戸時代にタイムスリップしたかのような、街のにおいを感じられる。また、街を歩けば、深川七福神と言われるほど沢山の神社仏閣があり、富岡八幡宮や深川不動尊などが特に有名である。

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上の写真は、成田山新勝寺の東京別院である深川不動堂で撮影をした、ご本尊である不動明王の脇士を務める制多迦童子。天気のいい日に気持ちのいい空抜けに童子さまがとても輝かしく見え、思い切りクローズアップしてみた。撮影で使用したレンズ「オリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO」は意外にも寄って撮影をすることができ、描写もとても綺麗で気に入っている。

江東区は、水に恵まれてた場所であり、大横川・小名木川・仙台堀川などが有名だ。河畔に彩る大きな桜並木は、春になるとたくさんの人で賑わい、水辺のある風景として、スナップ撮影にも最高だ。夏になれば、新緑が気持ちよくなる。河畔の先には、乗船場があり、屋形船を楽しむこともできる。下の写真はその風景の一部。下の写真を見ると、水辺で働く人々の生活の匂いを感じる。朝早くには実際に船が動いているとのこと。今度朝早くに見に行ってみたいと思った。

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門前仲町は、江戸時代の漁師さんの「まかないご飯」で有名な深川丼の地。江戸時代の人が食べた深川めし(ぶっかけ丼)が有名で、プリプリのあさりを楽しむことができ、今でも多くの人々に愛されている。

さて、みなさんも、下町風情漂う門前仲町に行ってみませんか? まるで江戸時代にタイムスリップしたかのような町並み、非常に落ち着く地です。

著者について
■ 若子jet ■ 名古屋造形大学卒業後、出版社写真部を経て、松本明彦氏に師事後独立。 現在、雑誌や広告等の撮影をする一方、写真家としての展覧会作品発表多数。大学で講師をつとめるなど、後進の育成にも力を注いでいる。 優しく、かわいく、綺麗な世界感を得意とする。「すぐにうまくなる いいね!と言われる写真の撮り方レシピ」 (朝日新聞出版)絶賛発売中。